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2024年7月22日月曜日

書評『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』(ブレイディみかこ、新潮文庫、2024)ー 2019年当時の英国社会を、変わりゆく労働者階級の親子の視点で内側から見る

 

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』(ブレイディみかこ、新潮文庫、2024)を読んだ。つい最近文庫化されたばかりの本。初版は2021年の出版。 


日英混血の「イエローでホワイトで、ちょっとブルー」な息子。その成長を軸に展開するのは前著とおなじ。ただし、時間とともに変化していくのは、成長の早い子どもだけでなく、大人をめぐる状況もまたおなじである。 

一般的に日本では「親子もの」として読まれているようだが、「2019年当時の英国社会を、変わりゆく労働者階級の親子の視点で内側から見る」といった読み方も可能だろう。 

2019年当時とは、2016年の「ブレクジット」(=EU離脱後)後の英国社会である。 つい先日の2024年7月14日におこなわれた英国の総選挙では労働党が圧勝し、14年間にわたってつづいた保守党が下野することになったが、その間の英国社会の劣化は目を覆うばかりである。

はたして政権に返り咲いた労働党は、英国社会を立て直すことは可能なのだろうか? かなり困難な課題ではないか? いったん劣化した社会の再建は、きわめて難しい。

すでに変化(いや劣化?)の渦中にある日本社会だが、英国の状況を近未来の日本社会に置き換えて読むことも可能だ。たくましく生きていく息子の姿を見れば、そんな近未来の日本で生きていくための参考になるだろう。

もちろん、英国と日本の共通点だけでなく、相違点についても考える必要があることは言うまでもない。 


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<ブログ内関連記事>




・・「金融ビッグバン」後の英国で、英国の証券会社に日本人として勤務していた著者が体験し、つぶさに観察した実情を「鏡」にして、日本の行く末を考察した内容の本。2024年現在から振り返れば、その言うところが正しかっただけでなく、状況はさらに悪化していると言わざるを得ない

・・米国の状況と英国の状況は似ている


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2009年6月2日火曜日

GMついに破綻-マイケル・ムーアの "Roger & Me" から20年


マイケル・ムーア監督の初期のドキュメンタリー映画に 『ロジャー&ミー(Roger & Me)』(1989年) という作品がある。
 
 マイケル・ムーア (Michael Moore)といえば、アポなし突撃取材の元祖(?)のような存在だが、製作当時、巨大コングロマリット企業の代表のような存在であったGM(ジェネラル・モーターズ)とがっぷり四つに組んだガチンコ勝負の作品である。この映画を作成した1989年当時は、マイケル・ムーアも精悍とまではいわないが、まだそんなに肥満体ではない。

 アメリカではよく引き合いに出された非常に有名な映画だったので、滞米中にビデオでみたが、字幕なしでも本当に面白かったので、繰り返し3回くらい見た記憶がある。

 GM破綻が連日報道されているが、その前兆がすでに明らかに現われているこの映画は、いまこそ歴史的ドキュメンタリーとして必見である。
 
 Roger というのはその当時のGM会長であったロジャー・スミス(Roger Smith) のファーストネームである。Me とはマイケル・ムーアのこと。「ロジャーを探して」とでもいった内容だ。

 マイケル・ムーアの出身地ミシガン州フリントで、GMの工場閉鎖があったことから話は始まる。その当時は、日本の自動車メーカーの大攻勢で、すでにアメリカのビッグスリーの凋落が始まっていた。派手なパフォーマンスで日本車をたたき壊したりする議員がいたような時代だ。

 GM会長のRoger を探して、ありとあらゆる場所、関係する人たちに会って会話を交わすマイケル・ムーアの様子をフィルムに収めたものだ。いつまでたってもロジャー本人に会うことはできないのだが・・

 とにかくめちゃくちゃ面白いのだ。とりあえず、YouTubeで、米国版トレーラー(予告編)をみてほしい(ただし音声には注意!)   

 この映画で明らかになっているのは、一言でいってしまえば、"They vs. Us" である。平たくいえば、「ヤツら」対「オレたち」。

 「ヤツら」とは中産階級以上の投資家や経営層、「オレたち」とは自動車工業の労働者たちのことである。

 日本でもある程度までそうだが、アメリカの場合は、労働者階級(working class)は、ブルジョワーとは、文化をまったく異にする階級である。

 エンターテインメントの世界なら歌手のブルース・スプリングスティーンがまっさきに思い浮かぶが、マイケル・ムーア自身も労働者階級の人間であることを自負している。

 まあそんな話はさておき、この映画から20年目にして、ついにGMは破綻した。

 「チャプター・イレブン」(Chapter 11:民事再生法)適用になり、国有化されて債権債務がかなり棒引きになるので、比較的早く再建されるだろうが、実質的にはGM解体である。ブランドを切り売りしてキャッシュフローを改善するのは、財務的な正攻法だ。

 これが本当のリストラクチャリングである。略語のリストラは日本では違う意味になってしまったので、NHKは「合理化」、なんていう懐かしいことばを使っていたが。

 オバマ大統領も、かの有名な「GMにとって良いことはアメリカにとって良いことだ」("What's good for GM is good for the country")を、昨日のステートメントの中で引用しているが、一時代の終焉であることは間違いない。

 タックスペイヤー(=納税者)であるアメリカ国民の大半が、無条件でGM支援することを拒否したのである。

 日本人の私はアメリカの納税者ではないし、すでに自動車部品関連ビジネスとも関係ないので、General Motors のGM破綻といっても、正直言って大した感慨はない。

 それよりも Genetically Modified の GM だけは御免こうむりたい。後者のGMとは「遺伝子組み換え」のことである。こちらの方が一般消費者にとっては、自動車よりはるかに問題が大きいのではないかな。

          



 

         
<ブログ内関連記事>

CAPITALISM: A LOVE STORY         
・・『キャピタリズム:マネーは踊る』日本公開前に書いたブログ記事

マイケル・ムーアの最新作 『キャピタリズム』をみて、資本主義に対するカトリック教会の態度について考える    

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年3月号の特集「オバマ大統領就任から1年 貧困大国の真実」(責任編集・堤 未果)を読む

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと              





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