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2024年4月18日木曜日

書評 『伊藤忠 ー 財閥系を超えた最強商人』(野地秩嘉、ダイヤモンド社、2022)ー 伊藤忠160年の歴史から導きだされた「か・け・ふ」は「ビジネス三原則」だ!

 


伊藤忠160年の歴史を、創業時の「近江商人」としてのルーツから、最強商社となった2020年代の現在までたどった企業ストーリーものである。

総合商社のなかでは伊藤忠がダントツに面白い。そう感じるようになっていったのは、読書家としても有名な丹羽正一郎氏が社長となってからのことだ。そして、現在は会長になっている岡藤正広氏が社長になってから、さらに面白くなった。

その意味では、本書はちょっとヨイショ本的な印象がなくはないが(笑)、ストーリーテラーとして企業活動に寄り添い、ポジティブな側面を見ようという姿勢は、けっして悪いものではない。揚げ足取りが目的のジャーナリスト的な批判本ではない。 

わたしが就職活動をやっていたその昔、1980年代の前半には「商社冬の時代」と言われていたが、それでも商社を目指す学生は物産か商事、つまり三井物産か三菱商事のどちらかしか念頭になかった。いずれも財閥系である。 

「糸へん商社」として低く扱われていた伊藤忠が、ビジネス世界を超えて、一般的にも有名になったのは瀬島龍三氏の存在が大きかったように思う。元エリート陸軍参謀でシベリア抑留10年という人物。山崎豊子の『不毛地帯』のモデルとなった人物だ。 

だが、本書においては瀬島氏はあくまでも傍流という位置づけであり、その点は著者の見識といってもいいと思う。伊藤忠の本流は「商人」であり、それは創業時から一貫したものであるのだ。

現在は会長の岡藤氏が繊維畑の営業マンとして頭角を現したのは、紳士服の服地にブランドをつけて売るという「販売イノベーション」を行ったことにある。 

その気づきを得たエピソードと、業界に先駆けて仕組みを構築した先見性は注目に値する。成長性が低いと見なされがちの既存の業界も、やり方次第であらたな展開が可能なのだ、ということを示しているからだ。

 岡藤氏は、大阪出身で東大出であるが、海外駐在経験もなく、経営企画も経験しておらず、大阪で伊藤忠の祖業である繊維営業一筋でやってきた人であるらしい。そんな人を社長として抜擢した伊藤忠という会社は面白い。あくまでも本流は「商人」なのである。 

それにしても岡藤氏が打ち出した「か・け・ふ」というフレーズは、内容からいっても、コミュニケーションの点からいっても、じつにすばらしい。 

「か」は「稼ぐ」の「か」、「け」は「削る」の「け」、「ふ」は「防ぐ」の「ふ」の略である。

稼ぐ、削る、防ぐ。稼ぐ力があっても、削れるコストを削らなくては利益が確保できない。非常事態が発生しても即座に対応できなくては、企業を守ることはできない。伊藤忠160年の歴史から導きされたビジネス三原則である。 

「か・け・ふ」は、まさにこれこそ商売の要諦、どんなビジネスでも共通するものだな、と。いや、ホームエコノミクスである家政にも応用可能だろう。 


そして、基本に忠実に、基本を徹底する。これができるかどうかで、企業の命運は分かれる。 

本書もまた、学ぶべきものは多い、しかも読みごたえのある本であった。  


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目 次
プロローグ 社員との約束 
第1章 伊藤忠の原点 
第2章 財閥系商社との違い 
第3章 戦争と商社 
第4章 総合商社への道 
第5章 高度成長期における商社の役割 
第6章 自動車ビジネスへの挑戦 
第7章 オイルショックの衝撃 
第8章 下積み時代の教訓 
第9章 バブルの残照 
第10章 商社の序列 
第11章 コンビニ事業への参入 
第12章 ITビジネスへの飛躍
第13章 か・け・ふ 
第14章 あるべき姿とめざすべき姿
第15章 日本と総合商社
第16章 CEOの決断
エピローグ 花見と桜と

著者プロフィール
野地秩嘉(のじ・つねよし)
ノンフィクション作家。1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経て現職。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸能、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



・・「「日本探検-事務革命」には、総合商社伊藤忠の伊藤忠兵衛が登場する。若き日に欧米を体験して、ローマ字による事務処理が日本語の漢字かなまじり文の事務処理とは、段違いに効率的であることを痛感していた伊藤忠兵衛は、熱心なカナモジ論者となり、社内でもカナモジ化をみずから推進したのであった。梅棹忠夫は、この二代目伊藤忠兵衛(1886~1973)を隠居先に訪問してくわしく話を聞き取っている。」

(2025年7月22日 情報追加)


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2009年6月7日日曜日

NHKスペシャル 「シリーズ JAPANデビュー」 第3回 通商国家の挫折(2009年6月7日)は面白い試み



           
 NHKスペシャルに「シリーズJAPANデビュー」というものがあり、本日(2009年6月7日)はその「第3回 通商国家の挫折」というテーマで放送された。
        
 民間企業である総合商社、三井物産という一企業の歴史に寄り添って近代日本を描く試みは、NHKにしては面白い試みである。73分番組というのも、通常の50分番組より内容を濃くできる。
 
 前回の台湾の話が、戦前の日本語教育を受けた台湾人にではなく、中国政府に肩入れするような内容になっており、取材された台湾人自身が編集で発言を捻じ曲げられて怒っている、ということを別の機会に知った。
 番組内容がかなりの批判にさらされていただけに、第三回はどういう姿勢で臨むのか注目していた。

 一言いっておくと、この番組の基本認識に誤りがあるのは、日本のグローバル・デビューが幕末の開国後であるとしている点である。
 正確にいうと、戦国時代末期から鎖国にいたるまでの16世紀から17世紀前半まで、日本はグローバル・プレイヤーであったのであり、したがって開国後「再デビュー」した、というのが正しい認識である。

 だから、そもそも、番組のタイトル「JAPANデビュー」に誤りがあるのだ。

 「JAPAN再デビュー」あるいは「JAPAN 第二次グローバル・デビュー」とでもすべきなのだが、まあ、目くじらを立てるのはやめておこうか。


 本日の番組の基本コンセプトは、番組にも出演している三井物産戦略研究所会長の寺島実郎氏の見解にそっている。

 乱暴に要約すると、中国市場をめぐる日本とアメリカの争奪戦が大東亜戦争の引き金になった、ということである。

 開国後、遅れてグローバル競争市場に参入した日本は、もっとも至近で最大の市場である中国では英国に遅れることなんと40年(!)、この遅れを取り戻すために、日本政府と民間企業である三井物産が二人三脚で中国市場を開拓をした事実。

 日露戦争によって権益を確保した満洲では、綿密な市場調査に基づき綿製品ではアメリカ製品を駆逐世界恐慌後には高橋是清蔵相が主導した円安政策によって、綿布の輸出では英国を抜いて世界トップシェアを築き上げたことが描かれていた。

 日本の国策に寄り添う形で発展していった総合商社は、もちろん三井物産だけではないが、ストーリーの明確化は必要である。

 重工業時代を迎え、動力源が石炭から石油に転換された燃料革命において、とくに大きな問題に直面したのが海軍である。

 日本は、ほとんど石油を産出しない。第一次大戦の際、フランスの首相クレマンソーがいった「石油の一滴は血の一滴」という有名なコトバにもあるように、石油が死活的な意味をもつと気がついた時にはすでに遅し、世界の石油産業は、米国のスタンダード(現在のエクソン・モービル)と英蘭のロイヤルダッチ・シェルに握られていた。

 海軍がいかに石油を確保するか、に日本の安全保障がかかっていたのであり、ここでも三井物産を国策に沿う形で国際的に石油調達に走るが・・・アメリカに石油輸入を依存していた日本に対し、石油輸出を禁止することにより石油調達先を失った日本を追い詰めた結果、日本は追い込まれて自滅する。

 「自由貿易」の恩恵を十分に享受した日本は、世界恐慌という環境の激変によってはじまった「管理貿易」体制に対応できなかった。環境が激変した時には、資源を確保できていなかったからだ。

 ここまでが番組内容の要約だ。

 石油産業は、現在でも日本では突出して外資比率の高い産業である。正確な比率は忘れたが、6~7割の資本はいまだに、スタンダードとロイヤルダッチシェルという、いわゆる「石油メジャー」が握っている。
 戦争に敗れ去った結果、日本が独自に安い石油を調達することがきわめて困難であったことは、『軍隊なき占領-ウォール街が「戦後」を演出した-』(G・デイビス/J・ロバーツ、森山尚美訳、新潮社、1996)という本に詳しい。

 こういう文脈においては、英米のウラをかき、独自ルートでイランから石油を輸入した「民族系」(*石油業界ではこういう表現を使っている!)の出光興産を軸に続編を作ると面白かろうに。「メジャー支配に挑戦した日章丸事件」(1953年)。石油輸出を実行したイランのモサデク首相はCIA工作で倒された。どうせ長期スパンで近代史をみるなら、少なくとも100年単位で扱った番組をみてみたいのだが・・・

 私はかつて、コンサルタント時代に石油産業を担当していたことがあり様々な調査を行ったが、その際に石油に関する文献などかなり読み込んだので、石油がいかに戦略物資であるかは、ふつうのビジネスマンよりは十分に認識していると思っている。

 石油輸入ルートである、中東からインド洋にかけてのシーレーン防衛を、アメリカ海軍にまかせてきたツケが、ここにきて大きくのしかかるようになってきている。

 ソマリア沖への海上自衛隊派遣はアメリカからいわれるまでもなく日本が本来当然すべき義務であり、何も国際貢献などと大上段に構える性格のものではない。自衛隊派遣に反対する者は、石油を使う生活をやめてみればよい。たちまち文明生活を放棄しなくてはならないだろう。
   
 日本は主要な燃料である石油だけでなく、食糧も自給できない

 オバマ政権が「環境エネルギー政策」で新機軸を打ち出しているが、日本こそ、この分野でリーダシップを発揮しなければならないのではないか?

 世界中で石油確保に狂奔する中国は、開発途上国で独裁政権を援助しており、国際的な非難を浴びている。かつての日本のように追い込まれてはなるまいという恐怖が背景にあるのだろう。しかし、日本がやるべきことは、中国と争奪戦を演じることだとは思われない。

 環境問題解決のための新エネルギー開発という、イノベーションの方向に向かうべきなのではないか。


<有用な参考サイトの紹介>
石油便覧」(こんなものまでウェブサイトで見れるとは、いい世の中になったものだ)


                   



PS 追記 (2013年5月30日)

ここのろころこのブログ記事が読まれていることが判明したので、さらに読みやすくするために改行を増やし、重要な個所は太字ゴチックとした。

ブログ記事はそれを書いた時点の考えが重要なので、あきらかな誤解や誤字脱字以外は文章に手を入れることはいっさいしていないが、タイトルをすこし変更した。

2013年5月30日時点では、いまだ「3-11」による原発事故も起こっていなかったが、エネルギー問題についての構造は基本的に変化はしていない。

石油とガスに依存した文明を維持するためのシーレーン防衛、この点にかんしても中国との尖閣問題がさらに悪化している。軍事的な全面衝突もすでに視野に入っている。

この記事を書いたのは4年前であるが、当然のことながら「海洋国家」の島国であるという日本の地政学的状況に変化はないこの事実をしっかりと見つめることが、日本と日本人が今後も生き残るために絶対に不可欠なことであることは、強調してもし過ぎることはないのである。

記事のなかで出光佐三(いでみつ・さぞう)について言及しているが、出光佐三をモデルにした小説 『海賊とよばれた男 上下』(百田尚樹、講談社、2012)がベストセラーになっているという。たいへんよろこばしいことだ。

わたしの父は神戸大学の出身だが、卒業式で出光佐三がスピーチをしたのだそうだ。そのときに「和魂商才」というフレーズをつかっていたのが記憶に残っているとつねづね語っていた。

日本人の気概を取り戻すためにも、ぜひこの記事で扱った三井物産初代社長の益田孝や、出光興産創業社長の出光佐三について知ってほしいと思う。(2013年5月30日 記)




<ブログ内関連記事>

書評 『黒船の世紀 上下-あの頃、アメリカは仮想敵国だった-』 (猪瀬直樹、中公文庫、2011 単行本初版 1993)-日露戦争を制した日本を待っていたのはバラ色の未来ではなかった・・・

書評 『戦争・天皇・国家-近代化150年を問い直す-』(猪瀬直樹・田原総一郎、角川新書、2015)-「日米関係150年」の歴史で考えなければ日本という国を理解することはできない

書評 『日本近代史の総括-日本人とユダヤ人、民族の地政学と精神分析-』(湯浅赳男、新評論、2000)-日本と日本人は近代世界をどう生きてきたか、生きていくべきか?

書評 『平成海防論-国難は海からやってくる-』(富坂 聰、新潮社、2009) ・・海上保安庁巡視艇と北朝鮮不審船との激しい銃撃戦についても言及。海上保安官は命を張って国を守っている!

マンガ 『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ、講談社漫画文庫、1998) 全16巻 を一気読み

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)
・・海は日本の生命線!

書評 『日本は世界4位の海洋大国』(山田吉彦、講談社+α新書、2010)
・・点と線ではなく、面、さらには体積をもった三次元で考えよ

映画 『キャプテン・フィリップス』(米国、2013)をみてきた-海賊問題は、「いま、そこにある危機」なのだ!

「人間尊重」という理念、そして「士魂商才」-"民族系" 石油会社・出光興産の創業者・出光佐三という日本人

(2016年5月10日、30日 情報追加)


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