「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 対話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 対話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年6月24日月曜日

『流体感覚』(吉福伸逸、雲母書房、1999)という 25年前に出版され、11年前に入手した本を、2024年になってはじめて通読してみた

 
 蔵書整理を行っていたら、本の山のなかから出てきた本が面白いので、ついつい読んでしまった。

『流体感覚』というタイトルの対話本伝説のセラピストとよばれ、「精神世界」というジャンルを日本に定着させた吉福伸逸氏と3人の対話。出版社は雲母書房。「雲母」と書いて「きらら」と読むようだ。  

なによりもタイトルに惹かれるものがある。対話者は、松岡正剛、社会学者の見田宗介、宗教学の中沢新一の3人。豪華メンバーであり、それぞれが個性の強い面々である。 

1989年の3人との対話と、吉福氏がセラピストを辞めてハワイに移住し、サーファーとなってから10年後の1999年。おなじ3人との対話と再対話が収録されている。 

古本で入手して2013年に読み始めたが、そのままになっていたもの。11年のときを経て、はじめて全部読んでみた。出版からすでに25年たっている。四半世紀である。 

テーマはもちろん興味深い。とくに「自己」(セルフ)というものを中心に据えているからだ。しかも、知的刺激に富んだものだ。 

そして、1989年当時、1999年当時、そして1989年と1999年のあいだに起こったことを2024年という時点から振り返りながら読む。なかなか乙なものである。 

出版して活字にしておけば、後世になってから読む人もいるということだ。 対談者のうち、吉福伸逸氏と見田宗介氏は、すでに故人となっている。 時は流れ25年、つまり四半世紀もたつとそうなっていくのである。


目 次
対談者: 松岡正剛 
Ⅰ アルタード・ステイツと自己編集(1989年) 
Ⅱ 情報と身体(1999年) 

対談者: 見田宗介
Ⅲ 自己について(1989年) 
Ⅳ 愛とエゴイズム(1999年) 

対談者 中沢新一
Ⅴ トランスパーソナルをめぐって(1989年) 
Ⅵ 日本人の霊性ーシャマニズムと仏教(1999年) 

あとがき 吉福伸逸



<ブログ内関連記事>




(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2021年1月16日土曜日

書評『他者と働く ー「わかりあえなさ」から始める組織論』(宇田川元一、NewsPicksパブリッシング、2019)ー 自分と相手は違う人間なのだから・・


ベストセラーには、それなりに理由がある。気になってはいたが読んでいなかった本を読むのは、その理由を確かめたいからだ。 

『他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論』(宇田川元一、NewsPicksパブリッシング、2019)。組織論を研究する経営学者による本だ。2020年11月時点で、すでに7刷となっている。帯のウラには絶賛のことばが並んでいる。

たしかに、読んでいると、この本がなぜ支持を受けているのかが、よくわかる。自分自身、この本に書いていることは、この20年近く実践してきたし、あらためて気づかされる点も少なくないからだ。 

なぜ他者に対して不満を抱いたり、怒りを感じたりするのか。それは、相手も自分とおなじだと無意識のうちに思い込んでいるからだ。 

だが、いったんそういう思い込みを捨て去って、そもそも自分と相手は違う人間だと考えてみる。そうすれば、自分が思っていることが相手もおなじように思っているはずはなくだから自分の思い通りに他者が動かないのは当たり前だということに気づくはずだ。 

そこで意味をもつのが、本書のテーマとなるダイアローグ(=対話)とナラティブ(=語り)だ。ナラティブとは、人がそれぞれもつさまざまな背景から生み出されてくる個別の語りのことである。自分のナラティブと他者のナラティブは当然のように異なるものであり、だからこそダイアローグの必要が発生する。 

人と人との「関係」、組織と組織との「関係」は、いずれも目に見えない。そしてその「関係」には「溝」(=ギャップ)がある。相手とのあいだに目に見えない「溝」が存在するということに気づき相手の立場から自分を見る視点でその「溝」を理解し、どうやったらその「溝」に橋を架けることができるかを熟慮して、実際に橋を架ける試みを行う。 

ここで初めて、さまざまな組織変革にかかわるノウハウやツールが使えるようになるのである。組織変革がうまくいかないのは、ここまでのプロセスをすっ飛ばしてしまうからだ。スローガン的に表現すれば、「急がば回れ、ツールのまえに!」とでもなろう。

組織は生身の人間によって構成されている。個々の人間が異なるバックグラウンドをもっており、当然のことながら異なる考えをもっている。だからこそ、ダイアローグが必要なのである。ダイアローグぬきで、一方的に主張を通そうとしても無理なことは、当たり前ではないか。 

この本には、コンサルタント出身者が事業会社の経営ポジションについて、そこではじめてダイアローグの重要性に気づくという 事例がいくつも出てくる。自分の場合も、40歳の頃におなじような体験をして、はじめてダイアローグの重要性に気づいた経験をもっているので、著者の言うことがよくわかるのである。 

経営学の本であり、組織論の本であるが、ふつうのアプローチとは異なる本だ。 

著者をインスパイアしてきたのは、医療現場における医者と患者の相互理解のための実践から得られた知見である。おなじ現象を見ているのに、なぜ医者という専門家と患者とのあいだにスムーズなダイアローグが成り立たないのか、成り立つためにはどういうアプローチをしたらいいのか、その問題意識から生まれてきた実践である。

この本は、営利企業に限らず人間関係によって構成されている組織に生きる人が、どういうポジションにいるにせよ、意識するべき心得といっていいかもしれない。 

自分のなかでダイアローグを行いながら読み、そしてどう日々の実践に落とし込んでいくか、何度も反芻しながら読んで、自分のものとすることが必要なこが書かれた本なのである。

その意味では「セルフヘルプ」の本ということもできよう




目 次 

はじめに 正しい知識はなぜ実践できないのか
第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている 
第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス 
第3章 実践1 総論賛成・各論反対の溝に挑む 
第4章 実践2 正論の届かない溝に挑む 
第5章 実践3 権力が生み出す溝に挑む 
第6章 対話を阻む5つの罠 
第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの
おわりに 父について、あるいは私たちについて
謝辞
参考文献

著者プロフィール
宇田川元一(うだがわ・もとかず) 
経営学者。埼玉大学経済経営系大学院准教授。1977年東京生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。2002年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、2007年長崎大学経済学部講師・准教授、2010年西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。社会構成主義やアクターネットワーク理論など、人文系の理論を基盤にしながら、組織における対話やナラティヴとイントラプレナー(社内起業家)、戦略開発との関係についての研究を行っている。大手企業やスタートアップ企業で、イノベーション推進や組織改革のためのアドバイザーや顧問をつとめる。専門は経営戦略論、組織論。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>




・・ヴォルテールは、人間はそれぞれ違うことを前提にした agree to disagree の重要性を説いた『寛容論』の著者でもある。『論語』なら「和して同ぜず」というところだろう。

(2021年1月26日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2018年3月21日水曜日

書評『日本問答』(田中優子/松岡正剛、岩波新書、2017)―「日本の来し方・行く末」について考えるための読み応えのある濃厚な対話



 『日本問答』(田中優子/松岡正剛、岩波新書、2017)を読んだ。

この二人の名前はいわずもがなと思うが、田中優子氏は現在は法政大学総長、専門は近世日本つまり江戸時代の文化史で、日本をグローバル世界のなかに位置づけて考察している。わたしも『江戸の想像力』『近世アジア漂流』その他の著作には大いに感心してきた。

松岡正剛氏は、いわば「知の巨人」。古今東西の書籍の膨大な読書を続けている編集工学の主唱者ウェブで連載が継続中の「千夜千冊」などのほか、『空海の夢』『知の編集工学』などの著作には大いに啓発されてきた。 こんな二人の問答が面白くないはずがない。

とはいえ、日本にかんして、ある一定程度の知識をベースにした「教養」がないと、その面白さを十二分に堪能できないかもしれない。まさに日本の古今東西だけでなく、日本を越えて世界に及ぶ、縦横無尽といった内容の対話録だからだ。

出版社の岩波書店による内容紹介は以下のとおり。

「日本はどんな価値観で組み立てられてきたのか.なぜそれが忘れられてきたのか.「内なる日本」と「外なる日本」,「善」と「悪」,「表」と「裏」――デュアル思考で見えてくる多様性の魅力とは.常に新境地を切り開く江戸文化研究者と古今東西の書物を読破し続ける編集工学者が,日本の来し方・行く末をめぐって侃侃諤諤の知の冒険!」

いまの日本人に決定的にかけているのは、江戸時代の日本型儒教にかんする知識だという「第5章 日本儒学と日本の身体」での松岡正剛氏の指摘は重要だ。

儒教という思考方法を身につけたことによってカタチの明確でなかった神道が確立し、国学へとつながっていくからだ。こういう思想の発展経路は、小林秀雄晩年の大著『本居宣長』に詳しく書かれているのだが、日本人全般の「教養」にはなっていないのだろうか?

この対話録も終わりに近づくにつれて、とくに田中優子氏のリベラル派というか左派的な地金が浮上してくるのが、わたしにとってはややうっとおしいが(笑)、江戸時代を中心にした日本文化の考察にかんしては、大いに傾聴すべき指摘も多いことは否定しようがない。

第8章のタイトルではないが「日本の来し方・行く末」について考えるためには、読み応えのある濃厚な対話であるといえよう。


画像をクリック!



目 次 
1 折りたたむ日本 
2 「国の家」とは何か 
3 面影の手法 
4 日本の治め方 
5 日本儒学と日本の身体
6 直す日本、継ぐ日本
7 物語とメディアの方法 
8 日本の来し方・行く末

著者プロフィール
田中優子(たなか・ゆうこ)
法政大学社会学部教授などを経て法政大学総長(2021年3月末まで)。専門は日本近世文化・アジア比較文化。『江戸の想像力』で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』で芸術選奨文部科学大臣賞・サントリー学芸賞。著書多数。2005年度紫綬褒章。江戸時代の価値観、視点、持続可能社会のシステムから、現代の問題に言及することも多い。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

松岡正剛(まつおか・せいごう)
工作舎、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授などを経て、現在、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。著書多数。2000年よりインターネット上でブックナビゲーションサイト「千夜千冊」を連載中。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>

書評 『日本力』(松岡正剛、エバレット・ブラウン、PARCO出版、2010)-自らの内なる「複数形の日本」(JAPANs)を知ること

書評 『法然の編集力』(松岡正剛、NHK出版、2011)-法然は「念仏」というキーワードを膨大な大乗仏教経典のなかからいかに抽出したのか?

『ちょっと本気な 千夜千冊 虎の巻-読書術免許皆伝-』(松岡正剛、求龍堂、2007)で読む、本を読むことの意味と方法

書評 『松丸本舗主義-奇蹟の本屋、3年間の挑戦。』(松岡正剛、青幻舎、2012)-3年間の活動を終えた「松丸本舗」を振り返る

書評 『脳と日本人』(茂木健一郎/ 松岡正剛、文春文庫、2010 単行本初版 2007)


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2016年10月21日金曜日

『イメージとマネージ-リーダーシップとゲームメイクの戦略的指針-』(集英社、1996)-平尾誠二氏のあまりにも早い死を悼む(2016年10月20日)


昨日(2016年10月20日)、ラグビーの平尾誠二氏が53歳の若さで亡くなったことを知った。衝撃的なニュースだった。ショックだ。同世代としては他人事ではない。いや、学校は違うが同学年なのだ。

ひさびさに平尾誠二氏の著書を引っ張り出してきて、パラパラとめくってみた。『イメージとマネージ-リーダーシップとゲームメイクの戦略的指針-』(集英社、1996)。いまからちょうど20年前に出版された本だ。 編集工学の松岡正剛氏との二人の京都人による対話を読むと、平尾誠二氏が選手として優秀だっただけでなく、いかに知的な人であったかがわかる。

この本から平尾氏の発言を中心に抜き書きをしておこう。

平尾 そう、合理的です。流れに従っている。われわれはつい彼らの爆発力に目を奪われますが、実は理屈にあっている。無理がない。流れが正確につかまえられているんです。(P.78)


平尾 イメージがものすごく鮮明だから断定的に物事が言える。(P.121)


平尾 リーダーとして求められることは、物事の本質を見抜けるか、見抜けないかということですね。いろんなものがあるなかで何がいちばん大事なのか、それをある程度はずさないで言えるかが大事だと思います。
(・・中略・・)
松岡 構想力と判断力と理解力でしょうね。もうひとつ大事なことはプロセスを説明できるということ。これからの時代はとくにプロセスを共有することが求められるでしょう。(P.122)


松岡 ところで、バイブレーションを伝える意味で関西弁というのも大きな役割をはたしているんじゃないですか。
平尾 たしかに関西弁というのは、標準語とくらべると、入り込み方が違いますね。ぼくの感じとしてですが、言葉の浸透度が違う。
(・・中略・・)
やっぱりスピード感が違いますね。標準語は理屈っぽいというか、説明をしようとしても、「そんなことはハナからわかってるこっちゃ」というのが、われわれ関西人みんなの感想なんですよ(笑)
(・・中略・・)
ぼくら試合前のしゃべりは瞬発力でしょう。これで一気にテンションを上げていくという世界ですから、これで間延びするとよくないんですよ。関西弁で「ほな、行くでえ」でいいわけです。この言葉に全部凝縮されている感じがある。(P.134~137)


平尾 ぼくは臆病なんでしょうね。何をするにも注意深くて慎重だったしね。でも「怖がり」というのは、けっして悪いことじゃないと思うんです。というのは、何か怖いことが先にあると予測できるからそう思うんですよ。
松岡 その指摘はこの対話中の白眉です。
平尾 だから、怖いと思わないのは無神経というか、思慮深くないことにつながってくると思うんですよ。
松岡 そうそう。大賛成。 (P.149)


平尾 結論からいうと、体でおぼえなきゃダメだと思っているんです。体で覚えるというのは、頭を使わないことじゃないんですよ。体でおぼえるのは無意識的な反応だと思うんです。そこまでもっていかないとダメだということですね。 
(・・中略・・)
ぼくが最近思ってきたのは、体で反応していくということで、これはある種の「超人的な速さ」でないとダメだと思うのです。 (P.162~163)


松岡 (ラグビーが)ぼくがもうひとつ編集的だと思うのは、楕円形のボールによって生まれるイレギュラーなバウンドによってノンリニア(非線形的)な思考が生まれやすいではないかということです。 (P.191)


平尾 すごい戦術とか戦略とか考えついたとします。でも、それだけではまだやるべきことの20パーセントにしか過ぎない。それを仲間にどう説明して、自分のイメージどうりに実現できるか、そこが大事なんだよと。 (P.213)


平尾 ラグビーもそうですが、近代スポーツ、ようするに輸入してきたスポーツは、基本的には日本に適さないところがあるかもしれない。そこをどう考えるか。
世界と日本のラグビーの違いは、闘争心なんです。それがチームとしてのもつ闘争心ではなくて、個人がもつ闘争心に圧倒的な違いがあります。そこをどうするかというのは、すごく難しい。
(・・中略・・)
問題はチームプレーのなかにおける個人なんです。どうしてもチームがからむと甘いものが出てくる。 (P.223)


とくに印象的なのは、チームと個人の関係だろう。チームスポーツとチームワークの意味について深く考えさせられるのは、つねに試合という実践の場において考える人であったからだ。

わたし自身はラガーはないし、とくにラグビーファンというわけではないが、ラグビーといえば平尾誠二という連想があっただけに残念でならない。

53歳という短い人生を走り抜いた平尾氏のご冥福を祈ります。合掌。






<ブログ内関連記事>

書評 『日本力』(松岡正剛、エバレット・ブラウン、PARCO出版、2010)-自らの内なる「複数形の日本」(JAPANs)を知ること

書評 『脳と日本人』(茂木健一郎/ 松岡正剛、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

『ちょっと本気な 千夜千冊 虎の巻-読書術免許皆伝-』(松岡正剛、求龍堂、2007)で読む、本を読むことの意味と方法

書評 『法然の編集力』(松岡正剛、NHK出版、2011)-法然は「念仏」というキーワードを膨大な大乗仏教経典のなかからいかに抽出したのか?


英連邦と英国起源の近代スポーツであるラグビー

「近代スポーツ」からみた英国と英連邦-スポーツを広い文脈のなかで捉えてみよう!
・・ラグビーは英国生まれのスポーツ。上流階級のスポーツであるラグビーと中流以下のスポーツであったサッカーとの違い

映画 『インビクタス / 負けざる者たち』(米国、2009)は、真のリーダーシップとは何かを教えてくれる味わい深い人間ドラマだ

「プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか」-白洲次郎の「プリンシプル」について
・・英国仕込みのジェントルマン


スポーツと知性、アタマとカラダ

コトバのチカラ-『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える-』(木村元彦、集英社インターナショナル、2005)より

書評 『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(田嶋幸三、光文社新書、2007)-「論理力」と「言語力」こそ、いま最も日本人に必要なスキル

書評 『外国語を身につけるための日本語レッスン』(三森ゆりか、白水社、2003)-日本語の「言語技術」の訓練こそ「急がば回れ」の外国語学習法!

『Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2011年3月10日号 特集:名将の言葉学。-2011年のリーダー論-』

書評 『采配』(落合博満、ダイヤモンド社、2011)-ビジネス書の域を超えた「人生の書」になっている

(2016年10月27日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)







Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!



end

2015年12月30日水曜日

書評『講義ライブ だから仏教は面白い!』(魚川祐司、講談社+α文庫、2015)ー これが「仏教のデフォルト」だ!


この本は面白い。ほんとうに面白い。

帯に記された「ニートになれ。世界を終わらせろ。」というコピーに違和感を感じたなら読むべきだ。読めば一般読者の「仏教」観は完全にくつがえされるだろう。いや、へたに「仏教」について予備知識がなければ、逆にすんなり理解できるかもしれない。

『講義ライブ だから仏教は面白い』(魚川祐司、講談社+α文庫、2015)は、もともと電子書籍版として出版されたものを、加筆修正のうえ文庫本として書籍化したものだ。

著者は1979年生まれの「仏教研究者」。ミャンマーのヤンゴンで瞑想修行の実践を行いながら仏教教理の研究をすすめている。著者が「仏教徒」と名乗らないのは、特定の宗派の立場からする説法ではないからだ。

著者は、聞き手との対話の形式をつかいながら「初期仏教」、すなわちブッダ(=仏陀)が言っていることを仏教経典に即して解説している。聞き手の合いの手がちょっと過剰ではないかという気がしないでもないが、ライブという臨場感が伝わってくるのがよい。

この本で解説されていることは、いわば「仏教」のデフォルト、つまり「初期設定」なのである。その後の「仏教」の展開は二次創作的なバリエーションだから、この初期設定についてただしく理解しておくことが大前提になるのだ。

ミャンマーは、スリランカとならんでテーラヴァーダ仏教(=上座仏教)の中心地。テーラヴァーダ仏教は、「初期仏教」の特徴を現代までよく伝えているといわれる。

そのほかタイやラオス、カンボジアという「上座仏教圏」においては、「上座仏教」は、出家者ではなくても、一般民衆の思考に多大な影響を及ぼしている。
  
さらに、いまグーグルなどアメリカのIT系大企業で社員教育の一環として本格的に導入されている「マインドフルネス研修」は、「テーラヴァーダ仏教」のウィパッサナー瞑想法を応用したものだ。マインドフルネス(mindfulness)とは「気づき」の状態に満ちていることである。

日本の「大乗仏教」に慣れている人には、本書の内容はとんでもなく奇異な印象さえ受けるだろう。現代日本人の「常識」とは相容れないからだ。だが、「初期仏教」についての理解がないと、根本的な認識を誤ることにもなりかねないはずだ。

まさに「仏教はヤバい!」のである。最近の若者風にいえば、「ヤバい!」は「スゴい!」という意味になる。ヤバいほどスゴいということだ。その意味は、本書を読んでいけば実感できるはずだ。

まあ、だまされたと思って、読んでみることを強くすすめますよ。読み終えたとき、これが「仏教」のデフォルトだと理解していることだろう。



画像をクリック!


目 次

はじめに
第1回 仏教はヤバいもの
第2回 仏教の核心
第3回 仏教の基本
第4回 無我と輪廻をめぐって
第5回 「世界」を終わらせるということ
第6回 仏教の実践
第7回 「悟り」はあるかないか問題
あとがき
解説: 宮崎哲弥


著者プロフィール

魚川祐司(うおかわ・ゆうじ)
1979年、千葉県生まれ。著述・翻訳家。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学(インド哲学・仏教学専攻)。2009年末よりミャンマーに渡航し、テーラワーダ仏教の教理と実践を学びつつ、仏教・価値・自由等をテーマとした研究を進めている。処女作『仏教思想のゼロポイント「悟り」とは何か』(新潮社)が話題となる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<関連サイト>

ミャンマー仏教書ライブラリー ~英緬仏教書の翻訳・公開~(著者のサイト)


<ブログ内関連記事>

書評 『知的唯仏論-マンガから知の最前線まで ブッダの思想を現代に問う-』(宮崎哲弥・呉智英 、サンガ、2012)-内側と外側から「仏教」のあり方を論じる中身の濃い対談

書評 『仏教要語の基礎知識 新版』(水野弘元、春秋社、2006)-仏教を根本から捉えてみたい人には必携の「読む事典」


上座仏教全般と初期仏教

『ブッダのことば(スッタニパータ)』は「蛇の章」から始まる-蛇は仏教にとっての守り神なのだ

今年も参加した「ウェーサーカ祭・釈尊祝祭日 2010」-アジアの上座仏教圏で仕事をする人は・・

タイのあれこれ (4)-カオパンサー(雨安吾入り)

書評 『「気づきの瞑想」を生きる-タイで出家した日本人僧の物語-』(プラ・ユキ・ナラテボー、佼成出版社、2009)-タイの日本人仏教僧の精神のオディッセイと「気づきの瞑想」入門


ミャンマーの上座仏教(=テーラヴァーダ仏教)

ミャンマー再遊記(8)-熱心な上座仏教徒たち

三度目のミャンマー、三度目の正直 (6) ミャンマーの僧院は寺子屋だ-インデインにて (インレー湖 ⑤)

三度目のミャンマー、三度目の正直 (8) 僧院付属の孤児院で「ミャンマー式結婚式」に参列


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2013年11月13日水曜日

書評『こころを学ぶ-ダライ・ラマ法王 仏教者と科学者の対話』(ダライ・ラマ法王他、講談社、2013)ー 日本の科学者たちとの対話で学ぶ仏教と科学



『こころを学ぶ-ダライ・ラマ法王 仏教者と科学者の対話』(ダライ・ラマ法王他、講談社、2013)は、2012年11月6日と7日の二日間にわたって開かれた「ダライ・ラマ法王と科学者の対話 日本からの発信」の記録が書籍化されたものだ。

じつに多岐にわたる科学のテーマをまるまる二日間にわたって真摯に耳を傾け、的確なコメントをしていくダライ・ラマ法王の好奇心のつよさと知的体力、そして対話能力にはおおいに感嘆しながら読んだ。

ダライ・ラマは、まさに現代における仏教精神の真の体現者であるというべきだろう。科学一般に開かれた自由な精神、健全な懐疑精神、ゆるぎない信念、そして知性を行動に結びつける情熱・・・。これだけ兼ね備えた仏教者は、はたしてほかにいるだろうか?

子どもの頃から「科学少年」であったダライ・ラマは、宇宙学、天文学、生物学、とくに量子物理学へのつよい関心をもち、西洋の第一級の科学者たちとの真剣な対話を過去数十年つづけてきた。

「こころと科学との統合」こそがいま求められているとお考えのダライ・ラマは、日本の科学者たちとのセッションを心待ちにしておられたという。

西欧社会においてキリスト教から生まれた「近代科学」であるが、科学的思考法を身に付けた日本人科学者たちには西洋人の科学者にはないものを期待されているようだ。つまり、西洋的な思考方法を身につけながらも、根底には仏教をふくめた東洋的なものの考え方があるだろうと。

ダライ・ラマは西洋人の科学者たちとの対話は、「仏教と科学」ではなく、「仏教科学と科学」との対話だとしている。仏教は科学との親和性は高いものの、科学そのものではないからだ。

仏教は科学上の発見によって世界観を修正されるべきである一方、仏教がこころの科学の発展に貢献できるものがきわめて大きいものがあるのだ、という。その意味で量子物理学的なものの見方にダライ・ラマ自身が多大な関心を抱いておられようだ。

天体望遠鏡で宇宙をみていた「科学少年」であるだけでなく、14世ダライ・ラマとして少年の頃ころから、チベット仏教のゲルク派の最高指導者として徹底的な仏教教育を受けてきたからでもある。

ダライラマが言うには、チベット仏教の系譜はインドのナーランダの僧院に起源をもつもので、中観派のナーガールジュナ(龍樹)以来の懐疑精神が根本にある。徹底的に論争する伝統がチベット仏教にはあるのだ。これは日本仏教との大きな違いでもある。

二日間のセッションは以下のとおりである。

序章 村上和雄 「今こそ日本人の出番」と法王様はおっしゃった

セッション1  「遺伝子・科学 / 技術と仏教」
 ダライ・ラマ法王: オープニング・スピーチ
 村上和雄(遺伝子科学): 「遺伝子オンでいのちを輝かす」
 志村史夫(半導体工学): 「佛教が唱え、物理学が明らかにしたこと」

セッション2  「物理科学・宇宙と仏教」
 佐治晴夫(天文学):  「“こころ”が結ぶ科学と宗教」
 横山順一(素粒子物理学):  「たくさんの宇宙」
 米沢富美子(理論物理学):  「“あいまいさの科学”と人間」

セッション3  「生命科学・医学と仏教」
 柳沢正史(分子薬理学・神経科学):  「睡眠の謎」
 矢作直樹(緊急医学):  「病は気から」
 河合徳枝(精神生理学):  「"幸福感の脳機能" を測ることは可能か?」

セッション4  「新たな科学の創造への挑戦 ~日本からの発信~」
 安田喜憲(環境考古学)、棚次正和(哲学)、大橋力(文明科学研究所所長)

司会: 下村満子(ジャーナリスト)


第一人者たちが最先端の科学をわかりやすくかみくだいて説明してくれるのはたいへんありがたい。「セッション2」のビッグバンとゆらぎの話や、「セッション4」のトランス状態にあるバリ島人の脳科学の話はひじょうに興味深く感じた。

第一級の科学者たちは、科学ができることの限界を知っているということが重要だ。科学ができること、これまでの科学ではアプローチできないことを自覚することが大事なのだ。

その意味では、科学者たちの発言だけでなく、ダライラマ自身の「健全な懐疑精神」にこそ敬意を払うべきだろう。科学者たちのなかには、このセッションではかなり抑制的ではあるものの、疑似科学すれすれの発言もなくはない。そんな発言に対するダライラマの切り換えしや、ユーモアをまじえたはぐらかしはさすがである。

聴衆からでている輪廻転生についての質問に対しても、ダライラマの姿勢は同じだ。ご興味のある方は、本文を読んでダライ・ラマの解答をお読みいただきたい。

また、ダライラマが繰り返し言及している「縁起」や「因果」にかんする話は大乗仏教の真髄である。縁起とは相互依存性であり、因果とは原因と結果の科学のことだ。この点からも、仏教と科学は親和性が高いことがわかるはずだ。

その意味でも、科学知識をもちあわせた現代人にとっての仏教はこうあるべきだという一つの姿をダライ・ラマに見出すのは不自然なことではない。

「世界の平和をリードするのは、日本だ。今こそ日本人の出番だ!」というダライ・ラマ法王のコトバ、日本人はしかと心に刻みつけるべきである。ぜひ一読をすすめたい。


 (画像をクリック!

著者プロフィール

対話に参加した日本の科学者の肩書は以下のとおり

村上和雄: 筑波大学名誉教授
志村史夫: 静岡理工科大学教授
佐治晴夫: 鈴鹿短期大学学長
横山順一: 東大大学院医学系研究科付属ビッグバン宇宙国際研究センター教授
米沢登美子: 慶應義塾大学名誉教授
柳沢正史: 筑波大学、テキサス大学、サウスウェスタン医学センター教授
矢作直樹: 東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授
河合徳枝: 早稲田大学研究院客員教授


<ブログ内関連記事>

「ダライ・ラマ法王来日」(His Holiness the Dalai Lama's Public Teaching & Talk :パシフィコ横浜)にいってきた
・・「ダライラマ・スーパーLIVE横浜」(2010年6月26日)とでもいうべき一期一会

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる

「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」(大本山 護国寺)にいってきた(2013年5月4日)

チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009
・・ 「チベット密教僧による「チャム」牛と鹿の舞」と題して、YouTube にビデオ映像をアップしてある。ご覧あれ http://www.youtube.com/watch?v=jGr4KCv7sAA

『ブッダのことば(スッタニパータ)』は「蛇の章」から始まる-蛇は仏教にとっての守り神なのだ

「無計画の計画」?
・・量子力学的世界観と仏教

"粘菌" 生活-南方熊楠について読む-
・・真言密教的世界観における因果と偶然による縁起

書評 『仏教要語の基礎知識 新版』(水野弘元、春秋社、2006)-仏教を根本から捉えてみたい人には必携の「読む事典」

書評 『知的唯仏論-マンガから知の最前線まで ブッダの思想を現代に問う-』(宮崎哲弥・呉智英 、サンガ、2012)-内側と外側から「仏教」のあり方を論じる中身の濃い対談


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end