異色のキャリアをもつ変革リーダーによる自己啓発書だ。出版から即 amazon では「ベストセラー1位」である。
著者の安永氏(・・安永師というべきかな)は、銀行員から「キャリアチェンジ」して、転職コンサルタントに転身し、その後エグゼグティブ・サーチ会社の経営者を経て、築地本願寺の改革に携わり、現在は京都の西本願寺の代表役員として本寺改革に従事されている方。
浄土真宗の僧籍を取得したのは経営者時代で、通信教育を受講されたとのこと。お寺の出身ではない異色の僧侶であり、しかも組織変革リーダーとしてのキャリアは一貫している。
じつは安永氏には、仏教界に転身する前のエグゼクティブ・サーチ時代に、個人的にお世話になっている。最終的にわたしが転職ではなく、独立を決意したのは、安永氏が背中を押してくれたからだ。
その安永氏が、その後は築地本願寺の改革で実績をあげて、各種メディアで取り上げられていることは、ビジネスパーソンなら知っている人も少なくないだろう。
ところが、ご縁をいただいた当時は、まさか、その後そんなキャリアチェンジをされるとは知るよしもなかった。しかも、拙著『言志四録 心を磨く言葉』につづいて、この12月におなじ出版社から新刊を出版されることを知った。それが本書『何度でもリセット』である。
なんという「奇縁」であることか! しかも、京都府出身のわたしのほうは母方の祖母が西本願寺の「門徒」であり、父方の祖父が徳島で浄土宗のお寺にいたことこともあり、「凡夫」(ぼんぷ)として、浄土系仏教にはそれなりに通じている。その意味では「仏縁」というべきかもしれない。
とはいえ、本書は仏教どころか、浄土真宗がらみの説法は、ほとんどないので心配無用だ。あくまでも仕事がアイデンティティにならざるをえない現代人のための人生論であり、キャリア論である。いや、それこそ現代人のための「法話」というべきか。
「失敗・逆境・恐れこそ第二・第三のキャリアチャンス」と帯にある。まさにそのとおりだなと、数度にわたる自分自身の「リセット人生」を省みても実感する。 キャリアを「リセット」すると、それにともなって人間関係も「リセット」される。古い人脈が甦ることもある。
会社員として、このまま組織のままにとどまっていていいのか、そんな思いを抱いている人にすすめたい本だ。きっと一歩踏み出すため、背中を押してくれることだろう。 「リセット」は、けっして悪いことではない。
「キャリアチェンジ」というものは、一歩踏み出してしまえば、なんとかなるものだ。もちろん、それが山あり谷ありの、たとえ楽な道ではないにしても。
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目 次はじめに第1章 仕事で自分をなくしていませんか?第2章 会社軸から自分軸を取り戻したイギリス時代第3章 「自分の軸」を見つける第4章 「自分の軸」を活かす第5章 「自分の軸」を守る第6章 失敗や逆境に負けない自分になる第7章 あるがままに「凡夫」として生きるおわりに
著者プロフィール安永雄彦(やすなが・ゆうひこ)1954年東京生まれ、開成高校、慶応義塾大学経済学部卒業、ケンブリッジ大学大学院博士研究課程修了(経営学専攻)、三和銀行(現三菱UFJ銀行)、米系大手人材コンサルティング会社ラッセル・レイノルズ社を経て、経営幹部人材の人材サーチコンサルティング会社島本パートナーズ社長(現会長)。 2005年に得度し浄土真宗本願寺派僧侶となる。2015年7月より築地本願寺代表役員宗(しゅう)務(む)長(ちょう)として僧侶組織のトップとして法務に従事するとともに、寺院の運営管理や首都圏での個人を対象にした新しいかたちの伝道活動に従事し伝統寺院の改革を主導。2022年8月より京都の浄土真宗本願寺派本山である西本願寺の代表役員執行(しゅぎょう)長(ちょう)として本山の改革に従事中。グロービス経営大学院大学専任教授。経済同友会会員。元武蔵野大学学外理事(現顧問)。龍谷大学理事。 著書に、『日本型プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)、『築地本願寺の経営学』(東洋経済新報社)。 (出版社サイトより)
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