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2025年8月10日日曜日

書評『日ソ戦争 ― 帝国日本最後の戦い』(麻田雅文、中公新書、2024)― 「中立条約」を無視したソ連軍が侵攻を開始、日本と全面戦争になったのは、長崎に原爆が投下される数時間前のことであった

 

1945年8月8日23時(日本時間)にソ連が日本に対して「宣戦布告」、翌日未明に「日ソ中立条約」を踏みにじってソ連軍が満洲に侵攻してきたのだ。 

長崎に原爆が投下されたのは午前11時02分ソ連軍の侵攻のあとのことになる。ソ連軍の侵攻は、戦争継続能力を失いつつあった日本にトドメを刺す行為であった。 原爆投下だけで日本が降伏したのではない。この論争はとりあえず脇においておこう。*

『誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断』(千々石泰明、PHP新書、2025)は、米国は「コスト最小化」を目的として原爆を実戦に投入したものの、「日ソ中立条約」を結んでいた日本が、希望的観測からソ連に期待していた英米との仲介が、「ソ連参戦」によって無残にも打ち砕かれた万事休すと感じたことが、直接的にポツダム宣言受諾につながったという結論を、仮説的推論をもとに行っている。ただし、当時は日本だけでなく、米国も含めた世界中で、ラーゲリにかんするソ連の非道については認識されていなかったことは、割り引いて考える必要はある。(2025年8月21日 情報追加)


ソ連との全面戦争は、8月15日に日本がポツダム宣言を受諾したことを公表してなお終わることなく、8月22日になってようやく停戦が実現している。 その間には満洲国を壊滅させ、朝鮮半島北部を38度線まで占領、さらには南樺太と千島列島を占領するにまでいたった。北方領土はいまだに還ってこない。 

わずか2週間ばかりの戦争ではあった。双方あわせて285万人超の参加兵力が激突したわけだが、軍事的にもさることながら、第二次世界大戦以降の東アジア情勢を激変させることになったことは計り知れない意味をもつ。 

日本に敵対する勢力が跋扈(ばっこ)する大陸の情勢が「戦後80年」の現在2025年においてなお継続していること、いや情勢がふたび悪化しつつあることは、日本にとっては悪夢としかいいようのない現実だ。

だが、この2週間におよぶ「全面戦争」には、いまだに正式な名称がないのだという。『日ソ戦争 ― 帝国日本最後の戦い』(麻田雅文、中公新書、2024)によれば、ロシアでは「ソ日戦争」とよばれているのだという。  

この戦争を「日ソ戦争」として命名し、その全体像を概観した本書は、出版以来ベストセラーでロングセラーになっている。「日ソ戦争」という名称が、日本人のあいだでデファクトで定着することになるかもしれない。そう期待したい。 



■「日ソ戦争」において重要なファクターは戦後構想をめぐる「米ソ」の確執

さて、この本が出版されて購入したものの、しばらく積ん読のままとなっていたのは、満洲における戦いや、南樺太と千島列島における戦いもある程度まで知っているので、急いで読む必要はあるまいと思っていたからだ。 

ところが、実際に読んでみると、近代における日中露関係史を専門とする研究者の著書でありながら、米ソの確執が重要な要素として分析されていることに気がついた。 

当時の米国は、4期目に入っていたローズヴェルト大統領がソ連参戦をつよく希望していたが、スターリンはのらりくらりとその要求をかわしつづけていた。国土を荒廃させ、多大な人的被害をもたらした「独ソ戦」を、かたづけることが至上命題であったからだ。大国ソ連といえども二正面作戦はむずかしい。 

ローズヴェルトの死後、大統領に昇格したトルーマンは、ソ連参戦よりも原爆投下で日本を敗戦に追い込むことを選択する。ドイツ敗戦後の欧州情勢をみきわめるうちに、戦後統治にソ連を介入させない方向に舵を切ったのである。ポツダムでのスターリンとの接触でソ連の本質を理解するにいたったからだ。 

ソ連においても、独ソ戦で疲弊し厭戦気分が充満していたこともあり、日ソ戦に奮い立つという状況ではなかったらしい。だからこそ、スターリンは「日露戦争への復讐(!)」というストーリーをつくって、戦争の正当性を主張するしかなかったのである。

日本にとっては、原爆投下もソ連参戦も最悪だったと言わざるを得ないが、それでもなお米国による単独占領となったことは、不幸中の幸いであったと言わなくてはならないだろう。 

とはいえ、「ヤルタ秘密協定」において、ソ連が占領した千島列島の範囲を明確に示さなかったことは、「米国の過失」として日本人は知っておく必要がある。北方領土問題は一義的にソ連(ロシア)に非があるのは当然のことだが、米国にも責任があるのだ。 日本の頭越しに、米ソ両大国によって日本の運命が決められたのである。

米そ両大国による頭越しの交渉。聴いたことのあるフレーズではないか! いきなり平和な日常が破壊された衝撃。超大国によって頭越しに左右された戦後処理の不条理さ。

2022年に始まっていまなお終わらない「ウクライナ戦争」を重ね合わせて読むことも可能だろう。 いや、「ウクライナ戦争」によって、80年前の「日ソ戦争」は、あらためて日本人にとってはリアルなものとして、あらたな意味を帯びて再生しつつあると言えるかもしれない。






■新発見の史料も踏まえた最新研究であり読ませる文章

ソ連崩壊後、ソ連軍によって鹵獲(ろかく)された日本側の資料が、ようやく一部が閲覧可能となった。

本書は、そういった新資料やソ連側の公文書も踏まえたものでおり、史料のもつ限界があるものの、全体をとおして比較的公平な視点で記述されている。 

「日ソ戦争」がもたらした国際情勢の激変だけでなく、もちろん個々の戦闘の詳細にかんする軍事面の記述も充実している。 

在留日本人が被った多大な被害についても、その当時を回想した人びとのうち、満洲から命からがら引き揚げた森繁久彌や宝田明などの演劇人、赤塚不二夫のようなマンガ家、朝鮮から引き揚げた五木寛之のような文学者の文章も挿入し、読ませる工夫がされている。

(作家・新田次郎の配偶者あった藤原ていによるベストセラー『流れる星は生きている』への言及がないのは、ちょっと寂しいところだ。満洲から引き揚げた途中で朝鮮で足止めを食らった苦難の記録は、日本人必読だ) 

「日ソ戦争」と、それがもたらした現在につながる国際環境の激変の全体像を知るために、ぜひ本書を読むべきだと薦めたい。 



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目 次
はじめに 
第1章 開戦までの国家戦略 ― 日米ソの角逐 
 1 戦争を演出したアメリカ ― 大統領と米軍の思惑 
 2 打ち砕かれた日本の希望 ― ソ連のリアリズム 
第2章 満洲の蹂躙、関東軍の壊滅 
 1 開戦までの道程 ― 日ソの作戦計画と動員 
 2 ソ連軍の侵攻 ― 八月九日未明からの1ヵ月 
 3 在満日本人の苦難 
 4 北緯三八度線までの占領へ 
第3章 南樺太と千島列島への侵攻 
 1 国内最後の地上戦  ― 南樺太 
 2 日本の最北端での激戦 ― 占守島 
 3 岐路にあった北海道と北方領土 
 4 日ソ戦争の犠牲者たち 
第4章 日本の復讐を恐れたスターリン 
 1 対日包囲網の形成 
 2 シベリア抑留と物資搬出 
おわりに ―「自衛」でも「解放」でもなく 
あとがき 
註記/参考資料 
巻末史料 ヤルタ秘密協定草案/ヤルタ秘密協定 
日ソ戦争 関連年表 

著者プロフィール
麻田雅文(あさだ・まさふみ) 
1980年、東京都生まれ。20003年、学習院大学文学部史学科卒業。2020年、北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得後退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、ジョージ・ワシントン大学客員研究員、岩手大学人文社会科学部准教授を経て、2025年より成城大学法学部教授。専攻は近現代の日中露関係史。著書『中東鉄道経営史―ロシアと「満洲」1896~1935』(名古屋大学出版会、2012年/第8回樫山純三賞受賞)ほか。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに加筆)


PS あわえてよむべき


原爆投下よりも、ソ連参戦がポツダム宣言受諾につながったとする見解を、仮説推論によって打ち出したのが『誰が日本を降伏させたか 原爆投下、ソ連参戦、そして聖断』(千々石泰明、PHP新書、2025)である。



米国は「コスト最小化」を目的として原爆を実戦に投入したものの、「日ソ中立条約」を結んでいた日本が、希望的観測からソ連に期待していた英米との仲介が、「ソ連参戦」によって無残にも打ち砕かれた万事休すと感じたことが、直接的にポツダム宣言受諾につながったというのが結論だ。

本書『日ソ戦争 ― 帝国日本最後の戦い』(麻田雅文、中公新書、2024)とあわせてよむべき。

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2018年4月18日水曜日

書評『戦争を始めるのは誰か ー 歴史修正主義の真実』(渡辺惣樹、文春新書、2017)- サブタイトルから受ける印象で敬遠せずにぜひ読むべき真っ当な内容の現代史


買ったまま積ん読にしていた『戦争を始めるのは誰か-歴史修正主義の真実-』(渡辺惣樹、文春新書、2017)を読んだ。読みながら思ったが、この本は読む価値が大いにある。 

「歴史修正主義」とか「真実」なんてコトバが表題にあるだけで胡散臭い感じがプンプンして敬遠したくなるのが正直なところだが、虚心坦懐にこの本を読んでみると、意外と(?)きわめて真っ当な内容であることに気づく。 

著者のいう「歴史修正主義」とは、世間一般で使用されている否定的ニュアンスのものとは違う「米英両国の外交に過ちはなかったのか、あったとすれば何が問題だったのか、それを真摯に探ろうとする歴史観」のことだ。

具体的には、第二次世界大戦の米英を中心とした「連合国」の立場を正当化するために、事実関係を都合良く取捨選択してつくられたストーリーに異議申し立てをする立場のことだ。端的にいえば、日本を戦争に追いやった日本嫌いで中国好きのフランクリン・D・ルーズベルト(FDR)の真相を明らかにし、日米戦争が本来は不必要な戦いであったことを明らかにすることにある。

著者は、けっして 「枢軸国」のドイツや日本が正しかったのだと主張しているわけではないヒトラーやスターリンが正しかったのだなどと主張しているわけではない。あくまでも虚心坦懐に事実関係を検証していく立場である。この点は強調しておく必要がある。 

帯のオモテには、「チャーチルとルーズベルトがいなければ第二次世界大戦は起こらなかった!」とある。 この本を読むと、とくにフランクリン・D・ルーズベルト(略してFDR)が諸悪の根源であったことが納得される。ニューディール政策の失敗を糊塗するため戦争による景気刺激を欲しており、欧州の戦争への介入機会を探っていたことは、日本人の常識とすべきだろう。

欧州問題にはかかわらないというワシントン以来の国是である「孤立主義」から逸脱し、「介入主義」を推進した張本人がFDRであり、そしてその先行者がおなじく民主党の第一次世界大戦への米国の介入を推進したウッドロウ・ウィルソンであることがよくわかる。 日本では理想主義者として礼賛されがちな二人だが、ともにプロテスタント牧師の子ども、善悪で白黒をつけたがる独善的思想の持ち主で、ともに人種差別主義者であった。

チャーチルについては、つい最近も2017年に英国で製作された『ウィンストン・チャーチル』という映画が日本公開されており、関心が再び高まっているものと思う。大恐慌(1929年)で大きな借金を抱えることになったことは映画にも出てくるが、ナチスが台頭したことが、反ナチス・反ドイツを主張していたチャーチルを政治の表舞台に「復活」させたことも事実である。チャーチルもまたFDRと同様、「好戦的」であったことは否定できない事実だ。 



日本で使用されている「世界史の教科書」で教えられてきた「米国政府の基本見解に基づく公式見解」とは違うかもしれないが、あくまでもドイツのポーランド侵攻(1938年)の時点で、第二次世界大戦の根本原因が何であったかを探った内容の本である。じっさい読んでみての感想は、かなりの程度、納得のいくものであった。 

世の中の出来事というものは、後付けの理屈で整理されるほど簡単な図式で割り切れるものではない。複雑な要素がからみあっているのであり、その時、その時の指導者たちの思惑が、意志決定の正しさや間違いも含めて複雑にからみあって、「流れ」が出来上がっていくものだ。 

この本が出版されたのは2017年1月で、その当時のわたくしは拙著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』の執筆に専念しており、この本を読むヒマはなかった。 だが、本書で展開されている基本的な見解にかんしては著者の渡辺氏とは共有しているものが多々あることがわかって、大いに心強い思いをしている。(上掲の写真の、帯のウラに記された箇条書きの文言を参照)。 

単行本のようにボリュームも内容もある本だが、関心のある人にはぜひ読むことを勧めたい。






目 次     
はじめに 
第1章 第一次世界大戦の真実 
第2章 第一次世界大戦後の歴史解釈に勝利した歴史修正主義 
第3章 ドイツ再建とアメリカ国際法務事務所の台頭 
第4章 ルーズベルト政権の誕生と対ソ宥和外交の始まり 
第5章 イギリスの思惑とヒトラー 
第6章 ヒトラーの攻勢とルーズベルト、チェンバレン、そしてチャーチル 
第7章 ヒトラーのギャンブル
おわりに
人名索引


著者プロフィール    
渡辺惣樹(わたなべ・そうき)
日米近現代史研究家。1954年生まれ。静岡県下田市出身。東京大学経済学部卒業。カナダ・バンクーバー在住。英米史料をもとに開国以降の日米関係を新たな視点から研究。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)





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「Dデイ」(1944年6月6日)から70年-『史上最大の作戦』であった「ノルマンディ上陸作戦」


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2015年11月8日日曜日

映画『ミケランジェロ・プロジェクト』(米国、2014年)をみてきた(2015年11月8日) ― ナチスの破壊から美術品を救出した特殊部隊「モニュメンツ・メン」の知られざる偉業



映画『ミケランジェロ・プロジェクト』(米国、2014年)は、美術好き、とくに西洋美術のファンにとってはいうまでもなく、歴史ドラマや戦争映画が好きな人ならら、これは絶対に見るべき第一級のエンターテインメント作品だ。

キャッチコピーには、「これは、史上最大 最高額のトレジャー・ハンティング!!」とあるが、まさにそのとおりだろう。人気俳優のジョージ・クルーニーが主演を演じているだけでなく、監督・脚本・製作まですべて関与している。まさに非凡な才能と力量が発揮されたハリウッドの娯楽映画である。

生まれ故郷に美術館をつくるという独裁者ヒトラーの夢(妄想?)の実現のため、ナチスによって被占領地のベルギーやフランスから「戦利品」として略奪された絵画や彫刻。これらを奪還し、ユダヤ人を含めた元の持ち主に戻すという、知られざるミッションを帯びた特殊部隊の物語である。映画の冒頭に明記されているように、「実話にもとづく」(Based on a true story)映画化である。

原題は「モニュメンツ・メン」(The Monuments Men)という。これは、第二次大戦後期の1943年から戦後の1951年まで活躍した、連合軍の「記念建造物・美術品・古文書」部の隊員たちを呼んだものだ。「史上最大の作戦」であるノルマンディー上陸作戦のあと、かれらもまたノルマンディーから上陸する。

ヨーロッパ解放をなしとげた戦闘部隊とは異なり、「モニュメンツ・メン」の功績は長く埋もれたままになっていたが、2007年になってようやく(!)、彼らの功績を顕彰する公式決議が米上下院議会でなされ、ゴールドメダルが授与されたのである。




原作は、『ナチ略奪美術品を救え-特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』(ロバート・エドセル、白水社、2010)、映画公開にあわせて 『ミケランジェロ・プロジェクト-ナチスから美術品を守った男たち-』と改題されて角川文庫から上下二冊の文庫版として出版されている。

日本公開版が『ミケランジェロ・プロジェクト』となっているのは、ベルギーのブリュージュの聖母教会にあるミケランジェロの聖母子像の奪還がこの映画のハイライトだからだろう。

このほか同じくベルギーはヘントの祭壇画や、フェルメールやレンブラント、そしてモネなどの名品が破壊の危機から救出されたのである。残念ながらピカソなどヒトラーが「退廃芸術」としたものは火炎放射器で焼かれてしまっていたが・・・




さまざまな要素がてんこ盛りに詰め込まれていながらスピーディーな展開。最後の最後まで、これでもかこれでもかとハラハラドキドキの場面の連続。そんな内容でありながら、紅一点の魅力的なフランス女性という例外を除いて、主人公たちがみな中年や初老の男性ばかり美術史の研究者、美術館の学芸員や秘書、そして建築家や彫刻家など、およそ職業軍人とは程遠い存在なのも異色だろう。

学者が主人公になるトレジャー・ハンティングものの冒険活劇映画には、スピルバーグ監督の『インディー・ジョーンズ』のシリーズがあるが、同じくナチス時代を舞台背景にしているものの、主人公の考古学者の主人公はあくまでも架空のものである。

これに対して、『ミケランジェロ・プロジェクト』に登場する学者たちはいずれも実在の人物たちで、あくまでも美術品を救い、ヨーロッパ文明が生み出してきたものを守るという使命感に支えられて「作戦」に参加した男たちばかりである。戦死者も出しているのだ。

政戦中のヨーロッパを舞台にしているだけに、ハリウッド映画でありながらヨーロッパ映画の重厚さを感じさせる。ドイツでもロケが行われているので、バイエルン州のノイシュヴァンシュタイン城への道筋など、美しい風景を堪能できる。

全編にみなぎるアメリカ的楽観性が、ハッピーエンドに終わる映画の後味をきわめて良いものとしている。「戦利品」としての美術品を、すべて持ち主に返還するなんていう発想など、ナチスやソ連だけでなく、当時のヨーロッパ人には想像もつかなかったのだ。理想に燃えていたアメリカの黄金時代をうまく描き出しているといえようか。その意味ではノスタルジー映画でもある。

第二次世界大戦では「モニュメンツ・メン」たちの活躍で、多くの美術品が破壊を免れたのであったが、その後の世界ではタリバンによるバーミヤンの巨大石仏の破壊や、イスラーム国(IS)によるイラクのパルミラ遺跡破壊など、貴重な遺跡が破壊されつづけている。もはや、70年後のいまのアメリカには文化破壊をとどめる熱意もチカラもないのであろうか、と嘆息してしまう。

それだけに、「モニュメンツ・メン」たちの存在は、さらに輝かしいものと感じられるのかもしれない。


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<関連サイト>

映画 『ミケランジェロ・プロジェクト』公式サイト 

The Monuments Men(オリジナル)公式サイト(英語)

The Monuments Men | Official Trailer #3 HD | 2014 (トレーラー英語版)

『ミケランジェロ・プロジェクト』ロバート・M・エドゼル著 著者インタビュー (PRESIDENT、2015年11月16日号)

(2016年5月26日 情報追加)



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■フェルメール作品

「ルーヴル美術館展 日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄-」(国立新美術館)に行ってきた(2015年5月6日)-展示の目玉はフェルメールの「天文学者」

上野公園でフェルメールの「はしご」-東京都立美術館と国立西洋美術館で開催中の美術展の目玉は「真珠の●飾りの少女」二点

「フェルメールからのラブレター展」にいってみた(東京・渋谷 Bunkamuraミュージアム)-17世紀オランダは世界経済の一つの中心となり文字を書くのが流行だった


美大の受検に二度失敗したヒトラー:芸術と独裁者

書評 『ヒトラーのウィーン』(中島義道、新潮社、2012)-独裁者ヒトラーにとっての「ウィーン愛憎」

書評 『叙情と闘争-辻井喬*堤清二回顧録-』(辻井 喬、中央公論新社、2009)-経営者と詩人のあいだにある"職業と感性の同一性障害とでも指摘すべきズレ"


ヒトラーが「退廃芸術」として抹殺しようとした表現主義など

「ドイツ表現主義」の画家フランツ・マルクの「青い馬」

「チューリヒ美術館展-印象派からシュルレアリスムまで-」(国立新美術館)にいってきた(2014年11月26日)-チューリヒ美術館は、もっている!

書評 『ピカソ [ピカソ講義]』(岡本太郎/宗 左近、ちくま学芸文庫、2009 原著 1980)-岡本太郎の語る芸術論は、そのまま人生論となっている


共演者マット・デイモンもまたマルチな才能の持ち主

映画 『インビクタス / 負けざる者たち』(米国、2009)は、真のリーダーシップとは何かを教えてくれる味わい深い人間ドラマだ

映画 『プロミスト・ランド』(米国、2012)をみてきた(2014年9月8日)-衰退するコミュニティ(=共同体)とプロミスト・ランド(=約束の地)
・・『ミケランジェロ・プロジェクト』では脇役のマット・デイモンは、この映画では主演でかつみずからが脚本を書きプロデュースしていいる

(2026年8月3日 情報追加)


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2014年6月6日金曜日

「Dデイ」(1944年6月6日)から70年 ー『史上最大の作戦』であった「ノルマンディ上陸作戦」

(写真家ロバート・キャパによる「決定的瞬間」 wikipedia より)

本日(2014年6月6日)は、「Dデイ」(1944年6月6日)から70年になります。

「Dデイ」(The D-Day) とは「ノルマンディ上陸作戦」のこと。最終的に 300万人(!)近い「連合国軍」の兵員が、英国からドーバー海峡を渡ってフランスに上陸を行うことになった「史上最大の作戦」決行の日です。

それまで「枢軸国ドイツ」に対して劣勢に立っていた「連合国」が、アメリカの全面的コミットメントによって反転攻勢に転じるキッカケとなったきわめて重要な戦いでありました。

写真は、『ちょっとピンボケ』の著書で有名な、写真家ロバート・キャパによるもの。ピンボケした写真がかえって「現場」での迫真性を感じさせます。

「ノルマンディ上陸作戦」を描いた映画 『史上最大の作戦』(1962年)はマーチのテーマ曲が有名ですが、子どもの頃、TVで何度も再放送しているので繰り返し見た記憶があります。

『史上最大の作戦』の英語オリジナルタイトルは The Longest Day(いちばん長い日)。1944年6月6日が「いちばん長い日」とされているわけです。

「いちばん長い日」といえば、映画 『日本のいちばん長い日』(1967年)を想起します。「日本のいちばん長い日」とは、1945年8月15日のこと。大東亜戦争(=太平洋戦争)の「終戦の詔勅」がでて戦争が終わった日ですね。

天皇陛下がマイクの前で録音した「玉音放送」のレコードディスク争奪戦をめぐる「長い一日」の記録ですね。原作者の大宅壮一は、英語タイトルをもじってつけたのでしょうか。

『史上最大の作戦』も 『日本のいちばん長い日』も、いまでは知る人も少ないかもしれません。戦争が終わってから20年くらいに製作された映画には、たとえモノクロ映画でもあっても、まだまだ戦争のリアリティがにじみ出ているような気がします。

第二次大戦では「枢軸国」として戦い、敗戦にとって壊滅的な被害を被った日本ではありますが、アメリカによる占領後は、『史上最大の作戦』のような「連合国」の勝利を高らかに歌い上げた映画が、なんどもTVで再放送されていたわけです。とにかくナチスは悪である、という刷り込み。

まあ、こういうエンターテインメント大作をつうじて、わたしのような「戦後生まれの日本人」は知らず知らずのうちに「教育」(=洗脳?)されていったのかもしれません。映画というエンターテインメントのもつ影響力は、想像以上に大きなものがありますね。

戦勝国となったのはアングロサクソン、なかでもアメリカの存在感がきわめて大きかったことです。これは「太平洋戦争」だけではなく、「欧州戦線」においても同様だったわけです。以後、米英アングロサクソン中心の世界が現在まで続いているわけです。

本日は、「ノルマンディ上陸作戦」のDデイ(1944年6月6日)から70年であります。70年前というのは、あまりにも昔の話のように感じますが、それでも歴史的事実としてアタマのなかに入れておかねばなりません。

フランス北部のノルマンディで開催された「ノルマンディ上陸作戦70年記念式典」には日本とイタリアは招待されていませんが、ドイツは招待されています。これは直接の交戦国として、敵味方を超えた和解の意味からでしょう。

ドイツがはじめて招待されたのは1984年の「40年記念式典」ですが、はじめて出席したのは2004年の「60年記念式典」から。敗戦国にとっても、わだかまりがなくなるのは二世代はかかるということなのでしょう。


(ノルマンディー上陸作戦の作戦計画図 wikipedia より)


<関連サイト>

70th D-Day anniversary in Normandy (The Battle of Normandy 公式サイト DDay-Overload.com)

Normandie 1944-2014 (facebookページ)

D-Day ノルマンディー上陸作戦カラー映像 (YouTube)

The Longest Day trailer (映画 『史上最大の作戦』トレーラー 英語のオリジナルタイトルは The Longest Day(いちばん長い日)




映画 『日本のいちばん長い日』 予告編

Saving Private Ryan (1998) - Official Trailer (ノルマンディ上陸作戦を描いた映画としてはスピルバーグ監督による映画『プライベート・ライアン』(1998年)のほうが現在では有名かもしれない)


野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断

なぜ、今、ノルマンディー上陸作戦を取り上げるのか(野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第1回) (野中郁次郎、ダイヤモンドオンライン、2014年5月30日)
・・軍事戦略につうじた世界的経営学者が「史上最大の作戦」のリーダーシップについて徹底分析

Dデイ70周年~史上最大の作戦の意義(野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第2回)  (野中郁次郎、ダイヤモンドオンライン、2014年6月6日)

もしノルマンディー上陸作戦が1年早く敢行されていたら(野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第3回) (野中郁次郎、ダイヤモンドオンライン、2014年6月13日)
・・「歴史から教訓を得るには、史実の背後にある関係性を洞察する力が不可欠である。「歴史のif」、すなわち、史実に基づくシミュレーションは、その力を養う最良の方法だ。そこで今回は、ノルマンディー上陸作戦における3つのifを挙げてみたい」  凡庸な歴史家にはない発想

連合軍の勝利を決定づけた分岐点-消耗戦と機動戦を統合する (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第4回)

実践知リーダーとしてのチャーチル (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第5回)
・・「フロネティック・リーダーシップ」 ← 「フロネシス」(実践知 アリストテレス)

偉大な凡人、アイゼンハワー (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第6回)
・・「実践知リーダー」としてのアイゼンハウアー。同じく「実践知リーダー」としてのチャーチルとの違いは?

アイゼンハワーのリーダーシップ (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第7回)
・・「一言で言ってしまえば、アイゼンハワーは、「最も普通ではない状況に置かれた最も普通の人」だった」、「観念論を排して、リアリズムを重視する姿勢は、このような数々の経験知に裏打ち」

軍事技術・戦術におけるイノベーション【1】電撃戦  (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第8回)
・・「適切な目標設定をしたとき、ドイツ人は能力を発揮する。第2次世界大戦においても、ドイツ軍は新たな戦い方を生み出した」

【特別版】日本の敗戦から69年目に想う<前編> (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第9回) (2014年8月15日) 

【特別版】日本の敗戦から69年目に想う<後編> (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第10回) (2014年8月22日)

軍事技術・戦術におけるイノベーション【2】 水陸両用作戦<前編> (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第11回) (2014年9月19日)

軍事技術・戦術におけるイノベーション【3】水陸両用作戦<後編> (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第12回) (2014年10月24日)

軍事技術・戦術におけるイノベーション【4】水陸両用作戦<米国海兵隊編> (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第13回) (2014年10月31日)

歴史は繰り返すのか ~22年ぶりのノルマンディー再訪記  (野中郁次郎のリーダーシップ論-史上最大の決断 第14回) (2014年11月7日)








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