「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 軍隊 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 軍隊 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年5月19日水曜日

書評『英語と日本軍 ― 知られざる外国語教育史』(江利川春雄、NHKブックス、2016)― エリートの英語教育を近代日本の外国語教育全体の文脈に位置づける



『英語と日本軍-知られざる外国語教育史』(江利川春雄、NHKブックス、2016)は、日本の英語教育を近代日本の外国語教育全体のなかに位置づけた好著である。2017年に一読してレビューを書き始めたがそのまま放置していたのだが(*)、あらためて取り上げてみたい。

(*)2017年7月に作成したドラフト原稿をもとに、今回あらためて見直した上で書き直した。

知られざる事実が満載の本書で、誤った「常識」が正されることになる。地味な内容の本だが、重要な内容だ。日本のエリートにとって英語とはなんであったのかという問題意識に答えてくれる本だ。

本書の内容を一言で要約してしまえばこうなる。「開国」(1853年)後の1868年の明治維新以降を「近代」とすれば、日本近代史の150年において、軍民を問わず社会のエリートは途切れることなく英語を学習してきたのである、と。

「英語は敵性語」とされたのは大東亜戦争の4年間に過ぎず、それは近代150年のなかでは、あくまでも例外期間に過ぎなかったのである。

いや、もっと正確にいえば、そんな時代においてさえエリートは英語学習を行っており、なかでも海軍においては、終始一貫して英語教育が廃止されたことはなかったのだ。高等商業学校(高商)ですら受験から英語が消えた1944年、海兵予科では英語が必須とされていたのである。

よく「海軍は英語、陸軍はドイツ語」といわれるが、さすがにこれはあまりにも大ざっぱすぎる話であることが本書を読むとわかる。もちろん、外国語教育は、あくまでも将校以上が対象の話であって、基本的に下士官や兵には関係のない話である。

士官教育において外国語教育が重視されていたのは、近代の軍隊制度が西欧からの輸入文化であったからだ。

海軍も、最初は幕末にはオランダから学び、そしてフランスに学んだが、最終的に当時は世界最強の海軍国であった「英国モデル」で出発したため英語が重視された。海軍は海の世界の一員なので、もともと国際性が高いということもある。「日英同盟」のため英語の必要だったこともある。

陸軍は最初はフランスモデルで出発したが、その後おなじ大陸国家の「ドイツモデル」に変更している。仮想敵国がロシアであったので、ドイツ語・フランス語・ロシア語が主要な外国語とされた。

帝大や商大などの高等教育機関で英語が重視されているので、差別化の意味もあったらしい。このため、陸軍では、英語通の英米派の将校は主流ではなかった

最大の問題は、大東亜戦争(=第二次世界大戦)に突入した際に、交戦国である米国と英国で使用される「英語」、そしてそれ以前から戦場となっていた中国大陸の「中国語」を理解できる将校が陸軍には少なかったことだ。

「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」(孫子)という常識が通用しなかったのは致命的としか言わざるを得ない。

大東亜戦争においては、英国やオランダの植民地を占領したのはいいが、現地語だけでなく英語を理解できる軍人が少ないので占領行政に支障を来したという。泰緬鉄道建設のための捕虜虐待問題も、の一環として考える必要があるかもしれない。戦争中にはじめて実用語学の必要を痛感したが、あまりにも遅すぎたのだ。

ドナルド・キーンなどを輩出した、徹底的な特訓によって日本語教育を実施した米軍とは雲泥の差なのである。陸軍中野学校を例外として、語学とインテリジェンス(=情報活動)の関係が薄かったのだ。 

明治時代の草創期においては、軍事も含めた西洋文明摂取のための「実用語学」としてのウェイトが高かったが、近代化が軌道に乗って自立化した結果、実用性が減少して「教養語学」化していた。どうも実用性を軽視する傾向が、エリート層には生まれやすいのかもしれない。

戦時中は「鬼畜米英」とかいうスローガンが流れ、英語は「敵性語」というレッテル貼りがなされたが、面白いことに士官学校でも幼年学校でも英語教育が一貫していた。これは海軍だけでなく、陸軍でもそうだったらしい

戦時中とはいえ、機械操作が必要な航空パイロットなどには英語が必要だった。それほど先進国・英米の言語である英語が必要不可欠だったのだ。

敗戦後に英語が「大衆化」したのは、日米双方にそれなりの理由があったわけだが、アメリカ占領軍の統治方針と合致していたこと、英語が冷戦時代の米国の「ソフトパワー」の1つだったことも大きいだろう。

いずれにせよ、「戦前」のイギリス英語から、「戦後」にはアメリカ英語にシフトしていったわけだが、日本語とは言語体系が根本的に異なる英語を習得するのは、普通の日本人(・・「日本語人」というのが正確だろう)にとっては容易なことではない。

海軍では、耳で聴くオーラルメソッド、英語による授業、英文の直読直解など「実用英語」が教育されており、徹底的に厳しく搾られたようだ。なるほど、ここまでやれば英語通ができあがるのも当然だろう。

こういった戦前以来のエリート向けの語学教育に耐えられるのは、やはり現在でもエリート層に限られるのではないか。日本における英語教育について考える際、軍隊組織における英語教育について振り返ってみることの意味はそこにある。


画像をクリック!


目 次
はじめに
序章 英語教育の敗戦
第1章 近代陸海軍の創設と外国語
 1 幕末の軍制改革と西洋列強
 2 明治政府による日本軍の近代化
第2章 日本軍の外国語教育はどう変遷したか
 1 日清・日露戦争から第一次世界大戦へ
 2 軍縮期からアジア・太平洋戦争まで
第3章 アジア・太平洋戦争期の英語教育
 1 昭和陸軍の英語教育
 2 昭和海軍の英語教育
第4章 戦後日本の再建と英語
 1 英語教育の振興策と親米国民の育成
 2 旧日本軍の語学的遺産
 3 戦前と戦後の連続主要
主要参考文献
おわりに


著者プロフィール
江利川春雄(えりかわ・はるお)
1956年、埼玉県生まれ。和歌山大学教育学部教授。博士(教育学)。専攻は英語教育学、英語教育史。神戸大学大学院教育学研究科修了。現在、日本英語教育史学会会長。著書に、『近代日本の英語科教育史』(東信堂、日本英学史学会豊田實賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>

・・「(幕末の諸藩の軍制改革において)最新鋭の鉄砲や大砲も発砲のリズムを音楽によって行ったためである。西洋音楽は近代軍隊にとってきわめて重要なソフトウェアであったわけだ。」


・・そのうちの1冊が『太平洋戦争日本語諜報戦-言語官の活躍と試練-』(武田珂代子、ちくま新書、2018)

書評 『ことばの哲学 関口存男のこと』(池内紀、青土社、2010)-言語哲学の迷路に踏み込んでしまったドイツ語文法学者
・・関口存男は陸軍士官学校でドイツ語を完璧にマスターしただけでなく、フランス語にも堪能で、その他の語学にも強かった

・・帝国陸軍の草創期はフランス語によって教育されていた。日本騎兵の父であった秋山好古もおなじ


・・占領地の軍政における英語使用

会田雄次の『アーロン収容所』は、英国人とビルマ人(=ミャンマー人)とインド人を知るために絶対に読んでおきたい現代の古典である!

書評 『歴史に消えた参謀-吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一-』(湯浅博、産経新聞出版、2011)-吉田茂にとってロンドン人脈の一人であった「影の参謀」=辰巳栄一陸軍中将の生涯
・・陸軍では少数派であった「英語」であった辰巳栄一中将

「男の修行」(山本五十六)
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」 には続きがあった!-山本五十六 その2
・・海軍将校の山本五十六は「英語」。ワシントンで駐在武官を務めた経験がある

書評 『裁かれた戦争裁判-イギリスの対日戦犯裁判』(林博史、岩波書店、1998)-「大英帝国末期」の英国にとって東南アジアにおける「BC級戦犯裁判」とは何であったのか
・・インドからマレー半島まで英国、フィリピンは米国

・・語学教育を重視する米国インテリジェンス機関の伝統は現在に至るまで一貫している


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2020年12月30日水曜日

書評『タルピオット ー イスラエル式エリート養成プログラム』(石倉洋子/ナアマ・ルベンチック、トメル・シュスマン監修、日本経済新聞出版社、2020)ー 「スタートアップ・ネーション」の秘密

 

イスラエルが「スタートアップ・ネーション」であることは、いまや日本のビジネスパーソンにとっても「常識」となっていると思うが(・・まだその認識のない人は時代遅れですよ!)、なぜイスラエルがそうなったのか、そのイスラエルではどのような教育システムが行われているのか、手っ取り早く知るには好著である。 

そのカカギが本書のタイトルになっている「タルピオット」(Talpiot)にあるというのは、本書のテーマである。 

周囲を敵に囲まれているイスラエルが徴兵制の国で、しかも男女ともに兵役義務がある(男子は3年、女子は2年。さらに予備役も)ことも「常識」だと思うが(・・同様の環境にあるシンガポールも徴兵制だが、兵役義務は男子のみ)、国防軍(IDF)がハイテクベンチャーの起業家養成のゆりかごとなっている。サイバー諜報部隊の「8200部隊」が、イスラエルを世界最先端のセキュリティ技術国としている。 

じつは私もこの本をリアル書店でも見つけるまで「タルピオット」については知らなかった。

「タルピオット」とは、1979年に開始された、兵役期間中に実行される「エリート養成プログラム」である。高校卒業後の18歳から3年間訓練が行われる。 軍事訓練を行いながら徹底的な理工系の教育とリーダーシップ・トレーニングが行われる訓練コースだ。4人に1人が脱落する厳しさだという。

だが、そんな過酷な訓練をクリアした卒業生たちの連帯感が強いのは当然だろう。訓練終了後は6年間の兵役義務があるが、この人間関係が、つぎからつぎへとハイテク・ベンチャーを生み出す源泉となっているのだ。 

詳しくは本文を読むとわかるが、なるほどこれはすごい教育だなと思う。徹底的に自分のアタマで考えて考え抜き、しかも仲間と徹底的な議論をつうじ、協同して問題解決にあたる濃縮された環境どんな状況にあっても、未来を切り開いていくイノベーション力が培われるのは当然だ。 

日本も昔はそういう側面があったと思うのだが、甘ったれた「ゆとり教育」の普及でダメになってしまっているような気がしてならない。もちろん、日本とイスラエルとでは、おかれている条件も違うが、18歳という若くて可塑性の高い時期に、濃縮された教育訓練を行うことの意味は、強調しても強調しすぎることはない。 

とかく易きに流れがちな現在の日本社会だが、「コロナ後」の世界では、自分を律して、自分に厳しい態度で生き抜いていく必要があると思うのである。 



 (画像をクリック!



目 次 
はじめに 
第1章 「中東のシリコンバレー」イスラエル 
第2章 「スタートアップネーション」の誕生 
第3章 イス ラエルを支える「エコシステム」の秘密 
第4章 なぜ、日本企業にイスラエルのスタートアップが必要なのか 
第5章 イスラエルスタートアップと組むヒント 
第6章 イスラエルとの協働から日本を変える 
おわりに
参考文献 

著者プロフィール
 石倉洋子(いしくら・ようこ)
 一橋大学名誉教授。バージニア大学大学院経営学修士(MBA)、ハーバード大学大学院経営学博士(DBA)修了。1985年からマッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルティングに従事した後、1992年青山学院大学国際政治経済学部教授、2000年一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、2011年慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。専門は、経営戦略、競争力、グローバル人材 

ナアマ・ルベンチック(Naama Rubenchik)
1992年イスラエル生まれ。高校を卒業後、3年間イスラエル国防軍のトップ情報収集部門の「8200部隊」で勤務。国防軍では、情報収集コースのインストラクターに選ばれる。退役後テルアビブ大学で経済及び東アジア研究を行い、2016年に卒業。在学中、コンサルティング会社のGTM戦略部門でマーケターと戦略アソシエイトとして働いた。2016~18年の間、在イスラエル日本大使館に勤め、2018年に文科省の奨学金で京都大学大学院経済学研究科に留学。2019年からイスラエルに戻りフリーのコンサルタントとして活躍。

トメル・シュスマン(Tomer Shussman)
イスラエル国防軍のエリート教育集団、タルピオット・プログラム元チーフインストラクター兼副司令官。テルアビブ大学物理学修士。2012年度タルピオット・プログラム最優秀士官賞受賞。イスラエル国防軍シニア・リサーチャー兼プロジェクト・マネージャーを経て、2018年7月までタルピオット・プログラムチーフインストラクター兼副司令官としてプログラムを統括。現在ヘルスケア分析関連スタートアップ企業を設立中。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>







(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2020年3月21日土曜日

書評『民警』(猪瀬直樹、扶桑社、2016)― オリンピックという大規模イベントを「警備」という観点から見る



ノンフィクション作家・猪瀬直樹氏の『民警』(扶桑社、2016)を読んだ。

「民警」とは、民間警備会社の警備員のことだ。著者の造語だろう。公権力の担い手で法執行官である警察を補完する存在だ。

元東京都知事の猪瀬氏は、副知事時代に東京オリンピックの誘致に奔走したが、その経験が本書を生んだといえよう。というのは、2020年東京オリンピックでは、セキュリティ要員として、警察官2万1千人、消防・緊急隊6千人のほか、民間警備員が1万4千人が動員される計画になっているからだ。

都知事辞職を余儀なくされた猪瀬氏の作家復帰第1作がこのテーマになったのは、東京都知事として、ソフト面での計画立案に関わっていたからだろう。それにしても、いい着眼点ではないか。

パンデミックとなった新型コロナウイルスの影響で、2020年東京オリンピックがスケジュールどおり開催される可能性がかなり低くなっているが、とはいえ「中止」にならない限り、「延期」という形で開催される可能性は高い(*)


(*注)この文章を書いている時点ではこのような状態だったが、2020年3月24日に安倍首相がIOC委員長との電話会談の結果、1年以内に延期で決定した。だだし、具体的なスケジュールについては現段階では未確定である(2020年3月25日 記す)


オリンピックに参加するのは選手だけではない。もちろん、観客の存在抜きに大規模イベントは成り立たないが、安全で安心な開催を支えるのが警察官や民間警備員の存在だ。

本書のキモは、日本の民間警備会社の二強であるセコム(旧 日本警備保障)とALSOK(綜合警備保障)の出自と現在に至る軌跡の交錯だろう。この2社は、ともに1964年東京オリンピックの前後に誕生した会社だ。東京オリンピックという大規模イベントが民間警備会社の誕生の契機となったのだ。

セコムがまったくあたらしいマーケットを日本で開拓した民間企業であるのに対し、ALSOKは元警察官僚が官僚の総力をあげて立ち上げた会社だ。民と官。この出自の違いが、現在にも大きな影響を与えているというストーリー展開が興味深い。本書は、知られざる日本現代裏面史でもある。

2020年東京オリンピックの開催がどうなるかは別にして、こういう観点からオリンピックを考えるのも意味あることだろう。






目 次
序章 遂行 
  「官」の隙間を埋める "民警" とは? 
 2020東京五輪、テロへの不安 80%
  1964年の古戦場 
第1章 勃興 
 「社会システム産業」その発端 
 吉田茂が背を押した綜合警備保障創業 
 湧き出した日本版 CIA 構想 
第2章 失墜 
 権力闘争に屈した「使命感」 
 内調の崩壊、雲散霧消 
第3章 萌芽 
 日本初の警備会社を興した二人の若者 
 価値観の転換、少年期の終戦体験 
 終戦三日後に暗殺された神父の謎 
第4章 反発 
 進駐軍への嫌悪 
 家業への抵抗、独立心 
第5章 開拓 
 「警備業」という新しい産業 
 民間警備業の礎、ピンカートン探偵社 
第6章 五輪 
 東京五輪の準備と選手村警備 
 ライシャワー刺傷事件が落とした影 
 『ザ・ガードマン』の恩恵 
第7章 交錯 
 初代内閣調査室長の思惑 
 労働争議、学生運動の高まり 
 急成長、不祥事頻発す 
第8章 膨張 
 機械警備転換への必然 
 連続射殺犯・永山則夫 
 反社の参入、「必要悪」 
終章 光明 
 民間刑務所の可能性 
 ITの進展 
 見えないテロリスト 
 110番から119番の世界へ 

『民警』執筆の背景 
あとがき 
参考文献 


<ブログ内関連記事>

書評 『民間軍事会社の内幕』(菅原 出、 ちくま文庫、2010)-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ①

書評 『黒船の世紀 上下-あの頃、アメリカは仮想敵国だった-』 (猪瀬直樹、中公文庫、2011 単行本初版 1993)-日露戦争を制した日本を待っていたのはバラ色の未来ではなかった・・・

書評 『戦争・天皇・国家-近代化150年を問い直す-』(猪瀬直樹・田原総一郎、角川新書、2015)-「日米関係150年」の歴史で考えなければ日本という国を理解することはできない

書評 『昭和16年夏の敗戦』(猪瀬直樹、中公文庫、2010、単行本初版 1983)-いまから70年前の1941年8月16日、日本はすでに敗れていた!

書評 『東條英機 処刑の日-アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」-』(猪瀬直樹、文春文庫、2011 単行本初版 2009)-精神の深いレベルで傷を抱えている日本と日本人を象徴する天皇陛下


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2017年8月19日土曜日

ウジ虫は弱虫ではない! ― スズメバチでさえ駆除できる殺虫剤が、なんとコバエのウジ虫にはまったく効かないのだ

      
(閲覧注意!) ウジ虫の画像があるので、気持ち悪くなるかもしれません。いやな人はこの先には進まないでください!



大型のスズメバチの成虫には効果があっても大きさわずか2~3mmのコバエのウジ虫には殺虫剤が効かない!?

まずは、今週はじめの「事件」について書いておこう。

ダイニングのイスにこしかけてリラックスしていると、手がなんだかむずかゆい。目をやると、小さな幼虫が腕をはっているではないか!?

まずはその幼虫をはらいのけたが、周りをみまわすと生ゴミを捨てたゴミ箱の周りをウジ虫が大量に這い回っていることに気がついた。

すわ一大事!とばかりに家庭用の殺虫剤をもちだして噴霧してみた。

しかし、噴霧すれども噴霧すれども、コバエのウジ虫はまったくもって、くたばらない。

殺虫剤を噴霧しつづけて床がべとべとになっても、噴霧して気体から再び液体になった殺虫剤の海のなかを、コバエのウジ虫は何もなかったかのように平然と這い回っているのだ!

これは、驚愕の事実である。

困惑してしまうが、目の前に展開する「現実」から目をそらすわけにはいかない。とにかくコバエのウジ虫には、殺虫剤がまったく効いていないことは否定できない「事実」なのだ。

仕方なく、ティッシュペーパーでコバエのウジ虫をつぶしながら床を拭き取るしかなかった。

それでも次か次へとわき出るかのように現れてくるコバエのウジ虫。

なんと、ゴミ箱のなかから這い出してきているのだ。どうやら生ゴミにタマゴをうみつけられていたようだ。コバエのような小型の昆虫は、タマゴから羽化して成虫になるまでのサイクルはきわめて短いはずだ。やられたなあ。

その数日前に、ゴミ箱のなかにワサビ成分のコバエ退治の薬品を設置したばかりだったのだ。だが、その前にタマゴを産み付けられていたのだろう。コバエの成虫は退治できても、タマゴから孵化した幼虫には、コバエ退治の薬品はまったく効果を発揮していなかったのだ。

コバエのウジ虫退治が一通り完了したあと、気になったのでネット検索してみた。「コバエのウジ虫には殺虫剤は効かない」というフレーズで検索したら、その疑問に答えてくれる記事がたくさん出てきた。いちばん情報量が多かったのは「蛆の駆除方法」という記事だ。

そうか、やはり、コバエのウジ虫には殺虫剤は効かないのだな、と確認。と同時に、自分的には、これは大きな発見であった。

考えてみれば、殺虫剤は成虫の中枢神経を直撃するから効果はてきめんなのだ。

大型でパワフルなスズメバチでさえ殺虫剤で退治できるのに、コバエのウジ虫が殺虫剤で退治できないのは、ある意味では当然と言えば当然なのかもしれないな、と。

こんどコバエのウジ虫が発生したら、塩をまいてみたいと思う。ナメクジのように塩に水分を吸い上げられて縮んで死んでいくものかどうか見極めたい。

だが、対処療法には限界がある。元を絶たなくてはダメだ。根本原因はコバエが生ゴミにタマゴをうみつけることにある。

コバエの侵入を防ぐことは不可能なので、タマゴを産み付けるスキを与えないように生ゴミの管理を厳重にするしかない。



■コバエのウジ虫を撮影してみる

コバエのウジ虫は、全長2~3mm程度。見た目は寄生虫のギョウ虫のようだが、ギョウ虫よりは短い。

駆除に追われていたので、写真を撮る心の余裕がなかったことに気がついたので、這い回るウジ虫を撮影することにした。


(ゴミ箱の上を這うコバエのウジ虫 実際の大きさは2~3mm 筆者撮影)


なんせコバエのウジ虫だけに小さくて、しかも動いているので、接写もうまくいかない。こんなものしか撮影できなかった(上の画像を参照)。

高校一年生の生物の授業で、試験管のなかでショウジョウバエを孵化させる実験をしたことがあるが、あまり気持ちのいいものではなかったな、と思い出す。


(コバエのウジ虫のサナギ 筆者撮影)


ウジ虫にかかわる個人的エピソード

釣りをやる人なら知っていると思うが、釣り餌の「さし」は、じつはハエの幼虫、すなわちウジ虫である。

小学校低学年の頃、三鷹市に住んでおり、その時の同級生のあいだで神田川の上流まで自転車でいって釣りをやることが流行っていた。自分もまたその一人として頻繁に釣りに行っていた。

神田川の源流は井の頭公園の池。大雨の翌日など、池からあふれ出た鯉などが神田川にいたが、釣れるのはもっぱらクチボソが中心で、たいていはダボハゼばっかりだった。

釣り餌は吉祥寺駅の南口方面に釣具屋があり、そこで餌も売っていた。ちいさなビニール袋の小分けして打っている「さし」は、自分がもっているアルミ製の餌箱にいれて持ち歩いていた。

「さし」は芋虫の小さな感じの幼虫で、先端から釣り針をさして、釣り針のカーブにそって最後まで刺し通す。そのときは、「さし」が何の幼虫なのか考えたことはなかった。


(シリアカニクバエ幼虫  wikipediaより)


買った「さし」は一度に全部使い切れるとは限らない。余った「さし」を冷蔵庫のなかに入れておいたら、しばらくして開けたら茶色のサナギになっていた。

危ないところだったのだ。ハエの成虫になるところだったのだ。

冷蔵庫のなかで羽化して脱皮できたかどうかは、わからないが・・・・



■ウジ虫は弱虫なんかではない!

「ののしり言葉」としての「ウジ虫」がある。

「ウジ虫みたいなヤツ」だというののしり表現は、現在でもひんぱんに使われているのかどうかわからないが、すくなくともわたしの少年時代にはよく聞かれたものだ。

いまではもう死語だが「×××のように腐ったヤツ」と、双璧をなしていたといえようか。この表現は21世紀の現在、まったく意味をなさない日本語表現となっている。

「うじうじする」という擬態語の表現があるが、この「うじうじ」がウジ虫から来ているのかどうかはわからない。だが語感からいって、弱虫に近いニュアンスがあるような気がする。

新兵のことを "maggot" とののしるシーンが、ベトナム戦争時代の米海兵隊を描いた『フルメタル・ジャケット』ででてくる。「新兵訓練」の「ブートキャンプ」でのシーンだ。

マゴット(maggot)はウジ虫のことだ。日本語とおなじ意味で使用される。たしかに、堅いカラで覆われた甲虫(=インセクト)とは違って、人の手でつぶすことも可能な幼虫(=ワーム)は、人間の立場からすれば弱虫であるとしてもおかしくない。

ところが、じっさいの「ウジ虫」は「弱虫」なんかではないのだ! これは私が悪戦苦闘したコバエのウジ虫退治でも明らかなとおりである。

これも小学生の頃だが、はじめて自分の小遣いで買った本が「太平洋戦争」ものであったが、そのなかにあった「インパール作戦」の敗走シーンがアタマから離れないのだ。

行き倒れて、自分でカラダを動かせなくなった兵士たちにたかるハエ。まだ生きているのにウジ虫がわいている敗残兵。カラダのなかでも、とくにやわらかい目などを食い尽くすウジ虫目から這い出してくるウジ虫の群れ。そんなシーンが克明に記述されていた。まさにリアリズムである。

残酷だ。じつに残酷だ。しかし、同時にウジ虫の強靱さに思い至るのである。肉体を食い破る強靱なアゴをもち、貪欲に食べ尽くすウジ虫

強い、あまりにも強いのである。

だから、たとえコバエのウジ虫とはいっても、あなどってはいけないのである。

スズメバチの成虫でさえ勝てない殺虫剤にもビクともしないのが、コバエのウジ虫なのであるから。



PS コバエのウジ虫のサナギの写真を追加した(2017年9月1日 記す)。





<ブログ内関連記事>

なぜスズメバチが何度も何度も部屋に侵入してくるのだ!?-8月8日(ハチ・ハチ)に思うこと
・・スズメバチが室内に侵入してきたら、とにかく殺虫剤を噴霧すべし!

猛暑の夏の自然観察 (1) セミの生態 (2010年8月の記録)
・・幼虫からさなぎ、そして成虫へのメタモルフォーシス(=変態)

「体育会出身」ですが、何か?(笑)-「知的体育会系」なら鬼に金棒ではないか!
・・映画『フルメタル・ジャケット』は日本の体育会そのもの


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end