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2018年10月9日火曜日

JBPress連載コラム第36回目は、「楽園ビーチリゾートの衝撃的「奇祭」を知っているか 今年も始まったプーケットの「ベジタリアンフェスティバル」(2018年10月9日)


JBPress連載コラム第36回目は、「楽園ビーチリゾートの衝撃的「奇祭」を知っているか 今年も始まったプーケットの「ベジタリアンフェスティバル」⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54300

今回も、JBPressの編集部による「リード文」がついてますので、そのまま引用しておきましょう。 


世界的なビーチリゾート、タイのプーケット島で、知る人ぞ知る「奇祭」が開かれていることをご存じだろうか。宗教者たちが顔や体に刃物や串を突き刺し、血を流しながら練り歩く。この危険きわまりない過激な祭りは、実は「ベジタリアンウィーク」のイベントだ。想像の上をいく東南アジアの多様なベジタリアンライフを紹介する。(JBpress)

10月8日から、タイやマレーシアなど東南アジアの華人世界で「九皇爺誕」が始まった。英語では、「ベジタリアンウィーク」と呼ぶ。10月17日までの9日間、肉食を断ち菜食を行うことになる。

「九皇爺誕」は、華人世界の民間信仰である道教にもとづく祝祭だ。信仰の対象は「九皇大帝」という神様。北斗七星に補弼(ほひつ)二星を加えた「北斗九星」を神格化した神様である。その生誕日にちなみ、九皇爺誕は太陰太陽暦である農事暦9月の一番はじめの9日から始まる。

九皇爺誕は、中国南部の沿海部の福建地方からの移民とともに、東南アジアの華人世界に受け継がれてきた。タイでは、これを「キンジェー」と呼んでおり、華人世界の道教信仰を超えた拡がりを見せている。

今回は、タイの「キンジェー」を取り上げて、東南アジアのベジタリアンライフについて紹介したいと思う。現在の日本では、カタカナ表現の定着に現れているように、ベジタリアンというと先端的な欧米風ライフスタイルという通念が一般にできあがっているが、菜食生活のべジタリアンライフは、もともとインドを中心にしたアジアで生まれたものである。


(つづきは本文で) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54300


次回のコラム公開は、10月23日(火)です。お楽しみに!



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書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」

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2014年5月21日水曜日

書評『アマン伝説 ― 創業者エイドリアン・ゼッカとリゾート革命』(山口由美、文藝春秋、2013)― 植民地解体後の東南アジアで生まれた「アマン」と「アジアン・リゾート」というライフスタイルとは?



読もう読もうと思いながら、買ってから1年近く「積ん読」状態だった『アマン伝説』(山口由美、文藝春秋、2013)をやっと読んだ。この本で扱われているテーマは、ずいぶん前から気になってはいたのだ。

いわゆる「アジアン・リゾート」の牽引役となった「アマンリゾーツ」の「アマン」なるものはいかに生まれたか、そのバックグラウンドにあるものはなにか、そしてどのように進化していったのかについて、その創業者エイドリアン・ゼッカの人生を軸に描いたノンフィクションだ。

残念ながら「アマン」にはいまだ宿泊したことがないのだが、アジアといえば東南アジア(および南アジア)を連想する人にとっては興味深い内容の本だと思う。もちろんこのわたしもそうである。東南アジアと南アジアをあわせて「モンスーン・アジア」という。

いわゆる「アジアン・リゾート」は、「アマンプリ」(・・タイのプーケット島)や「アマンダリ」(・・インドネシアのバリ島)などに代表される、ヴィラ(別荘)的な、バンガロー的なスタイルのリゾートホテルが当たり前になっている。これは「アマン」の模倣であるが、一つの大きな流れだといっていいだろう。

かつてはノスタルジックなコロニアル・スタイルの都市型ホテルが注目を浴びることが多かったが、いまでは「アジアン・リゾート」における「アマン」的なリゾートホテルのほうが人気が高いのではないだろうかか。


(2006年に出版されたムック この頃がアジアンリゾートブームのピーク?)


いろんな読み方のできる本だ。ビジネス・ノンフィクションとして読むことも可能だし、ホテル&リゾートの本として読むことも、植民地解体後の東南アジア史戦後日本とくにバブル時代の日本経済史として読むことも可能だ。

著者は1962年生まれだからわたしと同じである。つまりバブル時代のなんたるかを肌身をつうじて知っているということだ。わたしの場合は、もっぱらビジネスの内側の人間として、本書にも登場する、いまはともに亡きイーアイイーの高橋治則氏と長銀との関係など、たいへん懐かしい(?)思いをしながら読んだ。直接関係はないものの、間接的に接点があったからだ。

ハワイ、香港、南太平洋、そしてバブル時代の日本・・・。バブル時代とは不動産開発に狂奔した時代であった。ホテルとリゾートもハードそのものは不動産である。

この本が出版された2013年4月にはまだ決まっていなかったが、2020年の東京オリンピック誘致でキーワードになったのが「お・も・て・な・し」。この表現に体現された日本型ホスピタリティとは何かについて考えるためのヒントになるかもしれない。第11章には、「日本旅館」をネットワーク化している星野リゾーツの星野氏へのインタビューもある。ことし(2014年)の夏には、なんと金融街の東京・大手町で「アマン」の第一号が誕生するようだ。

西欧とアジアが「植民地」という形で密接な関係をもつことになったのが「モンスーン・アジア」。インドネシアはジャワ島のスカブミ出身で、オランダ人入植者と華人系エリートの血を引く創業者エイドリアン・ゼッカもその一人であった植民地エリートたち。かれらのライフスタイルとイマジネーションが「アマン」的なものを生みだし、まずは仲間たちのあいだに、そして広く受容されるようになっていったのであろう。

そして「アマン」をインスパイアした大きな要素の一つが日本であるという事実。この事実は、本書である程度まで裏付けられているが、アメリカを含めた西欧、アジアそして日本という3つの枠組みで捉えることが、現代の東南アジアを考える際に重要な視点であることをあらためて強く感じるのである。このいずれを欠いても、現代の東南アジアは理解できないのだ。

テーマがテーマだけに、カタカナ比率が多くてやや読みにくい印象を受けるかもしれない。また「私」がやや多い印象を受けるのは難点かもしれない。だが、ホテルの世界もまた人と人とのつながりの世界であり、「アマン」であればそれはなおさらそうであろう。

このテーマが好きな人にとっては読み応えのあるノンフィクション作品であるといっていいと思う。かならずや知的好奇心を満足させてくれるはずだ。


画像をクリック!


目 次

プロローグ ジャワ島・スカブミへ
第1章 スリランカ 兄弟の庭
第2章 サヌールの夜 タンジュンサリとバトゥジンバ
第3章 三浦半島 ミサキハウスの休日
第4章 リージェントの伝説 バブルの夢の結末
第5章 スズ鉱山の島からリゾートへ プーケットの躍進
第6章 バリの原風景 ウブドの魔性
第7章 ライフスタイルの創出とアマンジャンキー
第8章 孤島リゾートとホスピタリティ
第10章 アジアンリゾートブームの舞台裏
第11章 日本人とアマンの夢
エピローグ アジアンリゾートの今、そして未来
あとがき
関係略年表
主要参考文献



著者プロフィール

山口由美(やまぐち・ゆみ)
1962年神奈川県箱根町生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。海外旅行とホテルの業界誌紙のフリーランス記者を経て作家活動に入る。旅とホテルを主なテーマにノンフィクション、紀行、エッセイ、評論など幅広い分野で執筆している。日本旅行作家協会会員。日本エコツーリズム協会会員。2012年、『ユージン・スミス 水俣に捧げた写真家の1100日』で小学館ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


(ジャカルタの南にボゴール、さらにその先にスカブミ ここでゼッカは生まれた)




<ブログ内関連記事>

ホテル&リゾート、そしてスパ

「遊ぶ奴ほどよくデキる!」と喝破する大前研一の「遊び」の本を読んで、仕事も遊びも全力投球!

書評 『星野リゾートの事件簿-なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?-』(中沢康彦、日経トップリーダー編、日経BP社、2009)-「現場」がみずから考え実行する組織はどうやったらつくれるのか
・・日本型ホスピタリティである「お・も・て・な・し」を実現するのが「日本旅館」。この伝統的な「旅館」を独自性のある日本発のコンセプトとして現代に活かすかが課題

書評 『わたしはコンシェルジュ-けっして NO とは言えない職業-』(阿部 佳、講談社文庫、2010 単行本初版 2001)-「コンシェルジュ」という「ホスピタリティ」の仕事と「サービス」の違いとは?
・・ホスピタリティとはなにか?

滝川クリステルがフランス語でプレゼンした理由
・・(「お・も・て・な・し」のプレゼンをする滝川クリステルさん

タイのホテルの朝食はオールシーズン「フルーツ三点セット」-タイのあれこれ(番外編)

タイのスパ(spa) へご案内-タイのヒーリング・ミュージックを BGM に


戦後日本史

書評 『ワシントン・ハイツ-GHQが東京に刻んだ戦後-』(秋尾沙戸子、新潮文庫、2011 単行本初版 2009)-「占領下日本」(=オキュパイド・ジャパン)の東京に「戦後日本」の原点をさぐる

書評 『叙情と闘争-辻井喬*堤清二回顧録-』(辻井 喬、中央公論新社、2009)-経営者と詩人のあいだにある"職業と感性の同一性障害とでも指摘すべきズレ"
・・バブル時代のライフスタイル

書評 『「海洋国家」日本の戦後史』(宮城大蔵、ちくま新書、2008)-「海洋国家」日本の復活をインドネシア中心に描いた戦後日本現代史


現代インドネシア

映画 『アクト・オブ・キリング』(デンマーク・ノルウェー・英国、2012)をみてきた(2014年4月)-インドネシア現代史の暗部「9・30事件」を「加害者」の側から描くという方法論がもたらした成果に注目!
・・スカルノからスハルト開発独裁体制への権力シフト時に起こった大虐殺

『戦場のメリークリスマス』(1983年)の原作は 『影の獄にて』(ローレンス・ヴァン・デル・ポスト)という小説-追悼 大島渚監督
・・大東亜戦争中の日本占領時代のジャワ島の捕虜収容所が舞台

書評 『ヤシガラ椀の外へ』(ベネディクト・アンダーセン、加藤剛訳、NTT出版、2009)-日本限定の自叙伝で名著 『想像の共同体』が生まれた背景を知る ・・インドネシア政治を人類学的フィールドワークで研究したベネディクト・アンダーセン


西欧による植民地化とアジア

「東インド会社とアジアの海賊」(東洋文庫ミュージアム)を見てきた-「東インド会社」と「海賊」は近代経済史のキーワードだ

「無憂」という事-バンコクの「アソーク」という駅名からインドと仏教を「引き出し」てみる ・・ボゴールの植物園。モンスーンアジア

なぜ「経営現地化」が必要か?-欧米の多国籍企業の歴史に学ぶ
・・・グローバルビジネスの原型である「オランダ東インド会社」についての記述あり  「「植民地」における企業経営の経験が非常に大きいと思われます。 英領インドにおける英国の東インド会社(East India Company)、蘭領東インド(=現在のインドネシア)におけるオランダの東インド会社が典型的な事例です。英国とオランダの双方に本社のある、エネルギーのロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)や、食品のユニリバー(Unilever)のような英蘭系グローバル企業は、その最右翼というべきでしょう。 要は、限られた駐在員ですべてをこなすのは不可能なので、「二重支配体制」を創り上げたのです」

書評 『中国は東アジアをどう変えるか-21世紀の新地域システム-』 (白石 隆 / ハウ・カロライン、中公新書、2012)-「アングロ・チャイニーズ」がスタンダードとなりつつあるという認識に注目!
・・英語をつかい英語をつうじて西欧に開かれたマインドをもつ「アングロチャイニーズ」という華人系の時代


現代の東南アジアは「現地」と「日本」と「米国を筆頭とする西欧」の「三点測量」で見よ

書評 『座右の日本』(プラープダー・ユン、吉岡憲彦訳、タイフーン・ブックス・ジャパン、2008)-タイ人がみた日本、さらに米国という比較軸が加わった三点測量的な視点の面白さ
・・「英語をつうじて西洋人の目に映る日本」と、「タイ語をつうじてタイ人の目に映る日本」のいずれにも熟知しているこの作家がみる日本・・(中略)・・「西洋人の目」とは、いわゆる「オリエンタリズム」のプリズムをいったん通過した日本であり、龍安寺の石庭や高野山といった、伝統的で、精神的な日本である。後者の 「タイ人の目」とは、著者と同世代以下のタイ人がものごころついてからドップリと浸かってきた日本のマンガでありアニメをつうじたものであり、また日本映画をつうじて同世代以下の一般のタイ人には親しい世界である。」

(2016年3月15日 情報追加)


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2009年10月19日月曜日

タイのあれこれ(9)-華人系タイ人の"キンジェー"(齋)について 





 今年(2009年)は10月18日から26日までの一週間、タイの華人系市民は"キンジェー"に入る。

 キンジェーのジェーは漢字の斎、斎戒沐浴の"齋"、潔斎の"齋"である。キンとはタイ語で食べるという意味。この二つをあわせてキンジェーで、肉食を断ち、菜食を行うという意味になる。

 英語では、キンジェーの一週間を Vegetarian Week とよんでいる。この期間中はバンコク市内でも至る所で、斎(ジェー)と漢字で書いたペナントがいたるところに張り出される。スーパーマーケットでもこの一週間は、齋(ジェー)フードコーナーが設置されることになる。

(「斎」と書いて「ジェー」と読む チャイニーズ・ベジタリアン)

昨年バンコクにいた私は、日頃の不摂生を解消するいいチャンスなので、華人系タイ人にならって自称"キンジェー・マラソン"を実施することとした。この期間中はだれから誘われても酒を飲まず、肉食を断ち、菜食に専念したのだ。



 成果といえば、体重はそれほど減らなかったが、体脂肪が20%を切って、カラダがえらく軽くなったことだ。人間40歳を越えると、意識的に節制することも重要だ。こういう努力があって、はじめて美味いものを食べる喜びも倍加するのだ。


仏教国だがタイ料理の食材には肉が多い

 タイは仏教国とはいえ、食材には意外と肉が多い。これはタイ料理が、ベースにあるインド料理だけでなく、移民として大量に流入した華人が持ち込んだ、中国料理の大きな影響を受けているためである。

 四方を海に囲まれ、しかも暖流と寒流のぶつかる、世界でも有数の漁場に恵まれた日本とは異なり、タイは熱帯に位置しているため、サカナの種類が極端に少ないのである。

 基本的に、タイ民族はメコン水系やチャオプラヤー水系沿いに、雲南方面から南下してきた民族なので、海の魚よりも川魚を好んで食べてきた歴史がある。タイ語で川をメーナームというが、メーは母、ナームは水、つまり"水の母は川"なのであって、母なる海なのではない。海水魚の漁師には南部のマレー系ムスリム住民が多い。

 現在でもスーパーマーケットの生鮮食料品売り場にはナマズがヒゲのついたまま売られている。タイ料理にはナマズ料理が多いが、これはなかなか美味い。ただし、川魚は泥臭いので香辛料が不可欠となるわけだ。メコン河の川魚スープはめちゃ美味い。

 また、ティラピアなどの淡水魚が売られている。ちなみに、ティラピアは国民のタンパク質不足解消のために頭を悩ませていた科学者・現ラーマ9世プーミポン国王に、同じく科学者の今上天皇が皇太子時代にアドバイスし、日本から稚魚を贈ったことが養殖の始まりである。これは知られざるロイヤル・ファミリー間の交流史のひとこまである。

 このように魚の種類が少ないタイでは、日本人が想像する以上に、タンパク質摂取のため肉類を食べる。ブタ肉、牛肉、鶏肉などなんでも食べる。作り置きのタイカレーなど汁物をご飯にかけるぶっかけ飯スタイルが多い。

 お坊さんも、お布施でいただいた料理のなかに肉類があっても食べることになっている。だから栄養たっぷりで、あまりやせているお坊さんを見ることはない。これは道に転がっているイヌも同様だ。

 タイでは、ドイツ企業と合弁の肉製品加工工場があり、ハム、ベーコンなどはドイツの技術指導を受けているのでなかなか美味である。これは以前にもブログで触れたことがある。

 チェンマイなど北部の名産品がソーセージであることは、知る人ぞ知る話であろう。

 こういう食生活を送っていては、カラダにいいハズはないだろう。しかもここ数年、ジャンクフードの食べ過ぎで、肥満体の人間も増えている。


年に一度のベジタリアン・ウィーク

 そこで信仰熱心な華人系市民だけでなく、カラダのことが気にかかるタイ人は、年に一回は菜食生活を送ることになる。

 近年では華人系タイ人だけでなく、一般のタイ人にもこの習慣が広がっているようで(・・といってもタイ人の1/4から1/3はなんらかの形で華人の血が入っているので純粋なタイ人という概念は実際的ではない。国王陛下自身、華人の血を引いている)、この期間中はいたるところで、黄色の齋(ジェー)の文字をみることになるわけだ。

(スーパーマーケットで売っている齋(ジェー)のソーセージ)


 齋(ジェー)の食材として、豆類のタンパク質やコンニャクから作った、"肉もどき"、"魚もどき"、といった商品が販売されている。7-11などのコンビニでは、齋(ジェー)のおかずパンも販売されている。

(コンビニで売っている齋(ジェー)の菓子パン)

 この時期の中華料理店では、齋(ジェー)の料理も提供される。注文する際に、確認してみるとよい。

 これは素菜料理とよばれており、中国の精進料理といってよいだろう。東京・三田の仏教伝道教会併設の中国料理レストラン菩提樹では、中国素菜料理を食べることができる。

 JR田町駅に近いオフィスで働いていた当時、何度も食べに行ったが、野菜と豆腐以外は、味も形もまったく肉魚料理そのもので、味も悪くないので、機会があれば試してみることをお奨めする。昼の定食セットだけでなく、夜の宴会も可能である。


インド系のベジタリアンとの違い

 ベジタリアンといっても世界でいろんなパターンがあるのだが、華人のベジタリアンはインド系のベジタリアンよりはるかに厳しいことが実感できた。

 インドにいくフライトでは、機内食がベジタリアンかノンベジタリアンか必ず確認されるが、私は基本的にベジを注文している。これは基本的に調査目的であるとともに、味もけっして悪くないからだ。牛が神聖な動物であるインドでは、牛乳やヨーグルトといった乳製品はベジタリアンとして許容される。しかし、華人の菜食では乳製品はいっさい御法度である。牛乳も鶏卵もいっさいダメなのだ。

 バンコクにいくフライトでは、サービス低下の著しいTG(タイ航空)は極力避け、空飛ぶ×××のSQ(=シンガポール航空)か、NH(=全日空)を利用していたのだが、とくに全日空でエコノミークラスを利用する際には、必ず事前に申請してベジタリアンに変えてもらっている。理由は、ベジタリアンにしておくとエコノミークラスでも特別扱いしてくれるからだ(!) 

 アジアのベジタリアン・フードについては、アジアを中心とした食文化をテーマにしているフォト・ジャーナリスト・森枝卓士の 『アジア菜食紀行』(講談社現代新書、1998)『週末はヴェジタリアン』(ちくま文庫、2002)が参考になる。

 ベジタリアンというとインドしか思い浮かばない人も、ぜひ中国素菜料理を一回は試してみてほしいと思う。


キンジェーといえば、なんといってもプーケット島なのだ

 キンジェーといえば、なんといってもプーケット島である。プーケットといえば大半の日本人(・・いや世界中の観光客)にとってはビーチ・リゾートだろう。

 ところが、プーケットには、華人系タイ人の奇祭があるのだ。プーケットの"ベジタリアン・フェスティバル"について紹介しておかねばなるまい。

(「キンジェー」期間中のプーケットの華人系奇祭 筆者撮影)

プーケット島は隣国マレーシアのペナン島と同様、もともと錫(すず)鉱山の開発で発展した島であり、華人系人口が比較的多い。中心都市プーケット・タウンは空港の反対側の南端の内陸部にある。

 奇祭といったが、基本は道教を信じる華人の最大の祭である。

 何がすごいといって、潔斎した男性信者たちが、頬(ほお)にナイフや、巨大な串や、想像を絶するさまざまな管の類を刺して、これでもかこれでもかと白装束を着た一般信徒の前を練り歩くのである。

(「キンジェー」期間中のプーケットの華人系奇祭 筆者撮影)

また、鋭利な刃物に舌をつけて鮮血を流しながら練り歩いている信者もいる(・・写真はあまりにもショッキングと思われるのでこのブログでは紹介しませんので悪しからず)。これらが延々と練り歩くのだが、みなトランス状態に入っているので、痛みを感じていないようだ。

 なかには、串を頬にさしたまま、全身に巻き付けた爆竹に火を付けて、大音響を発して白煙を出しながら練り歩く者もおり壮観である。この人たちに比べたら、日本の誇る(?)過激パフォーマンス集団"電撃ネットワーク"も児戯に等しいといわざるをえない。

(「キンジェー」期間中のプーケットの華人系奇祭 筆者撮影)

 串刺しは圧倒的に若い男性信者が多いが、なかには若い女性信者もいる。若い女性が頬に穴をなんか開けてしまっていいのだろうかと心配になるが、一般に女性のほうがシャマン的要素が強いので、本格的な修行者なのだろう。

 観客は圧倒的に華人で、観光バスを仕立ててマレーシアから来ている人たちもいるが、それ以外の観光客は比較的少ない。もちろん緊急事態に備えて、練り歩く信者の後にはパトカーと救急車がついていく。

 キンジェー期間中は、潔斎で身を清めるため、肉食断ちの菜食に加え、飲酒もセックスも禁止である。これは世界中どこでも同じだろう。日本でも神事に臨む際は、少なくとも前夜から潔斎しなくてはならない。

 こんな奇祭を見に行くのは、伊達や酔狂以外の何者でもないだろう。私は、昨年のキンジェー期間中に、バンコクからプーケットに飛んで(・・フライト時間は1時間強)、週末をこの奇祭をみるためだけに滞在した。その間、一回もビーチにはいかず、プーケット・タウンのコロニアル様式の建築物を写真を撮りながら歩き回った。

 関心がある人は、プーケット・ベジタリアン・フェスティバルのオフィシャル・サイト(英語・タイ語)もあるので、参考にするとよいだろう。

 しかし、なぜ菜食期間中にこのようなことをするのかよくわからないが、似たような奇祭は台湾でも童乩(タンキー)として行われている。写真家・加藤敬による写真集 『童乩(タンキー)-台湾のシャーマニズム』(平川出版社、1990)で紹介されているものとよく似ているので、同系統のものなのだろう。

 文献もあまりないので詳しいことはよくわからないのだが(・・これは私が専門研究者でないため文献を探しきれていないのも理由である)、共産化された大陸中国ではすでに失われた道教の信仰が、東南アジアの華人世界にはまだまだ息づいていることは明かである。

 一説によれば、プーケットのキンジェーの練り歩きがもっとも過激であるときく。


タイにける華人系の影響力の大きさ

 タイについてはこのように、華人の世界については、その影響力について無視できないものがある。

 東南アジアでは、現地への同化に唯一成功したのがタイの華人である。日本人が仕事で接するタイ人は、かなりの程度まで華人系が多い。そんなときに、華人の風習一般について知識があると、相互理解も深まるというものである。

 バンコクの華人系タイ人社会には、プーケット華人のような奇祭は存在しないが、キンジェーという菜食の習慣は共通している。

 もちろん、中秋に月餅(げっぺい Moon Cake)を贈る慣習などは、タイに限らず華人世界では全世界共通であることはいうまでもない。


タイのあれこれ (10) につづく



                     



PS 読みやすくするために改行を増やし、写真を大判にしキャプションを付け加えた。またリンクもアップデートしておいた。ただし、本文には手を入れていない。 (2014年1月21日)




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日本のスシは 「ハラール」 である!-増大するムスリム(=イスラーム教徒)人口を考慮にいれる時代が来ている

タイのあれこれ (18) バンコクのムスリム

エコノミー(=サード・クラス)利用で、お金を一銭もかけずに、ちょっとだけ特別扱いされる方法
・・チケットの予約段階でベジタリアン指定ができるので利用してみよう

「かなまら祭」にいってきた(2010年4月4日)-これまた JAPANs(複数形の日本)の一つである
・・日本の「奇祭」

(2014年1月21日、31日 情報追加)







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