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2023年2月2日木曜日

書評『人生力が運を呼ぶ』(木田元/渡部昇一、致知出版社、2004)ー 面白い本が埋もれたままになっているのがもったいない



あのハイデガー哲学研究者の木田元氏と、『知的生活』で有名な英語学者の渡部昇一氏が対談していたのか、それは知らなかった。

というわけで、たまたまその存在を知ったこの本を古本で購入して読んでいたらみたら、予想していた以上に面白かった。 

木田元氏は渡部昇一氏より2歳年上で、ともに山形県の鶴岡市に縁のある人。

この対談の時点では初対面で、それぞれ75歳と73歳。戦中派だが異なる経験をしていながらも、共通点の多いことがわかって意気投合している。渡部氏が終始2歳年上の木田氏を立てながらの対談も、古風な感じがして気持ちよい。 


■語学学習は「丸暗記」に限る

若いときの猛勉強ぶりが共通している二人だが、「第3章 学びの姿」と「第4章 学問する姿」では、ともに語学学習上の「丸暗記」の効用を強調している。

わたしも中学時代と高校時代には英語は「教科書の丸暗記」で習得したので、その言わんとすることにはまったく賛成だ。 とくに前置詞や定冠詞などの用法は丸暗記に限る。

木田氏の3ヶ月での外国語習得方法は、すさまじいまでの集中力と持続力であり、若くないとできない話だが、その通りだなと大いに納得。 木田氏はなんとこれで英語、ドイツ語、ギリシア語、ラテン語、フランス語の順番で独習でマスターしている。

渡部氏の「六十にして立つ」という話も興味深い。課題となっていたラテン語の完全習得のため、ついに60歳で一念発起して、タクシー移動による空き時間を利用して、丸暗記でマスターしたのだという。

両者ともに、けっして人に勧めているわけではないのだが、これを読んでいる自分は、尻を叩かれているような気分になった。これぞただしい意味での叱咤激励というものだろう。


■「寄り道」の効用

人文系の学問をする上での基礎づくりの話だけでなく、「寄り道の効用」も二人に共通している。

エリートコースを一直線というのとはまったく異なる人生行路が、「人間力」というか「人生力」を生むというのも、大いに説得力がある。敗戦後の木田氏の闇屋体験、渡部氏のテキ屋体験など、なかなか読ませるものがある。 

すでに二人とも鬼籍に入って数年たつが、残念ながらタイトルと出版社で損をしているなと思う。「致知出版社」で「人生力」なんてタイトルだと、そういうのが好きな人でないと素通りしてしまうだろう。もったいない話だ。 

出版社を代えて、タイトル変えて文庫化したら、売れる可能性があるのではないかなと愚考する次第。 




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2021年10月13日水曜日

『超訳ベーコン 未来をひらく言葉』(佐藤けんいち編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)が、来る2021年10月22日に出版されます!

 
編訳をおこなった『超訳ベーコン 未来をひらく言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021)のサンプルを受け取った。感慨もひとしおといったところか。
  
ベーコンとは、サー・フランシス・ベーコンのこと。16世紀から17世紀初頭の激動期に生きたイングランドの政治家で哲学者。「知は力なり」のフレーズで知られています。 

「17世紀科学革命」を語る際には、デカルトやガリレオ、ニュートンとともに欠かせない人物です。もちろん英語圏では有名ですが、近年の日本での知名度はそう高くないかもしれません。 

そのベーコンの著作から抽出して、「人生訓」を1冊にまとめました。知られざる存在となっているベーコンの「人生論」。かなり有用な内容になっているのではないかな、と。 

(食べるベーコンもフランシス・ベーコンもつづりはどちらも bacon)

本というカタチになったものをあらてめて読んでみると、なぜいままで『ベーコン人生訓』が日本で出版されてこなかったのか、不思議な気持ちになってきます。ある意味、画期的なことだといえるかもしれないな、と自画自賛したくなります。 

今回の「超訳」の作業は、ベーコンの17世紀英語が思っていた以上の難題で、作業終盤の8月の猛暑で消耗してしまいましたが、それだけの労力を払うのに値する内容だと、個人的には確信しております。ぜひ一人でも多くの人に読んでほしいと思います。

 今回も最初からエッセンシャル版(=文庫版)での出版です。「文庫オリジナル」となります。しかも今回は、購読者特典つきです! 【特典「英和対訳:英語圏でよく引用されるベーコンの名言20」】

 「マイ超訳三部作」として、『超訳自省録 よりよく生きる』、『ガンディー強く生きる言葉』とともに、ご愛読いただけますよう。 乞うご期待! 






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2020年2月5日水曜日

書評『カント先生の散歩』(池内紀、潮文庫、2016 単行本初版 2013)― カントについて関心のある人、そうではなくても池内紀ファンなら読む価値あり



先日惜しくもお亡くなりになったエッセイストでドイツ文学者の池内紀さん。その知られざる1冊がこれ。『カント先生の散歩』(潮文庫、2016)。 

「知られざる」と書いたのは、潮(うしお)文庫なんて、存在そのものすら忘れていたマイナーな文庫だから。潮文庫を置いている書店も、あまりないしね。 

じつは私もつい最近知ったばかりなのだ。潮出版社のインド関連の本を読む機会があって、試みに amazon で潮出版からどんな本が出てるのかなと検索していたら、この本が出てきた。おお、こんな本があったのか! というわけでさっそく注文。届いたらすぐに読んでみた。

さすがに「散歩中」というわけにはいかないが、「電車での移動中」の読書には最適だ。薄くて軽く読める本だが、内容は面白い。 

カントの哲学書は、正直いって私も途中で読むのを断念している(苦笑)。ところがカントには『人間学』なんて面白い本がある。大学の講義を元にしたらしい。このほか『永遠平和のために』は、21世紀のいまでも読むべき本であって、短いし比較的読みやすい内容だ。 

池内さんは、その『永遠平和のために』の翻訳もしていたらしいと、この文庫本で初めて知った。その翻訳のための調べ物がから生まれたのが、この本のもとになった連載。その連載が、月刊誌『潮』だから、潮出版社から初版がでて、さらにその3年後に文庫化されたというわけ。 

池内さんの『ゲーテさん、こんばんは』(集英社文庫)も面白いが、おなじく18世紀に生きたドイツ人を描いた、この『カント先生の散歩』もいい。味のある作品だ。 

哲学者カントのじつに人間臭い側面、哲学書が生まれた背景にディスカッション・パートナーとして一卵性双生児のような英国人商人が存在したことの意味など、なるほどというエピソードに充ち満ちている。カント哲学は、けっして孤独な思索から生まれたわけではなく、対話から生まれたのである。

世の中全般に通じていた雑学的知識の持ち主で、会食の席で座を盛り上げる名手だったことなど、読んでいて楽しくなってくる。 

そして人間である以上、誰もが避けられない老いについて。頭脳明晰な哲学者カントも、寄る年波には勝てず、介護されながら老衰していく。カントの老いを詳しく描いているのは、著者自身が老境に入っていたためだろう。 

長々と書いてしまったが、カントについて関心のある人、そうではなくても池内紀ファンなら読む価値あり。この本を読めば、哲学者カントについて知ったかぶりができるようになりますよ(笑)


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JBPress連載コラム第29回目は、「ロシアの「飛び地」に見る国境線のうつろいやすさ-Wカップの舞台となったカリーニングラードの歴史」 (2018年7月3日)
・・現在のカリーニングラードは、かつてケーニヒスベルクと呼ばれていた東プロイセンの首都だった。カントが生涯を過ごしたバルト海の港町である

書評 『富の王国 ロスチャイルド』(池内 紀、東洋経済新報社、2008)-エッセイストでドイツ文学者による『物語 ロスチャイルド家の歴史』

書評 『ことばの哲学 関口存男のこと』(池内紀、青土社、2010)-言語哲学の迷路に踏み込んでしまったドイツ語文法学者


『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと-時間・お金・ファンタジー-』(池内 紀・子安美知子・小林エリカほか、新潮社、2013)は、いったん手に取るとついつい読みふけってしまうエンデ入門


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2020年1月2日木曜日

書評『無病法 ー 極小食の威力』(ルイジ・コルナロ、中倉玄喜編訳・解説、PHP、2012)-「極小食」で102歳まで生きた人の話だけに説得力あり!


体調不良気味だったので「極小食型断食」を断行することにした。昨年の年末のことだ。

体調不良で大腸の調子がよくない。腹がグツグツいっており、食べたらすぐにでてしまうのだ。25年前のインド初体験の状況と似ている。ココナッツミルク粥を食べて1週間下痢が続いて以来の出来事だ。食べたらすぐに出てしまう、その繰り返し。インドからネパールに入って、日本では入手できないような強力な下痢止めを飲んで、ようやく下痢が終わった経験を思い出す。

今回は、年末に入る2週間前に肉を食べ過ぎたのが原因ではないかとにらんでいる。牛・豚・鳥と毎日しかも大量に食べ続けたが、その悪影響がしばらくたってから出てきたのだ。そういえば、10年以上前のことだが、ベトナムのホーチミンでカニを食べ過ぎてカニ・アレルギーになったことを思い出した。

腹の調子が悪いと、腹の底からチカラが湧いてこない。腹、つまり大腸の調子は、人間存在を大きく規定しているのだと、あらためて文字通り痛感。

食べたら、すぐに出てしまうのでは、クスリ飲んでもキリがない。そうだ、食べなければいいのだ、食べなければ出ることもない。というわけで断食をすることに。


■「極小食」を説いた本を再発見

こんな感じで過ごし始めたときに本を整理していたら、『無病法ー極小食の威力』(ルイジ・コロナロ、中倉玄喜編訳・解説、PHP、2012)が出てきた。以前に購入していながら、パラっとしか見ていなかった。まさに、いま読むべき本ではないか!というわけで、はじめて通読してみた。読んでみて大いに納得。

うん、うん、とうなづくばかり。そうだよな、小食でいかなくてはならないのだよ。心身に問題が生じるのは食べ過ぎにあるのだ。「何ごとも過ぎたるは及ばざるがごとし」ではないか! 肉であれ、カニであれ、食べ過ぎはよくないいうこと。

『無病法ー極小食の威力』は、「極小食」を実践して102歳まで生きた16世紀のヴェネツィア貴族の講話集。①「食を節することの重要性について」(83歳)、②「虚弱体質を改善する最良の方法について」(86歳)、③「幸福な老後を獲得する方法について」(91歳)、④「長寿を約束する節食の薦め」(95歳)の4本である。日本でいえば『養生訓』のようなものか。

この人は、40歳のころに大病して死ぬ間際までいったことがあるらしい。医者から小食を薦められたので実践してみたところ、それ以来、病気とは無縁になったということだ。つまるところ、食べ過ぎはよくないことは言うまでもなく、腹八分目はもとより、あまり食べない方がカラダにはいい、ということなのだ。

今後は、これを肝に銘じて生きていくことにしたいと思う。といっても、かならずしも実践できるかどうかは定かではないが、ときどき「極小食断食」をやってみる必要はありそうだ。カラダのなかも大掃除!




■今回実行してみた「極小食型断食」

断食とはいっても、完全な断食ではない。栄養補給しながらの断食なので、むしろ「極超小食」というべきだろう。要は、固形物を摂取しないのだ。胃腸に負担はかけないで生きながらえる方法。

栄養補給は、ウィダー・イン・ゼリー(マスカット味)で。これ1つでおにぎり1つ分の栄養だという。これを昼と夜に1回づつで1日合計2つ。朝は「飲む点滴」の甘酒。このほか、水分は摂取。コーヒーにたっぷり黒砂糖を入れて飲む。糖分はアタマの栄養。酒は飲まない。

そんなかんじで過ごしてみたが、不思議なことに腹が減らないのだ。本格的な断食だと水のみなので、栄養補給がない状態ではカラダがだるくなってくるのだが、「極小食型断食」ではそのようなことはない。

消化に無駄なエネルギー使用がないので、眠くならなることもない。知的活動には好都合。いいことづくめではないか!

だが、さすがに5日目から腹が減るようになってきたので、そこで終了して夕食から回復ステージに入ることに。胃腸に優しいお粥を食べる。すこしづつ食べる量を増やしていく。お正月に美味いものが食べたかったからだ。

お正月が終わったら、また「極小食断食」再開してみようかなと思う。


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<関連サイト>


ルイジ・コルナロ(Luigi Cornaro) Wikipedia英語版
・・Alvise Cornaro, often Italianised Luigi (1467 or 1464~8 May 1566), was a Venetian nobleman and patron of arts, also remembered for his four books of Discorsi (published 1583–95) about the secrets to living long and well with measure and sobriety.


・・白隠といえば、座禅につきまとう「禅病」、すなわち強度のノイローゼ対策としてのイメージ療法である「内観法」で有名

・・江戸時代後期の大坂に生きた水野南北は「小食主義」でも有名。「小食」こそ「開運」のカギ!

(2024年1月12日、2024年1月25日 情報追加)


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