この本のことは2013年の時点で知っていたが、つい最近ひさびさにamazonでその存在を思いだした。取り寄せてさっそく読んでみたが、じつに面白い。まるでジョブズがまだ生きていて、目の前にいるかのような気がしてくる。
「ジョブズの料理人」とは、カリフォルニア州はシリコンバレーのパロアルト(Palo Alto)で寿司屋、その後に会席料理店を経営していた日本人職人の佐久閒俊雄氏のこと。寿司職人として米国に渡った最初の世代の人だ。まずはハワイに、そして本土の西海岸のカリフォルニアへ。
本書は、その「ジョブズの料理人」の聞き語りを活字化したものである。
寿司屋がほかの料理店と違うのは、カウンター越しにお客さんと直接会話ができること。
常連客の一人がジョブズだったことから、ジョブズ自身やその日本料理とのつきあい、その他シリコンバレーの起業家たちや投資家たちの面々が回想される。米国の日本料理普及の歴史もまた。
ベジタリアンと見なされがちなジョブズだが、寿司ネタのトロもハマチも食べていたので、ヴィーガンではなかったことがわかる。とはいえ、生魚を食べることができるようになるまで時間がかかったようだ。
ジョブズが亡くなってから、すでに13年になる。その2年後の2013年の出版時点で読んでおけば、もっと楽しめただろうという気もするが、かならずしもそうではない。
すでに日本の学習マンガの世界では「偉人伝」のひとりになっているジョブズだが、まだまだ「過去の人」にはなっていないことが実感されるだろう。 まだ読んでない人がいたら、『ジョブズの禅僧』とあわせて読んでみるといいと思う。
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目 次はじめに(外村仁*)第1章 さようならスティーブ、さよなら桂月第2章 シリコンバレーで旨い寿司を食わせよう!第3章 「自分でやる」のがスティーブ流第4章 「天才」の素顔第5章 妙なヤツラがやってきた第6章 桂月は景気のバロメーター第7章 会席料理へのチャレンジ第8章 スティーブからの誘い第9章 26年続けられた理由あとがき(佐久閒惠子)年表
* 外村仁:アップル社でマーケティングを担当。ジョン・スカリーからスティーブ・ジョブズまで5 年間 で4 人の CEO に仕えた。
取材協力佐久間俊雄(さくま・としお)福島県出身。15 歳から寿司の修行を始める。1979 年に渡米後、1985 年カリフォ ルニア州パロアルトに最初の店「スシヤ(鮨屋)」を開店。1994 年に「トシズ・ スシヤ」、2004 年には会席料理の専門店「桂月」を開店する。シリコンバレーの 起業家、投資家をはじめ地元の人に親しまれる。2011 年10 月に桂月を売却。現在 シリコンバレー在住。佐久間恵子(さくま・けいこ)沖縄県出身。ハワイ大学経営学科卒業(Bachelor of Business Administration)。 米国公認会計士取得。4大会計事務所勤務を経て、夫俊雄と共に16 年間、和食店 の経営に携わる。現在はシリコンバレーで会計事務所に勤務。(経歴は出版社の書籍サイトより出版当時2013年のもの)
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