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2023年12月24日日曜日

書評『何度でもリセット ー 元コンサル僧侶が教える 「会社軸」から「自分軸」へ転換する マインドセット』(安永雄彦、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2023)ー 異色のキャリアをもつ変革リーダーによる自己啓発書

 


異色のキャリアをもつ変革リーダーによる自己啓発書だ。出版から即 amazon では「ベストセラー1位」である。 

著者の安永氏(・・安永師というべきかな)は、銀行員から「キャリアチェンジ」して、転職コンサルタントに転身し、その後エグゼグティブ・サーチ会社の経営者を経て、築地本願寺の改革に携わり、現在は京都の西本願寺の代表役員として本寺改革に従事されている方。 

浄土真宗の僧籍を取得したのは経営者時代で、通信教育を受講されたとのこと。お寺の出身ではない異色の僧侶であり、しかも組織変革リーダーとしてのキャリアは一貫している。 

じつは安永氏には、仏教界に転身する前のエグゼクティブ・サーチ時代に、個人的にお世話になっている。最終的にわたしが転職ではなく、独立を決意したのは、安永氏が背中を押してくれたからだ。 

その安永氏が、その後は築地本願寺の改革で実績をあげて、各種メディアで取り上げられていることは、ビジネスパーソンなら知っている人も少なくないだろう。 

ところが、ご縁をいただいた当時は、まさか、その後そんなキャリアチェンジをされるとは知るよしもなかった。しかも、拙著『言志四録 心を磨く言葉』につづいて、この12月におなじ出版社から新刊を出版されることを知った。それが本書『何度でもリセット』である。 

なんという「奇縁」であることか! しかも、京都府出身のわたしのほうは母方の祖母が西本願寺の「門徒」であり、父方の祖父が徳島で浄土宗のお寺にいたことこともあり、「凡夫」(ぼんぷ)として、浄土系仏教にはそれなりに通じている。その意味では「仏縁」というべきかもしれない。 

とはいえ、本書は仏教どころか、浄土真宗がらみの説法は、ほとんどないので心配無用だ。あくまでも仕事がアイデンティティにならざるをえない現代人のための人生論であり、キャリア論である。いや、それこそ現代人のための「法話」というべきか。 

「失敗・逆境・恐れこそ第二・第三のキャリアチャンス」と帯にある。まさにそのとおりだなと、数度にわたる自分自身の「リセット人生」を省みても実感する。 キャリアを「リセット」すると、それにともなって人間関係も「リセット」される。古い人脈が甦ることもある。

会社員として、このまま組織のままにとどまっていていいのか、そんな思いを抱いている人にすすめたい本だ。きっと一歩踏み出すため、背中を押してくれることだろう。 「リセット」は、けっして悪いことではない。

「キャリアチェンジ」というものは、一歩踏み出してしまえば、なんとかなるものだ。もちろん、それが山あり谷ありの、たとえ楽な道ではないにしても。 


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目 次 
はじめに 
第1章 仕事で自分をなくしていませんか? 
第2章 会社軸から自分軸を取り戻したイギリス時代 
第3章 「自分の軸」を見つける 
第4章 「自分の軸」を活かす 
第5章 「自分の軸」を守る 
第6章 失敗や逆境に負けない自分になる 
第7章 あるがままに「凡夫」として生きる 
おわりに 


著者プロフィール
安永雄彦(やすなが・ゆうひこ)
1954年東京生まれ、開成高校、慶応義塾大学経済学部卒業、ケンブリッジ大学大学院博士研究課程修了(経営学専攻)、三和銀行(現三菱UFJ銀行)、米系大手人材コンサルティング会社ラッセル・レイノルズ社を経て、経営幹部人材の人材サーチコンサルティング会社島本パートナーズ社長(現会長)。 2005年に得度し浄土真宗本願寺派僧侶となる。2015年7月より築地本願寺代表役員宗(しゅう)務(む)長(ちょう)として僧侶組織のトップとして法務に従事するとともに、寺院の運営管理や首都圏での個人を対象にした新しいかたちの伝道活動に従事し伝統寺院の改革を主導。2022年8月より京都の浄土真宗本願寺派本山である西本願寺の代表役員執行(しゅぎょう)長(ちょう)として本山の改革に従事中。グロービス経営大学院大学専任教授。経済同友会会員。元武蔵野大学学外理事(現顧問)。龍谷大学理事。 著書に、『日本型プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)、『築地本願寺の経営学』(東洋経済新報社)。 (出版社サイトより)


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2021年1月14日木曜日

書評『反応しない練習 ー あらゆる悩みが消えてゆくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬、KADOKAWA、2015) ー 反応しないこと、それが大事なのだ!

 

『反応しない練習-あらゆる悩みが消えてゆくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬、KADOKAWA、2015)がベストセラーになっていたことは知っていたが、さすがに15万部(!)のロングセラーになっているとは、昨年末にリアル書店の平台で見るまでは知らなかった。 

基本的に自分はブディストであり、この本に書いてあるようなことは日々実践しているハズだから、あえて読むこともあるまいと思っていた。とはいえ、さすがに15万部という数字を見ると、違う意味で大いに関心をそそられる。売れているということは、それなりに理由があるハズだ、と。 

なぜこの本が目に入ってきたかというと、昨年末から約3週間にわたって、きわめて不快なメールを断続的に執拗に送付されるという、ストーカーまがいの迷惑行為に見舞われていたからだ。しかも、見知らぬ赤の他人ではなく、よく知っている知人であるだけに余計たちが悪い。あきらかにメンタルを病んでいるとしか思えない内容である。 

基本的にその手のメールにはいっさい返信せず「黙殺(=スルー)」し続けていたが、自分としてはきわめて不快な感情を抱いていたことも事実だ。アクションは行わなくても感情が動いてしまうというのは、まだまだ修行が足りないので致し方ないのであるが、こんな状態にとりあえず終止符が打たれて解放されたのが、つい昨日のことである。 

そんなこともあったので、こんな機会を逃したら『反応しない練習』を読むこともしばらくはあるまいと思って読み出してみた。なにごとにおいても機縁というものがある。

読んで見たら、これは良書だと最初のページから強く思った。15万部売れている理由も納得できるし、できればもっとももっと100万部以上売れた方がいい。一家に一冊は備え付けにして家族で回し読みし、なんどもなんども繰り返し読んでは、気づきを得て、そして反芻するべき本であると思う。 

反応するからいけないのである。反応しなければ問題は発生しないのである。自分自身もそのことは十分に理解していながら、実践においては徹し切れていないと大いに反省することしきりである。 

それにしても、あらためてブッダその人の教えは素晴らしい。この本には初期仏教の仏典からの引用がちりばめられており、21世紀に生きる現代人にとっての生き方の指南書となっている。 

ブッダの教えとストア派哲学はよく似ている。そのどちらか一方に関心のある人も、双方に関心のある人も、まったくそうでない人も、この本はぜひ読んで実践するべきだと強く思う。


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目 次 

 はじめに どんな悩みも解決できるシンプルな "考え方" がある
第1章 反応する前に「まず、理解する」
 悩みをなくそうとしない。「理解」する
 その問題の「理由」に着目する
 心の状態を「きちんと見る」だけでいい 
第2章 良し悪しを「判断」しない 
 「ムダに判断」していませんか
  "慢#" という心のビョーキに気をつける
 「つい判断してしまう」からの卒業
 「自分を否定しない」。どんなときも
 「本物の自信」をつけるには?
第3章 マイナスの感情で「損しない」
 感情を上げもせず、下げもせず
 困った相手と「どう関わるか」
 大原則 ーー "快" を大切にしていい
第4章 他人の目から「自由になる」 
 他人からの評価を「追いかけない」
 うっとおしい相手から「距離を置く」
 もう較べない。自分のモノゴトに集中!
第5章 「正しく」競争する 
 その競争は「妄想」かもしれない
 競争の前に「準備」をしよう
 「正しい動機」を用意する
  "5つの妨げ" に気をつける
 「負けた」という思いから自由になる
最終章 考える「基準」を持つ 
 正しい心に「戻る」。何度でも
 いつでも "正しい方向" を忘れない
 自分の人生を「信頼する」
 

著者プロフィール
草薙龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)
僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。政策シンクタンクなどで働きながら「生き方」を探究しつづけ、インド仏教指導僧・佐々井秀嶺師のもとで得度出家。ミャンマー国立仏教大学、タイの僧院に留学。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2017年7月26日水曜日

『遍歴放浪の世界』(紀野一義、NHKブックス、1967)はいつになっても全編読み通せない。その理由は・・・



今週のことだが熱帯夜のある日、朝3時頃に目が覚めてしまった。それから眠れなくなってしまったので、寝室にある書棚の本を整理しはじめたら、とある本が目に入ったので手にとって読み始めた。

『遍歴放浪の世界』(紀野一義、NHKブックス、1967)がその本だ。

いつになっても全部読み通したことがない本なのだが、その理由は内容が難しいからではない。 読み始めると、「人生」について切実にいろいろ考えてしまうことが多いからなのだ。だからその時点で本をいったん閉じてしまうと、その先を読めなくなってしまうのだ。立ち止まって考えてしまうのだ。

紀野一義氏は、宗派に関係ない立場で、広く大乗仏教の教えを説きつづけてきた人。本来は『般若心経』のサンスクリット原文からの原典訳などの実績のある仏教学者なのだが、平易な語り口で人生講話的な法話をつづけてきた人だ。この本も、素材は仏教に限らず文学全般に幅広く求めている。

じつはお目にかかったことも、肉声は一度も聞いたことがなく、しかも読んだ本はそのごく一部にしか過ぎないのだが、どの一節であれ読むたびに深く「人生」について考えてしまわざるをえない仏教は、生きるということは「苦」であると明言しているからであろうか。

スマホで検索してみたら、紀野一義さんは、すでに2013年にお亡くなりになっていた。そうだったのか。いや、そうだろうなあ。この本の奥付には、1922年生まれとあるから。戦中派で学徒動員の世代なのだ。しかも出征中に広島の家族は原爆で全員亡くなっているらしい。

自分がもっているのは、1993年の「新装版」なのだが、「新装版」のあとがきで、著者は44歳のときに書いた本で、自分はすでに70歳だと書いている。

そうか、50歳をまえに書かれた本だったのか・・・。迷い、惑い、不安に満ちた40歳代。この事実じたいが、なんだかまたいろいろ考えさせられてしまう。40歳代でこんな本を書ける人だったのか。

初版がでた1967年は、いまからちょうど50年前、新装版からもすでに24年。時がたつのは、じつに早い。この本を買ったとき、自分はまだ30歳を少し過ぎたぐらいだったのか、とあらためて知る。

もちろん、多くの日本人にとって「遍歴放浪」は憧れであっても、実行できる人は少ない。でも、それでいいのだろう。

そんな「遍歴放浪」に身を投じた、西行法師や一遍上人、芭蕉や山頭火など、過去の日本人の軌跡をたどることで、一般人もまた空想のなかであっても「放浪遍歴」に身をゆだねることができる。それでいいのだろう。

そんなことを思いつつ、二度寝することにした。



<ブログ内関連記事>

「シャーリプトラよ!」という呼びかけ-『般若心経』(Heart Sutra)は英語で読むと新鮮だ
・・中村元・紀野一義訳の岩波文庫版は繰り返し読んできた

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・人生の前半を「放浪生活」に送った哲学者

書評 『目覚める宗教-アメリカが出合った仏教 現代化する仏教の今』(ケネス・タナカ、サンガ新書、2012)-「個人のスピリチュアリティ志向」のなかで仏教が普及するアメリカに読みとるべきもの
・・個人単位の仏教実践がアメリカ流

書評 『仏教要語の基礎知識 新版』(水野弘元、春秋社、2006)-仏教を根本から捉えてみたい人には必携の「読む事典」


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2014年5月8日木曜日

書評 『日本の未来-アイデアがあればグローバル化だって怖くない-』(アルボムッレ・スマナサーラ、サンガ新書、2014)-初期仏教の立場から「いま」を生きることの重要性を平易に説いた法話



日本でもっとも有名なスリランカ人といえば、かつては英会話のウィッキーさんだったが、いまではスリランカ初期仏教のスマナサーラ長老かもしれない。

法話を活字化した書籍が次から次へと出版され続けており、既成仏教に飽き足らない人だけでなく、仏教徒としての自覚の薄い日本人にもスマナサーラ長老の名前が知られるようになってきたようだ。

スマナサーラ長老の本は、法話をもとにしたものが大半なので、似たような内容のものが多いのが難点。だが、今回の新刊はちょっと毛色の違うような印象なので、さっそく購入して読んでみた。本を買うのも寄進というか、お布施のようなものである。

今回の法話は、『日本の未来』というお題だ。だが、いきなりカウンターかましてくれるというか、思い込みというハシゴを外してくれのは、ある意味では痛快だ。仏教では「未来」など考えない、仏教は「いま」を重視するのだ、と。

時間についての仏教の考え方はまさにそのとおりで、「いまという瞬間」の連続が時間なのであって、「いま」以外にはリアリティはないのである。「過去」も「未来」もあくまでも実体ではなく、アタマのなかの観念にすぎないのである。もちろん、「過去」については、さまざまな形で痕跡として残るのであるが。

「未来」について考えないのは、「未来」を憂えても意味がないからだ。人間はあくまでも「いま」を生きるべきであって、将来を思い煩っても無意味である。「無憂」であるためには「いま」を真剣に生きるべきなのだ。

とはいえ、重要なアドバイスがちりばめられた本なので、読めばポジティブなマインドセットになるのは間違いない。日本では仏教というと葬式を連想するだろうが、そもそも仏教は宗教というよりも「ものの考え方」なのである。哲学といってもいいのだ。

たとえば、こんな発言がある。(*太字ゴチックは引用者=さとう)

皆、仲よく楽しく競争して儲かる商売は仏教的な経済であるといえます。そこに怒り憎しみはないのです。ライバル会社をつぶす気持ちもありません。アイデアがない、人に喜びを与えない人の商売が衰退しても、それはその人の責任です。からくりをしくんでライバル会社をだめにすることは悪行為です。(P.103)

仏教的な答えは、「いつだって新しいアイデアが生き延びる秘訣」です。古いアイデア、保守的なアイデアでは自然に死滅していきます。生き延びたければつねに新しいアイデアを作る必要があるのです。世界はつねに変わるのですから、それに合わせていくのです。(P.105)

平易な表現で語っているが、よくかみしめて読むべきだろう。怒りと憎しみを持たないこと、世の中はつねに「無常」であり、瞬間瞬間に変転していることなど、仏教の根本にある「ものの考え方」である。もともと仏教はブッダの時代から商行為とは相性がいいのだ。

現代社会についての話なので、スマナサーラ長老の故郷スリランカについての言及も少なくない。スリランカはインドでは死滅した初期仏教が生き残っている土地である(・・現在のインド仏教は20世紀に復活させた「新仏教」である)。

スリランカは長きにわたって仏教徒の多数派シンハリ人と少数派のタミール人とのあいだで激しい憎しみから生まれたテロが続いていたのだが、その調停者として国連から派遣された明石康氏をめぐるエピソードが面白い(P.139)。国連の西欧的な価値観の持ち主の明石氏は最初はスリランカで嫌われていたのだという。

本書は、スリランカからみれば日本そう見えるのかという新鮮な思いがする内容だが、こちらからみれば親日の仏教国スリランカはすっかり中国に取り込まれてしまったのだなあ、という印象も受ける。「皆、仲よく」が仏教のあり方であるとはいえ、その点は素直に受け取る気にはならない。まあスリランカ人は思っている以上にしたたかなのかもしれないが。

「対機説法」という表現もあるように、同じ教えを説くのであっても相手によって説法のやり方を変えるのが仏教の説法のあり方だが、本書のような不特定多数を対象にした書籍であると、説法の内容のすべてに賛同するわけにはいかないのは当然といえば当然のことなのだ。

日本仏教が現代社会に生きる日本人にとってリアリティのある方向性を示してくれないのは困ったことだ。「いま」という現在この瞬間に生きる人間の心に響かないのであれば意味はない。

その点、スマナサーラ長老はつねに現実的な観点からの本来のブッダの道を説いているのが特色だ。平易に語っているが、教えの内容は思ったよりも深い。難解な漢字の仏教要語に煩わされることなく、本来の仏教のあり方を知ることができる法話である。

いままで仏教遠ざけてきた人も、実践的な教えとして一度は目を通してみるといいだろう。「日本の未来」というテーマは、そのためには取っつきやすいものであるはずだ。





目 次

はじめに
第1部 仏教の智慧で見る日本の行く先
 第1章 未来を創る「今」が大事
 第2章 現代日本の問題を乗り越える
 第3章 日本の資質と可能性
第2部 日本の未来への問いと長老の答え


内容紹介

●開発において重要なことは、破壊をできるだけ小さく抑えた開発で作り進む 「穏やかな輪廻転生のサイクル」。
●日本が諸外国と仲よくするために必要な外交術は、 柔軟性と誠実さ、そして、いつでも自己判断して対処する能力。
●中国に対しては、「歴史ある先輩方」という姿勢で接すれば、 よい関係を築ける。
●TPPに参加しても、参加しなくても、 生き延びる秘訣はいつだって「新しいアイデア」。
●ライバル会社をつぶそうとは考えず、みんなが仲よく楽しく競争して儲かる商売は「仏教的な経済」。
●東京オリンピックは、日本が開催国として抜群の手腕を世界中にアピールする絶好のチャンス。
●本当の「おもてなし」とは「お互いの壁が消えること」。
●どんな政治システムであっても、正しいやり方をすれば、国民は幸せになれる。
●若者はもっとふざけて、遊んで、ハチャメチャやろう。はしゃぐチャンスがあれば、自殺なんかするわけがない。


著者プロフィール  

アルボムッレ・スマナサーラ(Alubomulle Sumanasara)
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとったのち、1980年に国費留学生として来日。駒澤大学大学院博士課程で道元の思想を研究。現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事。メディア出演や全国での講演活動をつづけている。著書に『ブッダの実践心理学』(藤本晃氏との共著)『怒らないこと』『怒らないこと2』『怒らない練習』『ブッダの聖地』(以上、サンガ)、『心がスーッとなるブッダの言葉』(成美堂出版)、『不安を鎮めるブッダの言葉』(朝日新聞出版)など多数ある。


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『Sufficiency Economy: A New Philosophy in the Global World』(足を知る経済)は資本主義のオルタナティブか?-資本主義のオルタナティブ (2)

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)

ミャンマー再遊記(8)-熱心な上座仏教徒たち

「無憂」という事-バンコクの「アソーク」という駅名からインドと仏教を「引き出し」てみる

「ウェーサーカ祭 2013」(2013年5月12日)に参加してスマナサーラ長老の法話を聴いてきた+タイ・フェスティバル2013(代々木公園)

「釈尊祝祭日 ウェーサーカ祭 2012」 に一部参加してスマナサーラ長老の法話を聴いてきた

「釈尊成道2600年記念 ウェーサーカ法要 仏陀の徳を遍く」 に参加してきた(2011年5月14日)

今年も参加した「ウェーサーカ祭・釈尊祝祭日 2010」-アジアの上座仏教圏で仕事をする人は・・

ウェーサーカ祭・釈尊祝祭日 2009

『ブッダのことば(スッタニパータ)』は「蛇の章」から始まる-蛇は仏教にとっての守り神なのだ

書評 『巨象インドの憂鬱-赤の回廊と宗教テロル-』(武藤友治、出帆新社、2010)-複雑きわまりないインドを、インドが抱える内政・外交上の諸問題から考察



 
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2013年5月12日日曜日

「ウェーサーカ祭 2013」(2013年5月12日)に参加してスマナサーラ長老の法話を聴いてきた+タイ・フェスティバル2013(代々木公園)



ことしは仏暦2557年。釈迦入滅から2557年である。

ことしもブッダ生誕を祝うウェーサカ祭に参加してきた。基本的に上座仏教のスリランカ仏教を中心に、大乗仏教もふくめた仏教各派の融合を意図したものである。

ことしは「タイ・フェスティバル2013」と日程が重なっているので、まずは代々木公園で開催されたタイ・フェスティバルに立ち寄る。あまりもの殺人的な混雑ぶりに、とにかくミッションを一つだけ遂行。

ドリアンを食べるというのがそのミッション。ドリアンを食べるとビールは飲めないので(・・化学反応するのだというが実験してみたことはない)、そのあと仏教関連のイベントに参加するのも問題はないはずだ。そもそも仏教には不飲酒戒(ふおんじゅかい)というものがあるのだ。


ドリアンは匂いは臭いが、食べたあと息が臭くなるわけではない。食べているときはクチのなかがネチャネチャになる。おかげで在家であっても、この日だけは不飲酒戒を守ることになるというわけだ。

比較的ひとがすくないのがタイ料理以外の文化関係のブース。仏教関連のブースが2つある。海外布教にも熱心な新興のタンマガーイ寺院と成田にあるタイ仏教寺院ワット・パクナム日本別院。写真はワットパクナムのブースである。

(上座仏教では僧侶は拝むのではなく拝まれる存在)

基本的にスリランカの上座仏教が中心になって開催されるウェーサーカ祭、おなじく上座仏教のタイとあわせて参加するならちょうどよい。上座仏教な午後を過ごすこととなったわけだ。

五月晴れの晴天にもめぐまれていたので、代々木公園から渋谷まで歩く。渋谷に足を踏み入れると、また誘惑も多いが、ちょっとだけ立ち寄って所用を済ませたあと、そのまま歩いて会場へ。

会場は、ここ数年は渋谷区文化総合センター大和田4階 さくらホールに落ち着いたようだ。

プログラム
13:30 開場 誕生仏、成道仏、涅槃仏への献花
13:40 スライドショー
14:00 開式 ・おねり ・献花 ・祝辞 ・仏讃法要
15:00 チャリア舞踊(岡本マルラ有子)
休憩
16:30 スマナサーラ長老による記念法話
18:00 祝福の読経/聖糸・聖水の授与
19:00頃 終了予定

もうすでに参加するのは5回目となるので前半の部はすべて省略。「スマナサーラ長老による記念法話」のみ参加した。今回は前回とは違って、比較的オンタイムな運営ができていたようだ。

(献花に囲まれた成道仏)

一般参加でも入場無料。すべてはお布施でまかなわれる。

プログラムと小冊子をいただく。小冊子のタイトルは『智慧と善行為』(アルボムッレ・スマナサーラ長老、日本テーラワーダ仏教協会、2013)。ことしは小冊子にくわえてスマナサーラ長老の直筆サイン入りのポストカードをいただいた(写真右上)。



スマナサーラ長老の法話は、今回も拝聴することができた。というよりも、これが参加の主目的である。

ことしのテーマは釈尊仏陀の仏教の基本についての解説であったので、あまり新鮮味がなかったは残念。やや毒舌がすくなかったのも残念であった。

仏教は宗教ではないこと(!)、人生は苦であるが苦を徹底的に見つめることによってそれを乗り越えることができること、幸せを求めればそれが不幸せの原因となる、執着(しゅうじゃく)を捨てることこそが智慧であるなど、基本のおさらいとなる内容であった。

18時過ぎに法話が終わったので質疑応答のセッションは省略して会場を出た。つぎの予定が入っているためである。ほんとうは、祝福の読経と聖糸・聖水の授与には預かりたかったのだが・・・

今回はそんなわけで、上座仏教のエキゾチックな雰囲気を味会うというよりも、スマナサーラ長老の法話のみの参加となった。

来年もまた都合がつけば参加しようと思っている。






<関連サイト>

ウェーサーカ祭 2013 公式サイト


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「ウェーサーカ祭2014」にいってきた(2014年5月24日)「記念鼎談」におけるケネス・タナカ師の話が示唆に富むものであった

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(2014年5月26日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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2010年10月6日水曜日

書評『日本型プロフェッショナルの条件 ー アメリカ的論理思考では問題は解決できない』(安永雄彦、ダイヤモンド社、2009)ー 30歳代以上のビジネスパーソンにとって本当に重要なことを説いたビジネス法話集


30歳代以上のビジネスパーソンにとって本当に重要なことを説いたビジネス法話集

 エグゼクティブサーチのプロフェッショナルが書いた、ワンランク上を目指す30歳代以上のビジネスパーソンにとって本当に重要なことを懇切丁寧に説いた本である。 

 著者が教鞭をとるビジネススクールでの授業で、最後の5分間で話す「法話」がことのほか好評らしい。さすが50歳台で、失敗もふくめて、酸いも甘いもかみ分けた、人生経験を積んだビジネスマンだからこそ説得力があるのだろう。

 いわゆるビジネススキルといった狭い範囲の話ではなく、ビジネスをつうじて、人としてどう生きて行くべきかを、著者の豊富なビジネス経験と浄土真宗の僧侶という立場も踏まえて説かれた「ビジネス法話集」を一書としてまとめあげたものだ。

 こう書くと、「なんだ、お坊さんの説法か」、という印象を抱くかもしれないが、著者はもともと日本の都市銀行の銀行員としてキャリアを始めた人で、1980年代後半の英国勤務時代に「プロフェッショナル」とは何かと思い知らされ、その道を目指したという。

 人材関係のプロフェッショナルとしての独立後に、自分探しの旅のなかで仏教に出会い、出家したという変わった経歴の持ち主である。もちろん、現在でもスーツを着てネクタイを締めた、第一線のビジネスマンとして活躍、心の内面の世界と現実世界の処世を両立させながら、ユング心理学でいう「個性化」の道を歩いている人である。

 プロフェッショナルといっても、いわゆる弁護士や会計士などの狭い意味の専門家を意味しているわけではない。組織内部で組織の論理との葛藤を経験しながらも、「個性化」を貫いて組織の論理を越えて生きていける、信頼される一流のビジネスパーソンを目指す読者が想定されている。なによりも「内発的動機づけ」が重要なのである。

 米国流のポジティブシンキングの成功哲学では割り切れない、人生の矛楯や明暗。矛楯や明暗が存在するのは、ビジネスでも人生でも当たり前。そんななかで、ありのままの自分を知り、そしてそれを正面から受け止め、目前の課題に地道に取り組むこと。これこそが、30歳代以上のビジンスパーソンが、人間として成長するための急がば回れの早道であり、王道なのだ

 現状から一歩踏み出し、ワンランク上を目指し、一流のビジネスパーソンになるために本当に重要なことだ。最後に引用されたスティーブン・ジョブスの卒業スピーチの、著者による解釈はかみしめるべきものがある。

 ぜひ著者の「ビジネス法話」に耳を傾ける心の余裕が欲しいものである。


<初出情報>

■bk1書評「30歳代以上のビジネスパーソンにとって本当に重要なことを説いたビジネス法話集」投稿掲載(2010年8月24日)
■amazon書評「30歳代以上のビジネスパーソンにとって本当に重要なことを説いたビジネス法話集」投稿掲載(2010年8月24日)




目 次

序章 日本モデルのビジネス・プロフェッショナルの条件
第1章 ヘッドハンターから見た一流の条件
第2章 比較優位の世界で生きる術
第3章 自分を活かすには仕組みを知らなければならない
第4章 多様な視点―概念化
第5章 多様な視点―抽象化
第6章 葛藤を乗り越え現実に対応する
第7章 覚悟を決めて実行する力
第8章 後悔しないキャリアの作り方と生き方
第9章 内面世界を充実させるには


著者プロフィール

安永雄彦(やすなが・ゆうひこ)

エグゼクティブ・サーチを行う株式会社島本パートナーズ代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業、ケンブリッジ大学大学院博士課程修了(経営学専攻)。三和銀行、ラッセルレイノルズを経て現職。グロービス経営大学院大学教授(人材マネジメント論)、国際コーチング連盟認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)、浄土真宗本願寺派僧侶(教師)、早稲田大学商学部元講師、事業再生実務家協会会員、社団法人経済同友会会員など多様な顔を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<書評への付記>

 「現在でもスーツを着てネクタイを締めた、第一線のビジネスマンとして活躍」と書いたのは、著者の安永氏とは面識があるからだが、グロービス経営大学院大学での「法話」ライブは一度も聞いたことはない。

 お坊さんだということは、安永氏を紹介してくれた私の友人からは聞いていた。現役のビジネスマンであり、スキンヘッドではない。僧衣を着ている姿も拝見したことはない。

 私のビジネス人生の岐路において、その選択にあたって貴重なアドバイスをいただいたこともあり、ここで紹介することとした次第である。 

 「第一線のビジネスマンであって、しかも・・・」というのがすごいのである。

 「できる人」でかつ「できた人」、というのはなかなか同一人物のなかでは両立しがたいものだ。その生きた見本のような人である、といっておこう。

 本書じたいが「法話集」なのである。といっても、けっして抹香臭い話はない。むしろ、「ビジネス人生論」といったほうがいいかもしれない。



<関連サイト>

スティーブン・ジョブスのスタンフォード大学卒業スピーチ(YouTube 日本語字幕付き)
・・ぜひ直接味わって欲しい、すでに「伝説のスピーチ」


<ブログ内関連記事>

書評 『ユダヤ人エグゼクティブ「魂の朝礼」-たった5分で生き方が変わる!-』(アラン・ルーリー、峯村利哉訳、徳間書店、2010)
・・不動産コンサルティング会社のエグゼクティブでユダヤ教のラビによる、毎週月曜日の朝礼でハナされたの5分間の法話




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