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2018年1月3日水曜日

JBPress連載コラム16回目は、「「米中G2時代」の現実から目をそらしてはいけない-日本人が想像する以上に長くて深いアメリカと中国の関係」(2018年1月2日)


JBPress連載コラム16回目は、「「米中G2時代」の現実から目をそらしてはいけない-日本人が想像する以上に長くて深いアメリカと中国の関係」(2018年1月2日)
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51980

こと北朝鮮問題に関しては、実質的に「米中G2」状況になっているのである。米中関係こそ問題解決の中心にあることは、日本国民も理解するようになってきた。

覇権国の米国に「世界の警察官」の役割を依存してきた日本人にとって、中国の急速な台頭に不安感を抱くのも当然といえば当然であろう。だが、「米中G2時代」という現実から目をそらしてはいけない事実を事実として認識することが重要だ。

自分を思考の軸に置くのは当然だが、バイアスの存在そのものは意識しておく必要がある。好き嫌いに関係なく、自分にとって見たいもの、都合のいい側面だけを見てしまう傾向が人間にはあるからだ。

米中関係もまた、好き嫌いとは別に、事実は事実として見るということを「常識」にすべきだろう。

極端な立場に偏することなく、「競争と協調」というビジネスパーソンのマインドセットで中国に対応していくべきだろう。

(以下、本文につづく


年頭にふさわしい、すこしハードで大きめのテーマで書きました。

内容的には、それほど特異なものではないと思います。むしろ「常識」といっていいものでしょう。しかし、その「常識」がはたして「常識」となっているのかどうか、冷静に考えて見る必要があるのでは?

思い込みや希望的観測を捨て、勇気をもって手探りであっても前へ進むこと。そして、さらなる知的体力の増強が求められる一年となることでしょう。 

まだ仕事モードではないとは思いますが、こういう時期だからこそ、ぜひご一読いただきますよう。引き続き、今年もよろしくお願いします。


(昨年12月までのコラムのバックナンバー


<ブログ内関連記事>

■日米関係と日中関係

書評 『中国は東アジアをどう変えるか-21世紀の新地域システム-』 (白石 隆 / ハウ・カロライン、中公新書、2012)-「アングロ・チャイニーズ」がスタンダードとなりつつあるという認識に注目!

書評 『黒船の世紀 上下-あの頃、アメリカは仮想敵国だった-』 (猪瀬直樹、中公文庫、2011 単行本初版 1993)-日露戦争を制した日本を待っていたのはバラ色の未来ではなかった・・・

書評 『海洋へ膨張する中国-強硬化する共産党と人民解放軍-』(飯田将史、角川SSC新書、2013)-事実を淡々と述べる本書で正確な認識をもつことが必要だ

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える


■中国とキリスト教

「稲盛哲学」 は 「拝金社会主義中国」を変えることができるか? 
・・精神的飢餓感が儒教やキリスト教、その他の宗教に向かう現在の中国

書評 『日本人は爆発しなければならない-復刻増補 日本列島文化論-』(対話 岡本太郎・泉 靖一、ミュゼ、2000) 
・・「泉 朱子学の発想には二元論的発想がととのえられています。だから、中国と朝鮮のキリスト教化のために、朱子学が論理的地ならしをしたと、皮肉ることもできます。・・(中略)・・つまり、中国や朝鮮のように二元論的な朱子学のイデオロギー体系が定着したところでは、ヨーロッパの文化が入ってきたときに、これと対決し、価値としてのヨーロッパ体系に抵抗していますよ。「よきをとり、悪しきを捨て」ではなく、中国や朝鮮では全体として批判し、拒否しています」

書評 『韓国とキリスト教-いかにして "国家的宗教" になりえたか-』(浅見雅一・安廷苑、中公新書、2012)- なぜ韓国はキリスト教国となったのか? なぜいま韓国でカトリックが増加中なのか?
・・「日本でも中国でもそうであったが、キリスト教が直面したのは御先祖さまをどう扱うか、つまり祖先祭祀をどう捉えるかという問題であったのは、韓国もまた同様であった。日本では祖先祭祀は仏教が吸収したのでキリスト教が入り込む余地がなく、中国では「典礼問題」を起こしながらも(・・これがバチカンによるイエズス会禁止の原因となった)、キリスト教は祖先祭祀との折り合いをつけた。


■中国系米国人

エスニシティからアメリカ社会を読み解く-フェイスブック創業者ザッカーバーグというユダヤ系米国人と中国系米国人のカップルが写った一枚の結婚写真から

(2018年1月8日 情報追加)




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2017年12月19日火曜日

JBPress連載コラム15回目は、「どんな都市? よく分かるエルサレムとテルアビブ-イスラエルの米国大使館「移転」問題の意味を考える」(2017年12月19日)


JBPress連載コラム15回目は「どんな都市? よく分かるエルサレムとテルアビブ-イスラエルの米国大使館「移転」問題の意味を考える」
⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51865

2017年12月6日、予測不能なトランプ大統領の衝撃的な発言がまた世界を揺るがすことになった。米国大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転するという声明である。

1995年に米国議会で「エルサレム大使館法」(Jerusalem Embassy Act)が可決してから22年経つが、クリントンからオバマに至る歴代の大統領が、いずれも決定を先送りしてきた。その問題にケリをつけようというわけだ。「アメリカ・ファースト」のスローガンのもとに、前政権の政策を否定し独自色を出すことに差別化の源泉としているトランプ大統領ならではの決定である。

イスラエルはエルサレムを首都と定め、政治機能を集中させている。一方、テルアビブには米国大使館をはじめ世界中の大使館が置かれ、国際的には実質的な首都と見なされてきた。

(テルアビブとエルサレムの位置 googleマップより)

だが、残念ながら日本ではテルアビブが報道で取り上げられることがきわめて少ない。移転「先」のエルサレムばかりが報道されるが、なぜか報道されることのない移転「元」のテルアビブ。 私自身のイスラエル体験を交えて書いてみた。

そこで今回は、テルアビブとエルサレムというイスラエルの2大都市を比較しながら、現代イスラエルを理解するためのヒントについて考えてみたい。

つづきは本文にて)


ぜひご一読ください。

次回のコラムは、新春の2018年1月2日公開予定です。お楽しみに!


 


<ブログ内関連記事>

『イスラエル』(臼杵 陽、岩波新書、2009)を中心に、現代イスラエルを解読するための三部作を紹介

Pen (ペン) 2012年 3/1号(阪急コミュニケーションズ)の「特集:エルサレム」は、日本人のための最新のイスラエル入門ガイドになっている

映画 『戦場でワルツを』(2008年、イスラエル)をみた

『イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会』に参加-まずはビジネスと食事から関心をもつのがイスラエルを知る近道であろう

書評 『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』(ダン・セノール & シャウル・シンゲル、宮本喜一訳、ダイヤモンド社、2012)-イノベーションが生み出される風土とは?

書評 『無人暗殺機ドローンの誕生』(リチャード・ウィッテル、赤根洋子訳、文藝春秋、2015)-無人機ドローンもまた米軍の軍事技術の民間転用である

書評 『イスラエルとユダヤ人に関するノート』(佐藤優、ミルトス、2015)-プロテスタント神学 × インテリジェンスという独自のポジションから読み解く

イスラエル産スウィーティーの季節

全国民にガスマスクを配布せよ!-湾岸戦争(1991年)の際、イラクからのミサイル攻撃の脅威にさらされていたイスラエルは国民にガスマスクを無償配布した

(2017年12月20日 情報追加)



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2016年7月14日木曜日

書評『中国4.0 ― 暴発する中華帝国』(エドワード・ルトワック、奥山真司訳、文春新書、2016)― 中国は「リーマンショック」後の2009年に「3つの間違い」を犯した



一昨日(2016年7月12日)、国際仲裁裁判から「中国の南シナ海領有に法的根拠なし」という審判が下された。

たいへん結構なことである。 だが、中国はそもそもなぜ、そのような無法なことをゴリ押ししてきたのか?

その理由を知りたければ、『中国4.0-暴発する中華帝国-』(エドワード・ルトワック、奥山真司訳、文春新書、2016)を読むとその事情がよくわかる。

著者は、在野の軍事戦略の大家。軍歴もある実践派である。本書は、その立場から中国の動きを独自の視線で分析したものだ。「中国4.0」とは、中国の対外戦略の推移を4段階で読み解いたものである。

「中国1.0」で「平和的台頭」を行ってきた中国は、そのままその路線を続けていれば経済大国として世界中から歓迎されたはずだった。だが、暴走を初めてしまったのだ。「中国2.0-対外強硬路線」、さらには「中国3.0-選択的攻撃」へと、わずが15年のあいだに3度も対外方針を変更している。15年間で3度も方針を変更していては、外側からみたらあまりにも不安定に映るのは当然だ。しかも、その糸について疑惑さえ招きかねない。

どうやら、中国は「リーマンショック」(2008年)の翌年に大きな勘違いをしてしまったようなのだ。世界金融危機にまで至りかねない状況のなか、米国は経済的に「衰退」し、リーマンショック後に財政出動によって世界経済を「牽引」したのが中国であった。問題は、その際に中国は、「中国の時代」が前倒しに実現可能になったと勘違いし、舞い上がってしまったのである。「米中G2論」などという褒め殺しにも気がつかなかったのだ。

著者が指摘する「中国の戦略的誤り」は次の3点だ。①カネとチカラの混同、②線的(リニア)な予測の錯誤、③二国間関係の錯誤。以下、わたし流に解説しておこう。

①は、小国を「札束で引っぱたいて言うことを聞かせる」ということ。露骨だが効果的な方法である。中国が、とくにアフリカで独裁者をカネで買収してきたことは周知のとおりだ。かつて英国も米国も行ってきたことではある。だが、経済力と影響力はイコールではない経済力が縮小しながらも、いまだ英国は影響力をもっている。このような例は歴史的に多数ある。いまの中国はカネがあるが魅力はない。

②は、右肩上がりで成長し続けるという幻想のこと。バブル期とその後にわたって日本人も致命的な間違いを犯したことを想起すべきだろう。中国もその同じワナに捕らわれてしまったのだ。バブル期を知っているわたしのような人間からみれば、中国の勘違いによる傲慢さはじつに甚だしく、しかもじつに危うい。

①と②はわかりやすいが、③の「二国間関係の錯誤」は、ややわかりにくいかもしれない。著者独自の「逆説的論理」(paradoxical logic:パラドクシカル・ロジック)が適用されるものだ。「ある国が大きくなって、しかもそれが「平和的台頭」でなければ、台頭して強くなったおかげでかえって立場が弱くなること」を意味している。実際の世界には多数の国があり、二国間だけの純粋な関係というものは存在しないのである。合従連衡が発生するのがつねである。これはビジネス世界との大きな違いだ。

ある国が大国化すると周辺諸国に脅威を感じさせることになり、劣勢にある国を支援しようとする動きが必ず発生する。それが軍事同盟である。日露戦争前の日本もそうであった。当時の「小国」日本は日英同盟と米国の支援のおかげでロシアとの戦争に辛くも勝利できたのであった。だが、1930年代には「大国」化への途上にあった日本は大きな間違いを犯してしまう。英米を敵に回してしまったのだ。

南シナ海を「核心的利益」とする現在の中国共産党は、満蒙(=満洲+蒙古)を「帝国の生命線」とした大日本帝国と酷似している。「大陸国家の海洋進出」と、「海洋国家の大陸進出」は真逆の関係にあるが、身の程知らずという点において共通している。前者は中国、後者は日本のことである。2010年現在の中国は、1930年代の日本と同じ失敗をする可能性が高い。

このほか、本書には、ルトワック戦略論のエッセンスがふんだんにちりばめられている。たとえば「潜伏的効果」(latent effect)。民主主義国の米国が米国として存在しているが故に、民主主義政体をとらない中国には破壊的工作を行っているに等しいという。ルトワックは、戦略論の世界では意外なほど効果を発揮していると説くが、これはジョゼフ・ナイのいう「ソフトパワー」のことでもあろう。

中国人は、たとえどんな僻地に住んでいようが、米国大統領選のことを知っている。それに対して、政治的リ-ダーは自分たちが選んだわけではない。そこが、同じく強権政治を行っていながらも中国の習近平とロシアのプーチンとの大きな違いである。まがりなりにも、プーチンは自分たちが選んだリーダーだという意識がロシア人にはある。ソ連時代とは根本的に異なるのだ。その意味では、共産党独裁体制の中国は、いまだソ連段階なのである。

そして、「海洋パワー」(maritime power)と「シーパワー」(sea power)の違い。地政学でいう「シーパワー」は「ランドパワー」と対になる概念で、軍事力というハードパワーを想定している。これに対して、ルトワックのいう「海洋パワー」とは、「シーパワー」の上位概念で、自国以外の関係性で生まれるという。これもまた、「ソフトパワー」を含んだ概念であろう。「海洋パワー」は米国にはあるが、中国にはない。そう短時日に形成できるものではないからだ。

軍事戦略は、経営戦略とはイコールではないが、この本はじつに面白い。日本語版オリジナルの語り下ろしなので読みやすい。アタマの整理のために、ぜひ読むことを薦めたい。





目 次

日本の読者へ
序章 中国1.0-平和的台頭
第1章 中国2.0-対外強硬路線
第2章 中国3.0-選択的攻撃
第3章 なぜ国家は戦略を誤るのか?-G2論の破綻
第4章 独裁者、習近平の真実-パラメータと変数
第5章 中国軍が尖閣に上陸したら?-封じ込め政策
第6章 ルトワック戦略論のキーワード(奥山真司)


著者プロフィール

エドワード・ルトワック(Edward N. Lutwak)
ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問。戦略家、歴史家、経済学者、国防アドバイザー。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれのユダヤ系。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。国防省の官僚や軍のアドバイザー、ホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーも歴任。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

訳者プロフィール

奥山真司(おくやま・しんじ)
1972年生まれ。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<関連サイト>

「世界的戦略家が“大国中国”を斬る」-著者は語る(週刊文春WEB 2016.05.18)



<ブログ内関連記事>

書評 『パックス・チャイナ-中華帝国の野望-』(近藤大介、講談社現代新書、2016)-2012年に始まった「習近平時代」を時系列で振り返るとクリアに見えてくるもの

朗報! 国際仲裁裁判所が「中国の南シナ海支配にNO」の審判を下した(2016年7月12日)

「連盟よさらば! 我が代表堂々退場す」(1933年)-いかなる「離脱」も戦争の引き金とならないことを願う

「意図せざる結果」という認識をつねに考慮に入れておくことが必要だ
・・どうも中国は、自分の行為がいかなる結果を引き起こすかについての想像力を著しく欠いているようだ

書評 『それでも戦争できない中国-中国共産党が恐れているもの-』(鳥居民、草思社、2013)-中国共産党はとにかく「穏定圧倒一切」。戦争をすれば・・・
・・「戦争になったら、間違いなく中国共産党は滅びる。中国共産党=中華人民共和国である以上、「亡党亡国」となるのは必定なのである。」

書評 『語られざる中国の結末』(宮家邦彦、PHP新書、2013)-実務家出身の論客が考え抜いた悲観論でも希望的観測でもない複眼的な「ものの見方」
・・この記事に掲載した各種資料を参照

書評 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる-』(石平、PHP新書、2015)-首尾一貫した論旨を理路整然と明快に説く
・・「中華秩序」を破壊したのが近代日本であったという事実。これはしっかりとアタマのなかに入れておかねばならない。琉球処分と日清戦争における日本の勝利によって、「中華秩序」は破壊された。だからこそ、中国の指導者は絶対に日本を許せないのである。」

書評 『中国外交の大失敗-来るべき「第二ラウンド」に日本は備えよ-』(中西輝政、PHP新書、2015)-日本が東アジア世界で生き残るためには嫌中でも媚中でもない冷徹なリアリズムが必要だ

書評 『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』(遠藤誉、WAC、2013)-中国と中国共産党を熟知しているからこそ書ける中国の外交戦略の原理原則

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える

書評 『平成海防論-国難は海からやってくる-』(富坂聰、新潮社、2009)-「平成の林子平」による警世の書
・・海上保安庁巡視艇と北朝鮮不審船との激しい銃撃戦についても言及。海上保安官は命を張って国を守っている!

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論
・・海は日本の生命線!

(2016年7月20日・21日・24日・25日 情報追加)


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2016年7月13日水曜日

朗報! 国際仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が「中国の南シナ海支配にNO」の審判を下した!(2016年7月12日)」


まさに朗報! この審判を待っていたのだ。産経新聞が「号外」を出していることを知ったので、ここに掲載しておこう。【産経新聞号外】 中国の南シナ海支配認めず 仲裁裁判所判決(2016年7月12日)  である。

内容は、中国共産党が主張する「九段線」は認められないというものだ。ちょうど牛タンのような下達をした九段線の内側、つまり南シナ海のほぼ全域を対象に管轄権を主張し、人工島を造成するなど実効支配を強めている中国の主張には歴史的根拠はなく、いっさい認められないという審判内容だ。

中国共産党の主張に国際法上の法的根拠なし! 歴史的根拠なし! 「天網恢々(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏らさず」。このフレースを中国に差し上げようではないか!

発表を受けてフィリピン政府は歓迎の声明、米国政府も審判内容に法的拘束力あり、としている。



このニュースの意味は日本人が想像する以上に大きい。この画像は、シンガポールの Channel NewsAsia のLIVEニュースからキャプチャしたもの(2016年7月12日)。フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシアが直接かかわってくる問題だ。

たしかに東シナ海は、日本にとっての直接的な脅威であるが、南シナ海もまた、日本の生存と密接な関係がある。南シナ海は東シナ海とつながってからだが、それだけではない。

南シナ海は、日本のシーレーンであり、この海域を通過する日本の船舶にとって最重要な海域の一つである。日本の輸出入の7割は海上輸送に頼っており、とくに石油という戦略物資はタンカーによってこのルートを通るのである。原発依存が急減している現在、発電用燃料としての石油依存が高止まりしている現在の日本にとって、南シナ海の平和は、まさに死活的な問題である。

もしこの海域で大規模な武力衝突が発生すれば、輸入物資の高騰が日本人の生活を苦しめることにもなるのである。

(中国が勝手に線引きしている「第一列島線」と「第二列島線」 wikipedia より)

しかし、中国共産党は、審判内容を紙くずだといって強弁している。よほど衝撃が大きいのだろう。犬の遠吠えというやつである。

中国共産党は、南シナ海を「核心的利益」としている。まことにもって勝手な話である。戦前の日本は、満蒙(=満洲と蒙古)を「帝国の生命線」としていた。

そう考えると、2010年代の中国にとって南シナ海は、戦前の1930年代の日本にとっっての満洲と同等の価値と意味をもつことになる。中国にとっての南シナ海は、ある意味では「海の満洲」というべきか。これは単なるアナロジーとして考えるには、あまりにも危険だ。

「連盟よさらば! 我が代表堂々退場す」(1933年)-いかなる「離脱」も戦争の引き金とならないことを願う にも書いたが、国際連盟の常任理事国であったは日本は、満州における利権を批判した英国のリットン調査団の報告書が、常任理事国あった日本の反対を押し切って国際連盟で採択されたため、国際連盟を脱退した。1933年のことだ。

国際連合(=国連)の常任理事国である中国は、2016年に下された 国際仲裁裁判所が「中国の南シナ海支配に法的根拠なし」の審判を拒否して、国際海洋法(?)を離脱することがありえるか?

冷静に思考すれば、そんなことはあり得ないというのが大方の見方であろう。しかし、何度も述べているように、戦前の日本という歴史上の実例がある以上、荒唐無稽な妄論として排除できるだろうか?? たかだか83年前のことである。もちろん当時の生き証人はいないとはいえ、歴史を振り返れば、日本人の多くはこの教訓は身にしみて痛感しているが、中国には通用しない話かもしれない。

日本は、硬軟両面で、中国に国際ルールを守らせることが重要である。おかしな妥協は敗北主義への道である。英国の首相チェンバレンがヒトラーに対して宥和主義で臨んだ「ミュンヘン会談」の轍を踏まないことが重要だ。後悔先に立たず、である。

中国が無法者であることが国際的に明らかになったわけだが、とはいえ、あまり追い詰めすぎると、国際的に孤立した中国が暴発する可能性もある。追い詰めすぎずに国際ルールを学ばせることが求められる。中国にとって面子(メンツ)をつぶさずに妥協できる落としどころを見つける必要があるのだが、難しい課題であることは否定できない。

日本人は、すでに「戦争前夜」であり、「準戦時状態」という覚悟をもたなければならない。いつ戦争になってもおかしくないし、もしかすると自制心を失った中国は、軍事的に敗北するまで目覚めないかもしれないからだ。







<関連サイト>

南シナ海めぐる対立-基礎知識-(NHK)

フィリピンからのメッセージ 「中国に立ち向かいますので応援お願いします」 ついに始まった国家総出の「法律戦」 (松本太、JBPress、2014年4月9日)

中国が渇望する「南シナ海有事」に備えよ 日中外相会談、4時間20分の「先」を読む (福島香織、日経ビジネスオンライン、2016年5月4日)
習近平が局地的な軍事衝突を望んでいるのではないか、と想像するのは、鄧小平の先例に倣おうというのではないか、という見方だ。・・中略・・ 文革終了によって復活した鄧小平は、文革で混乱した軍の整理に着手するが、その過程で自分が信頼する第二野戦軍出身の将校を重用、その人事の正当性を戦争に勝利するという形で認めさせることが軍権掌握の早道であった。・・中略・・ 今の南シナ海は非常に危機的な状況であると認識すべきである。キューバ危機のように、ぎりぎりのところで回避されるかもしれないし、中越戦争のように本当に局地戦が起きるかもしれない。だが具体的なことを少しは想像しておくことだ。

南シナ海問題、裁定を「紙くず」と切り捨てる中国 「アメリカ黒幕説」を展開する理由 (石平、ウェッジ、2016年7月14)
・・「一連の批判の中で、中国政府や国営メデイアは裁定を口々に「茶番」や「紙くず」だと切り捨てている。しかし裁定が単なる「茶番」や「紙くず」なら、中国政府と国営メディアはそこまで猛烈な反撃に出る必要はないだろう。中国側がそれほど神経質になって総掛かりの反撃キャンペーンを展開していること自体、裁定の結果が中国政府にとっての深刻なボディブローとなって効いていることの証拠である。中国政府は当初から、裁定の結果を一切拒否する方針であった。しかしここまでくると、騒げば騒ぐほどいわば「無法国家」としてのイメージを国際社会に定着させていくだけで、中国の国際社会からの孤立はますます進むだろう。」

中国、南シナ海領有権否定判決で日米がとるべき姿勢 (田岡俊次・軍事ジャーナリスト、ダイヤモンドオンライン、2016年7月14日)
・・米中対立は日本には不利。米中の落としどころはどこかを探る

仲裁裁判所の南シナ海判決尊重を フィリピンが中国に呼びかけ (BBCジャパン、2016年7月14日)

「全面敗北」皮肉な結果を生んだ強国路線のツケ 南シナ海仲裁判決を絶対受け入れない習近平の危機感 (城山英巳、ウェッジ、2016年7月16日)
・・「中国は西側諸国から圧力が加えられればより意固地になり、独自の道を歩む。習近平指導部は「宣伝戦」「外交戦」「軍事戦」を駆使し、伝統的な「統一戦線」と「持久戦」で危機を乗り切る戦略を展開するだろう。」

南シナ海仲裁判決、中国の「次の一手」に備えよ 「判決無視」を許せば、世界は暴走を止める術を失う (福島香織、日経ビジネスオンライン、 2016年7月20日)
・・「中国側は、南シナ海判決については、世界60か国近くが中国側を支持し、日本の平和主義的元首相も判決がアンフェアだと見ていることなどを根拠に、正義は中国にあり、国際常識・国際秩序のルールメーカーは中国であるとの立場を国内で喧伝しているわけである。これは従来の国連主導、米国主導の国際秩序、国際常識に対するある種の“宣戦布告”ともいえる。・・中略・・ 現在の国際ルールは、すでに無力化し、強大な軍事力と経済力を持つ国が粗暴な恫喝と懐柔で、新たなルールメーカーになろうとしている。南シナ海における今の中国の動きは、そういう意味もあるのだと想像する。」

どう動くのか中国、南シナ海の判決受け (中国問題研究家・遠藤誉が斬る、2016年7月13日)
・・「ここまで明確に、しかも断定的に言い切る判決が出たことは、世界にとっても「爽快な驚き」をもたらすものだが、南シナ海の領有権を軸の一つとして世界への覇権を主張することによって国内における求心力を高めようとしてきた習近平政権にとっては、計り知れない打撃だ。一党支配体制を揺るがしかねない。常設仲裁裁判所は、国際司法裁判所と違って、国連の管轄下ではない。そのため、異議があった時に国連安保理理事会に申し立てることはできないし、また国連加盟国であるが故の拘束力は持ちえない。さらに国際司法裁判所なら提訴されたときに「受けない」と拒否できるが、常設仲裁裁判所の場合は、裁判所に判断が委ねられるために拒否できないのだ。今般のフィリピンの提訴は、二つの点において実に賢明であった。・・中略・・ アメリカはレーガン大統領当時、国連海洋法条約に反対だった。アメリカの安全保障と商業的な利益に損害を与えるというのが理由だった。だから最初は加盟していたのに脱退している。オバマ大統領は加盟(批准)に積極的だが、上院下院の保守派の抵抗勢力の賛同を得られないまま、こんにちに至っている。その意味でアメリカは、実は中国を責められる立場にはなく、中国はその弱点をしっかりつかんで、アメリカの真似をしようと虎視眈々と「なし崩し」を狙っているのである。」

(2016年7月17日・20日・24日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『中国4.0-暴発する中華帝国-』(エドワード・ルトワック、奥山真司訳、文春新書、2016)-中国は「リーマンショック」後の2009年に「3つの間違い」を犯した

「連盟よさらば! 我が代表堂々退場す」(1933年)-いかなる「離脱」も戦争の引き金とならないことを願う

「意図せざる結果」という認識をつねに考慮に入れておくことが必要だ
・・どうも中国は、自分の行為がいかなる結果を引き起こすかについての想像力を著しく欠いているようだ

書評 『それでも戦争できない中国-中国共産党が恐れているもの-』(鳥居民、草思社、2013)-中国共産党はとにかく「穏定圧倒一切」。戦争をすれば・・・
・・「戦争になったら、間違いなく中国共産党は滅びる。中国共産党=中華人民共和国である以上、「亡党亡国」となるのは必定なのである。」

書評 『語られざる中国の結末』(宮家邦彦、PHP新書、2013)-実務家出身の論客が考え抜いた悲観論でも希望的観測でもない複眼的な「ものの見方」
・・この記事に掲載した各種資料を参照

書評 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる-』(石平、PHP新書、2015)-首尾一貫した論旨を理路整然と明快に説く
・・「中華秩序」を破壊したのが近代日本であったという事実。これはしっかりとアタマのなかに入れておかねばならない。琉球処分と日清戦争における日本の勝利によって、「中華秩序」は破壊された。だからこそ、中国の指導者は絶対に日本を許せないのである。」

書評 『中国外交の大失敗-来るべき「第二ラウンド」に日本は備えよ-』(中西輝政、PHP新書、2015)-日本が東アジア世界で生き残るためには嫌中でも媚中でもない冷徹なリアリズムが必要だ

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える

書評 『平成海防論-国難は海からやってくる-』(富坂聰、新潮社、2009)-「平成の林子平」による警世の書
・・海上保安庁巡視艇と北朝鮮不審船との激しい銃撃戦についても言及。海上保安官は命を張って国を守っている!

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論
・・海は日本の生命線!

(2016年7月20日・21日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)









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2013年4月7日日曜日

フィンランドのいまを 『エクセレント フィンランド シス』で知る ― 「小国」フィンランドは日本のモデルとなりうるか?



Vol. 6 まで発行されてきた 『もっと知りたい エクセレントフィンランド シス』(シルバーストーンJP)、しばらく発行されないので休刊になったのかと思っていたら、Vol.7 が 2012年9月に発行されていた。

ビジュアルが美しく、記事内容も充実した大判のムック形式の保存版の雑誌である。わたしも Vol.1 からすべてのバックナンバーを保管している。

SISU(シス)とはフィンランド語で、「目標に向かって粘り強く、不動さ、寛容さをもって「ガンバル」ことを意味するフィンランド魂」(編集部)を意味している。日本語でいえば「ど根性」に該当するのだろうか、まさに苦難の歴史を歩んできた小国フィンランド民族ならではの不屈の精神である。

Vol.1からVol.7までのタイトルを紹介しておこう。

Vol. 1 特集 フィンランドを解く鍵(2000年1月)
Vol. 2 特集 生活に定着した IT 社会(2001年2月)
Vol. 3 特集 人はすべて森の客人(2002年2月)
Vol. 4 特集 フィンランドの「美」と「健康」(2003年3月)
Vol. 5 特集 情操空間への飛翔(2004年7月)
Vol. 6 特集 世界一の義務教育(2005年6月)

最新号では、いま日本でも関心の高いエネルギー問題に多くのページを割いている。IT で世界をリードしていた時期、教育メソッドが大いに話題になっていた時期のあと、いま日本で関心の高い事項がエネルギー問題であるためだろう。

「特集 10万年後の幸福」は、「再生可能エネルギーと原発の調和」という副題を伴っている。「10万年後」とは、使用済み核燃料の処理貯蔵施設オンカロの耐用年数のことだ。

フィンランドはエネルギーの30%を原子力でまかなっている。最大の40%は火力で、水力が17%、再生可能エネルギーが14%になっている。

アイスランドを含めた北欧5カ国のエネルギー事情が説明されているが、置かれている条件によってそれぞれエネルギーミックスの比率が大きく異なることがわかる。北欧とひとくくりにはできないのが現実だ。

エネルギー庁長官のインタビュー発言によれば、政府は推進も広報活動もせず、規制や行政管理に徹しているのだという。フィンランドは「脱原発」の考えはない、という。現在4基ある原発にさらに1基を新造し、2014年から供給開始の予定だという。ただし日本のような運営形態ではない。あくまでも民間電力会社による意思決定で、国家として原発政策を推進しているわけではない、という。

フィンランド政府が原発を推進しているのは、北極に近いので化石燃料に依存していてはオゾン層破壊の恐怖が高く、核燃料廃棄物の処理施設があり、自国内ですべてを関係する姿勢をもっているからだ。これは地震多発国の日本では考えられないことだ。

フィンランド国民は、政府のエネルギー政策を信頼しているというのは日本国民としては驚きを感じる。民主主義が成熟しているフィンランドは、日本のような「安心」依存社会ではなく、対話をベースにした「信頼」社会ということなのだろう。

自分のアタマで考えて自分で意思決定するという姿勢が徹底しているフィンランド。日本とは異なる政策を採用しているとはいえ、学ぶべきものは多い。もちろん、自分自身のアタマで考えてその是非を考えたうえで取捨選択すべきことは言うまでもない。


フィンランドの地政学的条件と苦難の歴史

「小国」フィンランドは「小国」日本のモデルとなりうるか考えるためには、フィンランドの地政学的状況からくる苦難の歴史について知っておかねばならない。

北欧諸国としてひとくくりにされることの多いフィンランドだが、バイキングの末裔であるデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドとは違って出自はアジア系の民族である。金髪に色白の白人なのでほんとにアジア系(?)と思うのだが、フィンランド語はインド・ヨーロッパ系言語とはまったく異なる言語である。バルト海対岸のエストニアが近い民族である。

600年近いスウェーデンの統治下のあとロシア帝国に支配されていたが、第一次世界大戦とロシア革命の混乱のなか独立を宣言、1917年12月6日(・・奇しくもわたしの誕生日でもある!)に民族の独立を勝ち取り、国家建設を開始した「若い国」である。

シベリウスの名曲「フィンランディア」がフィンランド民族の独立意識を高めたことは有名だ。また、日露戦争における「明石工作」もフィンランド独立に貢献している。

しかし、隣国を選ぶことはできないのが地政学的宿命だ。隣国は超大国ソ連(=ロシア)である。第二次大戦ではソ連との死闘を戦い抜き、からくも独立は維持したものの領土を失い、政治的リアリズムの観点から、いわゆる「フィンランド化」(Finlandization)のもとソ連の影響圏のなかで主体的に生き残る政治的選択を行う。

1991年のソ連崩壊によってただちにEUに加盟しヨーロッパ世界に復帰、しかしソ連という主要な市場を失って壊滅的な未曾有の経済危機に陥るが、国家主導で政治経済政策を大転換、民間企業ではノキアが大胆な企業変革を断行し、「選択と集中」によって情報通信産業に事業を絞り込んで携帯電話で大成功を収め、フィンランドの名を再び世界的なものとした。OSのリナックスもまたフィンランド発である。

日本が不良債権問題に苦慮していた1990年代、モデルとして話題になったのがフィンランドをはじめとする北欧の金融改革であったことも思い出しておきたい。

『クオリティ国家という戦略』で、大前研一氏は携帯電話大手の世界企業ノキアの成長が減速し弱体化したのちのフィンランドは、予想に反してさらに発展していると書いている。ノキアに在籍していた人たちがベンチャーとしてスピンオフして起業しているという。すでに IT関連のクラスター(産業集積)が形成されているからだ。世界的に拡がっているモバイルゲーム「アングリーバード」もそうした流れの一環にある。

まさに SISU(シス)を発揮した不屈の精神ではないか! 


「小国」が生き残るには人材育成に投資するしかない

フィンランド人にはほんとうに驚かされることが多い。

かつてMBA留学した際に、語学研修中のカリフォルニア大学バークレー校のサマー・エクステンションで出合ったフィンランド人女性との会話がわたしのアタマのなかにこびりついている。

アメリカ人並みに流暢な英語をあやつる彼女に、「なぜそんなに英語ができるのか?」とたずねたら、その答えは、「フィンランドは国が小さいので、外に出ていくしかないから」というものだった。フィンランド語はフィンランドを一歩出たら通じないのである。

北欧のデンマーク人は世界でもっとも英語がうまいと個人的に考えているが、フィンランド語は英語とはまったく構造が異なる言語であるのにかかわらず英語をしゃべるのはそういう理由があるのだ。日本人が英語ができないというのは甘えに過ぎないというべきだろう。ただし、人口規模500万人強という「フィンランド語市場」が小さいのはデメリットではある。

また、ソ連崩壊後のことだが、ロシアの古都サンクトペテルブルクのフィンランド駅から直通列車でフィンランドの首都ヘルシンキまで行ったことがある。そのときのフィンランドに入国してからの車掌の男性がスゴかったのだ。

わたしの隣席にいたのはロシア人だったのでロシア語で話しかけていたのはとくに驚きはなかったが、わたしにはなんと日本語で話しかけてきた! さすがにこれには隣席のロシア人と顔をあわせて驚きあったものだ。車掌に聞いてみたらなんと独学だという。ちなみにロシア人とはわたしは英語でしゃべっていた。

余談だが、フィンランドはロシア帝国の支配下にあったのでレール幅は広軌で統一されている。だから対人地雷が非人道的だということは知りながら、国防の観点から廃絶には断固反対しているのである。

国家が生き残るのは人材次第ということである。「クオリティ国家」としてのフィンランドとフィンランド民族。ここ数年、日本でも話題になっている教育だけでなく、フィンランドは今後も大いに注目し研究してい対象である。


 『もっと知りたい エクセレントフィンランド シス』には、エネルギー問題のほかフィンランドのビジネスや文化についての好記事がたくさん掲載されている。「大国」ロシアを挟んだ「隣の隣の小国」フィンランドについて知るために、ぜひ一度手にとってみてみるとよいでしょう。





「エクセレント フィンランド シス Vol.7」 目次

ヤリ・グスタフソン駐日フィンランド大使-今、フィンランドが考えていること
ミラクルを運ぶ鳥たち-アングリーバード
10万年後の幸福-再生可能エネルギーと原発の調和
自然は生命の賛歌(企業紹介3社)
美の真価を追い続ける「少年」
湖水の楽園 KUOPIO
あらたなネットワーク社会の到来(ノキア シーメンス ネットワークス)
世界を飛翔するトップ企業のグローバル戦略(コネクレーンズ)
WORLD DESIGN CAPITAL HELSINKI 2012-デザインで社会を変革
進化するヘルシンキ
北極圏が描く魅惑の街ロヴァスエミ
サンタクロースの夏休み
フィンランドの巧みな外交政策(石野裕子)
「私と日本」-フィンランド人が見た日本(橋本ライヤ) 

なお、『フィンランドを知るための44章』(百瀬宏・石野裕子=編、明石書店、2008)もあわせておすすめしたい。



<関連サイト>

「バークレー白熱教室 大統領を目指す君のためのサイエンス」(NHK Eテレ 2013年4月~5月)
・・フィンランドには直接は関係ないがエネルギー問題の基礎を知ることができるすぐれた内容の番組

ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密 「ノキアの国」が、今ではベンチャー企業の集積地に
(東洋経済オンライン 2013年12月2日)


<ブログ内関連記事>

「MOOMIN!ムーミン展-トーベ・ヤンソン生誕100周年記念-」(松屋銀座)にいってきた(2014年4月23日)

書評 『クオリティ国家という戦略』(大前研一、小学館、2013)-スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」に次の国家モデルを設定せよ!

毎年恒例の玉川大学の「第九演奏会」(サントリーホール)にいってきた(2012年12月9日)-ことしはシベリウスの交響詩 『フィンランディア』!
・・腹の底から元気の出る「フィンランディア」

書評 『リスクに背を向ける日本人』(山岸俊男 + メアリー・ブリントン、講談社現代新書、2010)

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む

「チェルノブイリ原発事故」から 25年のきょう(2011年4月26日)、アンドレイ・タルコスフキー監督最後の作品 『サクリファイス』(1986)を回想する

スリーマイル島「原発事故」から 32年のきょう(2011年3月28日)、『原子炉時限爆弾-大地震におびえる日本列島-』(広瀬隆、ダイヤモンド社、2010) を読む

(2014年4月24日 情報追加)


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2013年4月6日土曜日

書評『クオリティ国家という戦略 ー これが日本の生きる道』(大前研一、小学館、2013)ー スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」に次の国家モデルを設定せよ!



小国モデルを次の発展モデルとするため、具体的方法論にまで踏み込んだ注目の提言だ。

「クオリティ国家」とは、スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」のことだ。いずれも人口規模は300万人から1,000万人と小規模だが、一人当たりGDPは日本よりも高く400万円以上ある質の高い国家である。

スイスについては言うまでもないだろう。話題のシンガポールについても同様だ。そして、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンといった北欧諸国もまたクオリティ国家である。これらの小国は国家そのものにブランド力がある。

だが、いずれも「小国」として生き残るためには、なりふり構わぬ策をとって局面打開してきたことに注目する必要がある。国民皆兵のスイスだけでなく、徴兵制のあるシンガポール、そして北欧諸国もみな小国という不利な条件でありながらサバイバルしてきた。だからこそ、経済的なチカラをつけ、自分の国は自分で守るという姿勢を徹底しているのだ。

こう考えていくと、明治維新後の日本もそうだったのではないかと思わざるを得ない。「第二次グローバリゼーション」という弱肉強食の欧米列強が支配する海に跳びこまざるを得なくなった日本はいかに戦い抜いてきたことか。

日本は「大国」を目指すべきか、「小国」として生きるべきかという議論が開国後の明治時代のはじめから続いている。日本の国家モデルは、明治以降の富国強兵という「帝国主義」、そして敗戦による破綻。その後の「加工貿易立国」モデルの大成功、そして成功のワナにかかったまま停滞をつづけている国家ビジョンなきまま推移する現状。

一方、石橋湛山(いしばし・たんざん)のように「小日本主義」という文言で「小国主義」を主張してきた民間エコノミストもあいる。敗戦後の日本で自民党の首相になったが、病気のためわずか2カ月で退陣を余儀なくされたのだが。

著者は、そういった政治思想史の文脈とは関係ない地点から「クオリティ国家」論を打ち出している。つまり、グローバル経済のなかでサバイバルするためのビジョンと戦略の観点からである。従来の「小国主義」にみられた委縮しがちな消極主義ではない。むしろ積極的な攻めの戦略だ。

いま世界は「ボリューム国家」と「クオリティ国家」に二極分化しており、日本はどっちつかずの状態になってしまっている。これは企業戦略論でいう "stuck-in-the-middle" すなわち中途半端な宙ぶらりん状態である。人口減少傾向にあるとはいえ、まだまだ1億人以上の人口をもつ日本は適度にマーケットが大きいので中途半端なまま、あらたな国家モデルを打ち出せずにいるのだ。

そのワナから抜け出すために、「道州制」を前提にして「クオリティ国家」を目指せというのが著者の主張である。北海道、東北道、関東道、北陸道、関西道、中国道、四国道、九州道。同州単位であれば、500万人から1,000万人の人口規模となるので、外形基準的には「クオリティ国家」の前提を満たすことになる。

とくに、P.195から196に掲載されている「図15 人口500万人規模の道州でも、その気になればクオリティ国家になり得る」が興味深い。各クオリティ国家と各道州を、タテ軸に一人当たりGDP、ヨコ軸に人口規模をとったマトリックスにプロットしたものである。この図表で感覚的に把握することが可能となる。

「ボリューム国家」の中国や米国も、じつは小国の集合体という指摘も重要だ。ジャーナリストの本多勝一にならえば、連邦制の USA は「アメリカ合"州"国」である。中国は連邦制はとっていないが、漢字という共通表記をもった、それぞれ異なる言語をしゃべる民族集団の集合体である。

だが、道州制でクオリティ国家が実現するかといえば、そう簡単な話でないことは著者も十分に認識ているようだ。ボトルネックは教育問題。教育の効果がでてくるのは10年から20年の話であるから、予備校のCMではないが、「いつやるの? いまでしょ!」でなくてはならない。

「クオリティ国家」というモデルを打ち出したことで、「道州制」の議論はより明確なものとなったといえる。ぜひ著者の議論を追いながら自分のアタマで検証してほしいと思う。





目 次

序章 「中途半端な国」になってしまった日本
第1章 世界の変化-世界で台頭する新たな国家モデル
第2章 実例研究1-クオリティ国家の代表格、スイスを現地視察
第3章 実例研究2-「事業戦略型国家」シンガポールの工夫
第4章 実例研究3-日本が学ぶべきクオリティ国家のしたたかさ
第5章 進むべき道-日本新生への新たなビジョン「クオリティ国家」戦略


<関連サイト>

大前研一「クオリティ国家という戦略」特典映像(2分サンプル) (YouTube映像)

ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密 「ノキアの国」が、今ではベンチャー企業の集積地に
(東洋経済オンライン 2013年12月2日)


<ブログ内関連記事>

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために・・スイスを考えるための読書案内

評 『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)-「欧州の小国スイス」から、「迷走する経済大国・日本」は何を教訓として読み取るべきか・・とくにブランドという側面についてスイスを深堀した本である

書評 『ハーバードの「世界を動かす授業」-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-』(リチャード・ヴィートー / 仲條亮子=共著、 徳間書店、2010)
・・シンガポールモデルについて詳細に解説。日本モデルの大成功とその後の停滞についても

新装刊の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年7月号を読む-今月号の特集は「アップルが、世界を変える」
・・デンマークについて書いてある 

フィンランドのいまを 『エクセレント フィンランド シス』で知る-「小国」フィンランドは日本のモデルとなりうるか?

IKEA (イケア) で北欧ライフスタイル気分を楽しむ-デフレ時代の日本に定着したビジネスモデルか?

「いまこそ高橋亀吉の実践経済学」(東洋経済新報社創立115周年記念シンポジウム第二弾) に参加してきた-「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」・・石橋湛山と高橋

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために
・・いかに優秀な人材を日本に呼び込めるかがカギなのだが・・



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2011年5月17日火曜日

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために


    
 先週金曜日(2011年5月13日)のメルマガ KON362【「津波プレイン」で復興へ~スイスのように国民の自立を促す政策が必要だ】~大前研一ニュースの視点で、大前研一さんが「小国スイスに学べ」という趣旨のことを書いていました。

 ちょっと長くなりますが、メルマガの後半部分のスイスにかんする文章を引用させていただきます。


▼ 日本復興にあたって、スイスは研究する価値がある
-------------------------------------------------------------------

 これから日本の復興を考えていく際、スイスという国は研究に値すると私は思っています。

 日本に負けず劣らず資源が少ない国なのに、世界のトップ企業が数多く存在している国です。海外の成功事例として、日本にとっては参考にしたいところです。

 スイスは、国が小さい上に周囲を大きな国で囲まれているという特徴があります。国土の点から見るとオーストリアなど今は比較的小さい国ですが、かつてはオーストリア=ハンガリー帝国という巨大国家として君臨していました。

 そのような環境の中で、スイスはいつでも自分たちが征服されるかもしれないという恐怖を抱え、そして緊張感を持ち続けたのだと思います。国民皆兵制度にも、こうした歴史的な背景が影響しているのでしょう。

 国民性を見ると、まず非常に「国際的」です。スイスの中では、それぞれの地域で主要言語として、フランス語、ドイツ語、イタリア語に加え英語も話されています。

 多国籍企業も多く、海外に勤務している国民も多数います。この点、英語も話せずにドメスティックに過ぎる日本人とは正反対だと言えるかも知れません。

 また直接民主主義ということもあって、驚くほどに「議論」をする国民性を持っています。私は学生の頃ルームメイトにスイス人がいましたが、彼らの議論に向かってくる姿勢は全く日本人と違っていて驚きました。

 そのスイス人の友人とは未だに交友関係がありますが、今でも会えば議論になります。一緒に散歩に出掛けても、散歩の間に議論をけしかけてくるほどです。昔を懐かしむ話をする余裕などまるでありません。

 これがスイス人としての標準で、街の中でも平気で議論しますし、政治経済の事柄に限らず様々なテーマを扱います。

 日本人の国民性とは相当に違いますので、一朝一夕にスイス人のようなメンタリティを身に付けることは難しいかもしれません。そして、もちろんスイスの全てが成功事例という訳でもありません。

 しかしそれでも、研究する価値は十分にあると私は思っています。日本がこれから復興の道を歩んでいくにあたって、スイスという小国 がどのように発展してきたのか、それを学びとしてもらいたいと思います。

(出典)KON362【「津波プレイン」で復興へ~スイスのように国民の自立を促す政策が必要だ】~大前研一ニュースの視点 (2011年5月13日)


 大前さんが書かれているとおり、「直接民主制」のスイスは、大国に周囲を囲まれた小国のためでしょう、「国民皆兵」であるだけでなく、議論するチカラによっても「武装」しているというわけですね。

 ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語と、公用語が 4つあるスイスでは、現在は英語が普及した結果、自分の母語以外に公用語を覚えようとしないという問題点も出てきているようですが、それでも平均的な日本人よりは、はるかに「国際的」であることは、一度でもスイスを訪問したり、スイス人とかかわったことがあればわかることだと思います。

 もちろん、日常使用しているコトバの影響は思っている以上に大きいものがあり、ドイツ語を母語とするスイス国民と、フランス語を母語とするスイス国民とでは、文化面でも、気質の面でも違いがあるようですが、それでも「盟約によって成立したスイス」という国においては、スイス国民は団結するときは団結するのです。

 フランス語世界の啓蒙思想家ジャン・ジャック・ルソーのいう「社会契約論」そのものですね。「直接民主制」の背景にはこの思想があります。ちなみに、ルソーはフランス人ではなく、フランス語圏のジュネーヴ出身で時計職人(!)の子として生まれたスイス人です。

 「盟約という社会契約によって成立したスイス」は、「在りて在る日本」のような自然発生的な国家とは異なりますが、それでも周囲を米国や中国やロシアといった「大国」にかこまれた「小国」という点においては、共通するものがあるといっても間違いはありません。スイスも欧州の「陸の孤島」と形容されることもある、欧州の交通の要衝(ようしょう)でありながら、アプローチがかならずしも容易ではない「山岳国家」です。

 スイスについては、わたしもブログに「書評」という形式をつかって、何本か記事を書いていますので、この場を借りて整理して紹介いたします。


書評  『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)
・・ビジネスパーソンにとっては「ブランド王国スイス」という捉え方が面白い

書評 『マネーの公理-スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール-』(マックス・ギュンター、マックス・ギュンター、林 康史=監訳、石川由美子訳、日経BP社、2005)
・・「マネーの防衛」というのがスイス流の投機。セキュリティの観点から投資と投機を考える

書評 『民間防衛-あらゆる危険から身をまもる-』(スイス政府編、原書房編集部訳、原書房、1970、新装版1995、新装版2003)
・・スイスといえば、いまでは「国民皆兵」は日本人の常識になったことと思う。スイス人の家庭には、一家に一冊備え付けなのが、この本と銃器一式!

書評 『スイス探訪-したたかなスイス人のしなやかな生き方-』(國松孝次、角川文庫、2006 単行本初版 2003)
・・とはいえ、スイスも曲がり角にきていることが、スイス大使として赴任した國松元警視庁長官のやわらかな筆致で描かれている

1980年代に出版された、日本女性の手になる二冊の「スイス本」・・・犬養道子の『私のスイス』 と 八木あき子の 『二十世紀の迷信 理想国家スイス』・・・を振り返っておこう
・・現在から30年前はまだスイスは観光先としてしか認識されていなかったようだ。そういう現状認識への異議申し立ての内容でもある

「急がば回れ」-スイスをよりよく知るためには、地理的条件を踏まえたうえで歴史を知ることが何よりも重要だ
・・欧州の「陸の孤島」とも形容されるスイス、まずは地形を知り、歴史を知るのが「急がば回れ」となる


 「小国」日本の将来を考えるあたって、わたしは、いい意味も悪い意味もふくめて、さらには「反面教師」としての意味においても、英国、スイス、イスラエル、ポルトガルを徹底研究することが重要だと考えています。

 このうちスイスについては、上記の記事を参考にしていただけると、執筆者としては幸いこれに過ぎるものはありません。



PS その後に書いたブログ記事を追加しておきます。(2014年6月2日 記す)

書評 『ゲームのルールを変えろ-ネスレ日本トップが明かす新・日本的経営-』(高岡浩三、ダイヤモンド社、2013)-スイスを代表するグローバル企業ネスレを日本法人という「窓」から見た骨太の経営書
・・スイスを代表するグローバル企業(多国籍企業)ネスレは、米国流とは異なる経営

映画 『アルプス-天空の交響曲-』(2013、ドイツ)を見てきた(2015年5月28日)-360度のパノラマでみる「アルプス地理学」

ペスタロッチは52歳で「教育」という天命に目覚めた
・・「預言者故郷に容れられず」という格言があるが、理想主義者のペスタロッチの試みは、すくなくとも生前においては故国のスイスでは受け入れられなかった。」

「チューリヒ美術館展-印象派からシュルレアリスムまで-」(国立新美術館)にいってきた(2014年11月26日)-チューリヒ美術館は、もっている!

「フェルディナント・ホドラー展」(国立西洋美術館)にいってきた(2014年11月11日)-知られざる「スイスの国民画家」と「近代舞踊」の関係について知る

(2016年3月7日 情報追加)


<関連サイト>

Swissinfo.ch (スイス放送協会が発信するネットのスイス情報 日本語)
・・「スイスのニュースやビジネス情報、文化、スポーツ、天気予報を提供するプラットフォームです。スイスをあらゆるアングルから捉えた最新情報を日本語で、全世界の読者の皆様にお送りします」(ウェブサイトより)


企業の楽園としてのイメージを失うスイス-国民投票で移民規制を承認、企業や富に対する態度に変化か? (JBPress 2014年2月17日 Financial Times 翻訳記事)
・・「スイス企業に深刻な打撃を与える可能性があるとの警告にもかかわらず、スイスはぎりぎりの過半数で欧州連合(EU)からの移民に割り当てを課すことを決定したのだ・・(中略)・・総合すると、様々な投票は、企業や富に対するスイス国民の態度に根本的な変化があったのではないかという疑問を提起している。」 
金融覇権も失い、そのうえ人材面でも大きな問題を抱えつつあるスイス。直接民主制の弊害も「指摘されている

移民急増を拒絶したスイス国民投票の衝撃-5月の欧州議会選挙で右派勢力に追い風か (熊谷 徹、日経ビジネスオンライン、2014年2月20日)
・・つまりこの国民投票は、グローバル化によって利益を得る大都市の住民と、グローバル化に対して不安を抱く地方在住の市民の対決でもあったのだ」。 

大量移民制限案可決の影響-二つの経済課題に直面するスイス連邦政府-(JETRO、 2014年11月 Pdfファイル)
・・「2014 年2月9日に実施された国民投票で、外国からの大量移民の受け入れ人数を制限す るイニシアティブ(国民発議)がスイス国民の 50.3%の賛成を得て可決された。・・(中略)・・ 改正内容は、スイスで滞在あるいは働く外国人の総数と毎年の受け入れに対し、 数量枠を設けることを規定するものだ。その最大の特徴は、これまで、数量枠の対象とは なっていなかった EU 及び EFTA の加盟国(欧州経済領域)の国籍者に対しても、受け入 れ数に上限を定めることになるという点だ。スイスと EU 間で締結した協定にある「人の 移動の自由」に反する内容である。」

ベーシック・インカム導入案、反対大多数で否決(Swissinfo.ch、2016年6月5日)
・・「働いているか、いないかに関わらず、国民全員に生活に必要最低限のお金を支給するベーシック・インカム(最低生活保障、最低所得保障)導入案は、反対約8割で否決。公共サービスの改善を求めたイニシアチブ(国民発議)と道路財源を巡るイニシアチブも否決。難民法改正案および着床前診断に関する法案は可決された。


(2014年2月18日 項目新設)
(2014年11月21日、2015年9月24日、2016年6月28日 情報追加)

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