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2026年7月24日金曜日

『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』(祥伝社、2026)と『懐に入る英語』(集英社、2026)の2冊は、できれば30歳台までに出会いたかった「質問力」にかんする仕事術の本

 

 40年以上にわたって英語でインタビューを行い、近年は経済学者のポール・クルーグマンやダロン・アセモグルなど「超一流の知識人たち」に単独インタビューを敢行し、その内容を日本語で書籍化してきた国際ジャーナリストの大野和基氏。 

その手の内というか手法について、あますことなく開示してくれる著書2冊をつづけて読んだ。 

『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』(祥伝社、2026)と、『懐に入る英語』(集英社、2026)の2冊である。前者は一般向け、後者は英語中級者以上向けの仕事術のビジネス書だ。 

ジャーナリズムであろうが、ビジネスであろうが、もちろんそれ以外の世界であろうと、仕事をするうえでもっとも重要なのは「質問力」である。これには異議はあるまい。

いや、それはけっして仕事に限定されるものではない。 的確な相手に対して、的確なタイミングで、的確な質問を投げかけること。良い質問は、良い回答を導きだすのである。誘導するといっても言い過ぎではないだろう。あくまでも主導権はこちら側にあるからだ。 

生成AI相手のプロンプトならともかく、こと人間が相手の場合は、人間心理にかんする理解を踏まえた質問であることが前提になる。

ディベートではないのである。相手を論破するなど論外である。いかに気持ちよく心を開いてもらうかがカギなのだ。 日本語だけでなく、英語でもまったくおなじである。

『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』で著者は、絶対に避けなくてはならないこととして、質問の「イソコ化」と「タハラ化」の2つをあげている。絶妙なネーミングというべきだろう。 言い得て妙としか言いようがない。

「イソコ」というのは、質問の前に自説をとうとうと述べる活動家とおぼしき新聞記者のことだ。「タハラ」というのは、相手の話を最後まで聞かずにさえぎって自分の考えを押しつける長老ジャーナリストのことだ。わたし自身、ずいぶん前から、この2人に対してはウンザリする思いを抱いてきたので、大いにうなづきながら納得した。 

『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』の「目次」は、以下のようになっている。  


はじめに
1 日本人がついやってしまう質問の「悪いクセ」 
2 効率のよい準備が「望む答え」への最短コースとなる 
3 主導権を握りながら相手に気持ちよく話させるコツ 
4 ピンチをチャンスに変える「変化球」の投げ方 
5 人生の基盤となる「質問力」のマジック 



(【国際ジャーナリスト】世界的VIPの本音を引き出す極意 / 「サピエンス全史」著者の自宅へ / AI時代に「英語力」が必須な理由|ゲスト: 大野和基  Podcast Studio Chronicle Podcast Studio Chronicle)



■英語上級者向きだが、志の高い高校生も読んだらいい

さて、えらくシンプルなタイトルの本である『懐に入る英語』(集英社、2026)の方に話を進めよう。

知的レベルの高い、英語上級者向けの「世界基準の質問力」である。もちろん、最初から意識を高くもち、これからの人生を切り開いていきたいと思っている高校生なら読むべき内容だ。  

「質問力」にかんしては、1冊目の『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』とダブっているのは当然であるが、『懐に入る英語』のほうは、「英語での質問力」に絞り込んで、徹底的に解説してくれる。具体的な英語表現がじつに役に立つ。 

日本の大学では英文科を卒業し、アメリカに留学して化学と基礎医学を学んだのち、フリーのジャーナリストとして生きてきた人ならではのサバイバルスキルが満載である。組織の名刺もバックアップもない、あくまでも個人としての世渡りである。 

『懐に入る英語』の「目次」を紹介しておこう。 


はじめに
第1章 文化的背景を知る 
第2章 情報収集する 
第3章 ボキャブラリーを増やす 
第4章 アポイントメントを取る 
第5章 会う、雑談から始める 
第6章 知的な会話をする 
第7章 いい印象を残して終わる 
おわりに


豊富な体験から生み出された具体的な事例をもとに、読みやすく実戦的で説得力のある話がつぎからつぎへと展開される。英語ができるだけでなく、日本語で書くチカラがあるからこそ可能なワザなのである。 

英語関連本を読むのはひさびさのことだが、この本にかんしては、時間をかけて、文字通り隅から隅まで舐めるようにして読んだ。読みながら、そして読み終えたあとも、なんども読み返す必要を感じている。知識のレベルを越えて、知恵のレベルまで書かれているからだ。 

「日本人が特に苦手な would、could について」は、わたし自身も従来から気をつけてきたことだが、表現をやわらかくするために必要な英語表現である。文法的にいえば仮定法過去(および仮定法過去完了)であるが、実際につかわれる際には if が省略される。 

著者がなんどもくりかえし注意喚起しているように、日本語とくらべたら英語はストレートだという固定観念は捨てることだ。 英語はボキャブラリーが膨大なだけでなく、細かい感情のニュアンスまで表現することが可能な言語なのである。知的レベルが上がればあがるほど婉曲な表現を好む傾向があるのは、日本社会とおなじなのだ。 

すでに70歳を迎えている著者であるが、まさに精進の日々を送っているのは「現役」をつづけるためであり、なによりも旺盛な好奇心があるからだろう。その姿勢も学ぶべきである。



■背伸びしてでも『懐に入る英語』を読むべき

この2冊は30歳台で出会いたかった。自分もバリバリの30歳台にはこの手の本を、それこそむさぼるように読んだからだ。当たって砕けろ精神に充ち満ちていた頃である。 

とはいえ、何歳になっても前進、また前進である。撃ちてしやまん。向上心を失ったら、人間はおしまいだ。 

『日本人だけが知らない 世界基準の質問力』だけでも読むことを薦めたいが、自分自身のステージをさらに上げるためには、背伸びしてでも『懐に入る英語』も読むべきだろう。 



著者プロフィール
大野和基(おおの・かずもと) 
国際ジャーナリスト。1955年生まれ、兵庫県西宮市出身。東京外国語大学英米学科卒業後、1979年に渡米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ後、ジャーナリストの道に進む。『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンドほか、文春新書)などの訳書、『オードリー・タンが語るデジタル民主主義』 (NHK出版新書)などインタビュー・編著多数。 



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2024年3月30日土曜日

いよいよ新年度で新学期。おお、 『超訳 自省録 エッセンシャル版』と『言志四録 心を磨く言葉』の2冊が「定番書」に認定か!

 

「成長したい、頑張りたいあなたに。」というコピーのついたパネル。 出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンによるものだ。 喜久屋書店にて発見。

「圧倒的に売れていて読みやすい 定番書」に拙著が2冊も入っているではないか!

  『超訳 自省録 エッセンシャル版』『言志四録 心を磨く言葉』の2冊。5冊中の2冊が並んでいる。しかも、パネルをはさんで書籍も平積み! 




「成長したい、頑張りたいあなた」は、20歳だけの若者だけが対象ではないだろう。

その上には小さな文字で「新しい職場、新しい上司・部下、新しいプロジェクト」と書いてある。 

ビジネス書として、リーダシップ関連の自己啓発書として、読んでほしいものだ。もちろん、あなたが何歳であるかにかかわらず。 
  

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2023年12月15日金曜日

『言志四録 心を磨く』(佐藤一斎、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2023)が「ビジネス書」として紹介されました(2023年12月6日)

 


おかげさまで、 amazon では「ベストセラー1位」の風が吹き続けております(2023年12月15日現在)。「瞬間風速」と思った風は、10日以上の連続です。

カテゴリーは、「日本近代史」「日本思想史」「教育者評伝」「諸子百家・儒教・道教」「東洋史」「アジア史」などなど多岐にわたっております。きわめて適切な分類もありますが、よくわかりかねる分類もないわけではありません。

さて、この本は「ビジネス書」として、ビジネスパーソンに推奨される本でもある。そんな評価もいただいております。 


「ビジネスブックマラソン」は、ビジネス書の世界では知らぬ人のいない、ビジネス書評家の土井英司氏によるメルマガです。ありがたいことです。




タイトルは、【身が引き締まる言葉集。】 おお、すばらしい! ジャンルは「自己啓発」。その通り!

末尾を引用させていただくこととしましょう。 

ビジネスブックマラソンで『言志四録』を紹介するのは3度目ですが、読みやすく、またビジネスパーソンやリーダーに響く、良い編集が成されていますね。 
全部で1133条ある文章から、現代人に役立つと思われるものを厳選して147項目にまとめたようですが、言葉のセレクトもバッチリだと思います。 
ぜひ、読んでみてください。


「読みやすく、またビジネスパーソンやリーダーに響く、良い編集」「言葉のセレクトもバッチリ」とは、ありがたい評価ですね。編訳者冥利に尽きるというものです。

しかも、メルマガ配信日の12月6日は、わたしの誕生日でした。うれしい誕生プレゼントでもありました。

はい、ぜひ読んでみてください! 


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目 次
はじめに 佐藤一斎と『言志四録』について 
I 志を高く持つ 
II 視野を広げる 
III 運命を引き受けて人生を楽しむ 
IV 心の持ち方で人生は変わる 
V 欲望に振り回されるな 
VI 人付き合いの秘訣 
VII 仕事をどう進めるか 
VIII リーダーの心得 
IX 生きることは学ぶことだ 
X 真の自己を観る 
佐藤一斎年譜 
佐藤一斎と同時代の人物たち 
参考文献


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2022年1月24日月曜日

「ビジネス書としての歴史書」とは自分の意志で過去にヒントを探るための本-『世界史から読み解く「コロナ後」の現代』(佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー携書、2020)


 

 昨日のことだが、ひさびさに神田神保町の三省堂本店に立ち寄ってみた。もちろん本を探すのも目的だが、自分の本の売れ行き状況を確認するのも副次的な目的でもある。 

ビジネス書のコーナーで本を探していたら、なんと1年前の2020年12月に出版した拙著『世界史から読み解く「コロナ後」の現代』(ディスカヴァー携書)が平台に積み上げられているではないか!  

『世界史から読み解く「コロナ後」の現代』は、ビジネスパーソンにこそ読んでもらいたい本。だから、しかるべき場所に展示されているのがウレシイ。 

この本にはダイレクトな答えは書いてないのでガッカリする人もいるようだが、答えなんてそう安直なものではないハズ。ショートカットはいけません。知識そのものに意味があるわけでもありません。 

自分の意志で過去にヒントを探るということにこそ意味がある。そういうマインドセットと習慣を身につけてほしいというのが、わたしの執筆意図なのです。「ビジネス書としての歴史書」とはそういうことなのです。

その意味では、『世界史から読み解く「コロナ後」の現代』は歴史ものであり、かつビジネス書でもある。そう理解した書店員さんの見識の高さがすばらしい。もちろん、出版社営業からの働きも貢献していることだろう。この場を借りて、関係者の皆様に感謝の意を表したい。
  

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・・科学的認識は「未来」と「過去」に向かう。方向が真逆なだけでベクトルそのものは同等だ

・・「日高 「いま現在、こうである」ということから始まって、なんでそうなっているのかというふうにしていけば、みんな興味をもちますよ。」


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2021年11月23日火曜日

書評『ない仕事の作り方』(みうらじゅん、文春文庫、2018)-笑わせながら本質に迫る内容のビジネス書

 
 『ない仕事の作り方』(みうらじゅん、文春文庫、2018)をようやく読んだ。リアルタイムでみうらじゅんのファンであれば当然だが、そうでなくても読む価値のある本だ。 

単行本がでたとき読もうと思いながらも、タイミングを失していた。文庫化されてもまたタイミングを失し・・。昨日、書店の店頭で見て即購入。面白いのですぐに読んでしまった。*

*(注) これは6月4日時点の話。この投稿はFBで最初に公開したものを加筆修正したもの

「ない仕事」を「作る」ということは、むずかしく言い換えれば「市場創造」ということになる。個々のアイテムとしては世の中には存在しているのだが、それをまとめてカテゴライズしてコンセプト化し、記憶に残るネーミングによって1つの「市場」を浮上させる。 

みうらじゅんが作りだして、もっとも有名になったのが「マイブーム」と「ゆるキャラ」だろう。すでに市民権を得ており、だれが最初に言い出したのかさえわからなくなっているほどだ。 固有名詞の普通名詞化である。

この本で、その手の内をぜんぶさらけ出してくれているだけでなく、糸井重里とのスペシャル対談もいい。みうらじゅんの発言にも、糸井重里の発言にも、なかなか含蓄のあるものがあって読ませるものがある。 

よくできたビジネス書として読むのもいいかもしれない。 




目 次 
第1章 ゼロから始まる仕事-ゆるキャラ
第2章 「ない仕事」の仕事術
第3章 仕事を作るセンスの育み方
第4章 子供の趣味と大人の仕事-仏像
スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん I don't believe me. 

著者プロフィール
みうらじゅん
1958年京都市生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活躍。1997年、造語「マイブーム」が新語・流行語大賞受賞語に。2005年、日本映画批評家大賞功労賞受賞。2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。興福寺「阿修羅ファンクラブ」の会長。音楽、映像作品も多数ある。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2013年7月5日金曜日

書評『キャリアポルノは人生の無駄だ』(谷本真由美(@May_Roma)、朝日新書、2013)― ドラッグとしての「自己啓発書」への依存症から脱するために



「キャリアポルノ」はとは、なかなかドギついタイトルです。書店の店頭で買うのは、すこしためらいがあるかもしれません。

「キャリアポルノ」というのは著者の造語だそうですが、ご自身のブログでつかってみたら爆発的な反響があったとのこと。ネットで有名になっていたそのブログ記事はわたしも読みました。キャリアポルノは人生の無駄だ(Wireless Wire News ロンドン電波事情 2012年11月26日)です。

その記事がキッカケとなって誕生したのがこの本だそうです。「キャリア」+「ポルノ」で、なんとなく内容は想像がつくことでしょう。あからさまにネガティブな価値判断を含んだ表現です。

内容は、いま日本で爆発的に売れている「自己啓発書」は百害あって一利なし、と斬り捨てるものです。

自己啓発書の特徴とは、著者によれば「下品、字が少ない、余白が多い」というもので、分類すれば ①説教系、②俺自慢系、③変われる系、④やればできる系、⑤儲かる系、⑥信じる者は救われる系、⑦エンタメ系、⑧ノマド系 になる、と。

この主張には、わたしは基本的に異議なしです。ただし、あくまでも著者の独断と偏見が反映していますし、もちろん自己啓発書=ビジネス書ではないので、当然のことながら著者の言っていることに 100%賛成するわけではありません。

さらにいえば、拙著 『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房、2013)は、タイトルに「自分を変える」と入っているので「自己啓発書」と分類されるわけですが、著者としては拙著だけは例外であると思いたい(笑) ぜひ拙著を一読したうえで、評価はみなさんご自身におまかせしたいと思います。

「自己啓発」というのは英語では "Self-help" すなわち「自助」と呼ばれるカテゴリーですが、著者のこの本じたいが、「自己啓発書依存症」から脱するための「自助」を意図しているようですね。

著者自身がいかに「自己啓発書依存症」から脱して洗脳が解けたかについて語ったこの本は、著者の意図に反して(?)、皮肉なことにこの本じたいが「自己啓発書」になっているというパラドックスはあります(笑)

とはいえ、著者が「自己啓発書」を読むなと問いかけたい人たちは、残念ながらこのような活字がギッチリつまった新書本を読む読者層とは重ならないことでしょう。いわゆる自己啓発書の読者はふだん本などよまない人たちです。だからこそ、100万部超のベストセラーが誕生することもときにあるのです。

本書の存在そのものが、タイトルに過剰反応する「自己啓発書」愛好家からは、いたづらに反発を引き起こすだけのことかもしれません。じっさいに amazonレビューを見ていると、おそらく「自己啓発書」愛好家たちが書いたのであろう、感情的な反発のみがめだつ、きわめてレベルの低いレビューばかりが並んでいます。もちろん、こういった反応は、著者は織り込み済みのことでしょう。

わたしの感想はすでに書いてきたとおりですが、この本を読んでいて思ったのは、日本人が「グローバル化」=「アメリカ化」だと思い込んでいでいるという、その思い込みの深さと愚かさについてですね。

著者はアメリカの大学院を卒業して日本のIT業界で働いたのち、国連関連の仕事でイタリアで働き、現在は英国で働いているキャリアの持ち主。ヨーロッパで暮らすようになてからはじめて、日本のビジネス界がアメリカの圧倒的影響下にあることに気がついたそうです。

著者の議論をよんでいて思うのは、「自己啓発書」依存症とは、自覚症状なき「アメリカ依存症」の別名かもしれません。

グローバル社会には、アメリカ以外のさまざまな文化をもった国や民族があるというきわめて当たり前の事実に気がつく必要があります。日本もまた本来はヨーロッパとおなじく伝統社会であったので、アメリカとは価値観が異なるはずなのに・・・。

ワーク・ライフ・バランスという概念がありますが、ライフを軽視して働きつづけても、クリエイティブなものはなにも生まれません。この点はヨーロッパに学ぶべきものが多いですね。

過剰な競争をあおって若者たちをいたづらに「不安」にさせている現在の状況、みなさんもおかしいとは思いませんか?

そう思う人はこの本を読むことをすすめます。そして、「自己啓発書」を読んでも仕事ができるようになるわけではないんだよ、自己啓発書はひととおり読んだらはやく卒業したほうがいいんだよ、ということを若い人たちに、上から目線ではななく、やんわりと伝えてあげるといいでしょう。

自己啓発書好きな人たちを頭越しに否定するのでなく、なんとか「脱・自己啓発書」に導びいてあげるように理論武装する必要がありますね。そのために役に立つ本かもしれません。




目 次

まえがき
第1章-「自己啓発書」は「キャリアポルノ」だ
第2章-人生は何故「キャリアポルノ」を必要とするのか
第3章-私はどのようにしてmay_romaになったか
第4章-“労働"とは何か ・働くことが「自己実現」ではない
第5章-人生を楽しむための具体的な方法
あとがき
参考文献

著者プロフィール

谷本真由美(たにもと・まゆみ)
1975年、神奈川県出身。シラキュース大学大学院修士課程修了。コンサルティングファーム、国連食糧農業機関(FAO)などを経て、現在はロンドンの金融機関に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<ブログ内関連記事>

『自助論』(Self Help)の著者サミュエル・スマイルズ生誕200年!(2012年12月23日)-いまから140年前の明治4年(1872年)に『西国立志編』として出版された自己啓発書の大ベストセラー

福澤諭吉の『学問のすゝめ』は、いまから140年前に出版された「自己啓発書」の大ベストセラーだ!

書評 『「ビジネス書と日本人』(川上恒雄、PHP研究所、2012)-高度成長期の日本で一大ジャンルに成長した「ビジネス書」とは何か?

本日(2013年7月4日)はアメリカ独立=建国から237年。いや、たった237年しかたってない「実験国家」アメリカ

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)-アメリカの本質を知りたいという人には、私はこの一冊をイチオシとして推薦したい

書評 『現代日本の転機-「自由」と「安定」のジレンマ-』(高原基彰、NHKブックス、2009)-冷静に現実をみつめるために必要な、社会学者が整理したこの30数年間の日本現代史

書評 『キャリア教育のウソ』(児美川孝一郎、ちくまプリマー新書、2013)-キャリアは自分のアタマで考えて自分でデザインしていくもの

書評 『仕事漂流-就職氷河期世代の「働き方」-』(稲泉 連、文春文庫、2013 初版単行本 2010)-「キャリア構築は自分で行うという価値観」への転換期の若者たちを描いた中身の濃いノンフィクション




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2012年12月8日土曜日

書評『「ビジネス書」と日本人』(川上恒雄、PHP研究所、2012)― 高度成長期の日本で一大ジャンルに成長した「ビジネス書」とは何か?



「ビジネス書」というジャンルがある。いつからできたジャンルかわからないが、出版不況といわれる現在において、数少ない売れ筋の出版ジャンルであることは間違いない。

「ビジネス書」とはなにか? しかしあまり考えたことがない人が大半だろう。じつはわたしも自分が「ビジネス書」を出版するまでは、とくに考えたことはなかった。

「ビジネス書」というコトバじたいいつ頃から日本ではつかわれるようになったのだろうか? 実用書とイコールなのか? 実務書や実務専門書とは違うのか?

そんなメタレベルで「ビジネス書」とはなにか、戦後日本においていかなる意味をもってきたかについて考えてみたい人にはぜひすすめたいのが、本書 『「ビジネス書と日本人』(川上恒雄、PHP研究所、2012)である。

答えを先にいってしまえば、ビジネス書とは、高度成長期の日本で一大ジャンルに成長した書籍ジャンルのことだ。

明治維新以後、福澤諭吉の『学問のすすめ』という啓蒙書によって、実業や成功が世の中の流行となったのであるが、その頃はもちろん「ビジネス書」というカテゴリーは世の中には存在しなかった。

戦後の高度成長時代の大変化といえば、起業する人間よりもサラリーマンが大量に発生したことにあるといっていいだろう。敗戦後の混乱期が過ぎると、経済近代化の旗印のもと生産性向上が推進され、ホワイトカラーという事務職のサラリーマンが大量に必要とされるようになった。

そのサラリーマン向けの実用書と教養書を兼ねたものがビジネス書だったわけである。

本書『「ビジネス書」と日本人』(川上恒雄、PHP研究所、2012)で取り上げられているのは、以下のとりである。

『経営学入門』(坂本藤良、光文社カッパブックス、1958)
●『英語に強くなる本-教室では学べない秘法の公開-』(岩田一男、光文社カッパブックス、1961)
●『頭のよくなる本-大脳生理学的管理法』(林髞、光文社カッパブックス、1960)
●『学歴無用論』(文藝春秋、1966)
●『ユダヤの商法-世界経済を動かす-』(藤田田、ベストセラーズ、1972)
●『物の見方・考え方』(松下幸之助、実業之日本社、1963)
●『崩れゆく日本をどう救うか』(松下幸之助、PHP研究所、1974)
●『断絶の時代-来るべき知識社会の構想-』(ドラッカー、ダイヤモンド社、1969)
●『知的生産の技術』(梅棹忠夫、岩波新書、1969)。

松下幸之助の著書が2冊もあるのはPHP研究所に勤務して、そこから出版されているからかと突っ込みたくもなるが、それはさておき、『知的生産の技術』も考えてみればビジネス書なのだというのは考えてみればそのとおりだなと納得もいく。

つまり、『知的生産の技術』は岩波新書とはいえ、読者対象が知識社会に生きるホワイトカラーのサラリーマンで、内容は実用的で個人にとっての自己啓発書であるという点は、最初から「商品」として売れることを前提に設計し製作したカッパブックスやワニブックスと共通しているのであった。

本書で扱われたのは高度成長時代だけなので、「バブル時代」、「失われた20年」の時代のビジネス書について触れられていないのは残念だが、ビジネス書というジャンルが誕生し、一大勢力になった「高度成長時代」について振り返るのも面白いかもしれない。

今後もビジネス書の勢いがつづくのかどうかはわからないが、好奇心がつよく勉強熱心という日本人の性格に変化がないかぎり、このジャンルが消えてなくなることはないだろう。

ビジネス書を読むだけでなく、ビジネス書とはなんであるのかと、突き放して考えてみることも、たまには必要ではないだろうか。


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目 次 

序論 日本人にとっての「ビジネス書」という存在

Ⅰ部
第1章 かつて「経営学ブーム」を巻き起こした本の裏側
-戦後初の「ビジネス書」ベストセラーとなった坂本藤良著 『経営学入門-現代企業はどんな技能を必要とするか-』(光文社カッパブックス、1958)をてがかりとして
第2章 「英語」と「日本のサラリーマン」のあいだ
岩田一男著 『英語に強くなる本-教室では学べない秘法の公開-』(光文社カッパブックス、1961)というタテ組の英語本がなぜ必要とされたのか
第3章 かくして「脳」と「心」のブームが始まった
-直木賞作家が生んだベストセラー・林髞著 『頭のよくなる本-大脳生理学的管理法』(光文社カッパブックス、1960)とサラリーマンが能力開発に躍起になった時代

Ⅱ部
第4章 根づかなかった「学歴無用」
-「世界のソニー」を創業した盛田昭夫著 『学歴無用論』(文藝春秋、1966)が日本社会に投げかけたことから
第5章 ハンバーガーで大儲けした「銀座のユダヤ人」
-"怪人"といわれた起業家・藤田田著 『ユダヤの商法-世界経済を動かす-』(ベストセラーズ、1972)がなぜベストセラーになったのか
第6章 「億万長者」から国民的経営者へ
-新しい「国民のバイブル」となった松下幸之助著 『物の見方・考え方』(実業之日本社、1963)とその時代背景
第7章 「松下幸之助」というベストセラー著者による国家への提言
松下幸之助著 『崩れゆく日本をどう救うか』(PHP研究所、1974)が生まれた当時の日本社会の実状

Ⅲ部
第8章 日本に広めたのは「マネジメント」だけではなかった
ドラッカー著 『断絶の時代-来るべき知識社会の構想-』(ダイヤモンド社、1969)によって「断絶」が日本の流行語になった時代があった
第9章 「勉強法」が商品化された時代
-京都大学のスター教授・梅棹忠夫著 『知的生産の技術』(梅棹忠夫、岩波新書、1969)にサラリーマンはなにを学んだか


著者プロフィール 

川上恒雄(かわかみ・つねお)
1966年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本経済新聞社で新聞記者および出版編集者として勤務。その後、渡英しエセックス大学で社会学、ランカスター大学で宗教学を専攻。宗教学博士(Ph.D)、社会学修士(M.A.)。南山宗教文化研究所研究員、京都大学経営管理大学院京セラ経営哲学寄附講座助教を経て、2008年よりPHP研究所主任研究員(経営理念研究本部松下理念研究部)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



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福澤諭吉の『学問のすゝめ』は、いまから140年前に出版された「自己啓発書」の大ベストセラーだ!

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The Greatest Salesman In the World (『地上最強の商人』) -英語の原書をさがしてよむとアタマを使った節約になる! ・・自己啓発書の世界的中心は米国である

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(2015年11月3日 情報追加)


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