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2023年11月3日金曜日

書評『日本を救う未来の農業 ― イスラエルに学ぶICT農法』(竹下正哲、ちくま新書、2019)― 日本農業が抱える諸問題を解決するための「ICT農業」とその大前提となる「ドリップ灌漑」について

 

イスラエルがハマスのテロリストたちによる「サプライズ・アタック」を受けて、多数の死傷者を出したという衝撃的なニュースが飛び込んできたのは、ことし2023年の10月7日のことだった。

最初ニュースになっていたのは、野外コンサート会場が襲撃されたニュースであったが、そのうち情報公開がなされるにしたがって、ガザ地区近辺にあるキブツも襲撃され、多数の死傷者と拉致された人びとがいることが明らかになってきた。

おそらく多くの日本人にとって、イスラエルの農業コミュニティである「キブツ」の実際を映像や写真で見るのは初めてのことだったのではないだろうか。

農業関係者であれば、キブツについて聞いたことのない人は少ないだろう。1970年頃に若者だった日本人なら、キブツに滞在した人もいた。キブツ体験記も出版されている。わたしも1992年にイスラエルを訪問した際に、ツアーに参加して北部のキブツに一泊している。

キブツでどんな農業が行われているのか、なかなか日本では知られていない。その昔、ロケット博士として知られていた糸川英夫博士による『荒野に挑む』(ミルトス、1989)というビジュアル本も出版されている。ベングリオン大学の研究とイスラエル農業への取り組みを紹介した本だ。




だが、イスラエル農業といっても、先端農業に関心のある農業関係者などを除いたら、ほとんど知られていないことだろう。糸川博士のもの以降には、一般向けの関連本として、『イスラエル100の素顔 ー もうひとつのガイドブック』(東京農大、2001)という本がある。

「砂漠を緑に」というスローガンで始まったキブツ。そのキブツや、モシャブといった農場における「イスラエル農業のいま」について書かれた本があったことを思い出して、購入から4年たったいま、はじめて読んでみた。


■イスラエルの先端ICT農業

『日本を救う未来の農業』(竹下正哲、ちくま新書、2019)という本がそれだ。タイトルからはそれとわからないが、副題の「イスラエルに学ぶICT農法」こそ、主題となるテーマである。

著者は拓殖大学の国際学部で農業コースを立ち上げた農業研究者。戦前日本の「拓殖」(=開拓殖民)が農業から始まったことを考えれば、ふさわしいテーマ選択である。イスラエル農業に開眼したのは2015年のことだそうだ。

「目次」を見ておこう。第1章と第2章は、なぜイスラエルの先端ICT農業に注目すべきかという前振りである。それはそれで面白いが、読み飛ばしても構わない。

1970年代で生産性向上がストップしたままになっている日本農業に対して、1970年大以降に試行錯誤しながらも飛躍的に生産性を向上させたイスラエル農業の秘密について書かれているのが第3章である。


第3章 最先端ICT農業とは ― イスラエル式農業
 1 イスラエルの厳しい条件
 2 イスラエル農業を支える根幹 ― ドリップ潅漑
 3 なぜ日本にもドリップ灌漑が必要なのか。その① 収量の増加
 4 なぜ日本にもドリップ灌漑が必要なのか。その② 未来の農業のために
 5 「土つくり」よりも大事なこと
 6 イスラエル農業の特徴。飽くなき収量の追求
 7 IoTクラウド農業の時代
 8 ビジネスとして必要な経営規模
 9 研究機関と農家の密な連携


キーワードは、ずばり「ドリップ灌漑」である。英語では drip irrigation という。

「クラウド農業」や「IoT農業」には日本でもかねてから注目され、取り組みもなされているが、著者によれば肝心要の「ドリップ灌漑」なしにそれに取り組んでも意味はないのである。

というのは、地中海性気候で砂漠地帯の厳しい条件、すなわち降水量が少なく保水力がなく、塩害も発生しやすい土壌が大半のイスラエルでは、植物の生長に必要なだけの水を散布する必要があるからだ。

実際にイスラエルにいってみればわかるが、乾燥がひどいのだ。わたしがイスラエル入りしたのは7月だったが、初日にクチビルがひび割れしてしまい、エルサレムでは薬局に飛び込んでリップクリームを購入したことが鮮明な記憶として残っている。

水が少なければ植物は枯れるのは言うまでもないが、水が多すぎるとムダに流出してしまう。

だがそれだけではない。土に吸い込まれた水が毛細管現象によって土中の水分といっしょに地上に吸い上げられ、水が蒸発したあとには塩分が地表に残ってしまうのである。これでは農業などできるはずがない。

そこで導入されたのが「ドリップ灌漑」である。地面にはわせた散水用の管(チューブ)に開けられた穴から、必要な量だけ水が点滴のようにしみ出る仕組みになっている。

この「ドリップ灌漑」方式は、長年の研究と実践をつうじて完成にいたっている。糸川英夫博士が紹介していたように、イスラエルでは研究機関と農業の現場が密接に連動している。


(ベングリオン大学における「荒野に自生する花の研究」。ドリップ灌漑用の黒いチューブ。『荒野に挑む』より)


現在では、イスラエルだけでなく、欧州その他全世界に普及しているという。だが、日本ではまったく普及していないのは、日本が年間をつうじて降水量にめぐまれた希有な国であるからだ。逆境は人間を鍛えるが、順境は人を慢心させる。

だが、著者はそんな日本でも「ドリップ灌漑」は必要だという。理由は2つある。まずは収穫量の増大が可能になること、そして近未来のAI農業の大前提になるインフラだからだ。

ドリップ灌漑は、水だけでなく、水に溶かした液体肥料も植物に与えることができる。これを「ファーティゲーション」(fertigation)というらしい。肥料を意味する fertilizer と、灌漑を意味する irrigation の合成語である。

必要な肥料を、必要なタイミングで施肥することができるのである。河川汚染を引き起こす窒素やリンを減らすことができるだけでなく、農薬も減らすことが可能だという。日本農業で声高に語られる「土つくり」の必要がないだけでなく、生産管理でいう「ムリ・ムダ・ムラ」がなくなるわけだ。

つぎに、「ファーティゲーション」は ICT がそれを支えている。土壌センサや気象センサーなど、さまざまなセンサーをつうじて得られたデータをもとに、植物の生長に必要な肥料を、適切なタイミングで適切な量を流量調整によって施肥することが可能となる。

現場にいなくても、ネットをつうじて遠隔地からスマホで操作が可能となる。これが「クラウド農業」だ。

さらに、その先にくるのが「AI農業」である。データ処理もアクションもすべて機械の判断にまかせるのである。

イスラエルでは「植物生長量センサー」も設置されていて、土壌や気象以外の植物そのもののデータが総合的に判断されている。これがすべてAIによって制御されることになる。ここまでくると、人間が介在する余地が大幅に減少することになる。

「クラウド農業」も「AI農業」も、データの収集と分析だけでは意味がない。データを具体的なアクションにつなげる必要があるが、人手に頼っていては効率性が低く、したがって生産性も向上しないのだ。

ここまで読んでくると、いいことづくめのように聞こえてくる。日本農業も取り入れるべきであろう。いや、農業とはまったく関係ない人なら導入になんら躊躇がないはずだ。



■なぜかピッキングや梱包作業についての記述がまったくない

「10・7」の大規模テロ事件で可視化されたのが、キブツに暮らして働いているのはイスラエル人だけではないということだ。タイ人農業ワーカーが多数働いていたという知られざる事実である。

拉致されて人質となっている250人近い人たちのなかには、多数のタイ人も含まれるという。ハマスのテロリストたちは、その存在をしっていて、片言のタイ語で呼びかけてきたという報道もある。イスラエル全体でなんと3万人(!)のタイ人農業ワーカーが働いているという。

この本には、そんなことはいっさい書かれていない。収穫量の増加について書かれているが、果実や野菜のピッキング作業の効率化にかんする記述がいっさいないのだ。

手間のかかる作業はイスラエル人が行っているのではなく、外国人労働者に依存しているのである。この点にかんしては、日本農業と変わらないではないか。

機械によるピッキングと梱包、そして出荷まで進まなかったら、ほんとうの意味での「未来の農業」とはいえないだろう。どのプロセスでどうコストが発生し、コスト削減をどのように行うか。

もちろん、高級フルーツは人間の手でピッキングする必要があるだろう。だが、それ以外の果実や野菜、とくに加工用原料としては、ピッキング作業や詰め込み作業も徹底的に機械化すべきだろう。その側面についてイスラエルではどう取り組んでいるのだろうか?

イスラエルは物理学者で、全体最適による利益最大化を目的とした「TOC理論」(TOC:Theory of Constraints 制約理論)を体系化したエリヤフ・ゴールドラット博士を生み出した国であることを想起すべきだろう。逆境を逆手にとるマインドセット。サバイバルが至上命題のイスラエルらしい発想だ。

農業においても、「規模の経済」だけがコスト削減策ではない要素ごとのコスト削減も視野に入れなくてならない。

そんな「イスラエル農業のすべて」についての解説本がほしいところだ。


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目 次
はじめに 迫り来る危機
第1章 日本に迫りつつある危機
第2章 すべてを解決する新しい農業の形
第3章 最先端ICT農業とは ― イスラエル式農業
 1 イスラエルの厳しい条件
 2 イスラエル農業を支える根幹 ― ドリップ潅漑
 3 なぜ日本にもドリップ灌漑が必要なのか。その① 収量の増加
 4 なぜ日本にもドリップ灌漑が必要なのか。その② 未来の農業のために
 5 「土つくり」よりも大事なこと
 6 イスラエル農業の特徴。飽くなき収量の追求
 7 IoTクラウド農業の時代
 8 ビジネスとして必要な経営規模
 9 研究機関と農家の密な連携
第4章 イスラエル式農業の日本への応用実験
 1 ドリップ潅漑による露地ピーマン栽培、その意義
 2 ピーマン栽培実験の結果
 3 ドリップ灌漑による露地トウモロコシ栽培
第5章 近未来の農業の形
 1 変わらざるを得ない農業の形
 2 AI農業の姿とは
 3 遺伝子組み換え作物と近未来の農業
 4 ナノテクノロジーの導入
おわりに
参考文献


著者プロフィール
竹下正哲(たけした・まさのり) 
拓殖大学国際学部教授。北海道大学農学部、北海道大学大学院農学研究科で学ぶ。博士(農学)。大学院在学中に小説で第15回太宰治賞受賞。民間シンクタンク、環境防災NPO、日本福祉大学などを経て、拓殖大学国際学部へ。日本唯一の「文系の農業」として知られる国際学部農業コースの立ち上げに尽力し、栽培の実践を重視した指導を行っている。かつて青年海外協力隊でアフリカに行ったことをきっかけに、世界中のフィールドを回り、海外の農業現場に精通している。2015年に初めてイスラエルを訪問し、衝撃を受けた。主なフィールドはイスラエルとネパール。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<関連サイト>

イスラエルの農林水産業概況(日本の農林水産省のサイト PDFファイル)

・・タイ人労働者7,000人が去ったあと、イスラエル南部(ガザ地区に近い)の農場では、大学生がボランティアとして駆り出されて農作業をおこなっている。


(収穫されずに放置されているトマト 2023年11月25日放送の aljazzeera番組より)


イスラエルの農作業は、パレスチナ人や外国人ワーカーに支えられていたが、パレスチナ人の入国中止と外国人ワーカーの国外退避で、収穫もままならず大きな損失がでている。





(2023年11月13日、28日、12月9日 情報追加)


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2012年12月9日日曜日

『イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会』に参加 ― まずはビジネスと食事から関心をもつのがイスラエルを知る近道であろう



『Israel night! しゃべって食べて、イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会』 というイベントがフェイスブックで募集されていたので参加してみることにした。昨日(2012年12月8日)のことである。

イスラエルにはちょうど20年前にいったきりで、最近の動向については断片的にしか知らなかったためだ。イスラエルのハイテク事情にくわしい専門家とイスラエル料理研究家に会って話ができるというのも魅力的だからだ。

<案内文(原文)>

イスラエルってどんな国か、ご存知ですか。
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ハイテク技術に特化したベンチャーが日々生まれており、スタートアップは年間400社以上、「中東のシリコンバレー」と呼ばれています。
日本ではなかなか考え付かないような「斜め上をいく」(とよく表現される)イスラエルの、ひねりのきいたアイディアの数々をご紹介、そこから一緒に学んでいきましょう。
サムライ・インキュベートその他でも話題の講師による、イスラエルのスタートアップ事情、ハイテク技術についてのセミナーです。
その後イスラエル料理を食べながら、それらが生まれたバックグラウンド・文化についても体験しつつ、ざっくばらんに講師・参加者と交流・意見交換する会です。
セミナーはあっても、参加者同士、講師と話す機会ってなかなかないですよね?ましてやイスラエル料理を食べる機会は!?
海外での起業を目指す方、IT業界で活躍されている方、ベンチャーキャピタリスト、イスラエルのハイテク技術とのコラボレーションをお考えの方、イスラエル料理が食べてみたい方、ちょっとでもひっかかるものがありましたら、ご参加ください!!

■日時: 12/8(土)18:00~21:00 講演+イスラエル料理ご飯会形式
■内容: 18:00-19:00 講演
19:00-21:00 イスラエル料理を囲んで交流会
■料理内容:
フムス(ひよこ豆ペースト)、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)、ケバブ、ピタパン、サラダ等前菜各種 +ワンドリンク(イスラエルワイン、ジュース、お茶)、それ以上飲みたい方は持参歓迎(冷蔵庫あります)!!
■場所: x-garden桜台 セミナールーム(東京都練馬区豊玉北3-15-17)


セミナー会場が、いま東京の若い人たちのあいだで流行のシェアハウスといううのも興味深いものがあった。

シェアハウスとは、バスルームやキッチンなどを共有(シェア)するだけでなく、リビングルームやセミナールームなども備えた集合住宅で寮のような印象である。大学時代に寮生活を送っていたわたしにはなつかしい感じがした。

だが、寮とは異なるのは、勤務先の異なる人たちが共同で住むという点。共有費でインターネット接続費用などもすべてカバーされる仕組みになっているそうだ。

会場であった「x-garden桜台」は、IT系などの起業家たちも住んでおり、事業立ち上げの孵化器であるインキューベーション機能ももっているようだ。

なにかあたらしいアイデアがうかんだとき、すぐ近くにディスカッションできる相手がいる環境というのはありがたい。ネット上でもアイデアの交換はできなくないが、なんといってもリアルでしゃべるのに勝るものはないからだ。

フェイスブックの開発者で創業者のマーク・ザッカーバーグを主人公にした映画 『ソーシャル・ネットワーク』 にも、ハーバード大学の寮でのそんなシーンがでてくる。

そんな環境が国全体で実現しているのがイスラエルというである。狭い国土に800万人にも及ばない人口。砂漠がかなりの面積を占め、しかも周囲を敵国に囲まれているという厳しい環境にあるのがイスラエルである。

イスラエルでなぜハイテク産業がさかんなのか。それを考えるためのセミナーである。

当日の講師は以下のとおりであった(敬称略)。

●加藤清司(かとう・せいじ): ISRATECH (http://www.isratech.jp/) 代表編集長
●谷口直嗣(たにぐち・なおつぐ):エンジニア/プロデューサー/プランナー
●越出水月(こしで・みずき): フードコーディネーター

2006年に26歳ではじめてイスラエルに行って以来、イスラエルのハイテク産業を日本に紹介する仕事をしている加藤氏や、イスラエル料理の普及活動をしている越出さんのような若い世代の日本人がいることは心強いことだ。

偶然の機会がキッカケとはいえ、「この国を出よ!」を実践した人たちとしゃべるのは、じつに楽しいものだった。加藤氏が、いちばん最初にいった外国がイスラエルだったというのは面白い。

イスラエルにあって日本に欠けているのは研究開発に専念するための環境、日本にあってイスラエルに欠けているのは国内市場の大きさとものづくり能力。イスラエルと日本が手を結べば、足りない部分を補い合ってさまざまなことが可能になることは、言うまでもないだろう。

イスラエルのハイテク産業については、書評 『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダン・セノール & シャウル・シンゲル、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012)-イノベーションが生み出される風土とは? で触れておいたので、参考にしていただきたい。また、晩年の糸川英夫博士がイスラエルに注目していたことも忘れるべきではない。

最新の動向については、先にも紹介した ISRATECH (http://www.isratech.jp/) が日本語で情報提供をしているので参照していただきたい。


さて、なによりも楽しみは食事である。今回はイスラエル料理ということになる。イスラエル料理を食べるのはひさびさである。最後に食べたのはすでに10年くらい前だと思う。料理はすべてイスラエルに2年間滞在していた越出水月さんによるものだ。


(なすのペースト)


(ひよこ豆のペースト)

冒頭にかかげた写真のように、焼き上げたパンにペーストや野菜サラダなどをはさんで食べる。冒頭の写真に写っているボール状のものはファラフェル。イスラエル版のひよこ豆でつくったコロッケである。

基本的にイスラエル料理は中近東系だと考えて問題ないといえよう。ただ、根本的に異なるのは食事の際にアルコールを飲むことは問題ないという点にある。

数年前タイのバンコクに住んでいた頃、レバノン料理店に入ったことがある。ところが、「ムスリム(=イスラーム教徒)ではなくてもアルコールは出せない」と言われてガッカリした。レバノン料理とビールは合うと思うのに・・・。その点、ユダヤ教はアルコールはOKなので、イスラエル料理はノープロブレム。

(イスラエルの白ワイン)

写真の白ワイン Yarden は甘みのある飲みやすいワインであった。

20年前にイスラエルにいった際、集団農場のキブツにも一泊したが、そこで生まれてはじめてイスラエルにもワインがあることを知った。地中海性気候であるからワインづくりがあっても不思議ではない。イスラエルとワインの関係にはロスチャイルドも関係しているようだ。

ところで、奇しくもことし2012年は、12月8日からユダヤ教徒にとっての祝祭ハヌカーがはじまる。日没から8日間、楽しい祝祭だという。12月の行事としては、アメリカでもグリーティングカードが各種販売されているので知っている人も少なくないだろう。

今回のセミナーはイスラエルに話題を特化しているので、ユダヤ関係一般には触れられていなかったが、ややこしい文化や旧約聖書の話は脇において、まずはイスラエルという国じたいに関心をもつことから始めたらいいのではないかと思った次第。

そのためには、ビジネスパーソンはまずはビジネスそのものから、そしてビジネスには直接関係はないが誰もがかかわることになる飲食から入門するのが、イスラエル理解のための近道であろう。

ぜひ一人でも多くの日本人に、さまざまな入り口からイスラエルに関心をもってほしいと願う。


 
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<関連サイト>

サムライベンチャーサミット in イスラエル-日本への関心の高さを実感した初訪問 (ダイヤモンドオンライン 2012年11月22日)

「スペース」ではなく「体験」を提供するコンセプト型シェアハウス  彩ファクトリー代表 内野匡裕氏(前編) (日経BiZアカデミー、2014年6月20日)
・・会場となったシェアハウス代表者へのインタビュー記事

(2014年6月26日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダン・セノール & シャウル・シンゲル、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012)-イノベーションが生み出される風土とは?

きょうは何の日?-ユダヤ暦5227年の新年のはじまり(西暦2011年9月28日の日没)

『イスラエル』(臼杵 陽、岩波新書、2009)を中心に、現代イスラエルを解読するための三部作を紹介

書評 『大使が書いた 日本人とユダヤ人』(エリ・コーヘン、青木偉作訳、中経出版、2006)

イスラエル産スウィーティーの季節

映画 『戦場でワルツを』(2008年、イスラエル)をみた

書評 『この国を出よ』(大前研一/柳井 正、小学館、2010)


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2011年1月12日水曜日

イスラエル産スウィーティーの季節




 冬の日本は柑橘類の季節だが、日本でもすっかり定着したのがイスラエル産のスウィーティーという緑色の柑橘類だ。スウィーティー(sweetie)というネーミングのとおり、実は大きくて緑色なので酸っぱそうだが中身は甘い(sweet)。

 グレープフルーツとブンタンの交配種で、正式な品種名はオロブランコ (oroblanco) というらしい。米国カリフォルニア州で交配に成功した。スウィーティーはイスラエル産の商品名。

 かつて地中海ミバエなる小さなハエの大被害によって、カリフォルニア州からの柑橘類の輸入が禁止になったことがあったが、このハエの名前からもわかるように、地中海は柑橘類の一大生産地である。

 日本には米国のカリフォルニア州からの輸入が多いが、地中海沿岸ではバレンシアオレンジ、レモン、グレープフルーツと地中海産の柑橘類(シトロン)は酒類も豊富である。

 ゲーテの「ミニヨンの歌」にある、「君よ知るや南の国 シトロンの花の咲けるを」のとおりだ。『ヴィルヘルムマイスターの修行時代』に収められた「美しき魂の告白」にでてくる。「美しき魂の告白」はそれだけで知られる名作短編である。

 そう、イスラエルも地中海の国である。ついつい忘れられがちだが、欧州南部や北アフリカだけが地中海ではない。欧州とアフリカをつなぐ回廊であるパレスチナ半島は西岸で地中海、北端で紅海に面している。イスラエルは海運会社をもつ海洋国家でもある。


(Jaffa Will Sweetie の商標がシールに)


 スウィーティーの主産地はテルアヴィヴ近郊のヤッファ(Jaffa)、地中海に面した都市である。後背地に拡がる果樹園でスイーティーが栽培されている。グレープフルーツ全体の生産量は世界第6位とのこと。

 隣接するレバノンと同様、夏は乾燥し冬に雨が降る、典型的な地中海性気候。水はけのいい土壌は柑橘類やオリーブ、ブドウなどの栽培に適している。

 イスラエルというと、国際情勢がらみの話を別にすれば、現在では研究開発立国であり、とくにセキュリティ関連では世界一の技術水準を誇る。

 だが、イスラエルというと、なんといってもキブツだ、という世代の方もいることだろう。とくに「何でもみてやろう」時代であった1970年前後に青春時代を過ごした世代。

 欧州では土地所有を原則禁じられていたユダヤ人が、イスラエル建国以前から入植し、パレスチナの土地所有者から合法的に取得した土地で、理想の農業コミュニティを作るべく荒れ地を開拓した。どちらかというと、社会主義的なユートピア建設的色彩の強かったキブツ。思想家でいえば『我と汝』のマルティン・ブーバー。

 1992年にイスラエルにいった際、私はキブツも一つ訪れてみた。キブツに一泊するツアーに、エルサレム現地で個人参加してみたのだが、現代風にいえばアグリ・ツーリズム(農業体験ツアー)ともいうべき体験をしたことになる。そのキブツで、私ははじめてイスラエル産ワインを飲んだ。

 この際に、ヘブライ語でキブツ(kibbutz)は単数形で、複数形はキブツィーム(kibbutzim)ということを知った。私が覚えている数少ないヘブライ語の一つである。

 イスラエルは現在でも農業国である。

 



<関連サイト>

イスラエルの農林水産業概況(日本の農林水産省のサイト)

wikipedia の記述「スウィーティー」


<ブログ内関連記事>

書評『日本を救う未来の農業 ー イスラエルに学ぶICT農法』(竹下正哲、ちくま新書、2019)ー 日本農業が抱える諸問題を解決するための「ICT農業」とその大前提となる「ドリップ灌漑」について

映画 『加藤隼戦闘隊』(1944年)にみる現場リーダーとチームワーク、そして糸川英夫博士
・・2010年の日本人に勇気と感動を与えてくれた惑星探査船はやぶさで思い出すのは小惑星イトカワ命名にちなむ糸川英夫博士のこと。糸川博士が晩年にかかわったイスラエルについて、『荒野(あらの)に挑む』(ミルトス、1989)を紹介しながら書いておいた。「逆境は進歩と創造性の原点である」

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