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2020年12月7日月曜日

書評『本を売る技術』(矢部潤子、本の雑誌社、2020)-書店員さんは、そこまで考えて日々仕事に取り組んでいるのか!


『本を売る技術』(矢部潤子、本の雑誌社、2020)を読む。タイトルにある「本を売る技術」というのは、リアル書店の店頭という「現場」で本を売る「書店員の仕事」のことだ。

著者は、36年間現場で本を売り続けてきた超ベテラン。デスクワークに変わって時間的余裕ができた著者へのインタビューという形で、「現場」で「本を売る技術」を聞き出したものだ。 

書店員さんは、そこまで考えて日々仕事に取り組んでいるのか! そういう驚きに満ちた一冊だ。 

たとえば、帯にもあるように「なぜ売れる本を(エンド台の)左端に積むのか」というノウハウには、それなりの理由があるのだ。売り場の作り方も含めて、リアル書店の現場で確認したいことが多く語られている。リアル書店に行く際にはぜひ確認したいものだ。

POSデータだけではわからない、リアルの売れ行きを知っているのは書店員さんなのだ。 小売業である書店員さんの仕事は、じつに忙しい。あまりにも忙しい。そんな書店員さんの仕事のすべてを知ることができる仕事本でもある。 

書店員ではなくても、本好きな人にとっては必読書だね。





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2020年6月1日月曜日

「緊急事態」解除後に『ガンディー 強く生きる言葉』を求めて「書店フィールドワーク」(2020年6月1日)


昨日(5月30日)に居住地域の周辺で「書店フィールドワーク」を行ったのだが、肝心要の丸善が週末と休日は臨時休業(!)ということで、めぼしい成果がなかった。

が、例外が1件だけあった。 それはチェーン店の「すばる書店」。

おお、なんとスゴくいい場所に、ディスカヴァー・トゥエンティワンのコーナーが!その名も「クラシック文庫フェア 人生を変える言葉と出会う」。

コーナーに並んでいるのは、超ベストセラーの『ニーチェの言葉』。そして『アインシュタインの言葉』。真打ち(?)は『ガンディー 強く生きる言葉』! 前にセリ出ておりますぞ(笑) https://amzn.to/3eGGfIJ

ぜひ哲学者のニーチェとアインシュタイン博士には、あやかりたいものですね😊 売り上げという点で(笑)



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2019年5月6日月曜日

2019年4月27日に発売の『超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は絶賛発売中!-書店フィールドワークより 

(販促用の「パネル」 写真はいずれも筆者撮影)

2019年4月27日に発売の『超訳 自省録 よりよく生きる』(マルクス・アウレリウス、佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)が絶賛発売中!


(ディスカヴァー・トゥエンティワン社の「新刊情報」のトップに)


出版後から、東京都内と居住地周辺の船橋習志野方面のリアル書店を回ってみた。ネット時代だといっても、やはり売り上げに大きな影響を与えるのはリアル書店だからだ。

リアル書店では、本は物理的な形をもった「商品」であり、販売方法には「平積み」と「面陳」そして「棚差し」の3つの形態がある。
 
リアル書店の店頭に並んでいない状態は、流通問屋である「取次(とりつぎ)」に「在庫」している場合もあるが、ディスカヴァー・トゥエンティワンの場合は、直販オンリーなので流通在庫はない。

まずは、「平積み」から。「哲学・思想コーナー」での陳列が多いのは、マルクス・アウレリウスの『自省録』が、古代ローマのストア派哲学の作品であるから、ある意味では当然というべきだろう。



毎日のように取次から大量に送られてくる段ボール箱を開封し、なかにギッシリと詰まった新刊書を取り出して、しかるべき場所に陳列するのが書店員の仕事の大きなウェイトを占めている。そんな状態にある書店員が、わかりやすい分類で陳列場所を決めるのは、当然のことなのだ。

とくに大規模書店では、そういう結果になりやすい。というのは、分類が細分化されているため、置くスペースがあるからだ。

だが、「哲学・思想コーナー」ではなく、「自己啓発書」のコーナーに陳列してくれている書店もある。概して中小規模の書店に多い。



この書店は、チェーンの書店だが、駅前立地で規模は中規模。基本的に実用書や小説を中心に置いている書店の「平積み」

出版社の営業が作成した「手書きPOP」をうまく活用している。左隣は、いまや売れ筋のネコ関連マンガ、右隣は自己啓発系。こういう状態で「平積み」されているのは、著者としては大いにうれしい。これはホンネだ。

おなじく自己啓発系で「面陳」されているのは、単独型の中規模書店

「成功哲学」の棚に、定番のコヴィー博士の『7つの習慣』や中村天風の積極哲学と並んでいるのは、これまた著者としては、大いにうれしい。




手書きPOP」の拡大写真を掲載しておこう。当然のことながら4月に全4回で放送されていた「NHK・Eテレ」の「100分 de 名著」で『自省録』が紹介されたので、これを販売促進に大いに活用している。



 
販促用の「
パネル」が活用されている書店もあった。この大規模チェーン店では「哲学・思想コーナー」の「平積み」であったが、「パネル」が活用されていたのはうれしい。
(拡大写真は冒頭に)。




以上、「書店フィールドワーク」の結果を簡単に記しておいた。皆さんもぜひ、リアル書店の店頭で手にとってみてほしいと思う。


 
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2017年6月10日土曜日

「逆回し」とは? ― 『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』は常識とは「真逆」の方法で製作された歴史書であり、ビジネス書である



つい先日(2017年5月18日)のことだが、『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン社、2017)というタイトルの本を出版した。2017年の現時点から、240年前の1776年までさかのぼった、ビジネス書のフォーマットで製作された歴史書だ。

内容は文字通り、「ビジネスパーソンのための近現代史」なのだが、コンセプト自体はもう少し長い。「ビジネスパーソンの、ビジネスパーソンによる、ビジネスパーソンのための」近現代史である。いうまでもなく、「人民の・・・」で始まる、リンカーン大統領の「ゲティスバーグ演説」の一節をもじったものだ。

なぜこのようなことを書くかというと、この3条件を備えたビジネスパーソン向けの歴史書がきわめて少ないからだ。

いわゆる「ビジネスパーソン向け」と銘打ってある本は、さまざまな分野で大量に出版されていくことだろう。だが、リアルなビジネス体験をもたない著者が書いた本は、現役のビジネスパーソンの立場から言わせてもらえば、いまひとつリアリティを欠いているといわざるをえない。

だが、それだけなら、それほどたいした特徴だとはいえないかもしれない。本書の最大の特徴は、「逆回し」という表現で「歴史を過去にさかのぼる」という手法を導入したことにあると考えている。経済学者のシュンペーター流にいえば、「新機軸」と言っていいかもそれない。


(カバーの袖に記載された本文からの引用)


 「逆回し」というのは、もちろん比喩的な表現だ。録画したビデオを「逆回し」すると、人間の動作がなんだかぎこちなく再生されてしまい、思わず笑ってしまうことがある。だが、そういう意味でつかったわけではない。ある意味では、「リバース・エンジニ アリング」の実践と考えていただいたほうがいいかもしれない。

いま目の前にある製品をバラバラに分解することで、その構造と機構、構成部品の詳細を知り、「見えない設計図」を再現する行為をさして「リバース・エンジニアリング」という。

「リバース・エンジニアリング」は、通常のものづくりの真逆の方向で行われる。最終製品をバラしてモジュールにし、モジュールを分解してユニットに、ユニットを分解して個々のパーツを取り出す。このプロセスで分解することで、逆に設計図が見えてくる。「リバース・エンジニアリング」の発想は、ものづくりのプロセスを「逆回し」にするものだ。

とはいえ、最終製品をバラバラにして取り出してきたパーツは、あくまでも断片であるに過ぎない。ユニットや、モジュールの単位まで再構成しなくては、設計図(=ストーリー)が見えてこない。ストーリーが明確でないと、アタマのなかで明確なイメージを構築できない恐れがある。執筆にあたって最大の難関はそこにあった。

「逆回し」で「さかのぼる」方法論によって制作された作品はないだろうか? なにかヒントになるものがないかと探した結果、NHKで『さかのぼり日本史』という番組が放送されていたことを知った。

2011年に放送されたこの番組は、ある特定のテーマを設定して日本史を「さかのぼる」という形式の歴史ものだ。放送後にはテーマごとに単行本化もされている。



■ヒントにしたのは「逆回し」で製作された映像作品

ほかに参考になるものがないかと探索している際に思い出したのが、韓国映画の『ペパーミント・キャンディー』(イ・チャンドン監督、1999年制作)という作品だ。


 (DVDのメインメニューより チャプター1~4)


この作品は、「20年間の韓国現代史を背景に、ひとりの男が絶望の淵から人生の最も美しい時期までをさかのぼっていくという手法」だと、DVDの解説文にある。

独立したが事業に失敗、悲劇的な最期をとげることになる主人公が、時間を「巻き戻し」て過去にさかのぼっていき、最後は人生でもっとも美しかった瞬間で終わるというストーリー展開だ。全体で7つの「チャプター」で構成されている。

一般的な映画とは真逆の発想だが、ハッピーエンドで終わる映画であることには変わりはない。見終わったあと、じつに不思議な印象が残る映画だ。


 (DVDのメインメニューより チャプター5~7)


似たような作品には、フランス映画の『ふたりの5つの分かれ路』(フランソワ・オゾン監督、2004年制作)がある。離婚した夫婦が、離婚からさかのぼって出会いまで時間をさかのぼるという映画だ。

映像作品はDVDで視聴する場合、チャプターごとに番号とタイトルがついているので、意識的に区分して視聴することも可能だ。チャプター内では、シークエンスごとに時間の流れにしたがって物語は展開するので違和感はない。

文字として記された書籍なら、紙の本であれ電子書籍版であれ、映像より対応しやすいのではないか? そこまで考えてから、ようやく本書の構想がまとまり、執筆を開始することができるようになったのだった。じつに3ヶ月も費やしてしまった。



■「逆回し」は、歴史書としては「常識」に反する発想だが・・・

人間にとって「さかのぼる」という行為は、じつは自然な発想なのである。

長い年月を生きてきた人なら当然のことであるが、それほど長い人生を生きていない若者だって、学校時代のことを思い出したりして懐かしい想いをするだろう。自分が「いま、ここに」存在するのは、その前に自分の親がいるからであり、その親にもまた親がいる。さかのぼれば、その連鎖は無限につづいていくことになる。

過去を振り返って出来事を思い出す。人間にとってはごく当たり前のことである。そして、人生にはいくつかの「分岐点」があることに気がつく。人生だけではない、歴史にもいくつもの「分岐点」がある

これは「現在」からさかのぼってみてはじめてわかることだ。その渦中にいるとそれが分岐点であることは正確にはわからないが、振り返ってみて、はじめてそうだと気がつくことも多い。

「逆回し」とは、「流れ」を重視する歴史書にはあるまじき非常識な試みだろう。だが、「現在」を知り、「未来」を考えるために歴史を知ることが必要であるならば、「逆回し」という発想はけっして非常識ではないはずだ。



■「現在」を起点に「未来」と「過去」を認識する

かつてブログに 書評『人間にとって科学とはなにか』(湯川秀樹・梅棹忠夫、中公クラシック、2012 初版 1967)-「問い」そのものに意味がある骨太の科学論 という記事を書いているが、科学的認識の方向性は、現在を起点にして、過去と未来の二つの方向に展開されうることが、同書で指摘されていることを紹介した(・・下図を参照)。


(人間の認識は「現在」を起点に「未来」と「過去」に向かう)


ビジネスパーソンの活動は、基本的に「未来」に向けてのものである。
歴史家の活動は、基本的に「過去」に向けてのものである。

だが、科学的認識の方向とおなじく、これは認識のベクトルが異なるだけで、認識の方法そのもの基本的に同じ構造をもっているといってよい。

一般に「未来」を予測することは難しいが、自分自身が体験している「過去」を振り返ることは比較的容易であるといえる。だから、人間は自分自身の「過去」の体験をベースにして「未来」を予測するのである。

だが、人間の体験には限界がある。自分が体験していること自体は一次情報であるが、あくまでも主観的なものである。自分が体験していないことは、あくまでも伝聞であり、情報の性格としては二次情報、あるいは三次情報となってしまうことは仕方ない。

だからこそ、イマジネーションが必要とされるのである。

未来を知るために過去を知る。過去についての正確な認識をもつためにはイマジネーションで補う。そして、「過去」と「未来」が「現在」を規定していることを知れば、まずは「過去」に「逆回し」でさかのぼることが、「現在」をより深く、かつ正確に知ることにつながることが理解されるであろう。

「逆回し」の発想とは、ただ単に振り返るだけでなく、データをもとに事実をあぶりだし、それをイマジネーションで補うことを意味しているのである。

「逆回し」という発想の実践として製作された『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』は、この機会にぜひ読んでみて欲しいと思う次第だ。

執筆中は、『「現在」がわかる「逆回し」世界史講座』という「仮タイトル」だったが、最終的に出版社の判断で現在のタイトルに落ち着いたというエピソードをここに書き留めておくこととしよう。


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「ビジネス書か歴史書か、それが問題だ!」-『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』を書店のどのコーナーに並べるか?

『正論』最新号(2017年9月号)に拙著の「書評」が掲載されました-「まことに厄介な、かつスリリングな歴史書」

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・「私が知る歴史家の中に、過去が現在を照らすというよりも、現在が過去を照らすのだという事実を受け入れる者はいない。大半の歴史家は、目の前で起きていることに興味をしめさないのだ。」(ホッファー『自伝』より)

(2017年9月3日 情報追加)


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2017年6月8日木曜日

「ビジネス書か歴史書か、それが問題だ!」-『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』を書店のどのコーナーに並べるか?


新著 『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)が、2017年5月18日出版から2週間たってますが、まだまだ「平積み」状態が続いています。

とはいえ、この本は「ビジネス書」なのか、「歴史書」なのか、判断に迷われる方も少なくないと思います。わたし自身も、どの棚に並んでいるのかわからないので、両方を見て歩くことにしています。

「ビジネス書か歴史書か、それが問題だ」。シェイクスピアの『ハムレット』のセリフをもじって、こんなフレーズをつぶやいてみたくなりますね。

おそらく書店員さんも迷ってしまうのかもしれません。なんせ毎日のように新刊が出版されて、つぎからつぎへと取次店からダンボール箱が入荷してくる毎日、これをどうさばくかが午前中の仕事の多くの時間を占めているからです。

ですから、「えいやっ」で決めてしまわなくてはならないわけです。


東京駅前の八重洲ブックセンター本店では、答えは「ビジネス書」にあるようです。「歴史」を扱った本ではあるが、タイトルに「ビジネスパーソンのための」とあるので、基本はあくまでも「ビジネス書」であると判断されているのでしょう。もちろん、ビジネス街に近いという「客層」も考慮に入れていると思いますが。

冒頭に掲載した写真は、八重洲ブックセンター本店の1階の「ビジネス新刊書」コーナー。2枚目の写真は、2階の「ビジネス書」フロアの新刊コーナーです。いずれも「ビジネス書」として分類されてディスプレイされています。

著者としては、「ビジネスパーソンの、ビジネスパーソンによる、ビジネスパーソンのための近現代史」というコンセプトなので、「ビジネス書」として扱っていただけるのはうれしいです。

しかも、冒頭の写真にあるように、マッキンゼー社の「将来予測本」のすぐそばという並べ方も、じつにいいセンスですね! 未来を知るには、過去の歴史を知るべし、というメッセージでもあるような気がします。

拙著の特色は、「逆回し」という形で、「現在」からさかのぼって「過去」に向かうという、一般の歴史書とは真逆の方向で製作されていますので、なおさら「ビジネス書」として扱っていただけるのはうれしいことなのです。

ビジネスでは、「現在」から「未来」に向けて思考し行動します。そのベクトルの方向を「過去」に向ければ、「逆回し」の歴史となるわけです。方向は違うものの、あくまでも「現在」から出発するという点はおなじです。

一般的に「世界史」のコーナーで販売されているようですが、「いま、ここ」という「現在」から出発しない思考はビジネスパーソンには、あまり意味のないものだと考えております。

もちろん、ビジネスパーソン以外でも、それはおなじだといっていいと思います。

ぜひこの機会に、じっさいに手にとってみてほしいものと思います。



PS amazon の分類は「紙の書籍版」と「電子書籍版」で異なる

なぜだか理由は定かではありませんが、amazon の分類は「紙の書籍版」と「電子書籍版」で異なるようです。

「紙の書籍版」では「世界史」の分類「電子書籍版」では「ビジネス・経済」の分類。分類にしたがっているからでしょうか、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に並んでいるタイトルが大きく異なっています。

ぜひ確認してみてください。  (2017年6月17日 記す)




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2017年5月18日に5年ぶりに新著を出版します-『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(佐藤けんいち、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)

「逆回し」とは?--『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』は常識とは「真逆」の方法で製作された歴史書であり、ビジネス書である

『正論』最新号(2017年9月号)に拙著の「書評」が掲載されました-「まことに厄介な、かつスリリングな歴史書」

(2017年9月3日 情報追加)




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2017年6月7日水曜日

都内の書店をフィールドワーク-「平積み」状態の新著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)


新著 『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)が、2017年5月18日出版から2週間たってますが、まだまだ「平積み」状態が続いています。

冒頭に掲載した写真は、新宿駅西口のブックファースト1階の「話題の本」のコーナー。まさに「盛り」状態ですね。

「平積み」といいうのは、見ていて気持ちがいいものですが、これだけ大量に「平積み」されているのは、著者ならずとも壮観という印象を受けるのではないでしょうか。もちろん、著者なら、これに勝る喜びはありません。



これは、JR恵比寿駅の駅ビルアトレ3階の「有隣堂書店」のもの。友人が撮影した画像を送ってくれました。こちらも「話題の本」のコーナーです。



こちらは、JR有楽町駅前の三省堂書店有楽町店のもの。ビルのテナントに入居しており、書店は2フロアを占有してますが、なんと1階の「話題の本」のコーナーに「平積み」、しかもだいぶ減っているようですね!

専門のコーナーではなく、「話題の本」のコーナーは、かならずしも目的買いのお客さんだけではないので、ふらりと入った書店で、ふと目に入った本を手にとって、しかも1,700円(税抜き)という価格にお得感を感じて購入していくのではないかな?

翻訳物ではないのに500ページ近い本というのは珍しいかもしれません。

本というものは、どう読んでも読者の自由ですから、好きなところから読み始めてもいっこうに構わないのです。もちろん、最初のページから最後まで通しで読んでいただければうれしいです。

ぜひこの機会に、じっさいに手にとってみてほしいものと思います。




<ブログ内関連記事>

2017年5月18日に5年ぶりに新著を出版します-『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(佐藤けんいち、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)

世界史は常識だ!-『世界史 上下』(マクニール、中公文庫、2008)が 40万部突破したという快挙に思うこと




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2012年10月20日土曜日

書評 『松丸本舗主義-奇蹟の本屋、3年間の挑戦。』(松岡正剛、青幻舎、2012)-3年間の活動を終えた「松丸本舗」を振り返る




「松丸本舗」が、残念なことに先月9月末をもって三年間の活動を終えてしましました。

丸善丸ノ内本店4階の奥に儲けられた「書店内書店」、「ショップ・イン・ショップ」としての「松丸本舗」は、現代の「知の巨人」である松岡正剛氏がディレクションを行ったリアル書店でした。まさに、松岡正剛の脳内をそのまま「見える化」したような本棚だったといってよいでしょう。

リアル書店がいまや衰退過程にあるというのは否定できない事実ですが、リアル書店体験と図書館体験が、いまのわたしとわたしのライブラリー(蔵書)をつくりあげたことは、否定しようのない事実ですし、多くの人にとってもそれは共通する体験ではないでしょうか。

なにかが形成されるためには、かならずコアとなるものがモデルとして設定され、それを骨格にして枝葉がつけられていくもものだからです。

わたしにとっては、そのコアになたものとは、1980年代前半の一橋大学附属図書館(・・とくに開架式だったいまは亡き小平分館)が、1990年代の書原・杉並本店(南阿佐ヶ谷駅前)でした。

前者は、図書館コードで整理されていたものの、専門関係以外の書籍の「本の蔵」であり、後者はカオス的な「本の森」でありました。ともに、20歳代と30歳代にたまたま出会った図書館であり、リアル書店でありました。

だから、松丸本舗は、すでに骨格ができあがっているわたしと、わたしのライブラリー(蔵書)にとっては、あくまでも「参照系」であったのでした。

もちろん、松岡正剛氏の著作はかなり以前から読んでいて、その「知の巨人」ぶりには憧憬の念を抱いてきたことは、このブログでもすでに何度か書いてきたことです。とくに、その書原で購入した『ブックマップ』(工作舎)ほど影響を受けたブックガイドはほかにないかもしれません。いったい書原では、いくら散財したのか計算すらしたことがありません(汗)

松丸本舗には圧倒されながらも、そこでは一冊も購入したことはありません。その意味では、松丸本舗の存続には、金銭的にはなんら貢献をしておりません。

冒頭に写真を掲載しましたが、「松丸本舗」についての本を、amazonで買うというのもまた、「いま」という時代なのかもと思ってみたりもします。本は重いから、できるだけ書店では購入したくないというのも、偽らざる気持ちです。「松丸本舗」でみた本を丸善丸ノ内店の別のフロアで購入するお客さんが少なくなかったというのも、うなづける話です。

松丸本舗」閉鎖後の10月になってからタイミングよく出版された本書 『松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。』(松岡正剛、青幻舎、2012)によれば、継続にあたっては、いろいろ問題があったことが示唆されています。

丸ノ内の東京駅前という一等地で店舗スペースを提供していた丸善も、ジュンク堂と一緒に大日本印刷の傘下に入るなど、出版業界をめぐる変化も無視できません。

わたし自身は、出版業界の人間ではありませんが、ビジネスという観点からみたら、文化とビジネスをいかに両立(?)させるのが、いかにむずかしいかは容易に想像できます。

残念ではありますが、「松丸本舗」はあくまでも実験であったというべきなのではないかと思うわけです。特別の思い入れがあったわけではないからでもありますが、ベンチャーとして捉えれば、とりあえず今回は撤収を余儀なくされたとはいえ、また別の形でチャレンジすることもありかな、と。

チャレンジすることに意義があるのです。また、あらたな形でのチャレンジがなされることを期待していますが、それは松岡正剛氏自身によるものでなくてもいい。

じっさい、本書にも書かれていますが、中国・韓国・台湾では、この実験店舗が大いに注目されて視察があいついでいたとか。承継者は日本以外であるのかもしれません。

どんな分野であれ、先駆者というものは、かならずしも成功するわけではないが、しかしそのチャレンジそのものは、かならずや人々の記憶のなかに残るものです。

とりあえずは、この500ページを越える『松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。』を読んでみるといいでしょう。「松丸本舗」の挑戦とは何であったかがわかるだけでなく、松岡正剛氏の発想を知るうえでも面白い本だといっていでしょう。





目 次

夢か幻か 福原義春
第Ⅰ章 松丸本舗の旋法-われわれは何に挑戦したのか(松岡正剛)
千夜千冊の夜/ブックウェアの誕生/本棚をつくる/本屋の問題/ほったらかしの読書/意外な事態/松丸本舗の評判/背景で動くもの/季節のある日々/記憶とブックパーティ/九条の旋法/一通の私信/本の森・電子の海/青い花
松丸本舗全体図

第Ⅱ章 松丸本舗・全仕事-1074日・700棚・5万冊・65坪
1. 本屋のブランドをつくる
2. 本棚を編集工学する
3. 本と人をつなぐ
4. 目利きに学ぶ
5. 「ものがたり」を贈る
6. 共読の扉をひらく

第Ⅲ章 気分は松丸本舗-各界から寄せられたメッセージ
第Ⅳ章 松丸本舗クロニクル-本だらけ、本仕込み、そして松「○」本舗

あとがき(松岡正剛)


<関連サイト>

【著者に聞きたい】 松岡正剛さん『松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。』 2012.12.9(MSN産経ニュース) (2012年12月10日 追加)

千夜千冊 1552夜ジェイソン・マーコスキー『本は死なない』(松岡正剛、2014年7月31日)
・・『松丸本舗主義』における実験が取り上げられている


<ブログ内関連記事>

書評 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール、工藤妙子訳、阪急コミュニケーションズ2010)-活版印刷発明以来、駄本は無数に出版されてきたのだ

『ちょっと本気な 千夜千冊 虎の巻-読書術免許皆伝-』(松岡正剛、求龍堂、2007)で読む、本を読むことの意味と方法

「知の風神・学の雷神 脳にいい人文学」(高山宏 『新人文感覚』全2巻完結記念トークイベント)に参加してきた

『随筆 本が崩れる』 の著者・草森紳一氏の蔵書のことなど

書籍管理の"3R"



なお、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(佐藤けんいち、こう書房、2012)の「第3章」でも紹介した「松丸本舗」ですが、書籍をおもちの方は、145ページですので、「2012年9月末に閉鎖」と書き加えておいていただけると幸いです。



 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)


   
(2012年7月3日発売の拙著です)

 





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