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2024年2月28日水曜日

『出口なお』(安丸良夫、朝日選書、1987)を購入から37年目にはじめて通読。「民衆思想」の研究者が本格的に取り組んだ「開祖伝」の名著



『出口なお』(安丸良夫、朝日選書、1987)を読了。初版が1977年なので、そこから数えれば出版後47年目となる。 しかも、なんと購入から37年目(!)にして、はじめて通読したことになる。

というのは、 レシートがはさまっていたので、購入したのが出版直後だとわかったからだ。購入した紀伊国屋書店大手町店は、現在でも大手町ビルのテナントであることはおなじだが、現在とは違って当時は地下1階にあり、横に細長い店舗であった。

大学時代に合気道をやっていたので、合気道「開祖」の植芝盛平が壮年時代の8年間、大本教の出口王仁三郎「聖師」のもとで「精神修行」していたことは知っていた。 

当時は講談社文庫から出ていた『巨人 出口王仁三郎』(出口京太郎)という名著も大学1年のときに読んでいたので、王仁三郎のことは比較的よく知っている。

大本ゆかりの綾部や亀岡は、わたしが生まれた舞鶴から近いので、なんとなく親近感がある。いずれも山陰本線の沿線であり、京都府北西部にある。わたしが子どもの頃は、現在は観光鉄道として営業している嵯峨野鉄道の線路を山陰本線が走っていた。


■神がかりした「開祖」と組織者である「聖師」のズレ

大本教の「開祖」は、出口なおという女性である。

貧困のどん底にいた無学文盲の女性が、突然57歳(!)になって「神がかり」し、自動書記によって膨大な「お筆先」を残したのである。当初は発狂したと見なされていたらしい。 

ただし、教団として組織化を行ったのは、娘婿となった出口王仁三郎である。もともとは上田喜三郎という名前だった、出口なおのお筆先で喜三郎が鬼三郎とされ、その後に鬼が王仁王仁となって最終的に出口王仁三郎となった。

 「開祖」と「聖師」は宗教教団である大本教の二本柱だが、その共通点と相違点をよく理解する必要がある。神おろしと判定を行う「鎮魂鬼神」のメソッドと、神道的要素を持ち込んだのは王仁三郎であった。神憑りの内容だけでは宗教教団としての確立も成長もなかったといっていい。 

福知山に生まれ、綾部に嫁ぎ、腕がいい大工だが遊び人の夫と、貧乏人の子だくさんとういうべきか、大家族の生活を一身に背負って苦労を重ね、夫が事故で病床について以後は、ほとんど底辺にまで落ちて、紙くず拾いというその日暮らしとなっていた。 
  
我慢に我慢を重ねた忍従の女性の人生。抑圧に抑圧を重ねた末についに臨界点を越え、無意識の領域から「内面の声」が爆発してあふれ出したのは、ある意味では当然なのかもしれない。ただ、それが異様なまでの神のお告げであっただけに、気が狂ったのではないかとされたのである。 

明治維新後の「近代日本」が生み出した社会矛盾、それに対する底辺の民衆からの激しい異議申し立てが、無学文盲の女性の口からほとばしりでたのである。

破壊と再生を語るその激しい内容は、「世の立て替え」という「千年王国的ユートピア」というべきものであった。 


『出口なお』は『神々の明治維新』とならんで代表作のひとつ

著者の安丸良夫氏は、『神々の明治維新』という名著で有名な日本思想史研究者であった。

「民衆思想」研究の出発点にあったのが、「地の利」が活かされたというべきか、京都大学の学生時代に参加した『大本70年史』編纂だったという。出口なおの「お筆先」の内容を詳細かつ綿密に分析した成果が、本書に結実している。 

だからこそ、大本教にまつわる「古神道」関連にかんしても、じつに詳細に記述されているのである 長沢雄盾(ながさわ・かつとし)や本田親徳(ほんだ・ちかあつ)、大石凝真素美(おおいしごり・まそみ)といった人名も、37年前ならおそらく読み飛ばしてであろう。 

それなりに人生経験を積んで、知識も蓄積されたいまは、よく理解して読めるということだが、それだけではない。貧富の差が増大し、社会矛盾が増大しつつある現在の日本であるからこそ、すでに100年前の話であるがリアリティをもって迫ってくるものがある。 

一橋大学社会学部教授であった安丸先生の授業は、大学3年のときに受講している。そういう経緯もあって、すでに社会人になってうたが、出版後すぐに購入したのである。ところが、パラパラとみただけでちゃんと読まないまま37年(!)もたってしまったのだ。 

今回あらためて最初から最後まで通読してみて思うのは、さすがに日本思想史の研究者、しかも「民衆思想」の研究者だな、と。 

『出口なお』もまた、いまは亡き安丸良夫氏の代表作のひとつであることを大いに実感した次第である。 





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目 次
はじめに 
1 生いたち 
2 苦難の生活者として 
3 内なる声 
4 告知者として 
5 零落れた神たち 
6 出会いと自認 
7 近代化日本への憤激 
8 天下の秋 
あとがき 
年譜

著者プロフィール
安丸良夫(やすまる・よしお)
1934年〈昭和9年〉6月2日 - 2016年〈平成28年〉4月4日)は、日本の歴史学者。専門は近世・近代の日本思想史、宗教史。一橋大学名誉教授。
「民衆史学」の興隆の中で『日本の近代化と民衆思想』を著し、色川大吉、鹿野政直らとともに民衆思想史の第一人者として活躍した。思想史家らが論じてきた「頂点的思想家」の支配思想と異なり、通俗道徳に基づいた民衆の自己鍛練の思想を論じることで、資本主義成立期の貧農や商人の没落とそれに伴う教派神道などの民衆宗教の勃興を論じている。
その後も『出口なお』、『神々の明治維新』などで近代の民衆信仰を研究し続けたほか、民衆史の退潮に伴い、『近代天皇像の形成』、『文明化の経験』など近世から近代への移行期を描く著作を多く残している。日本の歴史学や思想史学の歴史や方法にも関心が深く、『方法としての思想史』、『戦後歴史学という経験』、『現代日本思想論』などを著している。 
『神々の明治維新』では、全国各地の氏神を祀ってきた神社に記紀の皇統神を合祀し、国による組織化を進めるなど、それまでの民衆の信仰とはかなり違う性質のものとなったと主張している。(Wikipediaより)


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・・文庫版にも「綾部・亀岡-大本教と世界連邦」が収録されている。梅棹忠夫はエスペラントという側面から大本教に関心をもったようだ。「地の利」が活かされたともいえる
「世界平和、人類愛、エスペラント、心霊主義といった広範なテーマを有する大本教の名誉回復を行った文章にもなっている。(・・・中略・・・)日本近代を国家の中枢から推進した国家神道とは対立関係にあった大本教を取り上げたことは、日本文明の二元的構造を示した好例といえるかもしれない。」

・・「新宗教」として大本教に先行するのが、おなじく「女性の神がかり」から始まった天理教

・・安丸良夫の名著『神々の明治維新』を取り上げている

・・「神道系新宗教への親近感、霊性の観点からみた女性の男性に対する優位性など、折口信夫の思想のラディカルな性格」

・・「全8巻のなかにあって、転換点となる第6巻にあたる『美しき魂の告白』。ある女性がつづった手記という形をとった、これじたいがひとつの短編小説のような内容だが、ひたすら自分の「内面の声」に忠実に生きようとした女性の、神との対話をつうじた自己の確立を描いたものだ。このような生き方は、現代でも外的世界とさまざまなコンフリクトを生み出すことは言うまでもない。」



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2021年12月7日火曜日

書評『おんな二代の記』(山川菊栄、岩波文庫、2014)ー 維新から始まる母娘の人生でつづる日本近現代史

 

『おんな二代の記』(山川菊栄、岩波文庫、2014)を先頃読み終えた。単行本初版は1956年の出版。  


「おんな二代」とは、著者の山川菊栄(1890~1980)とその母・千世(ちせ 1857~1947)のこと。水戸藩の儒者という知識人家庭に生まれ育った千世と、その娘で社会主義者になった菊栄。いずれも90歳まで長生きをしている。 

全体の3/4は山川菊栄の自伝であり、残りの1/4はその前史ともいうべき母親の人生で構成されている。当然のことながら、菊栄の子ども時代から学生時代までの人生は、母親の人生と重なっている。

男性中心で政治史あるいは経済史として語られることの多い日本近現代史だが、女性ならではの視点で、しかも学問と生活という観点から語られるのが本書の特色だといえよう。女性史といっていいし、社会史ともいっていい内容の本だ。 

母親が体験した維新後の日本も興味深いが、女性問題を社会主義の観点から解決しようと志し、社会主義者になった山川菊栄の回想が中心になっている。 山川均・菊栄夫妻との関係からみたアナキストの大杉栄など、菊栄からみた同時代人としての社会主義者群像も含め、登場する事物のすべてが具体的に語られているのがいい。 

本書の最大の山場は、関東大震災(1923年9月1日)であろう。 著者の山川菊栄にとっても、戦前日本の社会主義運動にとっても、大きな分水嶺となった出来事だからだ。

きわめて個人的な回想が語られるが、流言飛語が飛び交うなか、「朝鮮人」だけでなく「主義者(=社会主義者)」も虐殺の対象になったことが、手に取るようにナマナマしく描写されている。大杉栄夫妻とその子どもが虐殺されたが、山川夫妻と子どもは危うく難を逃れることができたのであった。 

1925年の「普通選挙法」と抱き合わせで成立した「治安維持法」によって、社会主義者にとっては20年にわたって暗い時代が始まることになるが、分水嶺は「関東大震災」にあったことがよくわかる。 

山川菊栄は、こんな文章を記しているので引用しておこう。

渋沢栄一翁はこの震災を、国民がおごりたかぶるのを天が見かねてこらしめるために下した天譴(てんけん)だといいました。なにしろああいう大金持ちのいうことですから、一も二もなく信用されて、たちまち天譴説がはやりました。が、天はほんとうにそう思っていたかどうか・・。(本書の「天災と人災」P.359) 


渋沢栄一が語ったとされる「天譴」(てんけん)は、天による譴責という意味で解してよいだろう。厳しい咎めのことだ。現代の日本語なら「天罰」といったほうが通りがよいかもしれない。

ちなみに、永井荷風は『断腸邸日乗』に、「外観をのみ修飾して百年の計をなさゞる国家の末路は即此の如し。自業自得天罰覿面といふべきのみ。」と記している。そう考えると、大震災を天罰と捉える見方は、当時の日本人にとってはけっして不自然なものではなかったのであろう。

渋沢栄一に代表される資本家の視線と、山川菊栄をはじめとして弾圧の対象となった社会主義者の視線は、違っていて当然のことだろう。ここでは、「天はほんとうにそう思っていたかどうか・・」という控えめな物言いではあるが。もちろん、さまざまな視線で語りうるのが歴史というものである。単一の歴史観ほど認識を誤らせるものはない。

その意味でも、社会主義者で女性であった著者による回想録は、主義主張の違いを超えて、時代の証言として面白い読み物であったし、これからも読まれるべき古典であると言っていいだろう。


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2014年7月15日火曜日

書評『恋の華・白蓮事件』(永畑道子、文春文庫、1990)ー 大正時代を代表する事件の一つ「白蓮事件」の主人公・柳原白蓮を描いたノンフィクション作品


現在(=2014年上半期)放送中のNHKの連続テレビ小説 『花子とアン』は、少女文学の名作 『赤毛のアン』の翻訳者・村岡花子の生涯を描いたものだ。明治時代に生まれ、「先の大戦」を乗り越えて「戦後」まで生き抜いた一人の女性の物語である。

放送が開始されてしばらくたってから見始めたが、最初はミッションスクールで英語を学んだ一少女が、翻訳家として自分の道をみつけて生きていくストーリーだと思っていた。

ところがドラマが進展するとともに、主人公が通っていたカナダ系のミッションスクール東洋英和女学校に転入してきた同窓となったのが年上の柳原白蓮(1885~1967)。あの「白蓮事件」の白蓮(びゃくれん)か(!)、「大正三美人」の一人といわれていた白蓮もまた、東洋英和出身だったとは知らなかったな、と。

甲府の平民の娘と、出戻りとはいえ皇族とも縁続きの華族の令嬢とでは水と油のような存在だったが、その後、二人は「腹心の友」となる。しかもドラマが進展するにつれて、じつはこの二人はある意味では似た存在であることがわかってくる。文学者という共通点だけではなく、不倫の恋を貫いたという点においても似たものどうしだったということだ。

そんなとき、ずいぶん昔に新刊書として購入したまま読んでいなかった『恋の華・白蓮事件』(永畑道子、文春文庫、1990)を蔵書のなかに再発見して、この機会に読んでみることにした。女性史の分野ですぐれたノンフィクション作品を出していた永畑道子氏の作品である。

『華の乱』(文春文庫、1992)は読んでいたのだが、『恋の華・白蓮事件』のほうはなぜか読む機会を逸したまま、24年もの月日が流れてしまっていたのだ。だが、本には読むタイミングがある。それは、いまでしょ、というわけだ。

ドラマがいよいよ炭鉱王との結婚生活からの「脱出」に近づいたいま、『恋の華・白蓮事件』を一気読みしてみた。この本はじつに面白い! ドラマより実人生のほうが、はるかに波乱に富んだものだったことが、このノンフォクション作品を読むとわかるからだ。

(柳原白蓮 『恋の華・白蓮事件』の口絵写真より)

姦通罪が存在した時代、「不倫」相手の宮崎竜介は東大新人会のメンバーで吉野作造の民本主義や黎明会の影響下にあった人だけでなく、父は 『三十三年の夢』の著者で辛亥革命の孫文の盟友でった革命下の宮崎滔天(みやざき・とうてん)であった。

炭鉱王の伊藤伝右衛門は、富国強兵政策に不可欠な石炭採掘事業を裸一貫から大成功させた、さに立志伝中の人。

そして宮崎竜介とのあいだにもうけた息子の名付け親となったのが、大本教の出口王仁三郎であり、その子は特攻隊出撃の鹿屋基地で米軍の空爆で戦死してしまう・・・。

なんという波瀾万丈の生涯であることか。朝ドラでどこまで描かれるのかはわからないが、ある意味では、朝ドラの主人公の村岡花子を食ってしまうくらいの存在なのである。

本書の記述には、著者自身の個人的な回想も含まれるが(・・若き日の著者は、晩年の白蓮に熊本日々新聞の記者として会っているという)、白蓮サイドだけでなく、伊藤伝右衛門サイドにも徹底的な取材によってバランスのとれた記述を行っている。わたしのような男性読者としては、伊藤伝右衛門には、同情を禁じ得ないもの感じるのではないだろうか。

徹底的な事実探索によって白蓮を立体的に描き出した名ノンフィクション作品だが、著者自身のパッションもまた文字の向こうからにじみ出てきてくるのを感じる。

それは、著者である永畑氏にとって、博多と熊本に「地縁」があることも理由の一つであろう。母親の出身地が炭鉱王の博多であること、不倫相手となった宮崎竜介の父が熊本出身であることだ。熊本出身の女性史家・高群逸江(たかむれ・いつえ)に『火の国の女の日記?』という作品があるが、九州の人間は男も女も熱いようだ。

「大正生命主義」という文学史上のコンセプトもあるが、まさに大正時代は「生命」の時代であった。「生命」の時代とは、女の時代のことでもある。与謝野晶子の『みだれ髪』で和歌に目覚めた白蓮であるが、永畑氏が紹介している白蓮の歌は、不倫の恋が成就するまでものは与謝野晶子に匹敵するような印象を受ける。まさに「女歌」(おんなうた)である。

著者の永畑道子氏は調べてみたら、2012年に82歳でお亡くなりになっていたようだ。この本も、もともとの版元の新評論から独立したして藤原書房から2008年に復刊されているようだ。

書店の店頭には、むしろ村岡花子の出身地にも近い山梨県山梨市出身の作家・林真理子氏の『白蓮れんれん』(集英社文庫、2005)という小説作品が平積みになっているが、ドラマの背後にあるリアルな世界は文学作品ではなくノンフィクションとして知りたいという人には、永畑氏の作品がいいのではないだろうか。

ぜひ著者にとっても初のノンフィクション作品となった『恋の華・白蓮事件』をおすすめしたい。


<付記>

ドラマの影響で柳原白蓮に対する関心が急上昇中だという。文藝春秋社もこの機会に装幀をあらたなものに変更して、文春文庫版の『恋の華・白蓮事件』の重版に踏み切ったようだ。電子書籍版もあるとのこと。ご参考まで (2014年8月6日 記す)



<関連サイト>

NHK連続ドラマ小説『花子とアン』 公式サイト

『新編 近代美人伝(下)』(長谷川時雨、岩波文庫、1985)より「柳原燁子(やなぎはら・あきこ)」(青空文庫)


伊藤伝右衛門が出版のために600円(・・当時の金額)を渡して出版にこぎつけたという白蓮の処女歌集 『踏繪』(ふみえ)も2008年に復刻されているようだ。表紙のデザインは竹久夢二によるものである。



<ブログ内関連記事>

NHK朝ドラ『花子とアン』関連

書評 『オーラの素顔 美輪明宏のいきかた』(豊田正義、講談社、2008)-「芸能界」と「霊能界」、そして法華経
・・NHKの朝ドラの2014年度上半期の『花子とアン』でナレーションをつとめる美輪明宏は長崎出身の九州人

NHK連続ドラマ小説 『花子とアン』 のモデル村岡花子もまた「英語で身を立てた女性」のロールモデル

宮崎滔天の 『支那革命軍談』 (1912年刊)に描かれた孫文と黄興の出会い-映画 『1911』 をさらに面白く見るために
・・宮崎滔天は白蓮の不倫相手の宮崎竜介の父親であった

書評 『ミッション・スクール-あこがれの園-』(佐藤八寿子、中公新書、2006)-キリスト教的なるものに憧れる日本人の心性とミッションスクールのイメージ


「近代日本」という時代と実業家・革命家

書評 『大倉喜八郎の豪快なる生涯 』(砂川幸雄、草思社文庫、2012)-渋沢栄一の盟友であった明治時代の大実業家を悪しき左翼史観から解放する

特別展「孫文と日本の友人たち-革命を支援した梅屋庄吉たち-」にいってきた-日活の創業者の一人でもあった実業家・梅屋庄吉の「陰徳」を知るべし

『大アジア燃ゆるまなざし 頭山満と玄洋社』 (読売新聞西部本社編、海鳥社、2001) で、オルタナティブな日本近現代史を知るべし!
・・福岡の風土を知る

夢野久作の傑作伝記集『近世怪人伝』(1935年)に登場する奈良原到(ならはら・いたる)と聖書の話がめっぽう面白い
・・福岡の風土を知る

書評 『日本の血脈』(石井妙子、文春文庫、2013)-「血脈」には明治維新以来の日本近代史が凝縮
・・白蓮の人生もまた維新の勝ち組と負け組が交差するところにあった


「大正三美人」と大正時代

「無憂」という事-バンコクの「アソーク」という駅名からインドと仏教を「引き出し」てみる
・・白蓮をふくめて「大正三美人」といわれた九條武子について取り上げている。『九條武子-歌集と無憂華』』という本がある。白蓮と武子は歌人としてお互い面識があった

歌人・九條武子による「聖夜」という七五調の「(大乗)仏教讃歌」を知ってますか?

マンガ 『はいからさんが通る』(大和和紀、講談社、1975~1977年)を一気読み ・・大正ロマン! ただしモデルの跡見女学園はミッショスクールではない。『花子とアン』は明治時代末期のカナダ系ミッションスクール東洋英和

映画 「百合子、ダスヴィダーニヤ」(ユーロスペース)をみてきた-ロシア文学者・湯浅芳子という生き方
・・大正時代はまた民本主義とロシア革命の時代でもあった

(2015年1月4日、2016年7月27日 情報追加)

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2014年4月29日火曜日

「昭和の働く女性-夢と希望と困難と-」(昭和館・東京九段下)は、見る価値ある企画展-「昭和」に限定されているのがちょっと残念だが・・


本日(4月29日)は「昭和の日」で国民の休日。もともとは先帝陛下(=昭和天皇)の「天皇誕生日」として休日でありました。

わたくしも「昭和時代・後期」に生まれ育ったので、「昭和時代」はリアルタイムで体験しております。

とはいっても自分が生まれる前の「昭和時代・前期」は親や教師の話を聞いただけで実体験をもっているわけではありません。いまいちリアリティをもっておりません。「平成時代」も26年目なので、平成生まれの若い世代ならなおさらでありましょう。

先日、ようやく東京・九段の「昭和館」にいってみました。近くにいく用事があったので立ち寄った次第です。 

「昭和時代」、とくに「戦前」と「戦中」そして「戦後復興期」が常設展示の中心です。入場料は300円。平日でしたのでかなりすいてました。


たまたま、同時に開催されていたのが昭和館特別企画展の「昭和の働く女性 夢と希望と困難と」(入場無料)。会期は、2014年3月15日~5月11日)。これはたいへんよい企画展でした。

「戦前」と「戦中」そして「戦後復興期」が展示の中心になるのは昭和館の常設展示と同じですが、戦時下の「総動員体制」のもとで女性の社会進出が促進されたことがよく理解できる内容になっています。

徴兵制のもと男が出征して不在となった労働現場に、代替労働力として女性が活用されたことによって、社会進出が進展したというわけですね。男子が大量に戦死し、男女比率が極端に隔たってしまった戦後ソ連も同じ状況でありました。

その後、戦後の「高度成長期」に「専業主婦」という形態が一般化したことは最近では一般的な知識になってきたと思いますが、基本的に日本女性は有史以来、一貫して働いてきたわけです。

戦争によってファッションなどライフスタイル変革が中断してしまったのは残念ですが、ワーク(労働)にかんしては戦時中の総動員体制のもとでかえって女性の社会進出が進展したということは記憶しておくべきことだと思います。

組織人事からビジネスキャリアを開始し、しかも「男女雇用機会均等法」施行一年前にその研究を命じられたということもある「均等法世代」のわたくしにとっては、大いに関心のある内容の企画展でありました。

「戦時中」の勤労動員については常設展もあわせて見るとよいでしょう。勤労動員で旋盤の前で働く女学生の写真はけっこうインパクトありますね。常設展で勤労奉仕の女学生たちの写真をみると、なんと工作機械や溶接作業までそこまでやっていたのかというオドロキも!

「昭和の働く女性-夢と希望と困難と-」(昭和館・東京九段下)-「昭和」に限定されているのがちょっと残念ですが、ぜひ見ておく価値のある企画展です。会期は、2014年3月15日から5月11日まで。




<企画展概要>

特別企画展 「夢と希望と困難と~昭和の働く女性~」
開催期間:  3月15日(土)~5月11日(日)まで
 ※月曜日休館(4月28日(月)、5月5日(月)は開館)、5月6日(火)は 開館、5月7日(水)は休館
時間: 10:00~5:30(入館は5:00まで)
場所:  昭和館3階(東京都千代田区九段南1-6-1)
地下鉄「九段下」駅4番出口から徒歩1分
入場料 : 無料(常設展示室は有料)





<参考>

『モダンガール論』(斎藤美奈子、文春文庫、2003)の単行本初版(2000年)は、副題に「女の子には出世の道が二つある」とあった。

立派な職業人になることと、立派な家庭人になること。職業的な達成(労働市場で自分を高く売ること)と家庭的な幸福(結婚市場で自分を高く売ること)は、女性の場合、どっちも「出世」なのである。したがって、女の子はいつも「二つの出世の道」の間で揺れてきた(単行本 P.8)

なお、『モダンガール論』(斎藤美奈子)でも指摘されているが、「良妻賢母」は前近代のものではないのだ。あくまでも「近代イデオロギー」の産物だということには注意しておく必要がある。「良妻賢母主義」を国是とすべしと提唱したのは、伊藤博文内閣で初代文部大臣となった森有礼である(1885年)。






<関連サイト>

フォトレポート 来館者から「戦中、戦後の女性の力強さを感じることができた」との声も。「夢と希望と困難と~昭和の働く女性~」特別企画展開催中。(厚生労働省)

昭和館 公式サイト


<ブログ内関連記事>

日本が「近代化」に邁進した明治時代初期、アメリカで教育を受けた元祖「帰国子女」たちが日本帰国後に体験した苦悩と苦闘-津田梅子と大山捨松について

NHKの連続テレビ小説 『カーネーション』が面白い-商売のなんたるかを終えてくれる番組だ

『聡明な女は料理がうまい』(桐島洋子、文春文庫、1990 単行本初版 1976) は、明確な思想をもった実用書だ


「移動図書館」-これもまたぜひ後世に遺したい戦後日本の「昭和遺産」だ!

電気をつかわないシンプルな機械(マシン)は美しい-手動式ポンプをひさびさに発見して思うこと

これがバキュームカーだ!-下水道が整備される以前の「昭和遺産」である

書評 『村から工場へ-東南アジア女性の近代化経験-』(平井京之介、NTT出版、2011)-タイ北部の工業団地でのフィールドワークの記録が面白い





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