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2024年2月12日月曜日

『本のエンドロール』(安藤祐介、講談社文庫、2021、初版2018年)は、「紙の本好き」なら共感をもって読める仕事小説

 (文庫本には「熱いメッセージ」のカバーつき)


「本のエンドロール」とは「奥付(おくづけ)」のことだ。紙の本の最後のページに「印刷」されている1枚の情報。そこには、本づくりにかかわった人たちの名前が(・・とはいっても、会社名だけのことも多いが)すべて記されている。

この小説は、そんなモノとしての「紙の本」づくりにかかわる「製造工程」、つまり「印刷」と「製本」ではたらく人たちへのリスペクトを、印刷会社の営業パーソンを主人公にして描いた仕事ものだ。

(講談社の「特別サイト」より「1冊の本ができるまで」 クリックで拡大


印刷工場で働くひとびとを主人公にした小説といえば、プロレタリア作家・徳永直の『太陽のない街』(1929年)があることを読みながら思い出した。鉛の活字を拾って製版していた時代の印刷工場の労働争議を描いた小説だ。こちらも舞台は東京都心である。

中小零細の多い印刷業界は、ほかにも小説の舞台背景になっているものも少なくないと思うが、2018年に初版のでた『本のエンドロール』は、活版印刷が衰退していく時代の小説だ。印刷業にかっての勢いはない。

ふだん小説はほとんど読まないわたしも、この小説は大いに共感しながら読み終えた。なぜなら、自分もまた「本好き」のひとりだからだ。しかも「紙の本」が大好きだ。

世の中から「紙の本」が完全に消えてしまうことはないにしても、すでに成熟期を終えて衰退ステージにあることは否定しようはない。とはいえ、そんな「紙の本」であるからこそ、しぶとく生き残ってほしいし、自分なりに愛着もある。




都心に電車通勤していた時期の長いわたしは、文庫本のページをスマホのように片手でめくる特技(?)をもつ世代である。

電車のなかで「紙の本」を読む人が「絶滅危惧種」になっているとしても、あえて文庫本として読むことに意義を見いだすのである。左手で文庫本をめくり、同時に右手でスマホを操作するというわけだ。ただし、スマホの操作は若者のレベルには達することはないだろう。

「印刷会社」ではたらく人びとを描いたこの小説は、だからこそ「紙の本」として読むべきなのだ。1冊の「紙の本」の背後に、多くの関係者の姿を思い浮かべながら、そしてリスペクトの気持ちをもちながら。


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PS フランクリンは印刷工から出発した

「アメリカ建国の父」のひとりであるベンジャミン・フランクリンは18世紀の人。活版印刷時代の「印刷工」からキャリアを出発し、「印刷工場」の経営から新聞発行などで財をなした人でもある。

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2021年3月2日火曜日

書評『自閉症は津軽弁を話さない-自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』(松本敏治、角川ソフィア文庫、2020)-言語の社会的機能についての考察を深めながらコミュニケーションの本質について考える

 

地方で生きている「自閉スペクトラム症」(ASD)の子どもが、なぜその土地の方言をはなさずに、アニメなどの視聴で習得した共通語でしゃべるのか、その謎を解くことで、人間とことばとの関係を「社会的関係性」の観点からさぐった研究成果を1冊にまとめたものだ。 

研究のきっかけと動機が面白い。帯にもあるように「夫婦喧嘩が発端の研究」である。著者の専門は障害児心理の大学教授、妻は臨床発達心理士。

「自閉症の子どもは津軽弁を話さない」という、臨床発達心理士の妻が現場観察から得た経験則は、はたしてほんとうか、もしそうだとしたらそれはなぜか、を探求した10年に及ぶ研究だ。 仮説をたてては検証し、またあらたな仮説をたてては検証を繰り返し、最終的に試論という形で結論に至る。それが科学(的研究)というものである。 

「意図」をキーワードに、言語を社会的相互作用のなかで捉えることで、なぜ自閉症児がアニメなどから習得した共通語をつかい、方言をつかわないかが解明されるのだが、結論もさることながら、結論にいたるプロセスが興味深いのだ。 

言語の社会的機能についての考察を深めながら、コミュニケーションの本質について考え、どうじに自閉スペクトラム症(ASD)についての理解も深まる内容。この本を読んで、はじめてASDについて、多少は知ることができた。 

「ですます調」をつかってわかりやすく書いているが、専門的な内容に踏み込んでいる専門書である。専門書であっても、こういう書き方もあるのだな、という感想をもった。


目 次

発端
第1章 自閉症は津軽弁をしゃべんねっきゃ
第2章 北東北調査
第3章 全国調査
第4章 方言とは
第5章 解釈仮説の検証
第6章 方言の社会的機能説
第7章 ASD幼児の方言使用
第8章 ASDの言語的特徴と原因論
第9章 家族の真似とテレビの真似
第10章 ことばと社会的認知の関係
第11章 かず君の場合
第12章 社会的機能仮説再考
第13章 方言を話すASD
第14章 「行きます」
第15章 コミュニケーションと意図
おわりに
引用・参考文献
謝辞
文庫版あとがき


著者プロフィール
松本敏治(まつもと・としはる)
1957年生まれ。博士(教育学)。公認心理師、特別支援教育スーパーバイザー、臨床発達心理士。1987年、北海道大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年、博士号取得(教育学)。2003~2016年9月、弘前大学教授。2011~2014年、弘前大学教育学部附属特別支援学校長。2014~2016年9月、弘前大学教育学部附属特別支援教育センター長。2016年10より、教育心理支援教室・研究所『ガジュマルつがる』代表。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2012年5月25日金曜日

世界史は常識だ!-『世界史 上下』(マクニール、中公文庫、2008)が 40万部突破したという快挙に思うこと



最近、どこの本屋でも、文庫本のコーナーでひじょうに目立つのがこのポップ。

たった2冊で大丈夫!世界史を理解する最後のチャンスです

『世界史 上下』(マクニール、中公文庫、2008)です。1971年に日本語訳の初版がでた本ですから、すでに40年以上前の本ですが、アップデートされているようです。

しかも、東大・早稲田・慶應大学で文庫ランキング1位というのも目をひきます。一橋大学がないのは残念ですが(笑)

「たった2冊」、「1位」、「最後」・・といった数字の見せ方もすぐれています。というわけで、思わず手にとってしまいますね。直近のDMでは、すでに上下あわせて40万部突破というのですから、たいしたものです。

とはいえ、上下二冊で1,000ページくらいあるので、果たして最後まで読み切れる人がどれだけいるのか(笑) この数字は、出版社は見せていません。手に取ってみればわかりますが。

おそらく、大半の人はこのポップにつられて、まず上巻を買って読み始めるものの、あまりにも長いので途中で挫折してしまうのでしょう。

だから、上巻と下巻の販売比率は、おそらく 2:1 くらいなのではないかと思いますが、それにしても爆発的売れ行きといっていいでしょう。

歴史書、しかも世界史の分厚い本が40万部も売れているというのは快挙です。大学の学部時代に、歴史学を専攻して、西洋中世史で卒論を書いたわたしには、たいへん心強いブームです。

世界史は常識だ! と、声を大にして叫びたい(笑)

この本は読んではませんが、同じ著者の 『ヴェネツィア-東西ヨーロッパのかなめ 1081‐1797』(岩波書店、1979)は読んだことがあります。2013年に講談社学術文庫から文庫化されています(・・2016年2月5日 追記)。

ヴェネツィアの歴史といえば、歴史小説家・塩野七生の『海の都の物語-ヴェネツィア共和国の一千年- 全6巻』(新潮文庫、2009)も読み応えがありますが、より専門的な歴史学の観点からいえば、マクニールの本は必読といえるでしょう。たそがれゆく日本を考えるうえで、ヴェネツィア史を振り返るのは意味あることです。千年はもったわけですが。

マクニールの著書としては、同じ中公文庫からは、『疫病と世界史 上下』(中公文庫、2007)も出版されています。テーマ設定がバツグンにうまい、現代アメリカを代表する、スケールの大きな歴史家です。

日本史にかんしても、網野善彦の『日本の歴史を読み直す』(ちくま学芸文庫、2005)が文庫本の平棚でプロモーションされています。

もともとちくまプリマーブックスというカタチで正続の二冊本で出版されていたものを文庫で合冊版にしたもの。この本はじつにいい本です。ぜひ読んでほしいもの。いや、全国民必読といっていい。

歴史を知らなければ、現在も未来もわからないのです。先行きが見えないいまのような時代こそ、社会人も歴史にしっかりと向かい合うべきだと思います。

まずは、全体の「流れ」を把握することです。そのためにも、『世界史 上下』(マクニール、中公文庫、2008)を読むのはいいことです。

欲をいえば、アメリカ人ではなく、日本人の問題意識から書かれた世界史の概説書も読んでおきたいものですが、そこまでは言いますまい。「売れているからいい」ということは、この本の場合はあてはまります。

世界史は常識だ!



PS その後、2014年には、マクニールの主著のひとつである 『戦争の世界史 上下』が中公文庫から文庫化された。(2016年2月5日 記す)





<ブログ内関連記事>

書評 『歴史入門』 (フェルナン・ブローデル、金塚貞文訳、中公文庫、2009)
・・20世紀を代表する歴史学者ブローデルの『資本主義の力学』の日本語訳

書評 『ヨーロッパとは何か』(増田四郎、岩波新書、1967)
・・「歴史学は実学だ!」という伝統を当初からもっていたのが一橋大学(・・東京商科大学)の伝統。その事情については、この記事を参照していただきたく

書評 『そのとき、本が生まれた』(アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ、清水由貴子訳、柏書房、2013)-出版ビジネスを軸にしたヴェネツィア共和国の歴史

(2016年2月5日 情報追加)


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