「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2025 禁無断転載!



ラベル ベストセラー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ベストセラー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年4月12日水曜日

出版から10ヶ月。2022年6月にでた『超訳 アンドリュー・カーネギー 大富豪の知恵』がようやく「amazonランキング1位」に】(2023年4月12日)

 
本日2023年4月12日は、会社設立からまる12年。「12」がらみ。12年とは干支のようだな。10年より意味があるかも。



「カテゴリ」は 「歴史に学ぶビジネス」で「ベストセラー」!  ようやく「ランキング1位」になったか! じつに感慨深い。 

楽勝のハズだと思っていたが、苦節10ヶ月。ありがとう。感謝、感激! 購入していただいたみなさん、ありがとう! 

購入していただいたみなさまのビジネスが成功しますように! 


<ブログ内関連記事>



(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2021年5月18日火曜日

戦前日本のベストセラーでロングセラーであった『肉弾』を読む。― 旅順攻囲戦の「戦場のリアル」を描いた、この戦争ノンフィクションがすごい



これまた長らく積ん読になっていたままの本を読み終えた(*)。タイトルは『肉弾』日露戦争の旅順要塞攻囲戦がテーマの戦争ノンフィクションだ。 

*2018年9月12日のこと。FBの投稿からブログへの投稿が大幅に遅れてしまったので、このような記述になっている。ブログ掲載にあたって加筆修正を行っている

ずいぶん前のことだが、赤い表紙の文庫本サイズの小型本を手に入れた(写真)。初版が明治39年(1906年)と日露戦争終結後の出版入手した本は、昭和3年(1928年)で、なんと1,350版! 当時の大ベストセラーでロングセラーだった本だ。 

英語を始め各国語版も出て、世界的ベストセラーになった本だ。冒頭には、セオドア・ローズヴェルト大統領から著者あての書簡が英文で掲載されている。英語版のタイトルは Human Bullets: A Soldier's Story of Port Arthur である。 旅順港は英語でポート・アーサー肉弾は human bullet(人間弾丸)となるわけだ。

作者は、櫻井忠温(さくらい・ただよし)。出版当時は、現役の陸軍中尉だった人だ。陸軍少尉として日露戦争に出征歩兵小隊長として最前線で「肉弾」突撃を敢行、激烈な戦闘を戦った人なのだ。 究極の「中の人」なのである。

軍人であるだけでなく、文章の才能もあった人だ。漢字がやたら多くて、装飾過剰の文体ではあるが、講談調というのだろうか、リズミカルな文章は読んでいて気持ちがいい。総ルビなので、意外とスムーズに読める(下記の画像を参照)。


(『肉弾』より「26 肉弾又た肉弾)


乃木大将が苦戦に苦戦を重ねて、やっと攻め落とすことができたのが旅順要塞。いわゆる203高地である。

著者は、旅順攻囲戦の第1回総攻撃に、小隊長として「肉弾」突撃を指揮した人だけあって、現場にいて実際に見聞きし、体験したことが中心に書かれているので、描写が半端ではない。

まさに「戦場のリアル」が、これでもか、これでもか、と書き込まれているのだ。 

クライマックスは、総攻撃のシーンだが、獅子奮迅の活躍をした本人もまた、砲弾で右手首を吹き飛ばされる重傷を負い、全身血だらけになって倒れているところを救助され、火葬される寸前(!)に息を吹き返している。その体験はハンパではない。

九死に一生を得た彼は、その後は1年近く入院生活を送っている。そのため、負傷以降の戦争描写はない。あくまでも自分が見たこと、体験したことしか書いていないのである。 

旅順攻囲戦(203高地)にかんしては、これまで映画やドラマで映像化されてきたが、この本に描かれた「戦場のリアル」には及ばないもしこの本の記述そのままを映像化したら、間違いなく耐えられない観客が続出するだろう。ほとんどスプラッター状態というほどの凄惨かつ壮絶をきわめた戦場であったのだ。

乃木大将の揮毫による「壮烈」の二文字そのものだったのである。


(『肉弾』に所収の乃木大将の揮毫「壮烈」)


それにしても思うのは、あの当時の日本人は、ほとんど天皇に対する信仰といってもいいような熱情があったからこそ、国のために自らの命を犠牲にすることができたのだろう。

現在の日本人にはとても真似できないし、真似したいという気持ちにもならない。この本を読んでしまうと、日露戦争を手放しで礼賛する気にはなれなくなる。

司馬遼太郎的が、国民文学となっている『坂の上の雲』で描いた「健康なナショナリズム」とも、ちょっと違うような印象を受ける。

それは、著者自身が陸軍少尉(現地で中尉に昇進)であり、目線のありかが高級将校とは違うからだ。地を這うような目線は、将校でありながら、兵士のそれときわめて近い。 

ちなみに個人的な話であるが、私の祖父は日露戦争後のシベリア出兵に動員されているが、祖父の長兄は日露戦争で旅順攻囲戦に参加しており、砲弾で顔の半分を吹き飛ばされる重傷を負っている。九死に一生を得て勲章を授与されたものの、復員後は人目を避けて暮らしていたという。そんな話を聞いたことがある。
     
この本に描かれた「総力戦」が、今度はわずか10年後の欧州で勃発した「世界大戦」の前哨戦となったのである。欧州戦線は、膠着戦になった塹壕戦であり、ありとあらゆる新兵器が導入された過酷な戦争になった。

日露戦争でも、日本軍は鉄条網(しかも電気が流されていた!)と機関銃に翻弄されていたことが、この「戦争ノンフィクション」を読んでよくわかった。 

思うに、日露戦争の時点が「日本ナショナリズム」のピークだったのではないだろうか? 第1次世界大戦末期に始まった「シベリア出兵」のモラル低下ぶりには驚かざるを得ないからだ。

なお、この本はサブタイトルをつけたうえで『肉弾-旅順実戦記-』と題して、2016年に中公文庫に収録されているので、入手が容易になった。私は後者の復刻版のほうは見ていないが、読むべき本だと言っておきたい。

戦場のリアルは、けっしてロマンティックなものではないからだ。


画像をクリック!



著者プロフィール
櫻井忠温(さくらい・ただよし)
1879(明治12)年、愛媛県生まれ。1901(明治34)年、陸軍士官学校卒業。松山の歩兵第二二連隊付少尉として日露戦争の旅順要塞戦に従軍、瀕死の重傷を負い、死体と間違われて火葬される直前に息を吹き返した。その後、陸軍省新聞班長を経て少将、予備役編入。1965(昭和40)年没。



  <ブログ内関連記事>







(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2021年1月27日水曜日

書評『異文化理解力-相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』(エリン・メイヤー、樋口武志訳、英治出版、2015)-ビジネスパーソンにとって真の「教養」となる「急がば回れ」の方法論

 
最近、その分野ではベストセラーかつロングセラーになっている本を読むことにしている。売れ続けている本とは読まれている本のことであり、それにはそれぞれ理由があるはずだからだ。 

今回はビジネスにおける異文化コミュニケーションの好著『異文化理解力-相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』(エリン・メイヤー、樋口武志訳、英治出版、2015)。この本も気になっていて購入はしていたものの、しばらく積ん読状態となっていた。  

というのは、自分が以下のようなビジネス人生を送ってきたからだ。 


そんな時代には、米国の文化人類学者エドワード・T・ホールによる異文化理解のための本が、「実用書」としてよく読まれていた。当時は現在のように「ビジネス書」というジャンルが巨大化していなかったと思う。

私自身もその手の本はよく読んでいたし、実際にさまざまな国の人たちと公私の別なくかかわるようになってからは、異文化コミュニケーションは試行錯誤を経ながら実地で学んで、それなりにわかったつもりになっていたからだ。 

ところが、この本を読み始めたら、一気に魅了されてしまった。 日米間や日中間のような二国間の異文化問題ではなく、グローバル企業の多国籍状態の異文化コミュニケーション問題に本格的に対応した内容だったからだ。 

ビジネスの現場で遭遇する具体的な事例が万遍なく豊富に散りばめられており、しかもアドバイスがきわめて実際的で実践的だからだ。著者はもともと米国出身で、フランス人の配偶者とパリで暮らしている。著者の専門は、異文化マネジメントに焦点をあてた組織行動論である。 

ベースにあるのは、自分から見た異文化に対するリスペクトの意識である。敬意と礼節を踏まえたコミュニケーションが相手にアクションを促し成果をあげることにつながる以上、相手が属する異文化の背景と特徴を知ることは「急がば回れ」のマインドセットであり、ビジネスパーソンにとっての「教養」となるのである。飾りとしての「知識」ではなく、ビジネス界を生き抜くために必要な「教養」という意味において。


■「カルチャーマップ」でコミュニケーション問題を考える

本書の原題は "The Culture Map: Breaking Through The Invisible Boundaries Of Global Business”  である。「カルチャーマップ」とは、「見えない障壁」となっている「文化の壁」を8つの要素で見える化したものだ。以下のとおりである。 

1. コミュニケーション(ローコンテクストかハイコンテクストか) 
2. 評価(ネガティブ・フィードバックが直接的か間接的か) 
3. 説得(原理優先か応用優先か) 
4. リード(平等主義か階層主義か) 
5. 決断(合意志向かトップダウンか) 
6. 信頼(タスクベースか関係ベースか) 
7. 見解の相違(対立型か対立回避型か) 
8. スケジューリング(直線的な時間か柔軟な時間か) 

このように8つの要素で分析すると、単純でステレオタイプな文化理解がいかに浅はかなものか実感されるし、異文化間の違いがあくまでも相対的なものであることも実感されることになる。 

日本文化がどう位置づけされるかは直接本文を読んで確かめてみてほしいが、この本で有益なのは、日本人にとっての自文化と異文化の違いだけでなく、自分にとっては異文化どうしの関係についても理解できることだ。 

たとえば、アメリカ人とドイツ人の違いなど、日本人からみると意外な感じさえするのである。これはぜひ読んで確かめてみてほしい。欧米人とひとくくりにするのが無意味であるだけでなく、西欧人のあいだでも差異は大きいのである。もちろん言うまでもなく、アジア人のあいだの差異も大きい。 


■日本人と中国人の文化ギャップの大きさ

圧巻は、エピローグの「4つの文化のカルチャーマップ」であろう。フランスの自動車部品メーカーのバイスプレジデント(VP:日本企業でいえば部長クラス)の、深刻で切実な訴えに対する著者の回答とアドバイスだ。 

どういう訴えかというと、そのVPが率いるチームでもっとも深刻な課題は、フランス人と日本人や、フランス人と中国人のあいだではなく、中国人と日本人のあいだにあるものだという。 

その課題に対して、著者は「カルチャーマップ」の「8つの要素」で分析し、中国人と日本人が似て非なる存在であることを、じつに見事に「見える化」している。似て非なるとは、似ている側面と異なる側面の双方が存在するということだ。 


日本語タイトルの副題が「相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養」となっているが、本書で展開されている内容こそ、まさに「教養」というものだろう。「教養」とは、単なる「知識」ではないのである。勘違いしないことが重要だ。

「多国籍=多文化状態」のなかで仕事をしている人はもちろん、直接かかわっていなくても、異文化コミュニケーション問題に関心のある人は読んでまったく損のない本として推奨したい。 





目 次 
イントロダクション
1 空気に耳を澄ます-異文化間のコミュニケーション
2 様々な礼節のかたち-勤務評価とネガティブ・フィードバック
3 「なぜ」VS「どうやって」-多文化世界における説得の技術
4 敬意はどれくらい必要?-リーダーシップ、階層、パワー
5 大文字の決断か小文字の決断か-誰が、どうやって決断する? 
6 頭か心か2種類の信頼とその構築法 
7 ナイフではなく針を-生産的に見解の相違を伝える 
8 遅いってどれくらい?-スケジューリングと各文化の時間に対する認識
エピローグ
詳細目次


著者プロフィール
エリン・メイヤー(Erin Meyer)
フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクール、INSEAD客員教授。異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とする。異文化交渉、多文化リーダーシップについて教鞭をとり、グローバル・バーチャル・チームのマネジメントや、エグゼクティブ向けの異文化マネジメントなどのプログラム・ディレクターを務めている。世界で最も注目すべき経営思想家のひとりとして、「Thinkers50」ほかで紹介されている。


<ブログ内関連記事>





 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)


   
(2012年7月3日発売の拙著です)

 





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end