「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 集合知 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 集合知 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年5月14日土曜日

書評『ベリングキャット ― デジタルハンター、国家の嘘を暴く』(エリオット・ヒギンズ、安原和見訳、筑摩書房、2022)―「オープンソース・インテリジェンス」によって調査報道のあり方はすでに大きく変化している

 


ネット上に投稿されて散らばって存在している動画や画像から「ジオ・ロケーション」という手法で「特定」し、その他のもろもろの断片的な公開情報を探しだしきてつなぎあわせ「検証」し、真相をあぶり出す手法。それが、「オンライン・オープンソース調査」である。 

しかも、その仮説の検証を「集合知」によって行うのは、ネット時代だからこそ生まれたあたらしい手法だといえよう。2010年から始まったこの手法は、英国で生まれてまだ10年程度の歴史しかないのだ。 

そんな「ベリングキャット」の創始者自身が、その始まりから現在までを明かした内容のノンフィクションだけに、じつに面白い。 

ベリングキャット(bellingcat)とは、「誰がネコに鈴をつけるのか」(to bell the cat)というイソップの寓話から来た命名だが、1979年生まれの創始者本人は、この寓話を知らなかったらしい。教えられて初めて知ったのだとか。

 2019年に放送されたNHKのBSスペシャル「ベリングキャット-市民が切り開く調査報道」を視聴してその存在を知って以来、関心を抱いてきたが、中東とロシアがらみのウソがつぎつぎと暴かれていったのは、かれらのおかげである。 

ウクライナで起きた「マレーシア航空機撃墜事件」(2014年)や、ロシアがバックにいたシリアのアサド政権による化学兵器の使用英国におけるロシアの情報機関FSBによる毒殺(と毒殺未遂)事件など、さまざまな事件の真相が明らかにされていくプロセスそのものが興味深い。 

そのすべてが情報公開されている点が、従来型の調査や捜査とは根本的に異なる点だ。「補遺」として1章が割かれた、FSBによるロシアの反体制派ナヴァルヌイ氏毒殺未遂事件は、下手な小説よりはるかに面白い。 

成果が示されれば、その効果に気がつく関係者がでてくるのも当然だろう。その変化はすでに調査報道のあり方のあり方にも、警察による捜査や、裁判での証拠提示のあり方にも影響をあたえ始めている。 




その意味でも、報道関係者や捜査関係者だけでなく、一般市民であるわれわれ自身が、かれらの活動に大いに注目する必要があるのだ。 原題の  We Are Bellingcat : An Intelligence Agency For The People の副題を直訳すれば「人びとのための情報機関」となる。 


PS bellingcat を belligerent と一瞬読み間違えそうになった。かれらの手法とは、まったく真逆なのだが(笑) 


画像をクリック!


目 次
introduction 
1 ラップトップ上の革命ーネット調査の可能性に気づく 
2 <ベリングキャット>の誕生ー探偵チームの形が整う 
3 事実のファイアウォールーデジタル・ディストピアへの反撃 
4 ネズミが猫をつかまえるースパイ事件が時代を画する事例に 
5 次なるステップー正義の未来とAIのパワー 
補遺 暗殺者と対決ー<ベリングキャット>、暗殺団に電話する 
謝辞
あとがきー日本の読者のみなさんへ
訳者あとがき
原註


著者プロフィール
エリオット・ヒギンズ(Eliot Higgins)
オープンソース調査集団として何度も表彰された“ベリングキャット”の創設者。カリフォルニア大学バークレー校の“ヒューマン・ライツ・センター”の研究員で、国際刑事裁判所の技術顧問委員会のメンバーでもある。2019年、『プロスペクト』誌によって世界最高の思想家50人のひとりに選ばれた。詳細なプロフィールは、wikipediaの記述(英語版)を参照。


<ブログ内関連記事>






(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2015年8月28日金曜日

書評『私は魔境に生きた ― 終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年』(島田覚夫、光人社NF文庫、2007 単行本初版 1986)ー 日本人のサバイバル本能が発揮された記録



かの有名な『ロビンソン・クルーソー』を筆頭とする漂流ものなど、サバイバルものに読ませる力があるのは、他者の体験を追体験してみたいという欲求が読者にあるからかもしれない。

日本人によるサバイバルものにも数々の名作があるが、『私は魔境に生きた』(島田覚夫、光人社NF文庫、2007 単行本初版 1986)という本もまた、読ませるものがある。文庫本で560ページをこす大著で、最初のうちはそうでもないが、サバイバル生活を開始してからの記述はじつに面白い

副題の「終戦も知らず東ニューギニアの山奥で原始生活十年」というのが刺さるのである。日本が敗戦したことも知らずに10年間、太平洋戦争で激戦地となった、当時はオランダ領であったニューギニア東部の山中で10年間のサバイバルした元日本兵たちがいたのである。そんな存在は、小野田さんや横井さんだけではなかったのだ。

「魔境」とはニューギニアの山奥のことである。本文を読むとわかるが、現地住民すら、そこに足を踏み入れるのを躊躇するという「魔境」だからこそ、10年もサバイバル生活を送ることができたのである。しかも、熱帯雨林という環境のなかでである。

しかしそれにしても10年というのは気が遠くなるような長さだ。日本がすでに敗戦していることも知らず、山中で自給自足の生活を送りながら友軍が迎えに来るのをひたすら待つという人生。当事者である彼らも、まさか10年も「原始生活」を送ることになるとは想像だにしなかったようだ。

サバイバルは、肉体の問題ではあるが、精神の問題でもあるのだ。耐える、ということだ。単身ではなく、最終的には4人のチームだったからこそ、最後まで生き抜くことができたのであろう。小野田さんのような、陸軍中野学校で特殊な教育を受けた強靭な精神の持ち主ではない、ごくふつうの日本人兵士たちにとっては。

そしてまた知恵の問題でもある。知識も知恵なくしては生かし切れない。そもそも知識そのものも、自分たちにとって既知のものが中心となる。

なければないで済ますという態度。ないものは、あるものを使って加工する創意工夫。まったくの原始人ではなく文明人であったからこそ、文明世界ですでに体験していた文明の利器を、ありあわせの道具と材料で再現しようと試みた。これもまた、サバイバルの重要な要件であった。

サバイバル生活では狩猟と農耕が行われる。缶詰類が尽きたあとは、狩猟で動物性たんぱく質を摂取し、農耕で主食を確保することになる。自給自足生活である。サバイバル生活の終盤近くで原住民との接触が始まってからは、物々交換という交易活動も始まる。経済の原初形態である。

いわば「サバイバル型エコライフ(?)」とでもいっていいような生活を10年送ったわけだが、読んでいて思ったのは、はたして現在の日本人に可能だろうか、ということである。原始生活を送ったのは70年前の日本人である。

知識はすでに脳内にあるもの、つまり「アタマの引き出し」を中心に、サバイバル生活で試行錯誤して身に着けた知識と体験しか頼るものはないのだ。ちょっとネット検索して、なんて安直なことは期待できないのである。本すらない環境なのだ。そんな個人の集まりの集団生活では、個人の知恵と知識を持ち寄ったリアルな「集合知」が生きてくる。

著者は「あとがき」のなかで、「原文に忠実なまま」で出版を希望したと記しているが、あまりにも文章がなめらかで読みやすいので、じっさいには編集の手が入っているのではないかと思う。シークエンシャルに配列しなおすには、なかなか大変だったのではないかと思われる。 

とはいえ、内容そのものを創作するのは困難だろう。描写があまりにも具体的だからだ。おそらく手記として執筆した原稿に編集が行われているのであろう。内容にかんしては、だれかニューギニアに詳しい人類学者などが、検証をしてくれるといいいのだが・・・。

サバイバルものが好きな人は、読んでみる価値は間違いなくある。大東亜戦争の戦記ものが中心の光人社NF文庫からの出版だが、戦記にかんする記述は全体の1割以下。その他の文庫からでていてもおかしくない内容だ。

関心のある人は、読んでみるといいだろう。


画像をクリック!

目 次  
はじめに
流転(昭和17年12月~19年6月)
籠城(昭和19年6月~20年8月)
原始生活(昭和20年8月~23年1月)
石器時代(昭和23年2月~24年10月)
鉄器時代(昭和25年1月~26年12月)
隠棲発覚(昭和27年1月~28年2月)
原住民の風習・知恵(昭和28年2月~28年12月)
現地官憲に漏れて(昭和29年1月~29年9月)
生きて祖国へ(昭和29年9月~30年3月)
あとがき



著者プロフィール

島田覚夫(しまだ・かくお)
大正10年(1921年)5月、岡山県に生まれる。昭和10年(1925年)、尋常高等小学校卒業、所沢陸軍飛行学校に入校。昭和30年(1955年)3月、復員。郷里で桐箱製造会社に勤務、平成6年(1994年)工場長で退職。平成7年(1995年)1月歿 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり


日本人のサバイバルもの

書評 『江戸時代のロビンソン-七つの漂流譚-』(岩尾龍太郎、新潮文庫、2009)-日本人がほんらいもっていた、驚くべきサバイバル能力に大興奮!!
・・「無人島・鳥島(とりしま)に漂着して20年間生き抜いた男たち・・(中略)・・鳥島はかつてアホウドリの宝庫であった。漂流民たちはアホウドリを捕獲して、食いつないで生き抜いたのだ。渡り鳥アホウドリの肉は干し肉にして保存し、雨水で渇きを癒し、アホウドリの羽衣を身にまとって・・・」


電気に頼らない文明

電気をつかわないシンプルな機械(マシン)は美しい-手動式ポンプをひさびさに発見して思うこと

「アタマの引き出しは生きるチカラ」だ!-多事多難な2011年を振り返り「引き出し」の意味について考える
・・「アタマの引き出し」がすぐにつかえる状況にあれば、電気をつかう情報機器がなくてもサバイバル可能!

動物は野生に近ければ近いほど本来は臆病である。「細心かつ大胆」であることが生き残るためのカギだ


ニューギニア戦線

水木しげるの「戦記物マンガ」を読む(2010年8月15日)
・・ニューギニア・ラバウル線線で視線をさまよった経験をもつマンガ家の水木しげる。爆撃で左腕を失った水木氏は、原住民と深いレベルでの交流をもった人でもある


オランダと東インド植民地

書評 『西欧の植民地喪失と日本-オランダ領東インドの消滅と日本軍抑留所-』(ルディ・カウスブルック、近藤紀子訳、草思社、1998)-オランダ人にとって東インド(=インドネシア)喪失とは何であったのか

書評 『五十年ぶりの日本軍抑留所-バンドンへの旅-』(F・スプリンガー、近藤紀子訳、草思社、2000 原著出版 1993)-現代オランダ人にとってのインドネシア、そして植民地時代のオランダ領東インド

『戦場のメリークリスマス』(1983年)の原作は 『影の獄にて』(ローレンス・ヴァン・デル・ポスト)という小説-追悼 大島渚監督 
・・日本占領時代のジャワ島の捕虜収容所が舞台

書評 『学問の春-<知と遊び>の10講義-』(山口昌男、平凡社新書、2009)-最後の著作は若い学生たちに直接語りかけた名講義
・・文化人類学者の山口昌男は、アフリカのつぎにインドネシアの島々で本格的なフィールドワークを行っている

(2015年9月3日、6日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2013年9月28日土曜日

月刊誌 「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2013年11月号の 「特集 そして、「理系」が世界を支配する。」は必読!-数学を中心とした「文理融合」の時代なのだ


月刊誌 「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)の最新号(2013年11月号)の 「そして「理系」が世界を支配する。」はじつに面白い特集だった。

アメリカでは、名門ハーバードですら人文系(humanities)の人気が下がっているという。就職で有利にならないからだ。人文系教育を中心にした小規模リベラルアーツ・カレッジでも状況は同じらしい。

もともと遅れて近代化を開始して日本は、欧米先進国へのキャッチアップを至上命題としてきたため、実用性の高い工学部が法学部が最重視されてきた。就職に直結しない人文系は低い扱いを受けてきた。だから最初このタイトルをみたときは、日本みたいになってきたのかな、と思った。

だが、アメリカの状況はそうではない。数学の重要性がかってないほど大きくなりつつあるというのだ。その理由はビジネス界におけるビッグデータにある。

ビッグデータとは、膨大なデータを収集分析することによって、いままで見えてこなかった相関関係を複雑なアルゴリズムにもとづいた統計的手法によって発見し、経験や勘に頼らない意思決定を行うことをさしている。膨大な量のデータを解析するため市販のソフトウェアでは処理不可能で、データ・アナリストという専門家が必要とされる。

そのデータ・サイエンティスト人気が沸騰しているのがいまのアメリカの現状であり、後追い的に日本でも人気が高まりつつある現状だ。いまもっともセクシーな職業(!?)とさえいわれている。

データ・アナリストになるには、統計学はもちろんのことコンピュータサイエンスや数学といった基礎的な学問だけではなく、世の中のもろもろについて通じている必要がある。分析対象が人間のかかわる現実社会である以上、たんなる技術オタクだけではデータを的確に読み取ることもできないからだ。

だから、人文系専攻の人気は急速に低下しているのである。学問としての必要がないわけではないが、就職先がないのでは仕方あるまい。そう考えている学生がアメリカでは少なくないらしい。

キーワードは、数学を中核においた「文理融合」というべきだろう。


アングロサクソン世界における確率論的思考

「因果関係よりも相関関係」で考える! 編集長の冨倉氏は後記で特集のキモを的確に要約している。

時間差メカニズムが本質の因果関係が解明できなくても、2つの事象のあいだに相関関係があることがわかれば、それがビジネスの現場であればアクセルを踏み込めばいい。極論すればそういうことだ。むしろ過度に因果関係にこだわると足をすくわれることがある。

なぜなら、これは統計学や確率論をやっていれば「常識」であるが、相関関係イコール因果関係ではないからだ。統計的な相関関係は、かならずしも因果関係ではないのだ。日本人がよく理解していないのはこの点だ。

そもそもアメリカを中心としたアングロサクソン世界では確率論的思考が重視されてきた。人間社会は因果律に支配されているのではなく、未来は確率論により選択された意思決定によってつくられていくものである、と。

ビジネスの世界では生産管理は当然のこととして、それ以外のマーケティングにおいても統計学が重視されてきたし、全体的にその傾向がある。

ある意味では、アングロサクソン的思考そのものが理系の思考とは親和性が高いと思われる。実験と観察を重視し、しかも観察は多面的かつ複眼的に行うことが当然のこととされている。集合知という発想はコンピュータの処理能力アップが前提ではあるが、アングロサクソン的思考そのもののようだ。

いまアメリカではビッグデータ時代になってからデータアナリストの人気がうなぎのぼりで、必然的に統計学や数学が重視される傾向にあるわけだが、20数年前にアメリカの理工系大学のMBAコースにいたわたしの個人的印象ではかならずしもそうではなかった。

アメリカでは理系人気が落ち込み、ユダヤ系やインド系を除くと、一般的に白人のアメリカ人は数学が弱いという印象をわたし個人としてもっていた。だから、英語がそれほど得意ではない日本人でも、日本人としては平均レベルの高校数学さえできれば留学生活はなんとかやり過ごせるのだ、と(笑)

だが、この認識を改めなくてはいけないようだ。それほどアメリカでは急激に変化しつつあるのだ。


「私立文系」の受験に数学の復活を!

そもそも、西洋文明においては古代ギリシア以来、リベラルアーツのなかに数学はしっかりと位置付けられている。有名なプラトンの学園には、「幾何学を学ばざる者この門をくぐるべからず」という額がかかっていたのであった。

だから、アメリカにおいても、もともと数学や理科はリベラルアーツ教育においても重視されてきたのだ。全体に安直な志向のなか数学を勉強する者が減っていたのであろう。だが、とくに2008年のリーマンショック以来、そんなことを言っていられない状況にあるということだ。

「理系」というのが日本語独特の表現で、「理系」と「文系」という区分じたい日本だけである。「文理融合」とならなくては日本には未来はない。

「私立文系」というカテゴリーは大学受験予備校がつくりだしたものだが、大学受験に数学がない(!)という状況は異常である。受験に数学をいれると受験生が減少し、その結果、受験料収入が減少してしまうという私学経営者の懸念は理解できなくはないが、日本全体のレベル底上げという大義はしっかりと理解していただきたいものだ。

英語だけではない。数学も必要なのだ。英語ができる生徒は数学もできるというのは、日本でもむかしからよく知られている「相関関係」の事例ではないか!

英語と数学に共通するもの、それはロジックである。論理的思考である。

わたしはこの10年以上、ことあるごとに数学の重要性を主張してきた。「黒船」というわけではないが、海の向こうのアメリカからやってくる大きなうねりによって、ようやく大学教育における数学重視の姿勢が生まれてくるのではないかと期待している。

日本の教育関係者のみなさんには、ぜひこの「特集 そして「理系」が世界を支配する」をすみずまで読んで危機感をいだき、そして数学の重要性について覚醒していただきたいと願う次第だ。





目 次

PART 1 世界のルールは「理系」が作る

●数字がすべての世界で、私たちは「アルゴリズムの奴隷」になるのか
●情報量の爆発的増加で ニュースの読まれかたも変わる
●世界を震撼させた「新時代の予言者」ネイト・シルバーとは何者か
●米国の名門大学が育成に力を注ぐビッグデータの〝魔術師〞とは
●ハーバードの学生たちに広がる急激な「文系離れ」の波紋
●ウォール街を 支配しているのは、経済学者ではなく数学者たちだった

◆Interview-1 大栗博司|物理学者
米国の「理系学生」たちの優秀さは日本の学生とは比べものになりません
◆Interview-2 竹内薫|サイエンスライター
 〝文系バカ〞になりたくないなら まず統計を学ぶことから始めよう

PART 2 「理系」は世界をこう見ている

●もし「数学オタク」のアラフォー女性が世界的IT企業のCEOになったら
●「理系」の億万長者たちが夢見るあまりに過激な「未来予想図」
●シリコンバレーの政界進出で米国の産業構造が塗り替えられる!?
●〝経験〞や〝勘〞なんかに頼らない
●グーグル流「革命的ベンチャー投資法」
●「2045年、すべての病は治療可能になり、他人の脳と〝連結〞できるようになる」
●ビッグデータは人間の脳を超えるのか「まったく新しい人工知能」の衝撃

◆Interview-3 安宅和人|ヤフーCSO
 これからのビッグデータ時代に「必要とされる人材」の条件とは
◆Interview-4 青木薫|翻訳家
〝文系人間〞でも楽しめる必読「理系の教養本」ガイド

その他は省略



<関連サイト>

 「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2013年11月号
http://courrier.jp/contents/courrier108.html

経営者よ「因果関係」は追うな!「相関関係」を見よ-「ビッグデータ」伝道師が日本企業に告ぐ (ダイヤモンドオンライン 2014年3月20日)

「技術革新で仕事の5割が消滅」20年後の社会 (ハフィントンポスト 2014年1月20日 執筆者 Michael Rundle 47% Of All Jobs Will Be Automated By 2034, And 'No Government Is Prepared' Says Economist

機械学習革命 的中したビル・ゲイツの予言 (日経コンピュータ、2014年8月4日~8日)
・・「自ら学習するマシンを生み出すことには、マイクロソフト10社分の価値がある」。 米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は今から10年前の2004年2月にこう語った。 その時は来た。 米グーグルや米アップル、米フェイスブックといった先進IT企業は今、コンピュータがデータの中から知識やルールを自動的に獲得する「機械学習」の技術を駆使し、様々なイノベーションを生み出し始めている。 これらは来たる機械学習革命の、ほんの序章に過ぎない。 機械学習の本質は、知性を実現する「アルゴリズム」を人間の行動パターンから自動生成することにある」

Keen On-『第二の機械時代(The Second Machine Age)』の著者にデジタル経済が進展する中での人間の役割を聞く (TechCrunch、2014年2月14日)

Artificial intelligence meets the C-suite Interview|  (McKinsey Quarterly, September 2014)
・・「Technology is getting smarter, faster. Are you? Experts including the authors of The Second Machine Age, Erik Brynjolfsson and Andrew McAfee, examine the impact that “thinking” machines may have on top-management roles.」  『第二の機械時代』の共著者ブリニョルフソンとマカフィーをまじえた座談会。エグゼクティブははたして生き残れるか?という議論で、ある起業家は、「機械にできることは機械にまかせるという発想はアウトソーシングの発想と同じだ」と喝破している。 

(2014年9月11日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

書評 『コンピュータが仕事を奪う』(新井紀子、日本経済新聞出版社、2010)-現代社会になぜ数学が不可欠かを説明してくれる本

書評 『1億人のための統計解析-エクセルを最強の武器にする-』(西内啓、日経BP社、2014)-ビジネスパーソンなら誰もが使えるはずのエクセルでデータ分析が可能となる

書評 『グーグル秘録-完全なる破壊-』(ケン・オーレッタ、土方奈美訳、文藝春秋、2010)-単なる一企業の存在を超えて社会変革に向けて突き進むグーグルとはいったい何か?

書評 『2045年問題-コンピュータが人間を超える日-』(松田卓也、廣済堂新書、2013)-「特異点」を超えるとコンピュータの行く末を人間が予測できなくなる?
・・アメリカの発明家でフューチャリスト(=未来研究者)のレイ・カーツワイルがその議論の中心

書評 『失われた歴史-イスラームの科学・思想・芸術が近代文明をつくった-』(マイケル・ハミルトン・モーガン、北沢方邦訳、平凡社、2010)
・・コンピュータの処理手順を意味するアルゴリズムは、9世紀の科学者アル・フワーリズミーのラテン語読みがなまったものである

本の紹介 『ユダヤ感覚を盗め!-世界の中で、どう生き残るか-』(ハルペン・ジャック、徳間書店、1987)
・・「自分でプログラムを組んでいてわかることは、これはまさしくタルムード思考の、例の複雑な論理そのものの現実化ではないか、ということである。ある条件ではこうしてみる、ある条件ではこんなふうにするということが、複雑に関連し合って絡み合うことが、本当にタルムード的なのである」、と著者は言う

書評 『知的複眼思考法-誰でも持っている創造力のスイッチ-』(苅谷剛彦、講談社+α文庫、2002 単行本初版 1996)

What if ~ ? から始まる論理的思考の「型」を身につけ、そして自分なりの「型」をつくること-『慧眼-問題を解決する思考-』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2010)

書評 『山本覚馬伝』(青山霞村、住谷悦治=校閲、田村敬男=編集、宮帯出版社、2013)-この人がいなければ維新後の「京都復興」はなかったであろう
・・「砲術家だけに数理的能力が高く、経済にも明るかった理詰めの人。余談になるが、江戸時代の日本では数学がブームだったという背景を知っておくことが必要だろう。カネがかからないひまつぶしとして、数学の難問を解くことが一般庶民レベルまで流行っていたらしい」 

書評 『シゴトの渋滞学』(西成活裕、新潮文庫、2013)-数学者が数式をつかわずに書いた読みやすくて役に立つ実用書

映画 『マネーボール』 をみてきた-これはビジネスパーソンにとって見所の多い作品だ!
・・「メジャーリーグ球団のひとつ、カリフォルニア州北部にフランチャイズのあるオークランド・アスレティクス(Oakland Athletics)の GM(=ゼネラル・マネージャー)として球団経営に数字とロジックを持ち込んで、劇的な V字回復を果たした44歳の中年男の実話(ture story)に基づいた映画」クーリエの特集でも取り上げられているネイト・シルバー(Nate Silver)がデータ・アナリストのモデルといわれる 

シリコンバレーだけが創造性のゆりかごではない!-月刊誌 「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2012年1月号の創刊6周年記念特集 「未来はMITで創られる」 が面白い

書評 『ネット・バカ-インターネットがわたしたちの脳にしていること-』(ニコラス・カー、篠儀直子訳、青土社、2010)

書評 『教養の力-東大駒場で学ぶこと-』(斎藤兆史、集英社新書、2013)-新時代に必要な「教養」を情報リテラシーにおける「センス・オブ・プローポーション」(バランス感覚)に見る

ビジネスパーソンに「教養」は絶対に不可欠!-歴史・哲学・宗教の素養は自分でものを考えるための基礎の基礎

(2014年9月11日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end