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put yourself in their shoes という英語の慣用表現がある。「相手の立場になって考える」という意味だ。
直訳すれば、「あなた自身をかれらの靴のなかに入れよ」となる。きわめて面白い比喩的表現である。
自分の靴より大きなサイズの靴であればブカブカだろうし、逆に小さなサイズの靴であればきつくて痛くてしょうがない。
いつもスニーカーしか履かない人が、ハイヒールに履き替える感覚も同じようなものだろうか。といっても男性の私にはよくわかりませんが、それはイマジネーションで補うべきものでしょう。
むかし帝国陸軍ではこういう話があったということを何度も聞いたことがある。ある新兵が支給された軍靴(ぐんか)について、「この靴は自分には小さすぎるであります」と申し出たことに対して、古参の下士官が、「バカヤロー、天皇陛下からいただいた靴に、自分の足が合わないなどと抜かしおるのかっ。足を靴に合わせろ!」と怒鳴って、有無をいわせずいきなりビンタを食らわせた、と。
まったくもって理不尽な話である。もちろん、この英語の格言はそれとはまったく意味が違う。
しかも軍靴(ぐんか)は日本語では靴のカテゴリーだが、英語では military boots なので、シューズではなくブーツである。
日本でも「相手の立場で考えよ」とは、耳にたこができるほどよく聞かされるアドバイスだが、この英語表現のように具体性を帯びた表現だと、耳できく聴覚にとどまらず、靴という視覚イメージや、足をつうじて感じる触覚まで刺激されるような気がする。場合によっては靴の匂いも??
こういう身体性をともなった表現は、人間の五感に働きかける刺激度合いが複合的なので、イメージをふくらませやすい。
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