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2022年2月15日火曜日

Eテレの「100分de名著」で『日蓮の手紙』(植木雅俊)が放送(2022年2月)-手紙をつうじて知る日蓮の素顔

 
Eテレの「100分de名著」で『日蓮の手紙』が放送されていると知って、まずはテキストを入手して通読してみた。 副題には「筆に込められた仏心」「苦しみを分かち合い 生きる智慧を伝える」とある。

「内容紹介」は以下のようになっている。

時に激しく、時に優しく。多彩な手紙から浮かび上がる日蓮の素顔とは
数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、家族を失った人の悲しみに寄り添う深い思いやりや、病と闘う人への励まし、人間関係や職場でトラブルに直面したときの対処法など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。また、女性信徒の悩みに答える手紙も多く、月経を不浄なものと見なす価値観に異を唱えたり、女人成仏についての思想を語るなど、当時としてはたいへん先進的な女性観も披露している。相手の立場や性格を考慮しながら具体的に書き分けられた多様な手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。


在家仏教を推奨する『維摩経』と『法華経』のサンスクリット原文からの現代語訳を完成させた植木雅俊氏が講師。通読していて「なるほど!」と納得する箇所が何度もあった。 

「いま、ここ」を重視する法華経! 房総半島の太平洋岸で生まれ育った「海洋民族」的な日蓮! 戦闘的な姿勢が目立つ日蓮だが、信徒とその家族には情愛深い態度!

わたしのように、日頃から日蓮にも法華経にも慣れ親しんでない人間には、大いなる気づきを与えてくれる内容だ。 

これはぜひ放送を実際に視聴して、故中村元先生の在野の直弟子である植木先生の肉声を聞かねばと思った。 

第1回目の放送を聞き逃しているので今回の2回目がはじめて(全4回)。第2回の放送は、雪の降らない北京で人工雪で実施されている、いわくつきの「北京オリンピック冬期大会2022」の関係で30分遅れだった(ちょっとムッと怒り)。

実際に視聴してみての感想は、さすが理系出身の仏教研究者だけあって、現代の維摩居士・植木先生の語りはきわめて理知的で、大いに満足するものだった。

それにしても、いわゆる「鎌倉新仏教」の祖師たちのなかでも、日蓮の61歳という生涯はじつに短い。内柔外剛ともいうべき人だったのだろうか、「4度の法難」を体験して「法華経の行者」として闘い抜いた人生は、日蓮のカラダをボロボロにしたのであろう。




目 次
はじめに 行間からにじみ出る人間味
第1回 人間・日蓮の実像
第2回 厳しい現実を生き抜く
第3回 女性たちの心に寄り添う
第4回 病や死と向き合う


講師(=著者)プロフィール
植木雅俊(うえき・まさとし)
仏教思想研究家・作家。1951年長崎県島原市生まれ。九州大学理学部物理学科卒、同大学院理学研究科修士課程修了。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。1991年から東方学院で中村元氏に師事し、2002年に文系ではお茶の水女子大学で男性初の博士(人文科学)の学位を取得
著書に『法華経とは何かその思想と背景』(中公新書)、『差別の超克原始仏教と法華経の人間観』(講談社学術文庫)、『テーリー・ガーター 尼僧たちのいのちの讃歌』(角川選書)、『梵文『法華経』翻訳語彙典』(全2巻、法藏館)、『法華経 誰でもブッダになれる』(NHK「100分de名著」ブックス)など。訳書に『日蓮の手紙』(角川ソフィア文庫)『梵漢和対照・現代語訳法華経』(上下巻、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳維摩経』(パピルス賞受賞、いずれも岩波書店)、『サンスクリット版全訳維摩経口語現代語訳』(角川ソフィア文庫)など。小説に『サーカスの少女』(コボル)。(NHKのサイトより)
 



<関連サイト>

・・2022年2月16日は奇しくも「日蓮生誕800年」とのこと。

(2022年2月16日 項目新設)


<ブログ内関連記事>



・・晩年を日蓮研究に専心した上原専禄

・・下総は日蓮信仰の土地

・・三里塚供養塔である。正式には日本山妙法寺・成田平和佛舎利塔


・・「著者は、日本で「反・知性主義」を体現している人物としては、歴史上の人物としては親鸞や日蓮などの仏教者、政治家としては田中角栄などをあげている。」


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2020年5月4日月曜日

『法然の衝撃-日本仏教のラディカル』(阿満利麿、人文書院、1989)は、タイトル負けしていない名著。現在でもインパクトある内容だ


『法然の衝撃-日本仏教のラディカル』(阿満利麿、人文書院、1989)という本を取り上げたい。すでに30年も前の出版だが、タイトル負けしていない名著といっていいだろう。なぜいまこの本を取り上げるのか、まずはその背景となる理由を簡単に記しておく。

***

FBで「7日間ブックカバーチャレンジ」というチェーンメールのようなものが行われている。4月後半から続いている。

新型コロナウイルスのパンデミックによる「緊急事態宣言」の最中、自宅にステイすることを余儀なくされている人たちが多いなか、少しでも読書文化の向上に貢献しようという取り組みのようだ。趣旨そのものはともなく、あるテーマに関連して7冊をセレクトするという行為には意味があるので、その試みに乗っかってみることにした。

最初は、引きこもり(stay-at-home)関連で4冊セレクトしたが、4月25日早朝に父が臨終に近いという緊急連絡を受け取ってから、病院に直行、臨終には間に合わなかったが、葬儀一式にかかわるためバタバタしていた。初七日までは喪に服すと決めて、FBへの投稿をいっさい行わず、5冊目からの再開は、4冊目の後の5冊目だから「四五」すなわち「死後」と定めて、その関連の本を取り上げることにしたのである。

5冊目は、『唯葬論-なぜ人間は死者を想うのか-』(一条真也、サンガ文庫、2017)。この本は、葬儀一式にかかわった機会にはじめて読んだ本。この本については、内容をふくらませた上で、のちほどブログにアップすることにする。

6冊目に選んだのは今回紹介する、『法然の衝撃-日本仏教のラディカル』(阿満利麿、人文書院、1989)。亡くなった父が浄土宗であり、その関連から自分自身も浄土宗について知る必要を強く感じていたので、かつて2回ほど集中的に読み込んだ時期がある。いまからもう四半世紀も前に読んで、強い印象を受けた本が、この1冊だ。

以下、FBに投稿して、内容を紹介した一文をそのまま再録しておこう。

***

法然なくして親鸞なし!

日本仏教の二大勢力は親鸞を宗祖とする浄土真宗と、日蓮を宗祖とする日蓮宗だが、その親鸞は法然の弟子であり、法然の「革命性」を認識しなければ、いわゆる「鎌倉新仏教」を理解できないことを示した内容。

法然とその後継者である親鸞、法然と徹底的に対決した日蓮。南無阿弥陀仏という「六字の名号」で成仏できるとした革命性阿弥陀仏にのみ帰依するという、ほとんど一神教に近い性格。戦国時代末期の一向一揆の原動力がこれだ。

私自身は、特定の教団や教派に属すつもりはないが、もともと浄土系の家に育っているので、浄土宗や浄土真教とは何か、という問いには強い関心がある。

浄土系の仏教は、生きるチカラが湧いてくるという類いの教えではないが(と自分は思っているが)、安心して死ぬ、安心して死者を送るためには、ほんとにすぐれた教えであり、体系であると、今回あらためて確信した。

阿満利麿氏は、経歴によれば元NHKディレクターの宗教学者。阿満氏の著書は、かなり読んだが、この本が一番だと思う。それだけ内容が濃く、タイトル負けしていないインパクトの強い本なのだ。

***

旧著紹介ということで、ここで取り上げた次第。





<ブログ内関連記事>

「法然と親鸞 ゆかりの名宝-法然上人八百回忌・親鸞聖人七百五十回忌 特別展」 にいってきた

『選択の人 法然上人』(横山まさみち=漫画、阿川文正=監修、浄土宗出版、1998)を読んでみた

「法然セミナー2011 苦楽共生」 に参加してきた-法然上人の精神はいったいどこへ?

善光寺御開帳 2009 体験記

葬儀は究極のサービス業である(2020年5月2日)-4月25日に永眠した父の葬儀一式にかかわって思うこと

書評 『唯葬論ーなぜ人間は死者を想うのか-』(一条真也、サンガ文庫、2017)-「なぜ生者は死者を弔うのか?」という問いを全18章で論じ尽くした渾身の一冊



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