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2019年3月13日水曜日

JBPress連載コラム第47回目は、「フェイク文書が世界に広めた反ユダヤ主義(前編・後編)」(2019年3月12日・13日)


JBPress連載コラム第47回目は、「計り知れない罪、ロシアで生まれた史上最悪の陰謀論-フェイク文書が世界に広めた反ユダヤ主義(前編)」(2019年3月12日) ⇒ 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55703

ソ連が自壊してからすでに四半世紀以上も経っているが、かつての「冷戦時代」を思わせる事態が進行している。


冷戦時代に米ソ間で激しいプロパガンダ合戦が行われていたことは、当時のことを知る人にとっては常識だといっていいだろう。デマや偽情報、プロパガンダや陰謀論の拡散はネット時代以前から行われていたのだ。

情報操作の体質が、ネット時代に新たな展開を見せているのである。それがフェイクニュースの背景にある。

今回は、ソ連誕生以前にロシアで作成され、全世界に拡散された「史上最悪の偽造文書」について語ってみたい。 その偽造文書の名前とは「シオン長老の議定書」・・・ (つづきは本文で) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55703


(英語版『シオン長老の議定書』 Wikipediaより)

今回は、長いので二分割されてます。「後編」はここから

「世界を地獄に、荒唐無稽なデマはこうして広がった-フェイク文書が世界に広めた反ユダヤ主義(後編)」(2019年3月12日) ⇒
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55704

意外なストーリーが展開します。











<ブログ内関連記事>

JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)

書評 『ロシア革命で活躍したユダヤ人たち-帝政転覆の主役を演じた背景を探る-』(中澤孝之、角川学芸出版、2011)-ユダヤ人と社会変革は古くて新しいテーマである


高橋是清の盟友となったユダヤ系米国人の投資銀行家ジェイコブ・シフはなぜ日露戦争で日本を助けたのか?-「坂の上の雲」についての所感 (3)

『ユダヤ教の本質』(レオ・ベック、南満州鉄道株式会社調査部特別調査班、大連、1943)-25年前に卒論を書いた際に発見した本から・・・
・・強制収容所のテレージエンシュタットを生きのびたユダヤ思想家の著者でユダヤ教の本質を知る

マンガ 『レッド 1969~1972』(山本直樹、講談社、2007~2014年現在継続中)で読む、挫折期の「運動体組織」における「個と組織」のコンフリクト
・・新左翼という「ビリーバー」の末路

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002) 
・・「ホッファーの The True Believer: Thoughts on the Nature of Mass Movements (1951)であった。『大衆行動』というタイトルで翻訳されている」 「ビリーバー」(believer)の本質について

(2019年3月1日・14日 情報追加)






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2017年12月17日日曜日

映画 『否定と肯定』(2016年、英国)を見てきた(2017年12月17日)-「ホロコースト否定論者」とユダヤ人歴史家が法廷対決。歴史は法廷で裁けるか?


昨日(2017年12月17日)のことだが、映画 「否定と肯定」 (2016年、英国)を見てきた。ホロコースト研究の歴史学者と「ホロコースト否定論者」との法廷対決を描いたドラマだ。歴史学徒のはしくれの私としては、見ないわけにはいかないという気にさせられたから見てきた。

米国の大学で教鞭をとるユダヤ系の女性歴史学者デボラ・リプスタット(・・字幕ではリプシュタットとなっているが、アメリカ人なので英語の発音リプスタットが正しい)が、「ホロコースト否定論者」である英国の在野の歴史研究者アーヴィングに名誉毀損で告訴された。アーヴィングは、リプスタットの著書で批判されたことを根に持っていたのだ。


英国人の「歴史捏造者」アーヴィングは、歴史家リプスタットとその著書を出版した出版社ペンギン・ブックスを名誉毀損で訴えるが、原告側に立証責任のない英国での裁判を選択する。英米法としてひとくくりにされがだが、英国と米国では相違点があるのだ。

米国人歴史家は訴訟に対して受けて立つことにする。ダイアナ妃の離婚裁判で勝訴を勝ち取った凄腕の弁護士チームとのタッグを組んで、被告側で「ホロコースト否定論者」の論拠を崩すことを裁判の目的とする。


法廷戦術としては、あえて陪審裁判ではなく判事一人の裁判を選択。きわめて複雑で研究に時間を要する「歴史的事実」がテーマになる以上、陪審制がふさわしくないと判断したためだ。英米法では、法廷弁護士(バリスター)と事務弁護士(ソリシタ-)は分業制である。

しかも、法廷闘争だが、当事者の被告(=リプスタット教授)には一言もしゃべらさない、ホロコーストのサバイバーにも証人として出廷させないという作戦を採用。原告の「歴史捏造者」がつけ込む隙を与えないためだ。はたして、この戦術は吉と出るのか、凶と出るのか?

裁判で負ければ、ホロコーストの存在自体が法廷で否定されかねない。ユダヤ人の歴史そのものが危険にさらされかねない。きわめてリスキーな賭けでもあったのだ。

はたして「歴史」は法廷で裁けるのか? いや、そもそも「歴史」にかんして裁判でシロクロ決着つけるこのの是非は? 

そして、いかなる判決が下されることになるのか?


原題は Denial(否定)。ホロコーストの「否定」。実話にもとづいた法廷ドラマである。原作は、リプスタット教授自身が裁判の経緯を書いた『否定と肯定-ホロコーストの真実をめぐる闘い-』(山本やよい訳、ハーパーBOOKS、2017)である。

リプスタット教授を演じるレイチェル・ヴァイスは英国出身の女優。ユダヤ系ハンガリー人の家系で、両親はナチスの迫害を逃れて英国に亡命したという。その意味では、ユダヤ人としての歴史への向き合い方は、彼女自身のものであるのかもしれない。

重厚な内容の硬派な内容の映画。12月8日の公開だが、なんとTOHOシネマズでの上映期間は2週間だけで21日には上映終了と知って、急遽駆け込みで見ることにしたのは正解だった。

ロードショー上映には間に合わなかったとしても、DVDあるいはネット配信等で視聴すべき映画だ。


PS 好評のためだろうか、TOHOシネマズの上映期間が12月29日まで延長されたようだ。(2017年12月23日 記す)





<関連サイト>

映画 「否定と肯定」 (2016年、)公式サイト

Deborah Lipstadt
https://en.wikipedia.org/wiki/Deborah_Lipstadt


<ブログ内関連記事>

書評 『裁判官と歴史家』(カルロ・ギンズブルク、上村忠男・堤康徳訳、ちくま学芸文庫、2012)-初期近代の「異端審問」の元資料を読み込んできた歴史家よる比較論
・・歴史家と裁判官の類似点と相違点について考えるヒントが得られる

映画 『ハンナ・アーレント』(ドイツ他、2012年)を見て考えたこと-ひさびさに岩波ホールで映画を見た
・・ユダヤ人哲学者アーレントは、イスラエルでアイヒマン裁判を傍聴

書評 『私はガス室の「特殊任務」をしていた-知られざるアウシュヴィッツの悪夢-』(シュロモ・ヴェネツィア、鳥取絹子訳、河出書房新社、2008)-体験者のみが語ることのできる第一級の貴重な証言

映画 『サウルの息子』(2015年、ハンガリー)を見てきた(2016年1月28日)-絶滅収容所でゾンダーコマンド(=特殊任務)を遂行していたハンガリー系ユダヤ人の「人間性」を維持するための戦いは・・・
・・アウシュヴィッツで犠牲になったには、もっぱらハンガリー系とギリシア系ユダヤ人であった

書評 『プリーモ・レーヴィ-アウシュヴィッツを考えぬいた作家-』(竹山博英、言叢社、2011)-トリーノに生まれ育ち、そこで死んだユダヤ系作家の生涯を日本語訳者がたどった評伝
・・アウシュヴィッツのサバイバーであったイタリア人作家プリーモ・レーヴィは自殺してしまった

映画 『黄金のアデーレ 名画の帰還』(アメリカ、2015年)をみてきた(2015年12月13日)-ウィーンとロサンゼルスが舞台の時空を超えたユダヤ人ファミリーの物語 ・・ユダヤ人とホロコーストがからむ法廷もののハリウッド映画 

(2017年12月21日 情報追加)



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2015年2月10日火曜日

『パリのモスク ― ユダヤ人を助けたイスラム教徒』(文と絵=ルエル+デセイ、池田真理訳、彩流社、2010)で、「ひとりの人間のいのちを救うならば、それは全人類を救ったのと同じ」という教えをかみしめよう



『パリのモスク-ユダヤ人を助けたイスラム教徒-』(文と絵=ルエル+デセイ、池田真理訳、彩流社、2010)は、第二次大戦中の占領下フランスにおける知られざるエピソードを掘り起こして絵本にしたものだ。

アンネ・フランクの一家をかくまったオランダ人や、本国の命令を無視してユダヤ人難民のためにビザを発行しつづけた日本の外交官・杉原千畝ほど[知られている話ではない。というよりも、わたし自身、この絵本の存在も、この絵本に描かれたエピソードもまったく知らなかった。

子ども向けの絵本だが、オトナの読者にも手に取ってほしいという願いから、日本語版では小さなサイズの判型にしたのだという。片手に収まるサイズでページ数も少ないのであっという間に読めてしまう。だが、読んだあとに子どもだけでなく、オトナもいろいろ考えさせられるだろう。

原著は、The Grand Mosque of Paris: A Story of How Muslims Rescued Jews During the Holocaust, New York, 2009 (=『グランド・モスケ・ド・パリ-ホロコーストの時代にムスリムはいかにユダヤ人たちを救ったか-』)である。著者は二人ともアメリカ人。本国のフランスですら知られざるエピソードを掘り起こした。この事実を伝えたいという思いが強かったからだ。


(オリジナル英語版の表紙 日本語版では右1/3はカバー袖)


「グランド・モスケ・ド・パリ」(Grande Mosquée de Paris)は、wikipedia日本語版の記述には、「パリ5区、ジャルダン・デ・プラント地区、ジョルジュ・デスプラ通りに位置する。1926年7月15日、シ・カドゥール・ベンガブリットによって創設された。グランド・モスケは、イスラム教とイスラム教徒の可視性にとって象徴的な、重要な場所」、とある。

本文にも書かれているが、このモスクは、第一次世界大戦にフランス軍で戦った植民地兵たちのフランスへの貢献に報いるため、フランス政府が建設したのだ。フランスが北アフリカにもっていた植民地とは、アルジェリア、モロッコ、チュニジアである。いわゆるマグリブとよばれる地域である。第一次世界大戦後の労働者不足を補うため、すでにその頃に北アフリカ植民地からフランス本土への移住が始まっていた。

北アフリカではムスリムとユダヤ教徒は長い年月にわたって隣人として共生してきたことは知る人は知る事実だろう。

12世紀のマイモニデスから20世紀のジャック・アタリに至るまで、北アフリカのイスラーム世界から活躍したユダヤ人は少なくない。とくに1492年のスペインからのユダヤ人追放によって、オランダ方面だけでなく北アフリカからトルコにかけて多くのユダヤ人が難民として移住している。

そんな背景があって、パリのモスクの指導者はユダヤ人をモスクのなかにかくまったのである。そして安全地帯への逃亡を助けたのであった。異なる宗教、異なる民族であろうと、「隣人」だから。


(グランド・モスケ・ド・パリ wikipedia英語版より)


フランスを占領していたナチスは、北アフリカで連合国と戦っていたので(・・ドイツ側はかの有名なロンメル将軍の砂漠の戦車隊)、現地住民のムスリムを敵に回したくなかったので、モスクには手は出しにくかったことも有利に働いたようだ。

そういう政治的なさまざまな背景があったにせよ、ナチス占領下のパリで、命がけでユダヤ人を救ったムスリムがいたという事実は、もっと広く知られるべきことだろう。

日本語版カバー帯に記された、「ひとりの人間のいのちを救うならば、それは全人類を救ったのと同じ」という教えが、イスラームでもユダヤ教でも共通して存在しているのである。それぞれ『クルアーン』第5章、『タルムード』第4章にあると「訳者解説」にある。このコトバはかみしめたいものだ。

先日(2015年1月7日)にパリで発生したイスラーム過激派によるテロは世界中を震撼させたが、ユダヤ系の食料品店に立て籠もった犯人がユダヤ人の人質を殺害するという悲劇が起こっている。その一方、食料品店のなかで人質をかくまったアフリカ人ムスリムや、別件で射殺された警官が北アフリカ出身のムスリムであったことも話題となったことは記憶にあたらしい。

この絵本はアメリカ人によって作成されたものだが、絵本に書かれたいまから70年前の第二次大戦当時の事実は、フランス人こそ知ることが大事なのかもしれない。

もちろん遠く離れた極東の日本人もまた知るべき事実であるといえよう。




著者プロフィール

カレン・グレイ・ルエル(Karen Gray Ruelle)
米国メリーランド州生まれ。ミシガン大学卒業、図書館学修士。図書館司書として働いた後、絵本作家となる。ニューヨーク州在住
  
デボラ・ダーランド・デセイ(Deborah Durland DeSaix)
米国フロリダ州生まれ。スクール・オブ・ヴィジュアル・アーツ卒業。美術学修士。母校などで美術を教え、現在は絵本作家。陶芸家でもある。ノース・カロライナ州在住。

訳者プロフィール

池田真里(いけだ・まり)
翻訳者。共訳『科学・技術・社会をみる眼』(現代書館)、『戦後アメリカと科学政策』(同文舘出版)、『熱帯林破壊と日本の木材貿易』(築地書館)、『母乳の政治経済学』(技術と人間)、訳書に『エコロジカル・フットプリント』(合同出版)など。リバーベンドブログ翻訳チームのメンバーとして『バグダッド・バーニング(1、2)』(アートン)の翻訳に参加。(本書奥付より)



<ブログ内関連記事>

書評 『命のビザを繋いだ男-小辻節三とユダヤ難民-』(山田純大、NHK出版、2013)-忘れられた日本人がいまここに蘇える
・・神道の家に生まれ、キリスト教から最終的にユダヤ教に改宗したヘブライ語学者・小辻節三は、杉原ビザをもったユダヤ人難民を救出した重要な人物である

書評 『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)-「西欧主導のグローバリゼーション」の「最初の500年」を振り返り、未来を考察するために
・・ジャック・アタリはアルジェリア生まれのユダヤ人。フランスを代表する知識であり、現代の賢者である

ユダヤ教の「コーシャー」について-イスラームの「ハラール」最大の問題はアルコールが禁止であることだ
・・アルコールにかんする点を除けば、食事制限にかんするユダヤ教での「コーシャーとイスラームの「ハラール」には共通点が多い。ともに生活全般を律する宗教である

 
映画 『神々と男たち』(フランス、2010年)をDVDでみた-修道士たちの生き方に特定の宗教の枠を越えて人間としての生き方に打たれる
・・アルジェリアのムスリムの村落にあるカトリック修道院で、異なる宗教との対話をつづけてきた修道士たち。イスラーム過激派の脅威と悲劇的結末を描いた映画

書評 『新月の夜も十字架は輝く-中東のキリスト教徒-』(菅瀬晶子、NIHUプログラムイスラーム地域研究=監修、山川出版社、2010)
・・キリスト教はもともと中近東で発生した宗教である。中近東においてはイスラームよりはるかに歴史が長いのである。東地中海の実情を紹介

『移住・移民の世界地図』(ラッセル・キング、竹沢尚一郎・稲葉奈々子・高畑幸共訳、丸善出版,2011)で、グローバルな「人口移動」を空間的に把握する
・・近年増加傾向にある政治的な難民もまた


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