本日(2024年7月3日)から、お札の顔が変わる。
壱万円札が福澤諭吉から渋沢栄一へ、5千円札が樋口一葉から津田梅子へ、千円札が野口英世から北里柴三郎へ。
なんといっても渋沢栄一の時代の始まりである。「日本資本主義の父」である。
写真は、東京は神保町の如水會舘1階に鎮座する渋沢栄一の胸像。渋沢栄一は「一橋大学の守護神的存在」なので、当然のことながら在学中から知っている。
そして、卒業生の会員組織である「如水会」の命名者も渋沢栄一だ。如水會舘はここから来ている。
「如水」というと、戦国武将の黒田如水が想起されるだろうが、出典は『礼記』で、「君子交淡如水」(=君子の交わりは淡きこと水の如し)である。渋沢栄一が選んだものだ。
「淡き交わり」とは、淡々とした交際ということ。つまり、「君子の交わりは淡きこと水の如し」とは、立派な人を意味する「君子」を経済人となる卒業生たちにあてはめれば、「経済人は癒着が疑われるような、ベタベタした付き合いはするな」、という意味だろう。
(「如水会会報」(2004年7月)の表紙 筆者撮影)
ところで、一橋大学の全身は前身は東京商科大学、そもそもは初代文部大臣を務めることになる森有礼(もり・ありのり)が、ポケットマネーでつくった私塾「商法講習所」からに起源がある。一橋大学は来年2025年に建学150年を迎える。
商法講習所の設立時点からかかわっているのが渋沢栄一、そして「設立趣意書」を書いたのが福澤諭吉である。つまり、ともに旧幕臣であった渋沢栄一と福澤諭吉は面識があり、ともに生みの親なのである。
したがって、お札の顔の交替はきわめて自然なことだといっていいだろう。平和裏にバトンタッチされたと考えていい。もちろん「壱万円」の face value(=額面価値)も変わらない。慶應の福澤諭吉にもエールを送るべきだ。
(新壱万円札の見本 Wikipediaより)
NHK大河ドラマのおかげで、渋沢栄一の国民的知名度が劇的に上がったのは、卒業生としてはじつにうれしい。そして、お札の顔としてホログラムにもなるというのも驚きだ。
新札のサンプルは「紙幣と切手の博物館」(独立行政法人国立印刷局)で実見済みだ。とはいえ、すべてのお札が一気にあたらしくなるわけではない。じょじょに入れ替わっていくわけだが、はたして新札を手にするのはいつの日になるのだろうか?
自分自身が決済はデジタル化しているので、ほとんどキャッシュは使わなくなっているからねえ・・ 。紙幣(ペーパー・マネー)の新発行は、もしかすると、今回が最後となるのかもしれない。
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