先日(2012年8月2日)、じつにひさびさに「みんぱく」(=国立民族学博物館・大阪千里)に行ってきた
書店フィールドワークを関西でも行うために大阪にいくついでに立ち寄ることにしたのである。フィールドワークといったら、なんといっても人類学であり、なんといっても梅棹忠夫である。
しかも、「みんぱく」(民博)は、「ばんぱく」(万博)の跡地である。大阪万博のランドマークであった「太陽の塔」をみるのも楽しみの一つだ。日本人にもっとも愛された、岡本太郎の代表作である。
(大阪モノレール、万博記念公園駅ホームから)
じつは、昨年(2011年)に開催された「梅棹忠夫展」は、ほんとうは「みんぱく」にまで見に行きたかったのであるが、大阪で見れずに東京の科学未来館で見ることができた。
夏の大阪は暑い。毎年のことだが、「みんぱく」に立ち寄った8月2日もまたものすごく暑かった。
そういえば、「ばんぱく」に行ったのは、1970年(昭和45年)の8月のことだったが、子どもにとっては特別に暑いとは思わなかった8月も、両親にとってはそうとう暑かったのではないかと、いまにして思うのである。
現在は、万博公園には「ばんぱく」をしのぶような建築物は「太陽の塔」以外にはない。であるがために、なおさら木陰がすくないので暑いのである。
伊丹空港から大阪モノレールで万博記念公園駅へ、そこで乗り換えて一駅、公園東口駅で下車してからかなりの距離を歩くことになる。
暑いなかを歩きとおして、やっと「みんぱく」にたどりついた。「ばんぱく」の跡地のなかにあるだけに、なんといっても広い公園なのだ。
なんとうれしいことに、「本日は無料観覧日です」という立て看板が。夏休み期間中は「毎日無料」なのだそうだが、うれしいことである。大阪近辺のみなさんは、ぜひこの機会に子どもを連れて、あるいは子どもに戻った気持ちで訪れていただきたいと思う。
みんぱくの趣旨は、モノをつうじて民族と文化を知るということにある。
まず目に入るのがオセアニアの展示。これらは、アーチストで民族学者であった土方久功(ひじかた・ひさかつ)の旧コレクションである(写真下)。
(アーチストで民族学者であった土方久功の旧コレクション)
このように、「みんぱく」のコレクションには、土方久功や、実業家で民俗学者であった渋沢敬三などの個人が収集したコレクションを土台に、大阪万博の際に太陽の塔のなかで展示するために世界各地から収集したコレクションが展示されている。
つまり、「ばんぱく」と「みんぱく」は、跡地利用ということだけでなく、「みんぱく」の誕生は「ばんぱく」とは密接な関係があるいというわけなのだ。
今回はほんとうの駆け足なので、ゆっくり見ることなど望むことさえできなかったが、チベット仏教関連の展示が目をひいた。
(歩きながら回していくと功徳が積める固定式マニ車)
また、近代の東南アジアの展示物では、フィリピンが濃厚にアメリカ文明を体現しているので興味深い。
下の写真には、改造ジープのミニバスであるジプニーと、経済学の世界でよく引き合いにだされる「ゴルディロック」(Goldierock)のホーロー看板が展示されている。
(改造車ジプニーはフィリピンの大衆向けのの乗り合いバス)
というわけで、ものすごい駆け足だったので、展示物をじっくり見れなかっただけでなく、ミュージアムショップに立ち寄るヒマもなかったのが、かえすがえずも残念であったが、「太陽の塔」にも再会できて幸いであった。
(背中で語る太陽の塔)
みなさん、「太陽の塔」の背面にも太陽があることをしってましたか?
どうやらオモテが陽の太陽であれば、ウラは陰の太陽のようですね。みずからもフランスで民俗学を勉強した岡本太郎は、たんなるアーチストではなく、梅棹忠夫とも協働することのできる知性人であったことがよくわかると思います。
大阪モノレール公園東口駅に戻ると目につくのが巨大オブジェ。
仏頭のような頭部の像はいったい何を意味しているのか?
行きは万博中央駅から歩いたので知らなかったが、つくづく奇妙な存在である。
(このオブジェはアートか!?)
大阪の国立民族学博物館(みんぱく)は、千葉県佐倉市の国立歴史民俗学博物館とは対(つい)になった施設である。民族学と民俗学の違いを知る意味でも、ぜひ両方とも訪れてほしい施設である。
先にも書いたように、「みんぱく」は夏休み中は「入場無料」ですよ!
PS 写真を一枚追加した(チベット仏教の観音菩薩像) (2014年2月17日 記す)。
<関連サイト>
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立民族学博物館(みんぱく)
大阪モノレール
<ブログ内関連記事>
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