「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル フランス の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル フランス の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年7月14日日曜日

「新進気鋭の国際政治学者」による「日仏比較文化論」ともいうべき内容の『日本人とフランス人 ー 「心は左、財布は右」の論理』(舛添要一、カッパブックス、1982)を出版から42年後にはじめて通読した(2024年7月14日)

 
 
マクロン大統領の決断によって不意打ちで総選挙が実施されたり、まもなくパリでオリンピック大会が開催されるとして、なにかと話題になっているきょうこの頃のフランス。  

そして、本日(7月14日)は「革命記念日」だ。かつて「巴里祭」(パリさい)などと呼ばれたこともあるが、「フランス革命記念日」である。パリでは軍事パレードが行われる。


ひさびさといっても、前回は大学時代に当時暮らしていた東京都小平市の「町の本屋」で何度か立ち読みしただけなので、出版から42年後(!)にはじめて通読したことになる。

今年に入ってからこの本の存在を思い出して、半年ほど前に古本で入手した。 

通読してみての感想としては、じつに面白い本だということだ。

本書の出版時の著者は34歳の東大助教授。宣伝コピー的に表現すれば、「新進気鋭の国際政治学者による日仏比較文化論」ということになろうか。 

政治学者の域を超えた知識の幅と深さ、そして豊富な体験が、この本を読める本にしている。さすがいまは亡き「カッパブックス」である。当時はメジャーどころでは岩波新書と中公新書しか新書本はなかった時代、光文社のカッパブックスは異色の存在であった。 

もちろん、いまから42年前のミッテラン時代のフランスでありフランス人であり、鈴木善幸時代の日本であり日本人であるので、現在では大きく変化している点も少なくないだろう。だが、基本は変わらないのではないかな? 

「心は左、財布は右」の論理という副題が面白い。フランスの政治は、日本と同様に知識階層は「左派」が好きだが、フランスの左派には清貧志向はないという指摘である。 極左もまたしかり。

著者の交友関係は知識階層が中心で、中流以上のフランス人たちであろうが、体験を踏まえた「個人主義」が徹底されるフランス人と、英国人やドイツ人との違いにかんする考察も面白い。フランス人の個人主義ぶりはハンパではないのだ。

 裏表紙に掲載されている「著者近影」は、まさに「新進気鋭の東大助教授」を絵に描いたような、若き日の舛添氏。髪の毛は黒々とフサフサしているが、よくいえば鋭い眼差しと顔つきはまったく変わっていない。

けっして、政治家に転身してから人相が悪くなった(?)わけではなさそうだな(笑) 


目 次 
まえがき 
第1章 日仏、男女関係比較考 
第2章 個人主義と団体行動 
第3章 第三の道を歩む中華思想と対米追従 
第4章 知られざる科学立国とメイド・イン・ジャパン 
第5章 文化帝国主義と模倣文化 

著者プロフィール
舛添要一(ますぞえ・よういち)
国際政治学者、前東京都知事。1948年、福岡県生まれ。1971年、東京大学法学部政治学科卒業。パリ、ジュネーブ、ミュンヘンでヨーロッパ外交史を研究。東京大学教養学部政治学助教授を経て政界へ。2001年参議院議員(自民党)に初当選後、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)、東京都知事を歴任。(2024年刊の最新著書のプロフィールから)、



<ブログ内関連記事>






(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2021年9月23日木曜日

書評『岸惠子自伝 卵を割らなければオムレツは食べられない』(岸惠子、岩波書店、2021)-読みたかった本を読んで大きな満足を得る

 
 

現在88歳の女優の著者が語る自伝エッセイ集。フランス人と結婚し、パリに移り住んだ日本人女性の走りともいうべき存在か。 帯には、社会学者・上野千鶴子氏による評が掲載されている。 

「自伝でありながら、上質なエッセイを読んだような読後感に満たされる」

まさにその通りであり、それ以外のコメントはしようがないというのが、正直なところだ。このコメント力もまたすごい。 

岸惠子氏のように、ここまで明晰に自分を表現できる知性には、めったにいないだろう。心の底から驚嘆し、賞賛を惜しまない。 

単身ヨーロッパに渡って生き抜いてきた日本女性は、ほんとうに精神が強靱に鍛え上げられている。戦前に生まれ、戦争をくぐりぬけ、戦後の日本を駆け抜けて、さっさとフランスにいってしまった直情径行ともいうべき人。現在は、拠点を日本に移している。 

もちろん、88歳まで明晰な頭脳を維持するためには、旺盛な好奇心だけでなく、体力も気力も不可欠であるが、岸惠子氏のように華奢な女性に、そんな強靱な生命力があるとは! 

アフリカへの思いということで想起するのは、ドイツ人女優で映画監督だったレーニ・リーフェンシュタールである。この人は100歳まで現役を貫いた。岸惠子氏も、まだまだやりたいことがあるのだという。 それが生きる原動力になっているのであろう。

自分のように50歳台後半の男は、「まだまだやることあるでしょ、できるでしょ」と叱咤されているような気になってくる。まだまだ、ですね。 

「卵を割らなければ、オムレツは食べられない」とは、フランスの格言だそうだ。フランス人の元夫からくどかれたときに初めて耳にしたらしい。 

まさにそのとおりの人生だな、と。いくつになっても、必要な人生の心構えではないか! 



   


目 次 
第Ⅰ部 横浜育ち
第Ⅱ部 映画女優として
第Ⅲ部 イヴ・シァンピとともに
第Ⅳ部 離婚、そして国際ジャーナリストとして
第Ⅴ部 孤独を生きる
エピローグ
おわりに
岸惠子略年譜

著者プロフィール
岸惠子(きし・けいこ)
1932年横浜生まれ。1951年女優デビュー。1957年医師・映画監督であるイヴ・シァンピとの結婚のため渡仏。1963年デルフィーヌ誕生。1976年離婚。1987年NHK衛星放送『ウィークエンド・パリ』のキャスターに就任。女優として映画・TV作品に出演し、主演女優賞のほか数多くの賞を受賞。作家、国際ジャーナリストとしても活躍を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

 


<ブログ内関連記事>






 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)


   
(2012年7月3日発売の拙著です)

 





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2019年6月23日日曜日

映画『夏至』(ベトナム/フランス、2000年)を18年後の「夏至」に見る-雨期のハノイの美しい映像



昨日(2019年6月23日)は「夏至」(げし)だった。一年でもっとも日が長くなる一日。といっても実感はないが、これから「秋分」に向かって日が短くなっていく。 

日本(ただし北海道は除く)では「夏至」は梅雨時に来るが、この点にかんしては東南アジアも同様だ。東南アジアは「雨期」のまっただ中。日本の梅雨と違って、降り方は半端ではない。ときに豪雨になるが、雨上がりはヒンヤリして気持ちいい。 

昨夜は、夏至だから『夏至』という映画を見た。ベトナムとフランスの合作映画。

フランス語のタイトルは À la verticale de l'été (英語だと The Vertical Ray of the Sun)日射角度が直角になる日が夏至だということ。ベトナム人監督のトラン・アン・ユン監督の作品。2000年製作・公開。じつは見るのは今回はじめてだ。 

ベトナムの首都ハノイを舞台にした三姉妹の物語それぞれの秘められた恋愛。チェーホフの『三人姉妹』以来、このモチーフはいろんな人が作品化しているが、創作意欲をそそるのだろうか。 

とにかく映像が美しい。その点では私が大好きな映画で同監督の処女作『青いパパイヤの香り』(1993年)に勝るとも劣らない。というよりも、『夏至』はベトナムでロケを行っているので、リアル感はフランスでセット撮影した『青いパパイヤの香り』より上である。 


(雨期のハノイの豪雨 映画よりキャプチャ) 

なんといっても雨期の雨のシーンである。そう、こんな感じの豪雨が当たり前のように降るのが雨期なのだ。2回目の訪問だったと思うが、ハノイで雨期の豪雨に遭遇したことを思い出した。古都ハノイである。豪雨のシーンも美しい。 

 ディテールにも注目したい。母の命日に三姉妹と家族が集まるシーンから映画が始まる。儒教圏で大乗仏教圏のベトナムならではのシーンである。祭壇には「心」と「祖先」という漢字。そして洋楽のあいまに聞こえてくるお寺の鐘の音。 


(祭壇には「祖先」の漢字 映画よりキャプチャ)

東南アジア、とくにインドシナ半島のなかでもベトナムだけが例外なのだ。

カンボジアもラオスもタイもミャンマーも、いずれも上座仏教圏。ベトナムとタイは、似ている面もあるが、まったく異なる文明圏に属している。

基本的に、ベトナムは中華文明圏、タイはインド文明圏だ。(*ただし、ベトナムは服属させた中部のチャンパー王国からインド文明の要素を取り入れている)。

フランスによる植民地化以来、インドシナというとベトナムのことを指すことが多いが、ベトナムはインドではなく、シナ(=中国)の影響圏である。そのうえにフランス文化が乗っかっている。 

コロニアルスタイルの建築物、そしてバインミーというフランスパンをつかったサンドイッチ。フランスでもサンドイッチといえばそれだ。フランスパンが街頭で山積みになって販売されている光景は面白い。 


(山積みになって売られているフランスパン 筆者撮影)

ただし、北部のハノイは、南部のホーチミン(旧サイゴン)と違って、季節の違いははっきりしている。

基本的に東南アジアは雨期と乾期にわかれるが、北部のハノイの冬は寒い。バンコクからハノイに出張したことがあるが、冬のハノイで寒い思いをしたことがあった。気温差が大きいことを考えてなかったのだ。 

ハノイの冬は、乾期で、しかも寒い。これは『夏至』というタイトルの映画では描かれることはない事実である。ぜひ知っておいたほうがいい。


 
 画像をクリック!


<ブログ内関連記事>


Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)

ベトナムのカトリック教会

『東南アジア紀行 上下』(梅棹忠夫、中公文庫、1979 単行本初版 1964) は、"移動図書館" 実行の成果!-梅棹式 "アタマの引き出し" の作り方の実践でもある

「湯島聖堂」に久々に立ち寄ってみた(2019年1月3日)-だが日本は明治時代になるまで「科挙」の影響を受けていないのである

世界的に有名な「大宮盆栽村」に行ってみた(2019年5月5日)-いまや世界的な存在の bonsai について考えてみる

なぜ北朝鮮のキム・ジョンウン氏は、列車でピョンヤンから中越国境を越えてそのままベトナムに入ることができるのか?-鉄道のゲージに注目せよ !


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2019年3月25日月曜日

書評『孤独な帝国 日本の1920年代  ポール・クローデル外交書簡 1921~27』(奈良道子訳、草思社文庫、2018)― フランスの国益のために働いていた駐日大使が本国に報告した大正時代の日本

   

『孤独な帝国 日本の1920年代-ポール・クローデル外交書簡1921~27』(ポール・クローデル、奈良道子訳、草思社文庫、2018)は、フランスの国益のために働いていた駐日フランス大使が本国に報告した「大正時代の日本」の記録である。

その当時から詩人で劇作家として有名であったクローデルだが、本職は外交官であった。本書は、1921年から1927年にかけて、本国での長期休暇をはさんだ足かけ7年間の日本滞在記録である。

この時期は、まさに「大正時代」にそっくりそのまま重なり合う。クローデルは、大正天皇の崩御(1926年12月25日)後の「大喪の礼」への参加を最後に、次の任地であるワシントンに向けて出発する。大喪の礼だけは、どうしても見届ける必要があると本国の了解を得ていた。クローデルは駐米大使として、今度は1929年の「世界大恐慌」をその震源地で体験することになる。歴史の証言者としてのクローデルに注目する必要がある。


(新任の駐米大使クローデル「TIME誌1927年3月21日号」 Wikipediaより)


1920年代の日本を、外国の外交官という外部の目でみる面白さが本書にある。それもたんなる旅行者の日記や旅行記ではない。外交官の日記でもない。外交官が、任地で本国の国益のために働いた記録である。当然のことながら、国益追求のために本国に提言した内容も含まれている。

だから、詩人クローデルの別の側面とった読み方も可能だろうが、文筆の才に恵まれた外交官クローデルの公式文書として読むことも可能である。むしろ、後者の読み方のほうが、得るものは多いだろう。私もそうだが、とくに詩人クローデルのファンではない人にとっては、そのほうが自然なアプローチである。

駐日大使として日本滞在中の、とくに大きな出来事であったのが1923年の関東大震災である。震源地は相模湾沖であり、地震の直接の被害は東京よりも横浜のほうが大きかったのである。東京は地震のあとに拡がった火災が死傷者発生の大きな理由であった。

駐日大使みずから横浜に救援に赴いており、その記述は現場からのものとしてじつに印象深い。横浜は、開国後の日本が最初に開いた国際貿易港の一つであり、フランスにとっては幕末以来、重要な拠点の一つであったからだ。

また、幕末以来といえば、日仏関係強化という観点からの、幕府の顧問として入っていたフランス人技術者たちにかんする記述もある。フランス人ヴェルニが設計と建設に携わった横須賀のドック(1871年完成)は、2010年代の現在でも現役として使用中だ!


(単行本カバーより)


クローデルが大使として赴任していた当時の日本は、第1次世界大戦による激変後とはいえ、まだまだ大英帝国が支配する世界であった。貿易関係では米国が最大で、文化面では世界大戦の敗戦国でありながドイツの影響が強いという状態。幕末と比べて、当時の日本ではフランスの影響力はきわめて小さなものでしかなかったことが本書を読むとよくわかる。

だからこそ、クローデルは日仏会館の開設に奔走し、日本におけるフランス文化の紹介、フランス語教育の拡充にもチカラを入れているのだ。いわばソフトパワー面からのイメージ向上策であり、極東におけるフランスの国益増進を図ろうとしたわけである。その意味では、きわめて職務に忠実な外交官であった。

1920年代は西欧列強による植民地支配の時代であり、日本からもっとも近いフランスの植民地は仏領インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)。クローデルは、日本と仏領インドシナとの貿易拡大のためにも奔走している。クローデルは経済分野が専門であり、鉄鋼製品の日本輸出や、世界大戦ではじめて実用化された軍用航空機の販促にもチカラを入れている。フランス売り込みのセールスマンでもあったわけだ。

クローデルがカトリック詩人であったことは有名だが、フランスの国益という観点から「パリ外国宣教会」のプレゼンスの弱体化を憂いている。日本のキリスト教再興は、フランスの宣教師によるものであったが、バチカンの方針で、九州の宣教区がイタリアのサレジオ会などに奪われつつあり(・・サレジオ会が日本での布教を開始したのは1920年代半ばから)、パリ外国宣教会は宣教区としての長崎を喪失する。こういう記述もまた、なかなか知る機会がないので興味深い。




クローデルには、朝日の中の黒い鳥』(1927年)という日本滞在から生まれたエッセイ集がある。このエッセイ集に登場する文章と、テーマとして重なる記事が、本書に収録された外交書簡にも登場する。ちなみに「黒い鳥」とはカラスのことだが、黒鳥(クロドリ)はクローデル(Claudel)と似た響きがあり、クローデル自身が気に入っていたのだという。


(帯にはイサベル・アジャーニ演じるカミーユ・クローデル)


クローデルといえば、ロダンの女弟子で愛人でもあった美貌の彫刻家カミーユ・クローデルを想起する人もいるだろう。狂女を演じさせたら天下一品のフランス女優イサベル・アジャーニが主演の映画『カミーユ・クローデル』の主人公だが、カミーユはポールの実の姉であった。


(16歳の弟ポールをモデルにしたカミーユの彫刻 Wikipediaより)


クローデルが外交官になったのも、日本赴任を希望していたからだ。ポール自身、姉の影響もあって日本への関心が芽生えたのだという。ロダンの日本趣味については言うまでもないだろう。

夢がすぐに実現することはなかったが、明治維新とおなじ1868年生まれのクローデルが駐日大使として日本に赴任したのは53歳の円熟期であり、50歳代全体を日本と密接な関係のもとに過ごしたことになる。これ以上の幸福はなかったのではないだろうか。しかも、日本赴任の前に中国には長く滞在しており、その経験が中国文明をとは異なる日本文明の独自性を理解する大きな土台になっていたと考えられる。

それにしても、日本語版のタイトルにある「孤独な帝国」はじつに絶妙なものがある。第1次世界大戦を連合国の一員として戦った日本だが、台頭する米国との軋轢が増大するなか、ワシントン条約によって日英同盟が廃棄され、日本はアングロサクソン世界から孤立し始めていた。国際情勢からみれば、日本が孤立を恐れ、不安にかられていた時代でもあるのだ。

大正時代とは、個人の権利が増大した大衆の時代であると同時に、明治時代後期にピークを迎えた健全なナショナリズムが斜陽化していった時代でもある。そんな時代の日本を知ることのできる得がたい記録として、またすぐれた資料として読む興味深い。

それにしても、日本語版の翻訳者は、翻訳者の域を越えて、じつに細かい点まで事実関係の検証作業を行っており、本書の資料的価値を大いに高めている。文庫版は600ページ近いが、最初から最後まで飽きることなく読み進めることのできる内容である。この時代の日本に関心のある人にとっては、得がたい記録といえよう。


画像をクリック!



<ブログ内関連記事>

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)

「特攻」について書いているうちに、話はフランスの otaku へと流れゆく・・・

「日米親善ベース歴史ツアー」に参加して米海軍横須賀基地内を見学してきた(2014年6月21日)-旧帝国海軍の「近代化遺産」と「日本におけるアメリカ」をさぐる


書評 『渋沢栄一 上下』(鹿島茂、文春文庫、2013 初版単行本 2010)-19世紀フランスというキーワードで "日本資本主義の父" 渋沢栄一を読み解いた評伝

『雨夜譚(あまよがたり)-渋沢栄一自伝-』(長幸男校注、岩波文庫、1984)を購入してから30年目に読んでみた-"日本資本主義の父" ・渋沢栄一は現実主義者でありながら本質的に「革命家」であった

映画 『ローマ法王になる日まで』(イタリア、2015)を見てきた(2017年6月5日)-これぞサーバントリーダーの鑑(かがみ)だ!
・・現在のローマ教皇フランシスコ1世はいイエズス会出身。キリシタン時代のことを知り、日本布教を志してイエズス会に入会したが、現時点ではいまだ来日を果たしていない

(2019年3月27日・31日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2018年12月18日火曜日

JBPress連載コラム第41回目は、「デモと暴動の国、露わになったフランスの本質-国を動かすのは「一握りのエリート」」(2018年12月18日)


JBPress連載コラム第41回目は、「デモと暴動の国、露わになったフランスの本質-国を動かすのは「一握りのエリート」」(2018年12月18日)
⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54962

今年2018年は「明治150年」であると同時に「日仏交流160周年」の記念すべき年である。 
  
だが、日本におけるフランスのイメージは急速に悪化している。それは、立て続けに発生し、今なお着地点が見えない「カルロス・ゴーン氏逮捕」と「フランスのデモと暴動」という2つの事件が、日仏両国で交差しながら進行中だからだ。 

もともと日本人はあまりにもフランスを知らなさすぎたのである。日本人はフランスの芸術・文化には慣れ親しんでいるが、フランスの政治体制についてはほとんど関心がない。 

フランスという国は中央集権の官僚国家であり、警察国家である・・・

 (つづきは本文で) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54962


次回は、2019年1月1日(元旦)の公開となります。元旦でも記事の更新がありますので、お見逃しなく!





<ブログ内関連記事

フランス国歌 「ラ・マルセイエーズ」の歌詞は、きわめて好戦的な内容だ

月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2011年1月号 特集 「低成長でも「これほど豊か」-フランス人はなぜ幸せなのか」を読む
『恋する理由-私が好きなパリジェンヌの生き方-』(滝川クリステル、講談社、2011)で読むフランス型ライフスタイル

「特攻」について書いているうちに、話はフランスの otaku へと流れゆく・・・

Vietnam - Tahiti - Paris (ベトナム - タヒチ - パリ)

司馬遼太郎の歴史小説 『翔ぶが如く』 は傑作だ!
司馬遼太郎の『翔ぶが如く』を「半分読了」(中間報告)

司馬遼太郎の『翔ぶが如く』(文春文庫)全10巻をついに読了!


(2019年1月6日 情報追加)




(2017年5月18日発売の拙著です)




(2012年7月3日発売の拙著です)







Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!






end