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2024年7月17日水曜日

書評 『北関東「移民」アンダーグラウンド ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪』(安田峰俊、文藝春秋、2023)ー「技能実習生」という制度が生み出した「負の側面」を突撃取材




中国もののルポを得意とする著者の、新境地ともいうべき作品。最初から最後まで、一気に読ませる内容である。文春オンラインで既発表の内容もあるが、書き下ろしである。 

不法滞在者となっている在日ベトナム人の若者たちを、インドシナ難民二世のベトナム語通訳者や、不法滞在のベトナム人とつきあってベトナム語に堪能な日本人女性などとともに突撃取材で描き出したものだ。 

「技能実習生」として来日したものの、さまざまな理由で職場から逃亡して、不法滞在の「流民」となっている在日ベトナム人の若者たち。

かれらのことを「ボドイ」(Bộ Đội)という。ベトナム語で「部隊」や「兵士」を意味するコトバだ。不法滞在者として、日本社会でサバイバルしてきたかれらの自称である。 

「ボドイ」たちの正確な数はわからないが、数万人単位で日本に滞在しているようであり、北関東、なかでも群馬県の太田市や伊勢崎市の周辺に集中しているらしい。この地域は自動車部品産業の集積地であり、もともと日系ブラジル人を中心に外国人比率が高い地域である。 

もちろん、「ボドイ」となった者が在日ベトナム人のすべてではない。就労が主目的の語学学校ではなく、大学学部以上の留学生として来日しているエリートもいれば、ベトナム戦争後にインドシナ難民として来日した者やその二世もいる。 ベトナム料理店を経営して地域社会に溶け込んでいる者もいる。

とはいえ、ここ数年、不法滞在のベトナム人がらみの犯罪が目立つことは、周知の事実であろう。




日本社会の底辺で「見えざる存在」となっている「ボドイ」ではあるが、外国人犯罪の世界でのプレゼンスは大きい。 

考えたら当たり前のことで、日本人がいやがる「現場」で働いている外国人労働者は、もはや中国人ではなくベトナム人が最大になっているからだ。量が多ければ、その分だけ露出度も高くなる。 

なによりもかれらの存在は、「技能実習生」というあいまいで、日本側とベトナム側双方にとっての利権が生み出した鬼子のようなものだ。 

単純労働者を必要とする日本人、よりよい生活を求めて海外に活路を見いだすベトナム人。ある意味では需要と供給の関係から成立している関係だが、日本社会が抱えている「負の側面」であることは明らかだ。 

とはいえ、円安傾向が定着している現在、外国人労働者にとって日本はもはや魅力的な出稼ぎ先ではなくりつつある。日本を目指すベトナム人も減少していくことは間違いない。 

その意味でも、取材が行われた2021年から本書が出版された2023年時点で、「ボドイ」たちにかんする詳細な記録が残されたことは、きわめて有益な仕事であったといえよう。

ボドイの生態が描かれただけでなく、対応する衰退日本社会の劣化の実態も描かれているからだ。 いずれにせよ、たいへん面白い本だった。 


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目 次
はじめに 
序章 「兵士」を自称するやんちゃなベトナム人 
第1章 無免許運転でひき逃げ死亡事故 
第2章 嫌われ娘・ジエウが暮らした漁村 
第3章 シャブ・刺青・おっぱい ― ウーバーイーツ配達青年の青春 
第4章 豚窃盗疑惑「群馬の兄貴」と会った! 
第5章 「日暮里のユキ」が見た日本人の性と老 
第6章 殺し合うボドイたち 
第7章 列車衝突事故でもほぼおとがめなし 
第8章 桃窃盗事件の裏にあるボドイ経済
おわりに

著者プロフィール
安田峰俊(やすだ・みねとし)
1982年、滋賀県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程前期修了(中国近現代史)。ルポライター。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。中国およびアジア世界を主なフィールドとし、『八九六四「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第5回城山三郎賞と第50回大宅壮一ノンフィクション賞、『「低度」外国人材移民焼き畑国家、日本』(同)が第5回及川眠子賞をそれぞれ受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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