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2025年4月2日水曜日

ツクシはトウモロコシ?(2025年4月2日)

 

ツクシの季節になった。わずかな期間だけ見ることのできるツクシンボ。

形からみると、ツクシはトウモロコシに似ているような気がする。

スギナの「胞子」のつまったツクシは、機能的にみても「種子」のつまったトウモロコシのようなものではある。




アナロジーとしては、けっして間違っているわけではないと思うのだが・・






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2021年9月21日火曜日

書評『アースダイバー 神社編』(中沢新一、講談社、2021)ー 日本人の深層意識の底に潜る知的エンターテインメント

 

 『アースダイバー 神社編』(中沢新一、講談社、2021)を読了。東京の古層を縄文時代までさかのぼり潜って探索した『アースダイバー』(2005年)の最新作。この間にでた他の2冊は読んでないが、本書はさらにあらたな境地を開拓したという印象がある。  

あくまでも仮説の域をでない想像力の産物とはいえ、温暖期に進行「縄文海進期」の地形を見ることで、東京(とその周辺の関東地方)の縄文人の心性に迫った意欲作が「アースダイバー」だった。 

現在につながる神社が、ほぼすべて縄文時代には陸地だった場所にあるという指摘は刺激的だった。聖地の場所は、時代が変わっても移動しないのだ、と。地層学的なアナロジーで太古の歴史に迫るというアプローチである。 

『アースダイバー 神社編』では、日本の固有信仰形態である神道を3つの層が重なり合って形成されているという考えにたって、アースダーバーを行っている。 

それは古い順からいって、「縄文古層」「弥生中層」「新層」である。言うまでもなく「新層」がいちばんうえに覆い被さっているが、場所によっては「弥生中層」が露出していることもあり、例はすくないが「縄文古層」が地面に現れていることもある。 


(「日本の神社の古層学」P.31より)


「縄文古層」の代表例が、諏訪大社、出雲大社、大神神社(三輪神社)であり、狩猟採集民であった縄文人の自然観・世界観が生き残っているのだと。

つまり自分たちのことを自然界のなかの一構成要素とみなし、増やすと志向しない志向しな 循環型のサステイナブルな生き方を1万年以上つづけていたのが日本列島の先住民である縄文人。ご神体としてのヘビ。

「弥生中層」は、その後に南方から国家による統制を嫌って逃れてきた「海民」たちの信仰。

縄文人も海民の末裔であったが、弥生人(=倭人)は縄文人を上回る海民性を発揮していた。稲作と潜水漁労という技術を携えて日本列島にやってきた半農半漁を生業とする弥生人たちは、時間をかけてゆっくりと縄文人と融合していく。

増やすことを農業によって実践する弥生人は、太陽神信仰をもたらした。母子という見える神々と父である太陽神の三元論構造。山と海。天(あま)と海(あま)。 

そして「新層」とは、国家統一をなしとげたヤマト政権が、朝鮮半島経由で北東アジアからもたらされた垂直軸的な王権神話によって改変された太陽神信仰。もともと父であった太陽神が、アマテラスとして女性に転換される。大化の改新以降、このあらたな「新層」が日本列島を覆い尽くすようになった。 

ざっと要約すればこんなかんじになるが、実地踏査を踏まえた文献調査がイマジネーションによって、読ませるストーリーに仕立て上げられている。牽強付会という感もなくはないし、あくまでも仮説の域をでないが、なるほどと納得させられる思いがして、楽しませてくれる知的エンターテインメントになっている。 

さまざまな要素がてんこ盛りの内容だが、「もともと日本人は海民である」というのが本書を一貫したテーマである。たとえ内陸に住んでいようと、海から河川づたいに内陸に遡行して定住するに至った人びとなのである。沿岸に定住した人びとは言うまでもない。 


日本人にまとわりつく存在不安は、海民としての太古の記憶に由来すると考えるべきなのだ。火山列島で地震列島の日本全体が、ある意味では地球に浮かんだ船のようなものだ。揺れる地面、揺れる船のようなものという感覚が日本人の深層意識にある。

毀誉褒貶の強い中沢氏だが、もう70歳の大台に入っている。「日本人の海民性」は、叔父にあたる歴史家・網野善彦氏のテーマでもあった。このテーマをさらに深めてほしいと思う。

民俗学の父たちである柳田國男や折口信夫がその代表的な例であるが、日本人は、だれもが海の向こう側にある遠い世界にルーツを求めている。それを知りたいという強い欲求をもっているからだ。 



(画像をクリック!)

 

目 次 
プロローグ 犬の聖地 
第1部 聖地の三つの層
 第1章 人間の聖地
 第2章 縄文原論
 第3章 倭人の神道
第2部 縄文系神社
 第4章 大日霊貴神社(鹿角大日堂)
 第5章 諏訪神社
 第6章 三輪神社
 第7章 出雲大社
第3部 海民系神社
 第8章 対馬神道
 第9章 アヅミ族の足跡
 第10章 伊勢湾の海民たち
エピローグ 伊勢神宮と新層の誕生
参考文献
あとがき


著者プロフィール
中沢新一(なかざわ・しんいち)
思想家、人類学者。京都大学特任教授、千葉工大日本文化再生研究センター所長、秋田公立美術大学客員教授。1950年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>


・・「古代日本人が、海の彼方から漂う舟でやってきたという事実にまつわる集団記憶。著者の表現を借りれば、「波に揺られ、行方もさだまらない長い航海の旅の間に培われたであろう、日本人の不安のよるべない存在感覚」(P.212)。歴史以前の集団的無意識の領域にかつわるものであるといってよい。板戸一枚下は地獄、という存在不安。」

・・「読んでいてひじょうにうれしく思ったのは、知的自伝を語りながら、レヴィストロースの少年時代からの、地質学と考古学への深い関心が歴史学的思考の基礎にあることを知ったことだ。この歴史学認識は、わたしも共有しているものであり、地層に歴史を読む込む発想をもっていたことにあらためて驚きと感嘆を感じるのである。時間と空間にかんする認識こそが、歴史学と民族学(=文化人類学)の融合を実り豊かなものとする。」





(2021年9月22日 情報追加)


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2020年2月25日火曜日

JBPressの連載コラム第72回は、「84年前の2・26事件が招いた「意図せざる結果」ー オリンピックイヤーの閏年に大事件は発生する」(2020年2月25日)


JBPressの連載コラム第72回は、「84年前の2・26事件が招いた「意図せざる結果」-オリンピックイヤーの閏年に大事件は発生する」(2020年2月25日) 
⇒ https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59447

自然災害や大事件を、それが発生した月日の数字で表すことがある。2011年の東日本大震災と原発事故の「3・11」や、2001年の米国の同時多発テロ事件「9・11」がその代表であろう。

明日2月26日は、日本を揺るがした「二・二六事件」が起こった日である。

いまから84年前の1936年(昭和11年)2月26日のことだ。国家社会主義の思想家・北一輝の影響を受けていた帝国陸軍の青年将校たちが蹶起(けっき)、彼らが率いる部隊が帝都東京で反乱を起こし、日本をゆるがす大事件となったのだ。

反乱勃発から4日目の2月29日に無血鎮圧された。二・二六事件が起きた1936年は、今年と同じく4年に一度の「オリンピックイヤー」であり、閏年であった。ヒトラー政権下のドイツでベルリンオリンピックが開催された年だ。

ベルリン大会の次は東京が予定されていた。1940年の「紀元二千六百年記念行事」として準備が進められていたが、日中戦争激化などのため日本は開催権を返上して中止となり、「幻の東京オリンピック」となってしまった。

だから、今年の東京オリンピックが無事開催されれば、幻の大会を含めると3度目ということになる。

つつききは本文にて ⇒ https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59447


<ブログ内関連記事>

JBPressの連載コラム第71回は、「「建国記念の日」はいつ2月11日に決まったのか?- 「歴史」と「神話」はイコールではない」(2020年2月11日)

78年前の本日、東京は雪だった。そしてその雪はよごれていた-「二・二六事件」から78年(2014年2月26日)

二・二六事件から 75年 (2011年2月26日)

4年に一度の「オリンピック・イヤー」に雪が降る-76年前のこの日クーデターは鎮圧された(2012年2月29日)

「精神の空洞化」をすでに予言していた三島由紀夫について、つれづれなる私の個人的な感想

「憂国忌」にはじめて参加してみた(2010年11月25日)

石川啄木 『時代閉塞の現状』(1910)から100年たったいま、再び「閉塞状況」に陥ったままの日本に生きることとは・・・


■行動を促す思想

「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」(吉田松陰)

「幾たびか辛酸を歴て志始めて堅し」(西郷南洲)

『大アジア燃ゆるまなざし 頭山満と玄洋社』 (読売新聞西部本社編、海鳥社、2001) で、オルタナティブな日本近現代史を知るべし!

沢木耕太郎の傑作ノンフィクション 『テロルの決算』 と 『危機の宰相』 で「1960年」という転換点を読む

(2020年2月27日 情報追加)


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2014年11月17日月曜日

クレーンはツルである ― アナロジーによるネーミング(=類推による命名)


 (東京・お台場のテレコムセンターから)


クレーンとは重量のあるモノをつり上げて、所定の位置におろすための機械のことだ。日本語で起重機というが、一般的に使用されるコトバではない。

一般人がふだん目にするのは、工事現場や建設現場の大型クレーンだろう。一般にラフタークレーンが使用されているが、このタイプのクレーンは、車輪がついた自走式である。クレーン自体を運転して移動させることができる。

港湾施設で活躍しているクレーンは、正式にはガントリークレーンという。コンテナヤードで貨物船とのあいだでコンテナの積み替えを行うための機械である。このタイプのクレーンは据え付け型であり移動はできない。


クレーンはすっかり日本語として定着しているが、そもそもクレーンはどういう意味なのか、どういうスペリングなのか考えることはあまりないのではないだろうか。英語だとクレーンは crane とつづる。Crane を辞書で調べてみよう。

まずでてくる意味は動物のツルだろう。そう、クレーンとはツルのことなのである。起重機のクレーンは、形がツルに似ているので一般名詞でクレーンと命名されたようだ。アナロジーによる命名である。

アナロジーとは類推や類比という意味で、ひらたくいえば、「~のような」を表現するレトリックのことだ。クレーンの例でいえば、起重機は「クレーン(=ツル)のような」形をしているからクレーンとよぶ、ということになる。

身近な例でいえば、コンピュータのマウスは、形がマウス(=ネズミ)に似ているので、マウスと命名されている。実験用のマウスは日本でもマウスとそのまま呼ばれている。

ほかにもさまざまなケースがあると思うので、探してみるといいだろう。

マウスについては、いまでは日本人はネズミのことだとすぐにわかるが(・・ただし、マウス mouse とラット rat の違いまでは認識していないかも)、クレーンがツルのことだとは、なかなか思いつかないかもしれない。

とはいえ港湾のコンテナヤードに設置されているガントリークレーンは、クレーンではあるものの、どう見てもツルという感じではないなあ。

わたしはガントリークレーンを見ると、いつもタカアシガニ(=高脚蟹)を連想してしまうのだが・・・。



PS 日本語には鶴嘴(つるはし)がある

この記事を書いたときには想起していなかったが、日本語には鶴嘴(つるはし)という名称の道具がある。工事現場などで硬い地面などを砕くために使用されるが、先端がとがった形状は、たしかにツルのくちばしのようである。

高度成長期を代表するスポ根アニメの名作 『巨人の星』で、星飛雄馬の父親の星一徹が土木現場で汗水たらしながら働いているシーンを想起するが、現在では重機を使用して掘削を行うのがあたりまえなので、鶴嘴(つるはし)の出番も少なくなった。だが、それでも狭い場所を掘る時には人間の手で鶴嘴を使用することもある。

英語ではツル(=クレーン)のくちばしは吊り上げ機器として、日本語ではツルのくちばしは道具として名称に活かされているわけだ。こういう異文化論(?)は雑学として面白い。

(2015年10月15日 記す)



<関連サイト>

港のエース、ガンマンの絆 クレーン運転士・上圷(かみあくつ)茂 (NHK プロフェッショナル 仕事の流儀) (2014年4月21日 放送)
・・コンテナ輸送に不可欠の業務であるガントリークレーンの操作を行う運転士の仕事


<ブログ内関連記事>

タダノの大型クレーンの商品名ピタゴラス-愛称としてのネーミング

映画 『キャプテン・フィリップス』(米国、2013)をみてきた-海賊問題は、「いま、そこにある危機」なのだ!
・・貨物船とコンテナ

「千葉港めぐり観光船」に乗ってきた-潮風に吹かれて海から京葉工業地帯をみる
・・港湾のコンテナヤード

『ドキュメント アジアの道-物流最前線のヒト・モノ群像-』(エヌ・エヌ・エー ASEAN編集部編、エヌ・エヌ・エー、2008)で知る、アジアの物流現場の熱い息吹

ウサギは英語でラビット? ヘア? バニー??
・・マウスとラットの違いも同様

『前田建設ファンタジー営業部』(前田建設工業株式会社、幻冬舎、2004)で、ゼネコンの知られざる仕事内容を知る

書評 『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!』(モリナガ・ヨウ、溝渕利明=監修、アスペクト、2011)-独特の細密イラストによる「関係者以外立ち入り禁止」の「現場」探訪フィールドワーク

(2015年10月15日 情報追加)


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