「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2011年1月24日月曜日

書評『必生(ひっせい) 闘う仏教』(佐々井秀嶺、集英社新書、2010)ー インド仏教復興の日本人指導者の生き様を見よ!




「煩悩は生きる力」と断言する、インド仏教復興の日本人指導者の生き様を見よ!

 インド仏教の指導者・佐々井秀嶺師が自ら赤裸々までに語り尽くした、己の生き様とインドの現実、そして生涯を賭している「闘う仏教」についての、熱いエネルギーの充満した一冊である。

 激しい情の人、行動の人。直情径行の人と言っても言い過ぎではない佐々井師は、若い頃は深い悩みにのたうちまわり、自殺未遂を繰り返しながらも、出家して求道の道を遍歴し、タイを経てついにはインド中部のナグプールにたどりつく。

 そこは、インド仏教復興の指導者アンベードカル博士にかかわる故地であった。

 本人は、瞑想や夢のなかでのお告げに導かれた結果だといっているが、これはまさに自らの内心の声に従い、きわめて強い内発的動機付けによったものであろう。
 
 自らの大いなる欲望は、すなわちインド仏教復興の使命として受取り、日々エネルギッシュに邁進する人生。これはまさに菩薩行(ぼさつぎょう)そのものというべきであろう。

 非暴力主義を貫き、インドに根強く残る不義不正と「闘う仏教」。これこそ、佐々井師の生き様そのものである。「慈悲に基づく大きな怒り」、これまた奇しくもダライラマ14世も同じことを言っている。社会正義を忘れた日本の仏教への大きなアンチテーゼといわねばなるまい。

 佐々井師の「闘う仏教」をとおして見えてくるのは、ここ数年マスコミでよく話題になる中流階級を中心とした、経済発展著しいインドという明るい側面ではなく、カーストの最下層で苦しむ一般民衆の現実である。
 仏教復興運動を快く思わないヒンドゥー至上主義者による、度重なる佐々井師の暗殺未遂など、インド社会の暗く、どす黒い現実が見えてくる。読者もまた、こうしたインドの現実から眼をそらすべきではないだろう。

 現在74歳の佐々井師はすでにインド国籍を取得しているが、昨年2009年には、日本を出てから44年ぶりにはじめて一時帰国した。その際の、率直な感想が第4章に語られているので、これもまたたいへん興味深い内容だ。

 「煩悩は生きる力」と断言する真の宗教者のコトバを、ココロとカラダで感得したい。「苦悩を離れて人生無し、悩み無き人生は、無」であると。ホンモノの宗教家とはどういう存在か、あくまでも文字をつうじた接触でしかないが、その気迫、その覚悟を、切れば血がほとばしるようなコトバをつうじて感じることができるのは幸せなことである。
 ぜひ一読を薦めたい。


<初出情報>

■bk1書評「「煩悩は生きる力」と断言する、インド仏教復興の日本人指導者の生き様を見よ!」投稿掲載(2010年10月16日)
■amazon書評「「煩悩は生きる力」と断言する、インド仏教復興の日本人指導者の生き様を見よ!」投稿掲載(2010年10月16日)




目 次

第1章 仏教との出会い
第2章 大楽金剛
 ナグプール
 アンベードカル
 不可触民の現実
 断食断水15日
 夜行列車の窓に
 大欲得清浄
 脱皮
 煩悩は生きる力
第3章 闘う仏教
 闘う仏教とは
 インド国籍を取る
 大菩提寺管理権奪還闘争
 アヨーディヤ事件
 マイノリティ・コミッション
 命を狙われる
 元が整えば末も整う
 南天鉄塔
 支援のあり方
第4章 必生(ひっせい)
 四十四年ぶりの帰国
 高尾の緑
 宗派根性
 僧侶を避ける小学生
 自殺大国日本
 十界を巡れ
 悩み無き人生は、無
 必生
 仏陀を背負いて社会の中へ
 立ち上がる仏教

おわりに(佐々井秀嶺)
佐々井秀嶺師略年譜
用語解説(志賀浄邦)
参考文献 


著者プロフィール

佐々井秀嶺(ささき・しゅうれい)

1935年、岡山県生まれ。インド仏教指導者。1988年インド国籍取得。ラジウ・ガンディー(当時の首相)からインド名、アーリア・ナーガールジュナを授与される。1960年、高尾山薬王院(真言宗智山派)にて得度。タイ留学を経て 1967年渡印。1968年、カースト差別に苦しむ人々を救う人権運動でもある、インド仏教復興運動に身を投じる。2003年にはインド政府少数者委員会仏教徒代表にも任命された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連サイト>

インド仏教を率いる日本人僧侶の破天荒人生 1億人の仏教徒は、なぜ彼を慕うのか (東洋経済オンライン、2015年7月21日)
・・佐々井師は、2015年6月にも一時帰国。その際に行われたインタビュー

インドで1億5千万人を導く日本人僧侶の人生色情因縁「私には黒い血が流れている」(東洋経済オンライン、2017年9月9日)
・・佐々井師は81歳のいまもなお意気軒昂

(2015年7月22日 項目新設)
(2017年9月10日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『男一代菩薩道-インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺-』(小林三旅、アスペクト、2008)
・・日本人の若手テレビ・ディレクターが密着取材した佐々井師の肉声

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)

「ダライラマ法王来日」(His Holiness the Dalai Lama's Public Teaching & Talk :パシフィコ横浜)にいってきた

アッシジのフランチェスコ (4) マザーテレサとインド

書評 『チェンジメーカー-社会起業家が世の中を変える-』(渡邊奈々、日本経済新聞社、2005)

『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク、大前研一訳、講談社、2010) は、「やる気=ドライブ」に着目した、「内発的動機付け」に基づく、21世紀の先進国型モチベーションのあり方を探求する本

成田山新勝寺「断食参籠(さんろう)修行」(三泊四日)体験記 (総目次)


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end