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2021年4月21日水曜日

書評『ビジネスマン・プーチン-見方を変えるロシア入門』(加藤学、東洋書店新社、2018)-ロシアはビジネスパーソン視点で見る必要性がある

 
 日本のメディアに登場するロシアは、反政府活動家の毒殺未遂問題や米国大統領選でのサイバー攻撃などネガティブな話題ばかりが強調されがちだが、経済とビジネス抜きでロシアを考えることが無意味であることは言うまでもない。 


著者は、国際協力銀行(JBIC)で合計9年間のモスクワ駐在体験のある人。ロシア経済の専門家である旧友から、読むように薦められていた本だ。  

ロシアを考える前提に「地政学」が来るのは当然の「常識」だが、ソ連崩壊後のロシアはその「影響圏」を維持するために「ハイブリッド戦争」を行ってきた。2014年のクリミア編入とウクライナ東部での未承認国家樹立などが、その代表的なものである。 

その結果、2014年以降は欧米から「経済制裁」を受け、現在に至るわけだが、経済制裁の影響はプラスとマイナス両面があるようだ。 

制裁といってもさまざまな抜け穴があるだけでなく、経済制裁を主導する米国と欧州のあいだに温度差があるのも事実。ロシアのガスに依存する西欧(とくにドイツ)の二枚舌的対応など、その最たるものであろう。 

ロシア経済に与えた影響としては、同時期に始まった原油価格の下落のほうが大きかったようだ。現在でも原油は輸出のトップである。ルーブル下落が輸出産業に有利に働くようになっただけでなく、経済制裁下でかえって消費財の国内生産重視の姿勢も生まれている。


さらにいえば、中国への接近もまた、2014年以降の状況のなかで推進されたものだ。だが、重要なことはロシアは中国にべったり依存したいわけではなく、そのために日本やその他諸外国へのラブコールが発生する。バランサーとしての日本への期待は大きいのである。 

地球温暖化によって北極圏の氷が融解傾向にあって、ロシアにとっては安全保障上の問題が生じている一方、資源開発を推進して多国籍の直接投資を誘致する姿勢もある。 

要するに、経済関係でバランスをとろうという政策だ。KGB出身が強調されるプーチン氏だが、ソ連崩壊後はサンクトペテルブルク市への海外からの直接投資誘致を複数成功させるなど、じつは経済通の人物なのである。 

私自身、20年くらい前にソ連崩壊後のロシアでの石油産業関連調査事業にかかわったこともあって、基本的に経済とビジネスという観点からロシアを見てきたが、その意味でもこの本は、一般向けのロシア本に欠けている点を補う意味で好著であると言って良いと思う。 

ただし、本書出版の2018年以降には、日本では2020年には安倍政権が終わり、経産省出身官僚が推進したロシアビジネスも不調気味であり(・・経済協力すれば北方領土が帰ってくるという甘い見通しであったことは批判すべきだ!)、すでに現在69歳のプーチン氏自身も疲れが出ているのか、かつてのような精彩を失いつつある。年金問題でのつまづき、それに加えて、新型コロナウイルス感染症問題だ。 

とはいえ、経済とビジネスという観点で見るマインドセットは、対象がなんであれ、きわめて重要である。ましてや、ロシアのような国については、なおさら重要であるといえよう。 




目 次
はじめに
第1章 あふれるビジネスチャンスと地政学リスク
第2章 ロシアをめぐる地政学とプーチンの「経済外交」
第3章 地政学から見る日露関係と極東開発
第4章 北極圏の地政学と日本のビジネスチャンス
第5章 ロシア経済制裁の真実
第6章 プーチン・ロシア最後の6年を占う
結びにかえて

著者プロフィール
加藤学(かとう・まなぶ)
1973年東京生まれ。1996年4月日本輸出入銀行(現、国際協力銀行)入行。2001年9月~2005年5月、2013年6月~2017年10月、国際協力銀行モスクワ駐在員事務所勤務。2017年11月より同行石油・天然ガス部第3ユニット長としてロシアCIS、アフリカ諸国の資源開発、輸出案件等に従事。慶応大学法学部卒業。ロンドン大学(SOAS)修士。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)







 
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